2023年4月26日更新

映画「ルパンVS複製人間(クローン)」ネタバレ徹底解説!マモーの真の正体と目的とは?

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ルパン三世 ルパンVS複製人間
原作:モンキー・パンチ ©TMS

長年愛されている『ルパン三世』のなかでもとくに有名な映画「ルパンVS複製人間(クローン)」。時代を超えて愛される本作を徹底解説!ネタバレありのあらすじや考察、感想、カットになったシーンのトリビアなどをまとめて紹介します。

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「ルパンVS複製人間」のあらすじ・ネタバレ

ルパンが処刑された事実を信じられなかった銭形警部は、ルパンの遺体を確認しに墓地に向かいます。銭形警部は棺桶の中のルパンにとどめを刺した瞬間、ルパンの遺体は大爆発。そして銭形警部の目の前に爆発したはずのルパンが現れます。 ルパンは銭形警部を軽くあしらって逃亡。そしてルパンは次元大介と石川五エ門と共にエジプトのピラミッドへと向かい、賢者の石を盗み出しました。 賢者の石は謎の男・マモーも狙っていて、峰不二子に永遠の美を約束して賢者の石を盗み出すことを依頼します。この賢者の石を巡り、ルパン一味とマモー、銭形警部も巻き込んだ陰謀が繰り広げられることになります。

起:ルパンvsマモー&不二子の賢者の石争奪戦

処刑から一転、生き返ったルパンは不二子の依頼を受けて、エジプトのピラミッドからある石を盗み出します。不二子もマモーと名乗る人物の依頼を受けており、マモーは不老不死の力が宿る賢者の石を求めていました。 不二子に偽物を渡したことでルパンはマモーに狙われる羽目に。ルパンは相変わらずマモーと通じていると分かっている不二子に甘く、ついに次元と五エ門も愛想を尽かし彼の元を離れます。 ルパンは不二子によって連れ去られますが、彼女は1枚の紙切れを残していきました。

承 :ついに判明するマモーの正体と目的

次元と五エ門は拾っていた紙切れを手がかりに、マモーのアジトを突き止めます。同じくマモーの足取りを追っていた米国政府も、2人を通じてアジトの情報を入手。 一方、そのアジトではルパンが囚われています。城の実体はクローンを作る製造工場でした。 マモーは自分が選別した人間だけに「永遠の命」を与えるために、1万年以上かけて「神の実験」をしていたクローン人間だったのです。マモーは夢を見ず神の意識に近い深層心理を持つルパンを恐れ、彼を殺そうとします。

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転 :ルパンは不二子と地球を救えるのか!?

駆けつけた次元がマモーを撃ち抜きルパンを助けます。一行はアジトから脱出しますが、死んだはずのマモーが出現して不二子をさらってしまうのでした。 マモーは世界を核ミサイルで滅ぼし、自分と不二子だけの世界を築こうとします。ルパンはミサイル発射を阻止すると、五エ門が先の戦いで折ってしまった斬鉄剣の刃先を利用してマモーのレーザー攻撃を反射させ、マモーを焼死させました。 すると、マモーのオリジナルの脳みそが現れ、「神の国へ向かう」と宇宙へと飛び立ったのです。

結 :1万年以上生き続けたマモーの最期

ロケットはルパンが事前に仕掛けていた時限爆弾で吹き飛び、マモーの脳みそは太陽へと引き寄せられていきます。ルパンは「マモー感謝しな、やっと死ねたんだ」とこぼします。 そこへマモーの本拠地を突き止めた米軍の爆撃が始まり、銭形警部も登場。助けにきた次元のセスナにはちゃっかり不二子だけが乗り込み、手錠で足をつながれたルパンと銭形警部は降り注ぐ爆撃の中、二人三脚で逃げるのでした。

「ルパンVS複製人間」のコンセプトを徹底解説

映画『ルパン三世 ルパンVS複製人間』は、アニメ『ルパン三世』の劇場版第1作として、1978年に公開されました。公開当時は『ルパンVS複製人間(クローン)』という題名が付いておらず、最初の家庭用ビデオソフト(当時はVHSとベータマックス)発売時に他作品との識別をするために初めて付けられました。 1年の制作期間と5億円の制作費を掛け、配給収入10億円を記録しています。

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はじめての試みとうれしい誤算!?

