漫画『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』最終回までネタバレあらすじ解説【さいひと】

バリスタン王国・第二王子のカイルには、美しい婚約者がいました。婚約者の名はスカーレットといい、何も問題がなければカイルの妻になる予定の女性です。 しかし、ある日のパーティーで彼女は一方的に婚約破棄を申し渡されてしまうことに。 どうやら彼女のやってもいない悪行が言いふらされているようです。怒った彼女は「この場にいる全員を殴り倒してやろう」と密かに決意するのでした。 すっかり悪者に仕立て上げられ、婚約者から「出て行け」と言われたその時、スカーレットは静かに彼のもとへ歩み寄ると、自分から彼を奪った女の顔を殴っても良いかと尋ねるのでした。

公爵令嬢のスカーレットは、婚約者である第二王子・カインから公の場で婚約破棄を告げられます。理由は彼女がカインの恋人に陰湿なイジメをしたから。 普段からカインには奴隷のような扱いをされていたうえに、根も葉もない罪を捏造され、ずっと淑女として振舞ってきたスカーレットも我慢の限界に。 かつて「狂犬姫」と恐れられたその剛腕で、カインを始め舞踏会にいた全ての人間をぶちのめしてしまうのでした。 舞踏会から3日ぶりに目を覚ましたスカーレットは、なぜか彼女を気に入っている第一王子ジュリアスからカインは廃嫡、取り巻きの貴族たちも厳罰を受けたと聞かされます。 さらにカインに悪知恵を仕込んだ黒幕が宰相のゴドウィンだと判明。スカーレットの命を奪うため宰相が仕向けた獣人族・ナナカを仲間に引き入れ、悪事の証拠を掴むため動き出します。

ゴドウィンを逮捕するため、ジュリアス、ナナカとともに奴の主催する奴隷オークションに潜入したスカーレット。護衛や取り巻きの貴族をバッサバッサとなぎ倒し、ついにゴドウィンに迫るも、敵国・ヴァンキッシュ帝国の竜騎兵団に邪魔をされてしまいます。 彼らの目的はずっと自国の情報を流していたゴドウィンの口を封じること。寸前のところで割って入ったスカーレットは、ヴァンキッシュの皇子であるアルフレイムと相まみえることになります。 すると強さを尊ぶヴァンキッシュの皇子はスカーレットにまさかの求婚。しぶとすぎるアルフレイムに手こずらされるも最終的に追い払うことに成功し、今度こそゴドウィンを追い詰めるのでした。

ゴドウィンの証言でカインの恋人であるテレネッツァが全てを仕組んでいたことが判明。なんと彼女は異世界からやってきた転生者だったのです。そして彼女がゴドウィンに渡していた拳銃により、ジュリアスが重症を追ってしまい、ブチ切れたスカーレットはゴドウィンを瀕死状態までぶちのめすのでした。 その後、悪徳宰相逮捕の知らせは国中に知れ渡り、スカーレットは救国の英雄ともてはやされます。しかしその一方で新たな問題が発生。国内の二大宗教であるディアナ聖教とパルミア教の対立が激化し始めてきたのです。 ジュリアスと共にディアナ教の本部へ向かったスカーレットは、道中パルミアの信徒に行く手を阻まれてしまいます。剛腕で返り討ちにしたものの、聖教区内では更なる騒動が巻き起こっていました。

国内各地の封印の浄化を行う聖地巡礼に同行するため、聖女ディアナの元へとやってきたスカーレット。1年ほど前から破魔の力が使えなくなってしまった彼女を必ず守り切ると誓います。 迎えた巡礼出発日。聖女の求心力が高まるのを恐れたパルミアの異端審問官が騒ぎを起こしますが、スカーレットの活躍により一行は無事に王都を後にするのでした。 一行は最初の聖地・メンフィスに到着。大聖石を浄化するにあたって、実はスカーレットもディアナ聖教の聖女だということが判明します。そして神・クロノワの時を巻き戻す加護を使い浄化を終えると、次の聖地・スノーウィンドに向けて旅立ちました。 しかしスノーウィンドに到着した一行は、テレネッツァ率いるパルミアと相対する事態に。聖女守護騎士団・ディオスの裏切りによってあと一歩のところでテレネッツァをとり逃してしまいます。

