2020年5月31日更新

ドキュメンタリー映画って面白い!自信を持っておすすめできる傑作38選

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世界の果ての通学路
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面白いドキュメンタリー映画を紹介!知らない世界が見えてくる

あなたが今生きているこの瞬間、地球の裏側では何が起きているのでしょう?世界にはあなたが知らない現実が数多く存在します。ドキュメンタリー映画は現実を伝えてくれるだけでなく、今私たちが何をすべきなのかを教えてくれるジャンル。 エンターテインメントとして楽しむ映画とは少し色が違いますが、だからこそ本物の衝撃があるのです。 今回は、傑作ドキュメンタリー映画を紹介します。雄大な自然をとらえたものから、私たちの生活に隠された秘密、社会問題など、幅広い題材のものを選びました。

おすすめのドキュメンタリー映画【洋画編】

まず、海外のおすすめドキュメンタリー映画を紹介します。 自然の美しさを切り取ったものから一大センセーションを巻き起こしたあの監督の作品、当初の目的とはまったく違った方向に転がっていく作品まで、それぞれに奥深い作品を紹介していきましょう。

『おいしいコーヒーの真実』(2006年)

コーヒー農家の現実に迫ったドキュメンタリー映画

ハンドドリップにこだわり、近年のコーヒートレンドとなったサードウェーブコーヒー。カフェや喫茶店は年々増え空前のコーヒーブームとなっています。 しかしこのブームの裏には、目を逸らしてはいけない真実が隠されているのです。ドキュメンタリー映画『おいしいコーヒーの真実』では、コーヒー農家の実情や大手コーヒーチェーンの現状など、普段の生活では知ることのできない現実を伝えてくれています。

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『フード・インク』(2008年)

その一口が、未来の命のあり方を変えてしまうかもしれません

普段何気なく口にしているあの食材も実は危険であるということを証明した作品。多くの人が大好きなファストフードも、大人が手軽に手を出してしまうコーヒーも、本当に安全なのかを考えるようになるでしょう。 毎日の食事が、健康にとっても環境にとっても、大事な未来を生み出すのだということを教えてくれます。

『スーパーサイズ・ミー』(2004年)

早い、安い、美味い。ファストフードだけを食べつづけた驚きの結果とは?

「ファストフードだけを食べつづけたらどうなるのか?」という体を張った実験の記録は、世界中で話題になりました。 監督兼主演と務めたモーガン・スパーロックが、30日間、1日3回マクドナルドのバーガーだけを食べて過ごすというもの。「スーパーサイズにしますか?」ときかれたら、必ず「イエス」と答えるというルールも設けました。 30日くらいなら……と思うかもしれませんが、それが体と心にただならぬ変化をもたらしていきます。

『100,000年後の安全』(2010年)

100,000年後に誰が生きているだろう?そのとき地球はあるのだろうか?

日本もすでの他人事ではない、放射性廃棄物処理。本作では、10万年後まで壊すことが許されないフィンランドの高レベル核廃棄物最終処分場「オンカロ」を取材しています。 日本の未来を重ね合わせるように見ると、今この時点から、もう引き返せないところまで来ていると改めて実感させられます。

『不都合な真実』(2006年)

人間のエゴで地球は傷つき、壊れました

日本でも不安定な気象状況や、40度を超える猛暑を不穏に感じる昨今。世界規模で進んでいる地球温暖化について、何が危機を引き起こしているのかその真実に切り込んでいきます。 環境破壊について、それを認めない政府の姿勢を批判する内容となっており、多くの人々に衝撃を与えました。

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『ヤバい経済学』(2010年)

経済って実はシンプルでわかりやすい!

タイトルからもわかるように、経済についてわかりやすく解説した作品です。 インセンティブ(動機づけ)があることで、人間の行動がどのように変わるのかなどを面白おかしく、ときにシビアに切り込んでいきます。時代背景が変わっても、人間の心理というものは基本的に変わらないということがわかるかもしれません。

『1日1ドルで生活』(2013年)

1ドルの価値について考えてみませんか?

