2025年9月21日更新

【ネタバレ】映画『国宝』あらすじ解説・考察!ラストの意味や原作との違いとは

このページにはプロモーションが含まれています

歌舞伎の世界を舞台にした吉田修一の小説『国宝』の実写映画が、主演・吉沢亮で2025年6月6日に全国公開されました。 本記事では映画『国宝』のネタバレあらすじや考察を紹介します。

AD

【ネタバレなし】映画『国宝』のあらすじ

タイトル 『国宝』
公開日 2025年6月6日
上映時間 175分
監督 李相日
キャスト 吉沢亮 , 横浜流星 , 渡辺謙

ヤクザの親分だった父を抗争の末に亡くし、若干15歳で天涯孤独の身をなってしまった喜久雄(吉沢亮)。そんな彼を拾ってくれたのは、上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎(渡辺謙)でした。 半二郎に歌舞伎の才能を見込まれた喜久雄は、半二郎の実子である俊介(横浜流星)と兄弟のように育てられ、互いに高め合いながら芸を磨いていきました。 しかし親友であり良きライバルであった喜久雄と俊介の関係は、半二郎のある決断で変わり始めます。事故で入院した半二郎は、自分の代役に、なんと喜久雄を指名して……。

【ネタバレ】映画『国宝』の結末までのあらすじ

【起】任侠の世界から歌舞伎の道へ

『国宝』 宮澤エマ 永瀬正敏
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会

戦後間もない長崎。ヤクザの立花組の宴席に人気俳優の花井半二郎(渡辺謙)が顔を出します。しかしそこへ対立する別の組の者が襲撃。親分である立花権五郎(永瀬正敏)は銃弾に倒れ、彼の息子である喜久雄(黒川想矢)は半二郎に引き取られ、半二郎の実の息子・俊介(越山敬達)とともに、歌舞伎の道で切磋琢磨していくようになります。 喜久雄に天性の才能を見出した半二郎は、彼に厳しい稽古をつけます。やがて成長した喜久雄(吉沢亮)は、花井東一郎の芸名で活躍するように。一方、俊介(横浜流星)は花井半也として、喜久雄とともにコンビで人気を獲得していきます。 しかしそんなある日、半二郎は事故で舞台に立てなくなってしまいました。半二郎は自分が演じるはずだった『曽根崎心中』のお初役に、なんと息子の俊介ではなく、喜久雄を指名します。

AD

【承】血統か?才能か?

『国宝』
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会

初めての大役に緊張する喜久雄。俊介に「お前の血が欲しい」と言うと、俊介は「お前には芸がある」と励まします。しかし客席から喜久雄の芝居を観た俊介は、喜久雄の底知れない才能を目の当たりにし、歌舞伎の世界から逃げ出してしまうのでした。 俊介がいなくなったあと、半二郎は糖尿病のため目も見えなくなり、喜久雄が三代目花井半二郎を襲名することになります。しかしそのお披露目の舞台で半二郎は血を吐いて倒れていまいました。彼は「俊介、俊介」と息子の名前を呼びながら息絶えてしまいます。 三代目半二郎となったはいいものの、先代の後ろ盾がなくなった喜久雄は、次第に良い役をもらえなくなっていきました。

【転】俊介の帰還と喜久雄の転落

『国宝』 吉沢亮 横浜流星
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会

そんなある日、俊介が突然帰ってきます。彼は喜久雄の幼なじみの春江(高畑充希)との間に息子を授かっていました。その後、俊介は瞬く間に第一線に復帰します。 一方で、喜久雄は出自や隠し子の存在がマスコミに暴かれてしまい、人気は急落。なんとかコネを作ろうと、幼いころから稽古をつけてもらっていた吾妻千五郎(中村鴈治郎)の娘・彰子(森七菜)に近づきますが、これに激怒した千五郎に追い出されてしまいました。 喜久雄はかつての俊介と同じように、各地の宴会などで舞いを披露しながら暮らすように。しかしある日、彼を本物の女だと勘違いした男に襲われ、喜久雄が男だとわかると殴られてしまいます。ボロボロになった襦袢姿でビルの屋上で踊り狂う喜久雄。その姿を見て、彰子は去っていきました。

AD

【結末】人間国宝・三代目花井半二郎

『国宝』 吉沢亮 横浜流星
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会

ある日、喜久雄は死の床にある小野川万菊(田中泯)に呼び出されます。彼の前で舞を披露した喜久雄は、歌舞伎の世界に復帰することに。俊介と再会した喜久雄は、俊介が糖尿病に冒されており、左脚を切断しなければいけなくなったと聞かされます。 左脚を切断した俊介は、最後になるかもしれないから『曽根崎心中』をやりたいと言います。かつて喜久雄が務めたお初役で舞台に立つ俊介。徳兵衛を演じる喜久雄は、差し出された俊介の右脚も壊死し始めているのを見て、戸惑いながらも愛おしそうに顔を寄せます。 数年後。俊介はこの世を去り、喜久雄は人間国宝に認定されます。インタビューで「ずっとある景色を探している気がする」と語る喜久雄。カメラマンの女性は、彼に「藤駒という女性を覚えていますか?」と問いかけます。彼女は喜久雄の隠し子の綾乃(瀧内公美)だったのです。 その後、舞台で『鷺娘』を披露する喜久雄。喝采のなか、舞い散る紙吹雪を見た彼は「美しい」とつぶやくのでした。

【考察】ラストの意味や喜久雄が求めていた「景色」とは?

