2018年7月19日更新

あなたは知っている?映画業界はM&A戦国時代【ディズニー、ローソン】

ハリウッドはディズニー帝国に支配されるのか?中国資本で中国関連の映画が増えるのか?ローソンがなぜシネコンを買収?そんな映画業界の現状を、M&Aの観点から考察してみます。

M&Aで映画業界が激変!?

M&A=合併・買収で多くの企業が統合と分割を繰り返しているのが、経済界の常。実は映画業界でもM&Aが活発!特に近ごろ最も注目されているのが、ディズニーによる21世紀フォックスの買収です。 また、近年ハリウッドにじわじわとその勢力を伸ばしてきている中国資本。不動産から映画館経営まで幅広く事業を行う万達集団(ワンダ・グループ)は、2016年にはついに全米最大の映画館運営会社になりました。 しかし日本企業も実は、バブル期にアメリカ企業を積極的に買収していましたことが!そして現在も、日本国内では他業種によるM&Aで映画業界の活性化が進んでいます。M&Aが導くのは映画界の繁栄か分裂か?探っていきたいと思います。

ディズニーは買収しすぎ?ついに21世紀フォックスも!

2017年末に発表されたウォルト・ディズニー・カンパニーによる21世紀フォックス買収合意。これによってハリウッド映画業界の地図はまた大きく書き換えられることになります。 ディズニーはこれまでにも、2006年にピクサーを、2009年にマーベル・スタジオを、2012年にルーカス・フィルムを買収してきており、その都度世間の大きな注目を集めてきました。しかしこれら3スタジオの買収よりも、さらに強烈なインパクトを持つフォックス買収案件。 もしディズニーとフォックスが合併すればハリウッド・メジャーの6スタジオが5スタジオになり、その中でも断トツ1位の配給シェアを占めることになるでしょう。そうなるともう、ディズニー帝国の完成では? このM&A最大の目的と思われるのは、配信サービス業界への挑戦。AmazonやNetflixに対抗するため、Hulu株を30%持つフォックスを手に入れたいのではないでしょうか。

ライバルを取り込みキャラクター強化!マーベルとピクサー

フォックス合併で今後予想されるデメリットは、フォックスの製作本数と日本での公開本数が減ること。しかしフォックス所有だった『デッドプール』『X-MEN』などのマーベル作品がディズニー所有の『アベンジャーズ』と融合し、マーベル・シネマティック・ユニバースの拡大も見込めます。 何もよりもディズニーのすでに膨大なコンテンツに、さらにフォックスの持つキャラクターの強いコンテンツが合流することがすごい!X-MENシリーズやアバター、エイリアン、猿の惑星、ダイ・ハード、そしてついにスター・ウォーズのシリーズがすべてディズニーのものに。 ピクサーを傘下にしたことで、『トイ・ストーリー』『モンスターズ・インク』『カーズ』などのシリーズのキャラクター・グッズも全世界に流通し、ディズニーリゾートではピクサー作品のアトラクションも増加。ピクサーが買収された時はどうなるのかと思っていた映画ファンも、結局はその恩恵を受けているわけです。

中国・万達のハリウッド進出で起こったこと

しかしそのディズニー帝国となりつつあるハリウッドに、中国からの進出者が!今やアジア一の富豪と呼ばれる王健林が創設した「大連万達集団(ワンダ・グループ)」は不動産業で成功し、映画産業にも乗り出しました。 中国国内の映画館の買収を始め、2012年にはアメリカ映画館チェーンのAMCシアターズを買収。この年には国産映画を製作し配給も行い始めました。2016年には制作会社のレジェンダリー・ピクチャーズと映画館チェーンのカーマイク・シネマズも買収し、アメリカ最大の映画館運営会社に! さらに「東のハリウッド」を目指して映画スタジオ「青島東方影都」を設立し、中国を映画産業の中心にすると明言しています。明らかにハリウッドとディズニーに対抗意識を持っていますね。 青島東方影都の起工式にはハリウッドからも多くのスターたちが招待され、レジェンダリー・ピクチャーズ製作の『パシフィック・リム:アップライジング』は青島東方影都で撮影されました。こうした万達の進出によって、中国人俳優の積極的起用とハリウッド側の擦り寄りも起こっているようです。

日本企業も買収していた!ソニーとパナソニック

日本がバブル経済に沸いていた1980年代後半、三菱地所がニューヨークの象徴ロックフェラーセンターを、ソニーがコロンビア映画を、松下電器産業(現・パナソニック)がユニバーサル映画を次々に買収した時代がありました。 しかし結局はバブル崩壊でこれらのアメリカ進出は失敗に終わり、唯一ソニー・ピクチャーズだけが現在も生き残っているという状況。買収当時はコロンビア映画の経営陣をコントロールできず厳しい状況が続きましたが、近年は『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』や『ピーターラビット』などのヒット作に恵まれています。 そんな中、2017年にソニー・ピクチャーズはアメリカで日本のアニメを配給する「ファニメーション・プロダクションズ」を買収。メディア業界での生き残りをかけてアニメ配信事業での拡大を図るため、アメリカのテレビ局へのアニメ番組配給やネット配信サービスに強い同社を傘下につけたようです。ここでもやはり、配信サービス業界の動向が鍵になっていますね。

日本でも起きている他業種による映画業界の買収

日本の映画館ではストアのグッズ売上が利益の比重を大きく占めていますが、そんな日本映画業界ならではの他業種によるM&Aが行われています。日本でシネコン事業が活発になり始めたのが1990年代。2010年代に入って業界再編が進んでいるようです。 例えばイオンによるワーナー・マイカルの子会社化。2013年にシネコン業界2位だったワーナー・マイカルの全株式を取得し、全国のイオンモール内に展開していたイオンシネマズと吸収合併しました。 2014年にはコンビニ大手のローソンが、シネコン業界3位のユナイテッド・シネマを含むユナイテッド・エンターテイメント・ホールデングスを買収。映画関連のグッズやチケット販売での相乗効果はもちろん、劇場でのライブビューイング・イベントの中継にも力を入れています。

融合と分裂を繰り返す映画業界の今後

世界的にも映画業界の再編は進んでいて、どこでも生き残りをかけてさまざまな目的でM&Aをしかけているようです。アメリカ国内ではストリーミング業界と映画館業界の競争が激化し、ディズニーのフォックス買収のニュースはさらに影響を及ぼしそうです。 オリジナル・コンテンツの拡充を目指すAmazonもライオンズゲート買収に名乗りを上げ、Netflixもオリジナル作品を上映できる映画館を物色している模様。 逆に映画館業界の側でもストリーミング業界に対抗するため、約1000円で映画見放題の会員制サービス「MoviePass」を開始しています。映画ファンとしてはただただ安くたくさんの映画を観たい!その一心ですが、業界再編はそんなファン心理をくすぐりながらも、どんどん進展していくようです。