アメリカの若者たちによって制作されたドキュメンタリー映画『1日1ドルで生活』。貧困を実際に経験する事で、多くのことが見えてきます。 グアテマラの貧しい土地に来た4人の若者。彼らは8週間、1日1ドル以下の生活を始めることに。学ぶ機会や、食べるものもままならない貧困地での生活。実際に貧困を経験した彼らだけでなく、映画を観ている人も、国際問題や貧困について考えさせられる作品となっています。

『365日のシンプルライフ』(2013年)

究極のミニマリスト生活

主人公は、フィンランドの男性ペトリ・ルーッカイネン。恋人と別れたことをきっかけに、物に囲まれた生活を変えるべく、ルールを設け取り組みます。それは、“持ち物全てを倉庫に預ける”、“倉庫から持ち出すのは1日に1個”、“1年間続ける”、“1年間何も買わない”の4つ。 全裸のペトリがまず持ってこようと選んだ物は何だったのか?人生において本当に必要な物とは?以前からテレビ広告やミュージックビデオの製作をしていたという、ペトリ自身が記録した1年間。究極のミニマリスト・ペトリの生活を参考に、「モノ」との関わりを見つめ直すのもよいかもしれません。

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『ボウリング・フォー・コロンバイン』(2002年)

銃社会の問題と危険性を考える

1999年にアメリカで起こった悲劇、コロンバイン高校の銃乱射事件について描いたドキュメンタリー作品。監督はマイケル・ムーア。犯人である少年二人の心の闇を覗くべく、彼らが熱中していた人物やものを、徹底的に取材する様子を撮影しました。 アポなし取材がムーアのおハコとあって、ひやひやしてしまうほど次々に切り込んでいく様には、ブラックコメディ的な要素も。

『シッコ』(2007年)

マイケル・ムーアが迫るアメリカの医療問題

アメリカの医療問題を題材とした『シッコ』。医療保険や病院、民間の保険会社など、様々な問題が取り扱われています。 国民皆保険制度がないアメリカの医療。あらゆる問題が重なることで、きちんとした治療が受けられない人も多くいるといいます。本作は、イギリスやフランスなど他国との医療における比較をはじめ、今まで描かれなかった闇の部分も映し出した斬新な作品です。

『くすぐり』(2016年)

ちょっとした好奇心から意図せず社会の闇に踏み込んでしまう

ニュージーランドで製作された『くすぐり』。ミステリー要素も感じられるドキュメンタリー作品で、日本では動画配信サービスNetflixにて配信されました。 ネットで“くすぐり我慢競技”の存在を知り、開催者や競技参加者への取材を行うことにした記者のデイビット・ファリア。しかし取材は難航し、笑えない状況へと展開していきます。競技の裏側や、ネット動画に関わる闇など、くすぐるという行為に隠された衝撃の事実が浮かび上がるのです。

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『アクト・オブ・キリング』(2012年)

あなたの行ったことは、本当に正しいことでしたか?

1960年代に行われていたインドネシアでの大量虐殺を題材とした『アクト・オブ・キリング』。虐殺を再現することで見えてくる異様な光景や、人が持つ恐ろしい心理などが映し出された作品です。その斬新な企画が評価され、公開した年のアカデミー賞にもノミネートされました。 当時何人もの人を殺しながら、国民的ヒーローのように扱われていた大量虐殺の実行者たち。本作では、殺人という行為や心理だけでなく、インドネシアの歴史や事件の背景も深く掘り下げられています。

『世界の果ての通学路』(2012年)

学校へ行くことがこんなにも大変だなんて……

ケニア、モロッコ、インド、アルゼンチンに住む少年少女たちの登校風景を記録した作品。学校までは数十キロ。ある地では野生動物を避けながら必死でかけ、またある地では平原をひたすら馬で走らなければ学校にたどり着けません。そんな過酷な日常を送りながらも、希望に瞳を輝かせる子どもたちをパスカル・プリッソン監督が追っています。 アンリ・ラングロワ賞2014ドキュメンタリー賞、セザール賞2014ドキュメンタリー賞など受賞しました。

