2024年11月8日更新

【ネタバレ考察】映画『ルックバック』は何がすごい?タイトルの意味やメッセージを解説

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『チェンソーマン』や『ファイアパンチ』でお馴染みの藤本タツキが描いた読み切り漫画『ルックバック』。2024年6月に公開された劇場版も大きな話題となり、2024年11月より配信開始され、その人気に改めて火がついています。 この記事では、そんな話題作『ルックバック』のあらすじをネタバレありで徹底解説!さらに、原作と映画の違いやタイトルに込められた意味も考察し、様々な角度からその魅力に迫っていきます。

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【ネタバレなし】『ルックバック』あらすじ

ルックバック、映画
© 藤本タツキ/集英社 © 2024「ルックバック」製作委員会

学級新聞で漫画を描き、周りから称賛されていた小学4年生の藤野。有頂天になっていた藤野は、隣のクラスの不登校生徒・京野が描いた絵をみてその才能に驚かされることに。藤野は自分の絵が「フツー」だと気づくのでした。 学級新聞で漫画が隣に並ぶという接点しかなかったはずの、絵に魅せられた2人の少女の運命は、小学校卒業の日に大きく動き出すことに。この日、初めて言葉を交わしたことで、2人の漫画家としての道が拓けたのです。 それから数年後、京本はある悲劇に見舞われます。藤野は京本を外の世界に連れ出してしまったことを後悔しますが……。物語後半は、あったかもしれない世界が描かれていきます。

【ネタバレ①】フツーの藤野と引きこもりの天才の京本

ルックバック、映画
© 藤本タツキ/集英社 © 2024「ルックバック」製作委員会

小学生時代、自分の絵が「フツー」だと言われた怒りをモチベーションに、藤野は一心不乱に絵の勉強に取り組みます。2年後、画力の差は依然として埋まらず、藤野はふと心が折れて漫画を描くのをやめました。 卒業式の日、先生に頼まれて京本家を訪れた藤野。彼女の家には大量のスケッチブックが積まれていて、藤野は京本の努力を思い知ることに。なんとも言えない気持ちから藤野がその場で描き殴った4コマ漫画は、するりと手から落ちて京本の部屋に入ってしまいます。 慌てて逃げる藤野に、京本は藤野先生の大ファンだと告白。天才だと思っていた京本から「漫画の天才」だと言われ、藤野は再びペンを取ります。

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【ネタバレ②】順風満帆な人生を一変させる凄惨な事件

ルックバック、映画
© 藤本タツキ/集英社 © 2024「ルックバック」製作委員会

2人はペンネーム・藤野キョウとして中高時代は漫画に没頭。そして卒業を機に進路が分かれます。藤野はプロ漫画として連載、京本は美大に進学します。 漫画家として順調な藤野のもとにある日飛び込んできたニュースは、美大に侵入した不審者による無差別殺人事件で、京本が死亡したという衝撃的なものでした。 自分と出会わなければ京本は引きこもり続けて死ぬこともなかったのではないか。後悔に駆られながら、あの日の4コマ漫画を破ると、その切れ端がドアの下から京野の部屋に入ってしまい……。 その先にいたのは小6の京本でした。ここからあの日2人が出会わなかった場合の世界線が描かれていきます。

【ネタバレ③】もしもの世界でもファンでいてくれたあなたへ

ルックバック、映画
© 藤本タツキ/集英社 © 2024「ルックバック」製作委員会

小6で漫画をやめた藤野は姉の薦めで空手の道へ。藤野と出会わなかった京本は、この世界でもあの美大に進学。そしてやはり事件に巻き込まれますが、空手家となった藤野が現れ京本を救います。 藤野はこの世界でも再び漫画を描いていました。それを知った京本は、喜びを爆発させるように4コマを描きます。その紙が扉の下をすり抜けて、場面は現実へ。京本の4コマを手にした現在の藤野は、京本の部屋へ入ります。 藤野はかつての京本とのやりとりを思い出し、漫画を描く理由が京本の笑顔のためだったことを思い出すのでした。道が分かれても京本が自分のファンでいてくれたと知って、藤野は再びペンを握ることに。仕事場の正面の壁には、京本の4コマが貼られていました。

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【解説①】アニメ映画『ルックバック』と原作版の違いとは?

