2018年4月1日更新

『ルパン三世PART5』監督&脚本家に直撃インタビュー【最新ルパンはデジタルを使いこなす!?】

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矢野雄一郎  大河内一楼 ルパン
©︎ciatr

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アニメシリーズ最新作『ルパン三世PART5』が4月3日深夜から放送

今回の舞台は「アルセーヌ・ルパン」の生まれ故郷

原作が誕生してから昨年で50周年を迎えた「ルパン三世」シリーズ。漫画、テレビアニメ、映画と幅広い範囲で活躍する、今世紀を代表する泥棒「ルパン三世」ですが、最新テレビアニメ『ルパン三世PART5』が、4月3日深夜から日本テレビ系他で放送されます(Hulu他でも配信予定)。 今回の舞台は、ルパン三世の祖父であるアルセーヌ・ルパンの生まれ故郷「フランス」。そこでルパン三世とその敵が、デジタル・ガジェットをふんだんに使ってお宝を狙います。 もちろんルパン三世のパートナーでもある次元大介、石川五ェ門、峰不二子も大活躍。今回は彼らの人間関係も深く描かれており、そこにも注目です。

監督と脚本家に『ルパン三世PART5』の見どころをインタビュー

矢野雄一郎  大河内一楼 ルパン
©︎ciatr

今回の『ルパン三世PART5』ですが、今までのルパン三世とはひと味もふた味も違うようです。 そのひとつが、今回からシリーズ構成・脚本として、『コードギアス反逆のルルーシュ』『甲鉄城のカバネリ』で有名な大河内一楼を起用したことです。 今回は大河内一楼と前回から引き続き監督として本作に参加している矢野雄一郎の二人に、『ルパン三世PART5』の見どころを直撃取材しました。

今回の『ルパン三世PART5』の見どころはどこでしょうか。

矢野「ヒロイン「アミ」との出会いのシーンや、ルパンと次元の関係が密になっているところなどを見てほしいですね。そういった意味で、今回はご飯を食べるシーンがやたら多くなっています(笑)」 大河内「自分が目指したところでいうと、“今”作るということで、ルパン三世を今のお客さん向けにアップデートしたいな、と思いました。なので今の時代に合わせた、たとえばスマホといったデジタル・ガジェットを使った、最新の泥棒になっています。 一方で、今までのテレビアニメ版ルパン三世は、一話完結が多かったと思うのですが、今回は意識的に続きものにしています。たとえば、米国のドラマなどは、たいてい「来週はどうなる?」という期待感をもって進むことが多く、それをルパンに当てはめたら意外としっくりきたんですね。そういうのが似合う作品だったんです。 ルパンのキャラクターは変わっていないけど、今までのルパン三世とは違う感じに見えるんじゃないかな、と思います」

今回のルパン三世は食事シーンが多い
©TMS・NTV

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前回の『ルパン三世Part4』はイタリアが舞台でしたが、今回はフランスが舞台です。なぜフランスなのでしょうか?

矢野「前回の『ルパン三世PART4』のイタリア編では、ルパンたちが最後に電車に乗って居なくなるというラストシーンだったので、その地続きということで、フランスにつながった、というのがあります」 大河内「フランスがルパン発祥の地ですしね」

アルセーヌ・ルパンの本拠地でやるとなって、プレッシャーはありませんでしたか。

大河内「いや、それはなかったですね。逆にフランスということで、アルセーヌ・ルパンが生まれた土地で展開するドラマがちゃんとあるので、そういう意味ではフランスで良かったな、と」

ガジェットを使いこなす“今時のルパン”

矢野雄一郎  ルパン
©︎ciatr

前作までと比べて大きく違うのは、「ルパン」や登場人物が「デジタル・ガジェット」を使いこなす、という点です。どうしてこのような設定になったのでしょうか。

大河内「今がデジタルの社会になったからです。社会的にもアナログよりデジタルが多くなっただろうし、犯罪もデジタルの犯罪が増えたので、そうなると必然的にルパンが盗むものだったりルパンが闘う相手もデジタルで武装していないと、現代とは言えないでしょ、ということなのです」