『未来を写した子供たち』(2004年)

レンズの向こうに光る希望

インドのカルカッタにある売春窟では、約1万人の娼婦が働いていると言われています。ここで生まれ育った子どもたちに明るい未来はなく、外の世界を知ることも夢を持つことも許されません。娼婦への取材で訪れたイギリス人女性のカメラマン・ザナは、その有り様に衝撃を受け、なんとか力になれないかと思い写真教室を開きました。 子どもたちの撮った作品は、ニューヨークで写真展を開催­するほどの高い評価を受けますが、生まれ育った境遇から抜け出すことは非常に困難です。それでも、レンズ越しに外の世界へ目を向けさせ、「そこには希望があるよ」と導くザナ。自身の作品を嬉しそうに眺める子どもたちのまっすぐな瞳が印象的です。 第77­回アカデミー賞最優秀ドキュメンタリー賞を受賞しています。

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『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』(2014年)

バンクシーのニューヨークでのアートパフォーマンスを追う

バンクシーを取り上げたドキュメンタリー映画『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』。世界のあらゆる場所に作品を残し続けるバンクシーが行った、2013年の展示を題材とした作品です。突然ニューヨークの街を舞台に始まった展示は、話題沸騰となり、大都市を狂乱させました。 本作は、狂乱する街の様子をリアルに映し出しています。毎日1点ずつニューヨークのどこかに残されるバンクシー作品の数々。アートが発見されるや否やSNSを通して多くの人に拡散され、アートが出現した場所には人だかりができます。 多くのニューヨーカーがバンクシーを追っているにもかかわらず、彼は誰にも見つからないうちにアートを出現させるのです。また映画では、壁や路上に作品を描くという違法行為や、アートとは何かといったテーマも取り上げられています。

『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』(2010年)

謎のグラフィティアーティスト・バンクシーの皮肉たっぷりのドキュメンタリー?

バンクシーの初監督作品。様々なアートシーンやアーティストを撮影していたティエリー・グエッタはバンクシーにドキュメンタリー映画の密着取材を申し込みます。ところが、彼は逆にバンクシーによってアーティストに仕立てあげられ、個展まで開催することになりますが……。 真実のドキュメンタリーなのか、仕組まれたモキュメンタリーなのか、その曖昧さが本作の魅力。騙されたと思って観てみてください。

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『ホドロフスキーのDUNE』(2013年)

未完のSF超大作

チリ出身の映画監督ホドロフスキー。1975年、フランク・ハーバートの小説を基にSF大作『DUNE』の製作に乗り出し、一流のスタッフとキャストが集められますが、結局企画は中止となりました。「スター・ウォーズ」や「エイリアン」など、数々の名作に影響を与えたと言われる未完の大作『DUNE』。 それほどの作品がなぜ中止となってしまったのか。ホドロフスキー本人やプロデューサーのミシェル・セイドゥーらが登場し、その過程を語ります。情熱的でパワフルなホドロフスキー監督に引き込まれずにはいられないドキュメンタリー作品です。

『マイケル・ジャクソン:THIS IS IT』(2009年)

キング・オブ・ポップ、幻のロンドン公演

マイケル・ジャクソンのコンサート「THIS IS IT」は、2009年の7月から予定されていましたが、その直前の6月25日、マイケルは急死。記録していた何百時間ものリハーサル映像を基に、ドキュメンタリー映画としてケニー・オルテガがまとめました。幻となったロンドン公演がこの作品により再現されるとともに、リハーサルでのマイケルの素顔も詰まっています。 本作は、全世界同時公開され大ヒット。日本では全国の劇場において、初日からの4日間で6億を超える興行収入と、50万人以上の観客動員数を記録しました。

『アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち』(2009年)