加護の力を使いすぎて気を失ったスカーレットは、時を司る神・クロノワと相対します。そしてテレネッツァが女神・パルミアの手駒であり、聖女ディアナの加護を奪った黒幕だと知るのでした。 その後クロノワから更なる加護と、ディアナの力を取り戻すための神器を受け取ったスカーレット。眠っている間に大聖石が破壊され魔物の大群が迫っていることや、隣接する2つの大国が宣戦布告してきたことを知ります。 国の一大事に、スカーレットたちはかつて敵対していたヴァンキッシュと同盟を結ぶことに。アルフレイム率いる竜騎士団と魔物狩りへと打って出るのでした。

ナナカとスカーレット側に寝返ったディオスの働きによって、ファルコニア軍が撤退。さらに竜騎士団の類まれない働きとスカーレットの桁違いの強さで魔物たちを圧倒し、一行はなんとか窮地を切り抜けました。 そして休む間もなくテレネッツァを追い、大聖石がある西の都へと歩みを進めることに。総力戦で真っ向からパルミアと対峙し、スカーレットはとうとうテレネッツァを追い詰めます。 激しい戦闘の最中、ディアナの力を取り戻すことには成功したスカーレットでしたが、ここで思わぬ事態が。テレネッツァの加護に魅了されてしまったジュリアスが、スカーレットの前に立ちはだかったのです。

ジュリアスの命を人質にするというテレネッツァの作戦に降参を宣言したスカーレット。魅了されているにも関わらずスカーレットを気遣うジュリアスの行動が、最愛の者の窮地に無限の力を発揮する「英雄譚」という彼の加護だと知ります。 そしていつも腹の内が読めないジュリアスが実は自分を愛しているのだと悟ったスカーレットは、自身の恋心を認め、彼に口づけたのでした。 その後完全開放したチートばりのジュリアスの能力によって、女神・パルミアともどもテレネッツァを圧倒。最後はスカーレット渾身の一撃で空の彼方へと吹き飛ばしてしまいます。 こうしてパルミア教は廃教となり、束の間の平和が訪れたかと思った矢先、スカーレットのペットの竜・レックスが突然人化。謎の病に倒れたレックスを助けるべく、スカーレットはヴァンキッシュへと旅立ちます。

ヴァンキッシュにてレックスの病が低地病だと突き止めたスカーレットは、偶然にも現皇帝との会談のため来訪していたジュリアスとレオと合流。アルフレイムを含む、次期皇帝の後継者候補4人と顔を合わせることになります。 そしてアルフレイムから業火の花嫁として皇帝に紹介されてしまい、滞在中は彼の後宮で過ごすはめに。嫉妬から野蛮な洗礼を受けるも、完膚なきまでに返り討ちにしてほぼ全ての宮女を配下にしてしまいます。 その後、元気になったレックスと再会し後継者候補の1人であるヴァルガヌスの元へ。皇帝になるための協力者になれと言われますが、誘いを一蹴し、逆に宣戦布告するのでした。

ある日、スカーレットの相棒である飛竜・レックスは、「低地病」という病にかかってしまいました。スカーレットたちはその病気を治すために、かつてのレックスが所属していた紅天龍騎兵団のあるヴァンキッシュ帝国へと向かうことに。 彼女はそこで「業火の花嫁」という愛称をつけて歓迎してくれる、ヴァンキッシュ帝国の皇子・アルフレイムと出会います。さらに皇位を狙う後継者候補たちも揃い、スカーレットたちはなぜか帝国内の後継者争いに巻き込まれていくのでした。 そんな中、スカーレットはアルフレイムのライバルの1人である後継者候補・ヴァルガヌスの策にはまり、追い詰められることに。しかしそんな彼女の窮地を救ったのは、かつての彼女の家庭教師・グラハール先生だったのです。

引き続き、ヴァンキッシュ帝国の皇位争いに巻き込まれているスカーレット。彼女は皇子のアルフレイムたちと協力し、彼のことを陥れようとしていたヴァルガヌスを追い詰めるものの、実は彼の背後に真の黒幕・始祖竜がいることが発覚します。 その後、民衆たちをも巻き込みながら、スカーレットは始祖竜に立ち向かうことに。竜を殴れる事実に奮い立ったスカーレットは、なんとそのまま始祖竜を撃破。無事にヴァンキッシュ帝国に平和が訪れますが、それと引き換えに彼女はクロノスの加護を失ってしまいます。 その頃、開拓地での労働刑に処されているテレネッツァたちのもとに、彼女が「転生者」であることを知る謎の人物が姿を現していて……。

