漫画『忘れ得ぬ貴方との邂逅』ネタバレあらすじ＆感想！儚く美しい愛憎劇を描いた韓国BL

『忘れ得ぬ貴方との邂逅』は、韓国系のBL漫画。黒天主によって虐げられている愚と、そんな彼に次第に惹かれていく康吾の複雑な愛憎劇を描いた作品です。 この記事では、『忘れ得ぬ貴方との邂逅』に関するネタバレを中心に感想や見どころなど、ストーリーの魅力を詳しく紹介します。本作の内容に興味がある人は、ぜひ最後まで読んでみてください。

ある所に、三総管から虐げられている「愚(ぐ)」という名前の男がいました。愚が川辺で体を洗っている最中、黒天三公子の芮康吾(ぜい こうご)と出会います。 愚が黒天主に仕えていると知った康吾は、自分の師父である黒天主がこんな暴行を許すわけがないと疑問を抱きました。「黒天主のところへ行く」という愚に康吾が同行すると、黒天主は愚に対して冷たい態度を取ります。 後日、康吾が愚に会いに行くと、愚の住処が山奥に追いやられていたのです。黒天主の愚に対する処遇は、わざと彼を苦しめているようでした。愚に黒天主との出会いを尋ねると、「黒天主に命を助けられた」と答えました。康吾は、なぜか愚のことが気になってしまって……。

康吾のことを知っていた愚は、彼と出会ったことを後悔していました。これ以上、康吾に関わらないようにしようと決意しますが、康吾は何かと愚の世話を焼いてきます。 ある日、康吾は愚を虐げていた三総管の姿を見つけて問い詰めました。幼い頃に自分を引き取ってくれた黒天主が、この件を黙認していることを知った康吾。 黒天主に黙認している理由を問い詰めると、「愚は仇である敵の息子であり、恩人の息子でもある」と答えました。黒天主の複雑な心情を聞かされた康吾は、「私が愚を連れて行く」と申し出ます。 夜中、狼の群れに襲われる愚。愚は、天下の「白羅宮主・壇禑孝(だん ぐこう)」がここで死ぬのかと死を悟りました。その時、康吾が目の前に現れて……。

愚を助けた康吾は、今日から自分に仕えるよう告げて、愚を康吾の住居に住まわせました。 その後、愚は黒天主と密かに対面し、康吾のそばにはいられないと助けを求めます。黒天主は、愚に蠱毒を飲むよう命じました。愚は、毒を飲めば精神を操られることを承知のうえで蠱毒を受け入れます。 毒を飲んだ後、倒れてしまった愚。夢の中で、白羅宮主として最後に過ごした日のことを思い出します。最後の日、愚は先代の父親に仕えていた側近に裏切られました。側近は、先代の死は愚のせいだと主張。母親の雪芙蓉(せつ ふよう)が白羅宮を手に入れるために、愚を利用したと非難します。 愚が側近に殺されそうになった時、幼い康吾が愚を助けようとしました。愚はとっさに康吾をかばい、側近に切られてしまって……。

側近との攻防の末、側近は崖から落ちていきました。その際、地面が割れて崖が崩れ始め、崖から落ちそうになった愚を康吾が助けようとします。 愚は康吾に手を離すよう告げ、彼の叔父がいる黒天へ行くよう言い聞かせます。しかし、康吾はそれを拒否し、「宮主さまが家族になろうと言ってくれた」と訴えました。康吾は愚を助けるために、代わりに崖下へ落ちていきます。愚は最後の力を振り絞り、康吾を助けたのです。 愚が目覚めてしばらく経った頃、康吾が「庭園の花を見に行こう」と愚を誘いました。康吾は彼なりに愚を楽しませようとしましたが、かえって愚に気を使わせてしまいます。互いの立場の違いから、愚との心の距離が縮められないことに、康吾は寂しさを覚えて……。

康吾の大師兄である黒天大公子・慕容柳雲 (ぼよう りゅううん)の呼びかけで、酒の席が設けられました。 康吾が柳雲の住居に出向くと、黒天二公子・廉昇翰 (れん しょうかん)と黒天主がすでに集まっていました。酒を飲み交わしている最中、黒天主は全く異なるタイプの3人の弟子を眺めながら、互いを大事にするよう言い聞かせます。 帰り際、昇翰に柳雲との関係を心配される康吾。柳雲は、黒天主に特別に大切にされている康吾の存在を快く思っていませんでした。そのため、康吾は頻繁に黒天の地から離れ、柳雲との関係がこじれないよう気を使っていたのです。 数日後、康吾は愚の元へ行き、彼が率いている武力集団・混暗団の見学に行こうと誘って……。

翌日、暇を持て余していた愚は仕事を与えてもらうことになります。康吾の動向を探っていた柳雲は、愚に興味を抱き、康吾の屋敷へ偵察に向かいます。 柳雲が偵察に来ていることに気づいた康吾は、「あの方は危険だから近づくな」と愚に忠告しました。そして、混暗団を作った経緯とその過程で起きた柳雲との確執を語ったのです。 一方、愚を監視している侍女は、一総管から報酬を受け取り、黒天主が何かを入れているお粥を愚に食べさせていました。しかし、愚と親しくなった侍女はお粥を捨てるようになります。そのことが一総管にバレてしまい、仕事を全うするよう忠告されました。 自分が引き受けた仕事を後悔した侍女は、康吾に問題を解決してもらおうと思いつき……。

本作は、三公子の康吾と下働きの愚との出会いがきっかけとなり、複雑に絡み合った過去と人間関係が描かれる作品です。 特によく練られたストーリー展開が魅力的で、心理描写も丁寧に描かれています。初めは謎が多く登場人物の背景が気になりますが、読み進めるうちにそれぞれの関係性が見えてきます。そのため、物語の世界にどんどんのめり込んでいくのです。 その中でも、康吾と愚の過去が明らかになった後の2人の関係は、とても切なくもどかしく、引き込まれるものがあります。