2018年8月14日更新

北朝鮮の人々の日常を描く『ワンダーランド北朝鮮』ニュースよりもリアル?それともプロパガンダ?

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ワンダーランド北朝鮮
(c) Kundschafter Filmproduktion GmbH

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あなたにとって北朝鮮はどんな国ですか?

あなたは北朝鮮にどのようなイメージを持っていますか? 軍人が戦車やミサイルとともに行進していたり、色とりどりのチマチョゴリを着てマスゲームを披露したり、貧困にあえいでいる人もいるなど、ニュースで取り上げられる「独裁国家」としてのネガティブな側面を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。 また、2018年1月に行われた内閣府の世論調査によれば、日本が北朝鮮から戦争を仕掛けられたり、日本が北朝鮮と他国との戦争に巻き込まれたりすると考える人が85.5%にのぼりました。この数字は1969年の調査開始以降最大であり、多くの日本人が北朝鮮を脅威として捉えていることが窺えます。 そのように思われている北朝鮮で「普通の人々」はどのような暮らしを送っているのでしょうか?

「普通」の人の暮らしを追いかけた『ワンダーランド北朝鮮』

ワンダーランド北朝鮮
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本作の原題は「北にいる私の兄弟と姉妹」という意味のドイツ語です。そのタイトルの通り「同胞」として北朝鮮に迎え入れられたチョ監督が、自分たちと変わらない北朝鮮の人々の姿をカメラにおさめました。 北朝鮮の一般市民たちは、家族と団らんをしたり、仲間とサッカーに興じたりしています。また、経済制裁のせいで外国から資源が得られなくても、自分たちで循環型エネルギーや自然エネルギーを利用して、質素ながらも文化的な生活を送る様子などもカメラは捉えました。 監督によるインタビューでは、金体制に対する称賛の言葉も含まれていますが、自分の仕事の楽しみや、自分がデザインした服を着てもらいたいという夢など、他の国からも聞こえてきそうな、「普通」の声を聞くことができます。

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登場するのは北朝鮮で暮らす一般の人々!

ワンダーランド北朝鮮
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カメラが追うのは、政治家や高級官僚といった国家の上層部の人間ではなく、いわゆる市井の人々です。首都平壌に住む人だけでも、 プールのシステムを製作しているエンジニアと兵士の兄妹や、公務員として肖像画を描く画家、サッカー学校に通う少年たち、プールではしゃぐ若者たちなど、その顔ぶれは様々。 平壌以外にも、北朝鮮南東部の港湾都市の縫製工場で働く女性や、南西部の農村で循環型のクリーンエネルギーを使って暮らす一家、中朝国境付近の金正日生家の案内人など、職業も住む場所も違う北朝鮮の人々が数多く登場します。

チョ・ソンヒョン監督とは?

ワンダーランド北朝鮮
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チョ・ソンヒョン監督は、ドイツを拠点に活動する映画監督です。(画像右)韓国・ソウルの大学で学んだ後、ドイツ・マールブルクの大学へ留学し、卒業後はドイツのテレビ局で働きながら映像作品を製作してきました。 2011年からはドイツのザールブリュッケンの単科大学(通称・HBKsaar)で教授として教壇にも立つなど、映画人として幅広く活動しています。 チョ監督は韓国・釜山で生まれ育ちましたが、韓国籍のまま北朝鮮に入国すると、韓国に帰国した時に投獄されるおそれがありました。そこで彼女は、本作の制作のために韓国籍を放棄し、ドイツ国籍を取得したのです。

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プロパガンダか真実か?見た人の意見は賛否両論!

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実際に本作を見た人の中には、本作が北朝鮮政府の検閲を通過していることや、現在の体制を礼賛する言葉や歌が数多く登場する点などに違和感を感じた人がいた模様。 また、チョ監督自身が協力者に従うしかないと語っていたシーンや、政府の監視の下で撮影されていたことなどを指摘して、本作が真実の姿を描いていないと批判的な目を向ける意見が散見されます。 他方、ニュースでは取り上げられない一般の人々の幸せそうな姿を見て、彼らが経済制裁の弊害を受けてしまうことに心を痛める声もありました。また、市民の生活レベルでは北朝鮮と日本のどちらが幸せなのかわからなくなってきたと語ったり、自分が抱いていた北朝鮮のイメージを考え直さなければならないという意見もあります。

北朝鮮の真の姿とは?

2018年8月現在、既に上映が終了している映画館もありますが、大阪のシアターセブンでは公開が始まったばかりです。栃木の宇都宮ヒカリ座や、兵庫の元町映画館など、これからの公開が予定されている映画館もあります。 本作が北朝鮮の真実を描いているのか、世界に向けたプロパガンダ作品なのかは、見た人の評価に委ねられています。本作をどのように感じるかはあなた次第です。 北朝鮮製作の記録映画の「やらせ」を告発した『太陽の下で 真実の北朝鮮』を、本作と合わせてご覧いただくといいかもしれません。