公開された1978年当時は、ルパン三世の人気が絶頂に達していてテレビアニメも第2シリーズに突入。視聴率も好調でした。 ルパン三世は当時既に実写版1作とテレビアニメ第2シリーズの再編集版が映画として公開されていましたが、完全オリジナルストーリーの映画としては本作が初です。本作は「初期の頃の大人向けのルパンが見たいという声にお応えします」という制作の意図が明示されていて、大人をターゲットとする作風になりました。 しかし公開してみると事前の予想と異なり、テレビアニメの第2シリーズを視聴中の中高生が観客層の中心となったそうです。

SFと現実主義!公開当時はクローンが旬のテーマだった

本作はクローン技術をテーマのひとつとしています。公開された1978年当時、イギリスではいわゆる試験管ベビーと呼ばれる体外受精児が誕生しました。そのため、クローン自体が旬のテーマでした。 細胞分裂の限界やコピーを重ねるとゲノムが劣化するなど、意欲的にクローン技術の問題点を取り上げているだけでなく、実際のクローン技術では不可能である「複製人間」を登場させています。 本作のルパンは合理的で現実的な性格として描かれていて、マモーの数々の術に対して、頑なにトリックだと主張しています。これにはルパンの周りの人は呆れ、マモー自体もルパンの夢を見ない体質に不気味さを感じていました。 テレビアニメシリーズや以降の映画のルパンの描かれ方を見ると、驚く人もいるかもしれません。

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マモーの正体と目的を考察!真の望みとは?

神を自称するマモーは、表向きはハワード・ロックウッドという世界一の謎の大富豪です。彼は実に世界の3分の1の富を手にしており、彼が熱望した永遠の命以外のあらゆるものは手に入ったのでしょう。 マモーいわく彼は1万年以上前から自分のクローン人間を作っては身体を乗り換え、不老不死を実現してきた存在です。しかしクローンには限界があり、130代目からはオリジナルを残し、コピーのコピーを小型の制御装置で動かしていました。 限界を知っていたからこそ、マモーは賢者の石を用いた完璧な不老不死を求めていたのです。結局それも実現できないことを悟ると、マモーは本体である巨大な脳みそとして「死を超越した文明への旅」へと出ます。 しかし彼が有していた他の設備に比べると、このロケットはやや急ごしらえにも見えました。「マモー感謝しな、やっと死ねたんだ」のルパンのセリフにあるように、マモー自身も劣化していく不完全な生に終止符を打ちたかったのかもしれません。

「ルパンVS複製人間」の豆知識・トリビア

幻のカットが存在した?

映画公開当時のパンフレットには、ルパンが死刑となり目的を達成した銭形は警察官を退職して僧侶となり、山寺の寺男となっているというあらすじが書かれています。実際にそのシーンは制作されましたが、最終的には僧侶になった設定ごとカットされました。 このアイデアは、後に公開された映画『ルパン三世 風魔一族の陰謀』に流用されています。

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タイアップ商品が登場?

映画公開当時、本作と味の素ゼネラルフーヅ(以下、AGF)はタイアップ契約を結んでいたため、当時のAGFの新製品「テレパッチ」(パチパチ弾けるキャンディ)が登場するカットが存在しています。 このテレパッチが登場するカットは地上波放送などでは削除されていますが、VHS・LD・DVD・ブルーレイなどではノーカットで収録されていました。

タイトルに関するトリビア

現在の題名が定着したのがDVD化された21世紀に入ってからになりますが、『複製人間』の読み方はハッキリと定まっておらず、主に「ふくせいにんげん」か「クローン」の2つになります。 テレビ放映時には「ふくせいにんげん」と呼ばれることもあるため、どちらの読み方でも間違いではありません。なお、2016年10月21日放映の金曜ロードSHOW!では「クローン」と呼ばれていました。

『ルパン三世』主題歌の秘密

言わずと知れたルパン三世を代表するテーマ曲。当時放送されていたテレビアニメの第2シリーズのオープニング曲をそのまま使用しています。意外なことに、ルパンの声優が山田康雄時代の映画でこの曲がオープニング曲になっているのは本作のみです。 エンディングは、「世界の国からこんにちは」などで知られる往年の歌手三波春夫が歌っています。本作の内容がシリアスなのに対し、ルパン音頭は非常にコミカルな仕上がりになっていますが、そのギャップからか意外にも好評です。

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続編はゲームの予定だった?