男の熱い夢や友情を感じられるドキュメンタリー映画

1980年代に大活躍したヘヴィメタルバンド・アンヴィルを追いかけた本作。1980年代初めに音楽業界へ多大な影響を与えたアンヴィルのその後に密着した作品で、2009年に日本でも公開されました。 人気が続かず、忘れさられていくカナダのヘヴィメタルバンドアンヴィル。しかし彼らは人気が落ち、20年以上の時を経てもバンド活動を続けていました。 再び脚光を浴びたいと諦めきれない2人に注目したのは、10代のころバンドのファンだった監督・サーシャ・ガヴァシ。20年経っても服装、情熱何一つ変わっていない彼らに感銘を受けて、製作を決定したそうです。

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『パンク・シンドローム』(2012年)

知的障害者が結成したパンクバンドに密着!

フィンランド・ノルウェー・スウェーデン合作の映画『パンク・シンドローム』。知的障害者の4人が結成したフィンランドのパンクロックバンドを追いかけた本作は、日本では2013年に公開されました。 社会への不満や、生活の中で思うことなどを音楽で表現し続けるバンド「ペルッティ・クリカン・ニミパイヴァト」。そんな彼らのバンド活動や、プライベートに密着しています。活動を通して見せる色々な顔、バンドマンとして生きるパワーの源を感じることができる作品です。

『マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!』(2017年)

60年代イギリスカルチャーの熱狂を名優マイケル・ケインが振り返る

ビートルズ、ローリング・ストーンズ、マリー・クヮント、ツィギー……。1960年代のイギリスでは、若者発のムーブメントが続々と誕生し、やがてそれらは世界中を熱狂に導いていきました。本作では、1960年代の音楽やアート、ファッションなどのポップカルチャーを、イギリスの名俳優マイケル・ケインのナビゲートで振り返っていきます。 激動の時代ともいわれた1960年代のあの頃の風を、当時の映像やヒットナンバーとともにじっくり味わってみてはいかがでしょうか。

『アドバンスト・スタイル そのファッションが、人生』(2014年)

自分のスタイルやファッションを持つ女性たち

2008年から続くファッションブログ「Advanced Style」を基にした『アドバンスト・スタイル そのファッションが、人生』。祖母から様々な美しさを教わった脚本家アリ・セス・コーエンが、ニューヨークの街で会った7人のマダムを映し出していく作品です。 ニューヨークの街を歩く60代以上のおしゃれな女性たち。彼女らには、磨き続けられている自身のスタイルと、その人にしかみせられない美しさがあります。色鮮やかなファッションだけでなく、それぞれが送ってきた人生も語られ、パワフルでファッショナブルな生き方も感じられます。

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『アイリス・アプフェル!94歳のニューヨーカー』(2014年)

アイリス・アプフェルのおしゃれ美学

1921年生まれのアイリス・アプフェル。インテリアデザイナーとして長年活躍した後、夫とテキスタイルメーカーを設立しました。美術館やホワイトハウスの装飾を担当するという輝かしい経歴も持ち、実業家としても大成功をおさめています。 大きなメガネとアクセサリーの重ね使いなどが彼女のトレードマーク。2005年にメトロポリタン美術館にて開催された、ファッション・コレクションの展覧会は大盛況でした。年齢なんてなんのその。独自のおしゃれ美学で、今なおニューヨークのカルチャーシーンをリードするアイリス・アプフェルの魅力に迫った作品です。

『ザ・トゥルー・コスト ファストファッション 真の代償』(2015年)

アパレル産業という煌びやかな世界が生み出す闇

アパレル業界の裏側にフォーカスした「ザ・トゥルー・コスト」。近年の傾向である大量生産・大量消費といったファッション業界をたどっていくと、途上国の縫製工場にたどり着きます。 モデルたちが着飾り魅せるファッションの表側。しかしその裏側には真の代償があるのです。本作ではファッションの大量生産・大量消費がもたらす、途上国での環境汚染や人権侵害の裏側を見ていくと同時に、向かうべき将来の姿や、新たな変革も訴えられました。

『ザ・コーヴ』(2009年)