SNSで追い詰められるルパンたち
©TMS・NTV

一方で、最近は「仮想通貨」や「闇サイト」など、デジタル技術を使った犯罪も増えています。そこに対する思いはあるのでしょうか。

矢野「今回、確かに、そういうデジタル技術を使った社会の危うさとかは描いています。匿名で人を攻撃してしまう、あるいは情報が流れていってしまうところでの生きづらさというところを、ルパンの生き様を通して感じてもらえればと」 大河内「僕は、デジタルそのものが単に悪いとは思っていなくて。デジタルは怖いところもあるけど、便利なところもたくさんあって、自動車とか何でもそうですけど、良いところと悪いところがあるでしょう。デジタルで犯罪も起きるけど、デジタルで繋がったり、デジタルで便利になったこともたくさんありますよね」

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“僕らしいルパン”はいらない

大河内一楼 ルパン
©︎ciatr

大河内さんが脚本ということで、「大河内さんらしいルパン」が求められていると思うのですが。

大河内「実は、僕は今回はそうは思っていなくて、僕らしいルパンは良くないんじゃないかと思っています。なぜならみんなが見たいのはルパン三世であって、僕ではないわけで。 だから“僕らしい僕らしくない”ではなくて、僕が昔ルパン三世を見てハラハラしたりドキドキしたりところとか、僕が好きになったキャラクターとか、「意外と泣けるところもあるね」「意外と残酷だよね」といった、僕が楽しかったルパン三世を今の人に届けたい、という思いで書いています」

ルパン三世PART5
©TMS・NTV

原作も含めて、過去のキャラクターがたくさん出ますよね?

大河内「そうなんです。ルパン三世ってやはりこれだけ長くやっているとそれなりの資産が溜まっていて、たとえば殺し屋を出すにしても、その財産を使わないともったいないと思うんですよね」 矢野「今回、大河内さんが原作からキャラクターをもってくるということで、原作を改めて読み返してみたんですけど、なんかすごくキャラが立っていて、やっぱり原作はすごいなって思いました」

ヒロイン「アミ」への思い

ルパン三世PART5
©TMS・NTV

ヒロインとして、デジタルハッカーの引きこもりである「アミ」が登場します。彼女の魅力はどこにあるでしょうか。

大河内「今回「アミ」というキャラクターを作る上で気をつけたのは、単に可哀想というイメージにはしたくなかった、ということです。引きこもっているからダメとか、デジタルだから冷たい、とかではなくて、それもひとつの生き方であったり方法論でしかない、ってことなんです。そこに上位とか下位とか順番をつけるものではないんじゃないかと思うのです」 矢野「大河内さんから上がってくるキャラクターは、みんな何というかかわいいんですよね。だから気持ちが入っていくというか」

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二人が語る“ルパン愛”

矢野雄一郎  大河内一楼 ルパン
©︎ciatr

お二人のルパンに対する愛はヒシヒシと感じ取れたのですが、お二人が好きなルパンシリーズとかはありますか?

矢野「僕は会社(テレコム・アニメーションフィルム)に入ったきっかけが、宮崎駿さんの『死の翼アルバトロス』や『さらば愛しきルパンよ』『カリオストロの城』だったんです。「あ、アニメって動くんだ」って思った作品がそれらだったんです」 大河内「矢野さんが挙げられてた作品ももちろん好きだけど、ルパン三世ってやっぱりバラエティに富んでいて、『ルパンVS複製人間』のマモーも良かったし、『ルパン三世PART2』の、各話いろいろなパターンがゴチャゴチャと入っている感じも好きだったんですね。 それで改めて思うんですけど、今回の『ルパン三世PART5』って、やっぱりゴチャゴチャしているんですよ。いろんなルパンが登場していて、恋愛もあるけど友情もあるし、悲劇もあるし喜劇もある。僕はきっとルパン三世のこのバラエティ感が好きなんだな、っと」

現代に蘇った“新しいルパン三世”を見逃すな!

矢野雄一郎  大河内一楼 ルパン
©︎ciatr

今回のインタビューで、今回の作品が、二人の”ルパン愛”にあふれる作品だということがとてもよく分かりました。特に、今までのルパン三世の世界観を壊さず、しかしその上にデジタル・ガジェットを使った現代のルパン三世を大胆に蘇らせるというところに、今までにない魅力を感じます。 ルパン三世を今まで見ていた人も、初めて見る人も、『ルパン三世PART5』は絶対に見逃せません。 公式サイト:https://lupin-pt5.com/ 原作:モンキー・パンチ ©TMS・NTV