本作の続編が、公開されてから20数年後の2000年に、『生きていた複製人間』の題名でテレビゲームとしてバンプレストから発売予定でした。 しかし、製作が難航。その間にルパンのゲームの製作権がバンプレストからセガへ移ったため、実現することはありませんでした。

「ルパンVS複製人間」には豪華声優陣が出演

ルパン一味の声優キャストは、ルパン:山田康雄・次元大介:小林清志・石川五エ門:井上真樹夫・峰不二子:増山江威子です。そして、銭形警部は納谷悟朗です。 本作以降、映画『ルパン三世 風魔一族の陰謀』を除いてレギュラーキャラクターのキャストは固定され、映画『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』の予告編まで続きました。なお、ルパンを演じた山田康雄は1995年に、銭形警部を演じた納谷悟朗は2013年に逝去されています。 本作を語る上で欠かせないキャラクター、マモーは2代目水戸黄門で知られる西村晃が演じていました。彼はそもそも声優としてアニメに出演すること自体少なかったのですが、独特の怪演は現在でも語り草になっています。 また、アメリカ大統領は赤塚不二夫、ソ連書記長は梶原一騎と漫画界に深い関わりをもつ有名人もゲスト出演。エンディング「ルパン音頭」を歌った三波春夫も、エジプト警察署長を演じています。

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「ルパンVS複製人間」の感想・評価レビュー

色褪せない、永遠の名作

映画『ルパン三世 ルパンVS複製人間』公開当時、テレビアニメは第2シリーズが放送されていました。第1シリーズよりは幅広い年齢層にアピールする作風となっていた第2シリーズを、初期の大人向けの作風が楽しめるよう意識して作られたのが本作です。 初期の頃からのお馴染みの設定、またルパンと仲間たちのやり取りに加えて、ハードボイルド色やセクシーさあふれる演出など、いつまでも色褪せない魅力がある永遠の名作でしょう。

複製人間、マモーの恐ろしさが印象的

自らを神と称する謎の人物マモーは、自分自身の身体を複製させながら1万年生きながらえ、人類の歴史を操ってきたと豪語する人物。並みの人間では到底かなわない化物だと次元が心底恐れをなすほどの不気味な存在です。 子供のように小さな体にシワだらけの顔、カールした長髪の白髪とその風貌も極めて異様。そのマモーの不気味さ、恐ろしさが一番心に残った人が多いようです。

『ルパン三世』の面白さを実感できる名作

劇場公開第1作の本作は、クローン人間をモチーフにするなどの斬新なストーリーと、おなじみのルパンならではの展開が見事に融合した、『ルパン三世』の面白さを実感できる作品。 長年のファンも、若い世代にもやっぱりルパンは面白い!と思わせてしまう魅力のある作品なのです。

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不二子ちゃんがとにかく魅力的【ネタバレ注意】

本作は、大人向けのストーリー展開や演出が楽しめる作品。いつもルパンを惑わせる美女、峰不二子のセクシーシーンも満載です。いつもルパンをお色気でたぶらかしては利用している不二子ですが、今回は特に魅力的に描かれています。 マモーに言いくるめられて、世界中の不老不死に関する物をルパンを利用して集めていた不二子。エジプトの秘宝「賢者の石」を見つけ出したルパンを冷たくあしらい、何度もたぶらかしては翻弄しています。 ルパンに対する本心がまるで見えない不二子ですが、マモーに協力していたのは、ルパンと一緒に永遠の命を手に入れられると信じたから。 マモーにルパンを捨てて自分を選ぶなら、永遠の命を与えてやると言われた時、不二子ははっきりと明言します。「ルパンと一緒じゃなきゃごめんだわ。」ルパンを翻弄してばかりの不二子の思いがはっきりと感じ取れるシーンやセリフがたくさんある本作は、いつにもまして不二子が魅力的なのです。

映画「ルパンVS複製人間(クローン)」はいつの時代も愛される名作!

ルパン三世
原作:モンキー・パンチ (C)TMS

映画「ルパンVS複製人間(クローン)」のネタバレあらすじを中心に、作品の考察などを紹介しました。1978年公開の古い映画なので現代の常識と異なる部分もありますが、それを差し引いても「おもしろい!」と思わず唸ってしまう名作です。ぜひ何度も見返して本作の魅力に触れてみてください!