世界が震撼した衝撃の真実!日本はアウシュビッツと呼ばれていた

センセーショナルなニュースとなって駆け巡った、和歌山県太地町のイルカ追い込み漁。これは、2009年に公開された、捕鯨問題について隠し撮りをされ問題となった映画です。年間10,000頭のイルカが捕獲されていることから、世界中から「アウシュビッツ」と呼ばれるようになってしまった太地町。 その残酷な全貌を明らかにした本作。追い込み漁で捕獲されたイルカの入手を断念に至ることになった事情も、ここにしっかりと描かれています。

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『ディープ・ブルー』(1999年)

海の神秘を収めた海洋スペクタクル

地球の表面積70%を占める巨大な海。そのほとんどを私たちは見たことがありません。神秘に包まれた海を舞台に。あらゆる生物の命の営みを捉えたのがこの作品です。 イギリスのBBCがテレビシリーズ「ブルー・プラネット」を基に製作した本作。撮影に4年半、製作に7年もの歳月を費やし、200箇所を超えるロケを重ね、撮影時間は7000時間に及んだといいます。 太陽の光が届かない水深5,000メートルの深海底、マイナス50度の氷の地、2000トンを超える巨大なクジラ……。たくさんの生物の命を包み込んでいる海の中を、かつてないスケールで見せてくれます。私たちが見ているのは地球のほんの一部なのだと、改めて感じさせてくれますよ!

『アース』(2007年)

地球の神秘、生命の神秘

大ヒット作『ディープ・ブルー』を手掛けたイギリスのBBCが、今度は地球全体に視点を移し撮影したネイチャー・ドキュメンタリー。 美しくも脅威にも満ちた大自然、寒冷地や熱帯地、深海をすみかとするそれぞれの動物たちの命のドラマです。最新の機材と技術を駆使して撮影された、これまでに見たことのない感動の映像を体験できます。また、地球をとりまく環境問題についても考えさせられるでしょう。

おすすめのドキュメンタリー映画【邦画編】

ここからは、日本の傑作ドキュメンタリーを紹介します。 戦後の日本を題材にした作品から、あのニュースの裏側、人生や命の尊さを考えさせられる作品まで、一度は観ておきたい作品ばかりです。

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『東京裁判』(1983年)

戦争後、裁かれるべきは誰か

1946年、第二次世界大戦敗北後の日本。日本人の戦争指導者らが「戦争犯罪人」として逮捕され、裁判にかけられました。その裁判が東京裁判とも呼ばれる「極東国際軍事裁判」です。 日本人28名が被告に指定され、殺人、平和に対する罪、人道に対する罪などが追求されていきます。戦勝国11カ国の代表で構成される裁判官および検事により、絞首刑、終身禁固、20年の禁固などの判決が下されていくのです。 一方で、連合軍による無差別爆撃や捕虜虐待、残虐行為などは一切裁かれませんでした。それは正しいのか、そして、戦争で個人が裁かれるべきなのか……。様々な疑問があなたの中にも生まれるはず。 アメリカ国防総省によって撮影された記録映像を基に、名匠小林正樹監督によって作られたドキュメンタリー映画です。

『ゆきゆきて、神軍』(1987年)

戦争体験者の抑えられない怒りがここに

元陸軍軍人でありアナーキストであり、自らを「神軍平等兵」と称した奥崎謙三の姿を追ったドキュメンタリー映画。『ニッポン国VS泉南石綿村』の原一男が監督を務めました。 死んだ戦友の怨念をこめて、天皇にパチンコ玉を発射した1969年の「昭和天皇パチンコ狙撃事件」で知られる奥崎謙三。かつて自らが所属していた部隊で隊長による部下射殺事件があったことを知った彼は、その遺族らとともに元上官たちを訪ね、真相を究明しようと試みます。 戦争へ送り込まれた人間の怒りや狂気を生々しく映し出した作品です。

『柳川堀割物語』(1987年)

