2017年7月6日更新

台湾映画傑作選。今一番見たいヤバい映画が揃ってる??【ニューシネマ】

珈琲時光

武侠アクションにサスペンス、戦記ものに切ない青春ドラマなどなど、バラエティに富んだ台湾映画。エドワード・ヤンやホウ・シャオシェンといった巨匠の作品や、2017年に陽の目を見た劇場公開作品を中心にピックアップします。

「台湾ニューシネマ」に加え、新たな才能に富んだ台湾映画

サスペンスに戦記もの、切ない青春ドラマなど、バラエティに富んだ台湾映画。ここではエドワード・ヤンやホウ・シャオシェンらによる「台湾ニューシネマ」作品や、改めて日本公開が実現した作品を中心にピックアップします。

カンヌ国際映画祭で高評価を受けた剣術アクション【1971年】

末期の明時代を舞台に、政府の陰謀で処刑された忠臣の娘ヤンの復讐劇を描いた、“香港映画界の黒澤明”と称された、キン・フー監督による剣術アクション。1975年のカンヌ国際映画祭では、中華圏映画として初の高等技術委員会グランプリを受賞しました。 日本では長らく劇場未公開でしたが、4Kデジタル修復版が完成したのを機に2017年1月に劇場公開が実現。ヤン役のシュー・フォンは後にプロデューサーとして、『グリーン・デスティニー』などを手がけるヒットメーカーになりました。

1本のいたずら電話がもたらした悪夢のような悲劇【1986年】

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____RiN____ 4.5

一本のいたずら電話で感染する「恐怖分子」、街に、人に伝播する恐怖と狂気、不穏に吹き渡る風。もう、超怖かった。 アジア映画の得意技、あえて語らず悟らせる、雄弁は銀沈黙は金の言葉通り、主題らしい主題は一切語られないまま映画は進んでいきます。始終不穏でありながらも、決定的な残酷や絶望も映されません。でもだからこそ、このシーンの裏のくぐもった銃声は、パトランプの閃く赤は、と妄想して、その妄想に取り憑かれて鑑賞者にも恐怖は伝播していきます。 風にはためく少女の写真、揺らめくカーテンと虚ろな少年、首に伝わる汗と、空虚に効果的な白背景のシーンたち。美的に過ぎる画面も大きな魅力のひとつです。 ハリウッド映画は鑑賞者に全能の快感を与えてくれます。そのスナック菓子のような、口あたりの良さだけで中身のない快感に飽き、飢えた鑑賞者はこういう、気付いたらプレイヤー側に陥っているような映画を求めるのでしょうか。噛み砕くには勇気のいる、酒のように初体験は苦く残る、しかし一度酔うとやめられなくなる、そんな映画。 イメージフォーラムで今週末まで、満席でした。

警察から逃がれようとする少女と彼女を偶然カメラでとらえた青年、夫婦仲が冷え切った医師の夫と小説家の妻。何の関連性のなかった彼らが、少女がかけた1本のいたずら電話によってつながり悲劇が起こっていくというサスペンス。 エドワード・ヤン監督の乾いた演出が冴える一本となっています。

日本統治から解放された台湾社会を描く歴史ドラマ【1989年】

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bbbgh 4.5

NHKドキュメントみたいなサントラと共に描かれる、ホウ・シャオシェンの大作。 日本統治が終わった後の混乱した台湾が描かれているが、多くの台湾人は「まだ日本統治時代の方がマシだった」と語るらしい。詳しい事情はともかく、混乱した時代だったのは間違いない。 だが、映画自体は、至ってシンプルだ。 玉音放送が流るる中での出産場面にいきなり涙する日本人は、意外と多いかも知れない。トロイメライの旋律に背筋を撫でられる人もいるだろう。 各シーンが極めて丁寧で絵画のようであり、その積み重ねとしてドラマが成り立っている。159分と長く壮大でありながら、全体は優しい印象を受ける。 トニー・レオンは広東語しか話せなかったからか、聾唖者として出てくるが、それはそれで魅力的な表情を見せてくれる。

第2次世界大戦終結直後の台湾を舞台に、混沌とする中で懸命に生きようとする一家を描いた一大家族ドラマ。 家族の四男を演じた、当時香港の若手スターだったトニー・レオンは、台湾語が話せなかったために聾唖者の役を演じることになったとか。 監督のホウ・シャオシェンは本作でベネチア映画祭金獅子賞を受賞し、評価を一気に高めることとなります。

