映画『ルパン三世 ルパンVS複製人間(クローン)』の解説・考察まとめ

2017年7月6日更新

1978年に公開されて以降、何度も地上波の映画番組などで放送されている映画『ルパン三世 ルパンVS複製人間』。25年以上経った今でも放送されるその魅力はどのようなモノなのか? 映画に対する解説や考察をまとめてみました!

映画『ルパン三世 ルパンVS複製人間(クローン)』ってなに?

記念すべき第1作!

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映画『ルパン三世 ルパンVS複製人間』は、アニメ『ルパン三世』の劇場版第1作として、1978年に公開されました。公開当時は『ルパンVS複製人間(クローン)』という題名が付いておらず、最初の家庭用ビデオソフト(当時はVHSとベータマックス)発売時に他作品との識別をするために初めて付けられました。

1年の制作期間と5億円の制作費を掛け、配給収入10億円を記録しています。

映画『ルパン三世 ルパンVS複製人間』のあらすじ

賢者の石を巡る壮大な陰謀

ルパンが処刑された事実を信じられなかった銭形警部は、ルパンの遺体を確認しに墓地に向かいます。銭形警部は棺桶の中のルパンにとどめを刺した瞬間、ルパンの遺体は大爆発。そして銭形警部の目の前に爆発したはずのルパンが現れます。

ルパンは銭形警部を軽くあしらって逃亡。そしてルパンは次元大介と石川五エ門と共にエジプトのピラミッドへと向かい、賢者の石を盗み出しました。

賢者の石は謎の男・マモーも狙っていて、峰不二子に永遠の美を約束して賢者の石を盗み出すことを依頼します。この賢者の石を巡り、ルパン一味とマモー、銭形警部も巻き込んだ陰謀が繰り広げられることになります。

映画『ルパン三世 ルパンVS複製人間』の解説

はじめての試みと嬉しい誤算!?

公開された1978年当時は、ルパン三世の人気が絶頂に達していてテレビアニメも第2シリーズに突入。視聴率も好調でした。

ルパン三世は当時既に実写版1作とテレビアニメ第2シリーズの再編集版が映画として公開されていましたが、完全オリジナルストーリーの映画としては今作が初めてです。今作は「初期の頃の大人向けのルパンが見たいという声にお応えします」という制作の意図が明示されていて、大人をターゲットとする作風にしました。

しかし公開してみると事前の予想と異なり、テレビアニメの第2シリーズを視聴中の中高生が観客層の中心となったそうです。次回作になる映画『ルパン三世 カリオストロの城』からはターゲットを15・16歳中心と改めています。

映画『ルパン三世 ルパンVS複製人間』の考察

SFと現実主義

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今作はクローン技術をテーマのひとつとしています。公開された1978年当時、イギリスではいわゆる試験管ベビーと呼ばれる体外受精児が誕生しました。そのため、クローン自体が旬のテーマでした。

細胞分裂の限界やコピーを重ねるとゲノムが劣化するなど、意欲的にクローン技術の問題点を取り上げているだけでなく、実際のクローン技術では不可能である「複製人間」を登場させています。

今作のルパンは合理的で現実的な性格として描かれていて、マモーの数々の術に対して、頑なにトリックだと主張しています。これにはルパンの周りの人は呆れ、マモー自体もルパンの夢を見ない体質に不気味さを感じていました。

テレビアニメシリーズや次回作以降の映画のルパンの描かれ方を見ると、びっくりする人もいるかもしれません。

映画『ルパン三世 ルパンVS複製人間』の豆知識・トリビア

映画公開当時のパンフレットには、ルパンが死刑となり目的を達成した銭形は警察官を退職して僧侶となり、山寺の寺男となっているというあらすじが書かれています。実際にそのシーンは制作されましたが、最終的には僧侶になった設定ごとカットされました。

このアイデアは、後に公開された映画『ルパン三世 風魔一族の陰謀』に流用されています。

映画公開当時、今作と味の素ゼネラルフーヅ(以下、AGF)はタイアップ契約を結んでいたため、当時のAGFの新製品『テレパッチ』が登場するカットが存在しています。このテレパッチが登場するカットは地上波放送などでは削除されていますが、VHS・LD・DVD・ブルーレイなどではノーカットで収録されています。

現在の題名が定着したのがDVD化された21世紀に入ってからになりますが、『複製人間』の読み方はハッキリと定まっておらず、主に『ふくせいにんげん』か『クローン』のふたつになります。

テレビ放映時には『ふくせいにんげん』と呼ばれることもあるため、どちらの読みでも間違いではありません。なお、2016年10月21日放映予定の金曜ロードSHOW!では『クローン』と呼んでいました。

『ルパン三世』主題歌の秘密

おなじみのテーマからギャップのあるエンディングまで

言わずと知れたルパン三世を代表するテーマ曲。当時放送されていたテレビアニメの第2シリーズのオープニング曲をそのまま使用しています。意外なことに、ルパンの声優が山田康雄時代の映画でルパン三世のテーマがオープニング曲になっているのは今作のみです。

エンディングは、『世界の国からこんにちは』などでおなじみの三波春夫が歌っています。今作の内容がシリアスなのに対し、ルパン音頭は非常にコミカルな仕上がりになっていますが、そのギャップからか意外にも好評です。

『ルパン三世』続編の構想は?

ゲームで実現する予定だったが

公開されてから20数年後の2000年に、『生きていた複製人間』の題名でテレビゲーム作品としてバンプレストから発売される予定でした。

しかし、製作が難航し、その間にルパンのゲームの製作権がバンプレストからセガ(2015年4月からはセガホールディングス)へ移ってしまったため、そのまま没案となってしまいました。

『ルパン三世 ルパンVS複製人間』には豪華声優陣が出演!

あんな人やこんな人まで!?

これでいいのだ―赤塚不二夫自叙伝 (文春文庫)

ルパン一味の声優キャストは、ルパン:山田康雄・次元大介:小林清志・石川五エ門:井上真樹夫・峰不二子:増山江威子です。そして、銭形警部は納谷悟朗です。

今作以降、映画『ルパン三世 風魔一族の陰謀』を除いてレギュラーキャラクターの配役は固定され、その配役は映画『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』の予告編まで続きました。なお、ルパンを演じた山田康雄は1995年に、銭形警部を演じた納谷悟朗は2013年に逝去されています。

今作を語る上で欠かせないキャラクター、マモーは2代目水戸黄門としておなじみの西村晃が演じています。西村晃はそもそも声優としてアニメに出演すること自体少なかったのですが、独特の怪演は現在でも語り草になっています。

また、アメリカ大統領は赤塚不二夫、ソ連書記長は梶原一騎と漫画界に深い関わりをもつ有名人もゲスト出演しています。エンディング『ルパン音頭』を歌った三波春夫も、エジプト警察署長を演じています。