ジブリの巨匠が追う、人と水の物語

宮崎駿の個人事務所二馬力製作、『火垂るの墓』『おもひでぽろぽろ』の高畑勲が監督を務めたドキュメンタリー映画。アニメーションと実写を織り交ぜた異色の作品です。 水の都として知られる福岡県柳川市を縦横につらぬく水路網「堀割」。監督の高畑勲は、アニメの舞台として登場させようと、ロケハンで柳川へ訪れます。 そこで彼は、ドブと化した水路を埋め立てて利用する都市計画があったこと、そして、それに対して役所の係長が水路を浄化して再利用することを提案し、柳川の水が甦ったことを知りました。 この話に感銘を受けた高畑勲は、アニメの背景ではなく主役としてこの映画を撮ることを決意。『風の谷のナウシカ』で手に入れた資金を費やして、本作を制作したといいます。生活に当たり前に存在している水のありがたさ、そして、それに気づいた人々の素晴らしさが眩しく輝く作品です。

『選挙』(2008年)

政治素人の選挙活動を観察

2005年9月、小泉政権真っただ中。ひょんなことから川崎市議会議員の補欠選挙に立候補することになった、山内和彦を追う「観察映画」です。 政治の素人である山内は、保育園やバス停などにいる人にも声をかけ、電柱にも頭を下げ、ひたすらに自分の名前を連呼する作戦をとります。 たった一人でカメラを持ち彼を追うのは、山内と友人関係にあった想田和弘監督。その関係性だからこその距離感で、地方の選挙活動の実態、選挙コミュニティの雰囲気を感じさせてくれます。 200カ国近くでテレビ放映され国内外で話題となりましたが、海外では「コメディかと思った」「こんなバカバカしいことが本当なのか?」といった声が多かったとか。日本の地方選挙の現実を目の当たりにして、あなたは何を思うでしょうか。

『FAKE』(2016年)

ゴーストライター騒動の渦中にいる自称作曲家の姿

『FAKE』は、ドキュメンタリー作品を数多く手掛ける森達也監督作品。2014年、自称作曲家の佐村河内守は現代のベートーベンとも呼ばれ注目を集めましたが、長きに渡って新垣隆がゴーストライターとして作曲活動をしていたことが発覚しました。 本作では、騒動の渦中にいた佐村河内守にスポットが当て、自宅での素顔を通して、事の真相が追求されていきます。偽造や虚報という意味を持つ"FAKE"。誰が騙し、騙されたのかという驚愕のラストへの展開も見どころとなりました。

『ヤクザと憲法』(2015年)

ヤクザの世界に密着したドキュメンタリー

大阪の指定暴力団に密着したドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』は、時代の変化と共に変わるヤクザの世界や、ヤクザとして生きる人たちの人権を取り扱った作品です。 「二代目東組二代目清勇会」は、賭け事や露天商、さらには覚せい剤密売などを稼業とし長く生き延びてきました。しかし2000年以降、暴力団を取り締まる条例や法律が次々と施行。ヤクザというだけで銀行口座が開けなかったり、小さなことでも恐喝罪になったりと、これまで以上に生きにくい環境が作られてきているとか。 法律が変わることでの生活の変化や実態、人権に関わることまで、さまざまな角度からヤクザのリアルが映し出されます。

『監督失格』(2011年)

「大切な人の死を映画にする男」

アダルトビデオやピンク映画で活躍し、2005年に34歳の若さで亡くなった伝説的女優・林由美香。彼女と恋人関係にあった平野勝之が監督を務め、実質的に主人公となっている作品です。プロデューサーとして、『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明が参加しています。 映画は1996年の撮影の様子からスタート。平野勝之は当時付き合っていた林とともに、1ヶ月以上に及ぶ自転車旅行をしながらのドキュメンタリーAVの撮影を行いました。 2005年6月27日。インタビュー撮影のため林由美香の自宅に訪れた平野は、応答がないため、林の母に連絡しアパートに入ることにします。するとそこには彼女の亡骸が。床に置かれたカメラは回っており、悲しみを記録していました。 絶望の淵に立たされ作品を撮ることもできなくなった彼は、葛藤しながらも、本作の製作を通して彼女の死と向き合います。