幻とされていたエドワード・ヤン監督の青春ドラマが復活公開【1991年】

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mataro_mince 3.5

60年代台湾。より良い暮しを求め渡ってきた外省人達の向上しない生活。親の不安や苛立ちを感じ取ったかのように子供達は荒れヤクザのようなシノギ縄張り争いを繰返す。そこでは男子中学生の純朴な恋すら争いの元となり周囲に翻弄される「牯嶺街少年殺人」CL梅田2。事件に至った過程の鮮烈な物語。2017年4月26日 3時間56分!台湾映画はとにかく長い。公開当時は3時間6分。それの完全版。パンフによると意味が分からなかった場面がこれでかなり補填されているそうだ。大事な場面に顔を影にして直接撮らないなどの場面もあり印象的だ。しかしまったく飽きることなく楽しめる。「恐怖分子」1986年の5年後に撮られた作品。

1961年の台湾を舞台に、14歳の少年が起こした殺人事件の全容を描いた社会派ドラマ。 エドワード・ヤン監督による当時の社会的背景を反映した演出により、1991年の公開時に高い評価を受けました。それから幻となっていた236分のバージョンが、2017年3月に復活公開されています。

台北社会に反発する若者の葛藤を描く青春ドラマ【1992年】

台北を舞台に、予備校生と窃盗を働く青年といった若者たちの、家族や世間への反発を描いた青春ドラマ。 本作で監督デビューを果たしたツァイ・ミンリャンは『楽日』、『西瓜』といった佳作を世に放ち、2008年にはオフィス北野製作のオムニバス映画『それぞれのシネマ』に招かれています。

名匠ホウ・シャオシエン監督による青春ロードムービー【1996年】

40歳近くになるフリーター男が弟分とその恋人とともに南へのバイク旅行に出発する先々で起こる出来事を綴ったロードムービー。 『珈琲時光』、『フラワーズ・オブ・シャンハイ』で知られるホウ・シャオシエン監督が、日本からの出資を得て半年以上の期間をかけて製作しました。

8歳の少年の目からとらえた混沌家族ドラマ【2000年】

普通の家庭で育った少年ヤンヤンを主人公に、叔父の結婚式を境に発生する様々な事件を同時進行で描く、エドワード・ヤン監督による台湾・日本合作映画。日本人キャストとしてイッセー尾形が参加しています。

台湾の先住民族による抗日暴動を描いた歴史大作【2011年】

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Miyako__Nagumo 5

日本統治時代、台湾で起きた霧社事件の話。民族の誇りをかけて戦いにでた原住民がたどる運命が 苦しすぎる。虐殺シーンは、なかなかすごい。 映画を通して、世界を知る、歴史を学ぶ…考えさせられました…

日本統治時代の台湾で起きた、先住民族セデック族による抗日暴動「霧社事件」を2部作、トータル4時間36分で描いた戦記ドラマ。 一族の頭目を演じ、本作が俳優デビューとなったリン・チンタイは元々教会の牧師という異色の経歴の持ち主。安藤政信や木村祐一といった日本人キャストのほか、ビビアン・スーも出演しています。

多感な高校生の甘酸っぱいラブストーリー【2011年】

Moto_Ishiduka
Moto_Ishiduka 4.5

久しぶりにこんな青春映画見たなーってくらいすごい!きっと部屋の隅っこテレビに食らいつきながらニヤニヤしてたことでしょう。なのにラストでは笑いながら大泣き、かなり揺さぶってきました。 主人公の彼がまたすごく幼稚でいいキャラしてるんです。この"幼稚"ってワード、かなり良い意味です。 恋愛は結ばれるまでが一番楽しいなんてゆうセリフにはすごく共感しながらもどこか寂しくなって、たぶん各々の青春にかぶること何度もあるんじゃないかなって。ちなみに私はたくさんあった。こんなに切なくて、でも面白いなんて映画めったにないから逆に現実味があったのかも。 you are the Apple of my eye. このセリフの意味をその目でぜひ確かめて観て欲しい。そしてこの幼稚な映画、幼稚の意味をその目でぜひ確かめて観て欲しい。

1994年の台湾を舞台に、やんちゃな男子高校生コートンがお目付け役となった女子高生シェンに惹かれていく様子を描いたラブストーリー。 台湾のみならず香港で記録的ヒットとなった一作で、シェン役のミシェル・チャンのキュートさは必見。台湾における日本文化の浸透ぶりも分かる一本となっています。

『あの頃、君を追いかけた』が好きな方におすすめの台湾映画【2015年】

傑作台湾映画『あの頃、君を追いかけた』同様、大人になった主人公が青春時代を回想する物語。冴えない主人公、高校の番長、優等生の美男美女の4人を中心に展開していきます。 『あの頃、君を追いかけた』でも作中で井上雄彦といった日本に馴染みの深いワードが出てきましたが、本作でも番長の机に『SLAM DUNK』のステッカーが貼られているなど日本愛も感じられる作品。台湾青春恋愛映画の傑作です。