クロノワの加護を失った原因を探るため、魔王ダンテがいる魔大陸へ向かう決断をしたスカーレット一行。彼女たちは武装商会リンドブルグの船団に加わり、危険な海路へ踏み出した船上で、クセの強い商人や傭兵たち、そして自分たちを主役だと信じる勇者一行と同乗することに。 彼らとの価値観のズレに違和感を覚えながら進む航海の途中、巨大な海魔が姿を現し、船団は総力戦へ突入。加護を失った身で限界を超えて戦うスカーレットですが、仲間と船を守るため拳を振るい続けます。 その激闘の最中、魔眼を授けた謎の男の影がちらつき、少しずつ魔王と神々の思惑が交錯し始めることに。戦いの先に待つ真実が謎に包まれたまま、船は魔大陸へと近づいていき……。

本作はなんと、番外編が2巻発売されています！スカーレットを陥れようとしていたテレネッツァは、懲罰として強制労働をさせられながらも、今度はなんと「食」で成り上がることを目論んでいました。転生者である彼女の、精神的な逞しさがこのストーリーによく表れています。 元々彼女は料理が得意であり、同じく追放されたカイルとともに料理を提供する仕事をしていました。現代の知識があることから、振る舞った料理は男爵家の人々に大好評。転生後の世界にはない独創的な料理を、工夫して作る様子が見られました。

この作品の主人公・スカーレットは「氷の薔薇」と呼ばれるほどクールで美しい女性です。普段は物静かに振る舞っているのですが、人を殴るときは表情が一変。 まさに戦闘狂のような笑みをたたえながら、自分に仇なす人間をばっさばっさと殴り倒していく姿は圧巻の一言です。 今まで婚約者に捨てられ、賢く立ち回る悪役令嬢は山ほどいました。しかし、こんなに分かりやすくスカッとさせてくれた悪役令嬢はいません。美しい彼女から繰り出される拳には、思わず見とれてしまうこと間違いなしです。

スカーレットは善悪や立場の区別がはっきりとしているキャラクターなので、その辺も見ていて気持ちがいいです。彼女の婚約者・カイルの家来にちょっかいを出されても、「婚約者の自分に家来の面倒をみる義理はない」とバッサリ。 そのような性格の彼女は自分に不義理を果たしたカイルはもちろん、彼の横暴を許した大人たちにも鉄拳を振るいます。 浮気相手も大人たちも物理的に黙らせていくのがかっこいいのですが、全体的にギャグテイストでまとめられているので悲壮感は一切なくスカッとできます。

最初はジュリアスの行動や言動のイラつきを隠しきれていないスカーレットでしたが、彼と行動を共にしながら数々の困難を乗り越えるうちに、自然と彼に惹かれていきます。 クールに見えるスカーレットですが、恋愛に関しては意外にも自分の気持ちに正直な一面も。一方でジュリアスは自身の気持ちにまったく気がついておらず、煮え切らない態度をとっていたものの、ようやくスカーレットへの恋心を自覚するのでした。 まだ2人は正式にくっついたわけではありませんが、今後の展開に期待です！

2025年10月より、「さいひと」はTOKYO MX系列にてアニメが放送されています！本作の制作を手がけるのは、『東京リベンジャーズ』や『よふかしのうた』などを手がけるライデンフィルム。華麗に戦うスカーレットのバトルシーンは、圧巻です！ 主要キャストとしては、主人公であるスカーレットの声を瀬戸麻沙美、ジュリアスの声を加藤渉、そしてナナカの声を富田美憂が担当します！ぜひ動いて喋るスカーレットたちを、アニメでチェックしてみてくださいね。

漫画『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』の原作は、なろう小説ではありません。原作者である鳳ななは、「小説家になろう」でも作品を投稿していますが、本作の原作はなろうでは配信されていませんでした。 漫画版の原作となっているのは、小説投稿サイト「アルファポリス」で連載されている同タイトルの小説です。2018年4月から連載が始まり、2025年9月現在もストーリーが続いています。 また2018年10月には、ライトノベル版の配信がスタートしており、現在全6巻が発売中です。書籍は漫画版よりも先のストーリーが描かれています。そのため漫画の続きが気になる人は、原作をチェックするのもおすすめです！ 2025年10月1日からはアルファポリスで原作小説2巻までが無料で読めますので、ぜひこの機会に『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』の原作をチェックしてみてくださいね。

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