『i-新聞記者ドキュメント-』

オウム真理教を題材にした『A』、佐村河内守に迫った『FAKE』などを手がけた森達也監督作品。2019年公開の映画『新聞記者』の原案を書いた東京新聞所属記者、望月衣塑子の姿を追ったドキュメンタリーです。 カメラが追う中、望月衣塑子は辺野古基地移設問題や森友学園問題、伊藤詩織準強姦事件、加計学園問題などの取材に臨みます。渦中の人物が次々と登場。観る者は、追われる当事者と迫る報道人の両方を目撃することに。 鋭い質問を繰り返す彼女は、一体なぜ異端視されているのでしょうか。彼女の姿を通して、ジャーナリズムやメディアのあるべき姿を垣間見せます。日本社会に蔓延する忖度や同調圧力の実態とは――。

『二郎は鮨の夢を見る』(2011年)

最高齢三ツ星寿司職人の矜持

日本の寿司職人である小野二郎。銀座に「すきやばし次郎」を構える彼が握る寿司は、ミシュランガイドにて5年連続三つ星を獲得しました。1925年生まれのミシュラン史上最高齢の三ツ星シェフです。2014年、オバマ大統領訪日の際には、彼の店で安倍首相との会食が行われています。 本作は、小野の寿司に魅了されたデヴィッド・ゲルブ監督が、3ヶ月にわたり小野とその息子たちを取材したもの。寿司職人としての誇りを持ち妥協を許さないその姿勢、偉大な父に追い付こうと励む息子らの姿を追っています。

『ある精肉店のはなし』(2013年)

命を丁寧に、心を込めて扱う精肉店のはなし

大阪府貝塚市で、代々育てた牛を食肉処理して販売する精肉店を営む一家。家業を継いだ兄弟を中心に、一家を見つめるドキュメンタリー作品です。 映画は開始早々、生きている牛が食べる肉へと変わる様を映し出します。ショッキングな映像ですが、それは私たちが見ていないだけで、ごく当たり前のこと。 息の合った手業で捌かれた肉は、丁寧に切り分けられて店に並び、皮は丹念になめされて太鼓へと変わります。人間が命をいただいて生きているのを、一番近くで見ている一家なのです。 彼らの命や仕事への想いを映し出し、被差別部落出身であるがゆえに差別を受けた父親に対する兄弟の想いにも迫っています。意外なことに、「映画を見てお肉が食べたくなった」という声が多い作品です。

『人生フルーツ』(2016年)

老夫婦の暮らしから「実りある人生」を学ぶ

津端修一さん90歳、英子さん87歳。たがいの名を「さん」付けで呼び合うその夫婦は、雑木林に囲まれた一軒の平屋で暮らしています。その家は、建築家の津端本人が師であるアントニン・レーモンドの自邸に倣って建てた家。 かつて日本住宅公団のエースとして数々の都市計画を手がけた津端。彼が模索したのは、自然との共生であり、そこでの人々の豊かな暮らしでした。しかし、時代の壁によりその夢は打ち砕かれてしまいます。 妻の英子さんと寄り添いながら60年、二人で育てた暮らしは丁寧にゆっくり過ぎていきます。英子さんが作る美味しいごちそうには、庭で実る100種類を超えるフルーツや野菜がたっぷり。 故・樹木希林がナレーションを担当。この国の人々が時代によって諦めさせられた、自由や豊かさを感じる作品です。

ドキュメンタリー映画が教えてくれること

おすすめのドキュメンタリー作品をご紹介しました。命をかける姿、命そのもの、メディアなど、様々な題材のものがありましたね。 そのどれもが実際に地球に存在するもの、あるいは、したものです。ドキュメンタリー映画が教えてくれるのは「色々なものから目を逸らして生きている自分」なのかもしれません。 面白いことや衝撃的なことは、案外この世に溢れているのです。ここで気になった作品をきっかけに、ぜひさまざまなドキュメンタリー映画に触れてみてください。