実話に基づいた劇作家と車に住む老女の物語『ミス・シェパードをお手本に』
『ミス・シェパードをお手本に』はイギリスの劇作家アラン・ベネットが、自身の回想録に基づいて映画化した人間ドラマ作品です。同じ回想録をベースに舞台化もされており、舞台版で車の中に住む老女“ミス・シェパード”を演じた名女優マギー・スミスが、映画版でも同じ役で出演しています。
日本でも2016年12月に公開が予定されている本作品の最新情報をご紹介します。
『ミス・シェパードをお手本に』の気になるあらすじは?
イギリスはロンドンのカムデンに暮らす老婦人、通称“ミス・シェパード”。彼女は道路の片隅にとめられたボロボロのバンの中で生活していました。住処も来ている服もボロボロですが、誇り高い態度で自由気ままに暮らしていたミス・シェパードですが、ある日路上駐車を注意されてしまいます。
それを観た劇作家のベネットは、親切心から自宅の駐車スペースをミス・シェパードに提供することを申し入れます。そこから劇作家と謎の老女の奇妙な共同生活が始まり、二人は15年もの間不思議な友情を育んでいったのでした。
『ミス・シェパードをお手本に』の魅力的なキャスト達
ミス・シェパード/マギー・スミス
車暮らしをする謎の老女、ミス・シェパードを演じるのは、イギリス出身の女優マギー・スミスです。スミスは1934年に生まれ、2016年現在82歳を迎える大ベテランです。
スミスが映画デビューを果たしたのは1956年です。1969年には『ミス・ブロディの青春』に出演、アカデミー主演女優賞を受賞しています。1978年には『カリフォルニア・スイート』に出演し、アカデミー助演女優賞受賞を受賞しています。
その後も1992年公開の『天使にラブソングを…』の修道院長役や、『ハリー・ポッター』シリーズのミネルバ・マクゴナガル先生役などを演じ、世界的に有名な女優となっています。
アラン・ベネット/アレックス・ジェニングス
ミス・シェパードと奇妙な共同生活を送ることになった劇作家、アラン・ベネットを演じるのは、イギリス出身の俳優アレックス・ジェニングスです。
ジェニングスは舞台俳優としての経歴が長く、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーやナショナル・シアターなどイギリスの国立劇場の舞台に多く出演しています。イギリス演劇界での名誉、ローレンス・オリビエ賞を三度受賞しており、ドラマ、ミュージカル、コメディといった異なるジャンルでそれぞれ受賞に輝いた才能ある俳優。
映画での出演としては、2006年の英国王室の裏側を描いた作品『クィーン』でのチャールズ皇太子役が有名です。
『ミス・シェパードをお手本に』の監督を務めるのはニコラス・ハイトナー
ニコラス・ハイトナーはイギリス出身の映画監督兼プロデューサーです。
舞台演出家としても活動をしており、。1989年から1997年まではロイヤル・ナショナル・シアターで舞台作品の演出を担当していました。1993年には、その年に上演したミュージカル作品『回転木馬』が称賛され、ローレンス・オリビエ賞のベストディレクター賞に輝いた実績を持っています。
映画監督としては、同じくアラン・ベケット作の戯曲をもとに2006年に映画化された『ヒストリーボーイズ』を監督しています。
ロケは全編ロンドンのカムデン・タウンで実施
映画の撮影は、実際にベケットが老女と共同生活を送ったロンドンのカムデン・タウンで行われました。ベケットの実体験は何十年も前の出来事ですが、当時カムデン・タウンに住んでいてそのまま住み続けている人が撮影時にもいたそうです。
撮影に使用されたバンは、そのまま街中に駐車されていました。そのため、ある日撮影クルーが到着すると見知らぬ2人がバンの中に侵入し“お楽しみの最中”だったということがあったそうです。バンは撮影用にわざと汚れが施されていましたが、この事件があったたため一度きれいにして、また汚しなおすという作業が発生してしまったそうです。