ルックバック、映画
© 藤本タツキ/集英社 © 2024「ルックバック」製作委員会

原作を忠実にアニメ化した映画版『ルックバック』。しかし、そのラストには映画のみの追加シーンが存在しています。原作版は藤野が机に向かう後ろ姿で終わっているのですが、映画版ではその先、漫画を描き続け1日を終えるところまでが描写されているのです。 これにより、藤野がこの先も漫画と向き合う決意をしたことが、より強く伝わるようになっています。また、「原作との違いが出るのでは?」と噂されていたのが、作中で事件を起こす犯人の動機です。 この動機は原作が公開された当時、「自身の作品が盗作されたと誤解し犯行に及んだ」とされていましたが、そののち様々な批判を受け「衝動的な殺人」という設定に変更。そして単行本化の際に当初の設定に再修正されたという、複雑な経緯があります。 そのため、「映画版でもこの動機が変更されるのでは?」と懸念されていたのですが、蓋を開けてみると単行本に沿った設定が使われていると判明。制作サイドは原作に込められた想いをしっかりと汲み取り、ベストなかたちで映画を作り上げていたのです。

修正前と修正後・映画のセリフ変更の違い

修正前 「オイ ほらア!! ちげーよ!!俺のだろ!? 元々オレのをパクったんだっただろ!? ほらな!!お前じゃんやっぱなあ!?」
修正後 「オイ 見下しっ 見下しやがって! 絵描いて馬鹿じゃねえのかああ!? 社会の役に立てねえクレしてさああ!?」
単行本 「オイ 見下しっ 見下しやがって! 俺のアイデアだったのに! パクってんじゃ ねえええええ」

上の表は、作中で事件を起こす犯人の動機の修正の流れをまとめたものです。 これを見てわかる通り、はじめは「アイデアが盗まれたと思い込み暴走した」という描写でしたが、後に「無差別的・衝動的な殺人」に変更。しかし、単行本化するにあたって、大体の意味においては当初のものに戻るという形になっています。 なお、映画で採用されたのは単行本版のセリフ。一度修正したものを元に戻したことからも、作者がこの描写に相当な思い入れを持っていたであろうことがうかがえます。

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【解説②】タイトル『ルックバック』の意味とは?

「ルックバック」を和訳すると「振り返る」という意味になります。過去を振り返ることは、本作における重要な行動のひとつ。このタイトルには、作品の鍵となる行動を読者に提示する役割があったのかもしれません。 さらに、「ルックバック」には「背中を見る」という意味も含まれています。京本の背中を追って絵を描き続けた藤野と、藤野の背中を追って外の世界に飛び出した京本。ここには互いの背中を見ながら成長していく、2人の尊い関係性も暗示されていたようです。 また作者の藤本タツキは、「背景を見て欲しい」というメッセージも込めていたと明かしています。作中では京本が藤野の執筆した漫画の背景を担当したほか、美しく緻密な風景が何度も登場していました。この作品には影で漫画を支えている、アシスタントへの深いリスペクトが宿っているのです。

タイトル『ルックバック』の意味
  • 「振り返る」:過去を振り返ることの重要性
  • 「背中を見る」:お互い背中を追っていた藤野と京本の関係性を暗示
  • 「背景を見てほしい」という作者のメッセージ

【考察①】背中を向けて絵を描く藤野の姿

ルックバック

『ルックバック』=「振り返る」と、それとは対象的な「振り返らない姿」が印象的に描かれています。表紙もまさにそうですね。 藤野と京本が互いの背中を追いかけあったように、創作とは前を見て創り続け、それがいつか誰かの追いかけたい背中になる。そんな創作をする者への作者からのメッセージにも感じられます。

【考察②】藤野のモデルは作者・藤本タツキ

ルックバック、映画
© 藤本タツキ/集英社 © 2024「ルックバック」製作委員会

藤野のモデルは藤本タツキ自身だと考えられます。名前はもちろん、藤野がプロ漫画家としての道を選んだ点や、彼女の作品が『チェンソーマン』のサメの悪魔・ビームをモチーフにしたものであった点からも、あえて自分がモデルだと分かりやすくしたのでしょう。 終盤描かれる大学構内も、藤本が通っていた東北芸術工科大学がモデルとなっています。

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【考察③】京本の死・描かれる2つの世界線

ルックバック、映画
© 藤本タツキ/集英社 © 2024「ルックバック」製作委員会

作中では事件に巻き込まれ京本が死亡した後、もう1つの京本生存ルートともいうべき世界が描かれていきます。 京本生存の世界線は別世界やループではなく藤野の妄想で、藤野が京本の死を乗り越えるための通過儀礼のようなものだったのではないでしょうか。時空を超えて届いたように見える4コマの字は、藤野の筆跡にそっくりでした。 藤野はあったかもしれないハッピーエンドを空想し、自分が漫画を描く理由=京本に喜んでほしいという原点を思い出したのでしょう。そして藤野は、悲しみを乗り越えて再びペンを取って机に向かいます。 この作品自体が、悲劇を乗り越えるための活力になってほしい。そんな願いが読み取れます。

【考察④】京アニ事件との関係性とは

痛ましい放火事件・京アニ事件。本作が事件発生日と1日違いで公開されたことと作中の通り魔事件の犯人像から察するに、本作が京アニ事件をモチーフにしたことは間違いないでしょう。それゆえに作品公開時には物議を醸しました。 京アニ事件の犯人は思い込みで自分の創作物を盗用されたと主張していました。皮肉なことに犯人も被害者も創作の世界の人間だったのです。漫画家として創作に魂を燃やす作者が、やりきれない思いを抱いたことは想像に難くありません。 作者は改めてこの作品を“振り返る”ことで、事件被害者への作者なりの鎮魂を描くとともに、それでも創作する心と手を止めないでほしいというメッセージを込めたのではないでしょうか。

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【考察⑤】OASIS曲名の伏線

1コマ目の「Don't」、タイトル、最後のコマの「in anger」をあわせると、マンチェスター自爆テロの追悼の象徴となったオアシスの楽曲「Don't Look Back in Anger」となります。 劇場アニメ化に際し、藤本タツキは「自分の中にある消化できなかったものを、無理やり消化する為にできた作品」とコメントを寄せています。そして7月19日に発表された本作が、7月18日発生の京都アニメーション放火殺人事件をきっかけに生まれたことは明らかでしょう。 怒りを振り返るなというメッセージと、もしもの世界でもやっぱり創作者としての道を選ぶ藤野と京本の姿から、怒りに囚われず作品を生み出すことこそが鎮魂になるというメッセージが読み取れるのではないでしょうか。

【評価・感想】『ルックバック』は一体なにがすごいのか?

漫画が発表されたときも、映画化されたときも、各界のクリエイターに衝撃を与えた『ルックバック』。そのわけは、やはり「創作の力」と「無力さ」を同時に力強く描き切ったところにあるのではないでしょうか。 本作の主人公は、漫画をきっかけに得たかけがえのない存在を、ある意味漫画のせいで失ってしまいます。その後、「友人が死ななかった世界線」が出現しますが、それは単なるフィクションに過ぎず、現実には何の影響も与えません。この点で創作の無力さがひしひしと伝わってきます。 それでも漫画家として作品を生み出し続けることをやめない主人公の姿に、世の不条理と戦う強さを感じた人も多いはず。あの大きな事件を前にしてショックを受けたすべての人たちが、特にクリエイターであれば、強く共感したとしても不思議ではありません。

吹き出し アイコン

読んでてつらかったけど、それでも創作を続ける主人公の姿には勇気をもらえた。

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『ルックバック』の見どころ

『ルックバック』
『ルックバック』
  • 2つの才能の共鳴にグッとくる
  • 考察しがいのある深いテーマ性

クリエイターの衝動を刺激する

描かずにはいられないクリエイターの衝動を、そしてその熱量を受けて心動かされる受け手の心の有り様を、鮮烈に描く作品です。 コマに込められた意味やオマージュしたであろう作品について考えを巡らせる余地が多い考察厨好みの作品でもありますが、とくに前半は自分を駆り立てるものとの出会いが挫折も込みでとても生々しく表現されています。 先生の漫画への覚悟や、0から1を生み出す人たちの熱量を感じてみたいという人は必読の1冊です。

効果音・擬音を用いない表現

本作には、漫画には付き物といってもいい「効果音」や「擬音」がほとんど使われていません。見開きの、つまり見せ場にあたるページでもこれらは登場しないのです。それでもその場面でどんな音が鳴っているのか想像できる、伝わってくるというのは、作者の技量があってこそでしょう。 また効果音・擬音を可能な限りおさえた表現は、作品にリアリティを与えるのにも役立っています。効果音だけでなく、こちらも漫画に欠かせない「集中線」も少なめで、作者がリアル寄りの描写を狙ってやっているのは明らかです。 いい意味で“漫画らしくない”本作は、漫画好きで漫画の表現に通じている人にこそ衝撃を与えた、斬新な作品だったといえるでしょう。

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映画などのカルチャーのオマージュ

これは他の藤本タツキ作品にもいえることですが、映画をはじめとしたカルチャーのオマージュがふんだんに盛り込まれているのも、本作の魅力です。 同じく実在の事件をモチーフとしたタランティーノの映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』をはじめとして、『バタフライエフェクト』や『インターステラー』など、本作には数々の名作映画の要素が取り入れられています。 ただ単に作者の趣味で選ばれているわけではなく、本編との「つながり」が意識されたようなチョイスになっているのもニクいポイント。もちろん元ネタを知らなくても問題はありませんが、知っているとより深く作品を理解できるはずです。

映画『ルックバック』は2024年11月8日より配信開始!

映画『ルックバック』は2024年11月8日から、Amazonプライム・ビデオにて独占配信されます。現時点では他のサービスでの配信予定はなく、本サービスがこの作品を視聴できる唯一のサブスクとなります。 『ルックバック』は見放題対象作品でもあり、プライム会員であれば追加料金なしでの視聴が可能。30日間の無料体験もあるので、気になる人はこの機会に登録してみてはいかがでしょうか。さまざまなアニメや映画、ドラマが揃っており、見放題で楽しめる作品も多いですよ!

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