ラストシーンの意味とは?

かつて人間国宝の万菊が踊る『鷺娘』を見て衝撃を受けた喜久雄。そして自身が人間国宝となったとき、彼も『鷺娘』を踊り、喝采を浴びます。 辛酸を嘗めながら、芸の道以外のすべてを捨てて頂点へとたどり着いた喜久雄は、「日本一の歌舞伎役者になりたい」という夢を叶えたのでした。 舞台に舞い落ちる紙吹雪を見て、喜久雄は「美しい」とつぶやきます。芸を極めた先で、喜久雄は探し求めていた「景色」を見ることができました。これまで「血筋」という、どう足掻いても手に入れられないもので苦労してきた喜久雄でしたが、芸道を極めた到達点でついに“芸による復讐を果たした”のです。

AD

喜久雄が求めていた「景色」とは?

喜久雄の父が襲撃されたとき、外は雪が降っていました。料亭の中庭で、白い雪の積もった地面に父の血が流れる光景を、喜久雄はずっと忘れられずにいたのです。 喜久雄が探していた「景色」とは、雪の降る光景でした。歌舞伎の世界では由緒のある血統でないことで苦しんできた喜久雄でしたが、彼の中には任侠の血が脈々と流れていました。彼にとって雪と血は切っても切れないものだったのです。 『鷺娘』の舞台で雪に見立てた紙吹雪を見て「美しい」と言った喜久雄は、少年時代に見たあの光景を思い出していたのでしょう。それは喜久雄の父親が亡くなった日の雪景色を彷彿とさせるものであり、万菊の鷺娘を見た時と同じく「恐れを抱いた瞬間」でした。 喜久雄はずっと、それを乗り越える瞬間を探し求めていたのではないでしょうか?

映画『国宝』テーマは「芸」と「血」の相反と補完?

『国宝』 吉沢亮 寺島しのぶ 渡辺謙
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会

映画『国宝』は、「才能か?血統か?」というテーマを掲げています。 俊介は喜久雄に負けない情熱はあったものの、彼の圧倒的な才能を目の当たりにし、一時は歌舞伎の世界から姿を消してしまいました。しかし戻ってきたときには歓迎され、すぐに第一線に返り咲きます。これは、彼の「血統」が重要だったからです。 一方で「才能」に恵まれた喜久雄は、そのほかのすべてを捨て、芸を極めるためだけに生きてきました。そして人間国宝となった彼の姿は、喜久雄を恨んでいる娘の綾乃が見ても、美しく心を動かすものだったのです。 しかし喜久雄と俊介の生き様を見ていると、血や才能よりも「芸に対する情熱」、もっと言えば「芸を極めるための狂気」を感じずにはいられません。半二郎は2人が血と芸を補完し合えば無敵になり、歌舞伎の世界で堂々と生きていけると考えていたようでした。 そんな2人が血と芸の障壁を乗り越えたのが、劇中で2回演じられた「二人道成寺」。1回目はまだ2人とも未熟で若かったため血と芸は対立していなかったものの、俊介の失踪という「衝突」を経た後で演じた2回目の道成寺では半二郎の思惑通り、補完し合って無敵になっていました。

AD

なぜ「芸」が秀でていた喜久雄なのに端役しかもらえなくなっていたのか

歌舞伎界ではやはり血筋が後継として正統なものと考えられており、これは竹野の「先代から半二郎の名跡をかっぱらったと思われている」という言葉に表れていました。喜久雄が正統な後継者である俊介を差し置いて花井半二郎の名を襲名したことに対する世間の反応は、喜久雄への冷遇だったのです。 さらに、半二郎が俊介を「子落とし」するため「曾根崎心中」お初の代役を喜久雄に決めたのと同様、万菊も喜久雄の「子落とし」を行っていたと考えられます。逆にいえば、万菊はこの時すでに自分の後継者を喜久雄に定めていたのかもしれません。本作にはこのような対照的な構造が幾重にも張り巡らされているのです。

「悪魔との契約」で喜久雄は何を失い、何を手に入れたのか?

娘の綾乃と神社でお参りした際、喜久雄は「悪魔と取引した」と語っていました。「芸を極めるためなら何もいらない」と願う喜久雄の心には、血筋がないことで苦労してきた苦々しい想いが渦巻いていたことでしょう。そこまでして願ったのは、自分の芸を極めることでしかこの世界で生きていけなかったから。 そうして結局、喜久雄が最終的に手に入れたのは人間国宝認定という芸の極みであり、彼の芸道の到達点である師匠・万菊の十八番演目「鷺娘」でした。その代わりに失ったのは、家族という自分の血筋すらないがしろにするような人間性の欠如だったのかもしれません。

AD

万菊が喜久雄にかけた言葉の意味とは?

『国宝』 田中泯
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会

稀代の女形で人間国宝の小野川万菊は、喜久雄と初めて会ったとき、彼に「美しいお顔。でも芸をするなら邪魔も邪魔。そのお顔に食われないように」と言います。 女形は、美しいものに囲まれた歌舞伎の世界で、最も美しくなければいけません。万菊もそのプレッシャーと戦ってきたのでしょう。喜久雄は生まれつきの顔が美しいために、乗り越えなければいけない美が常に近くにあるということを、万菊は憐れんだのかもしれません。

喜久雄の背中に入っているミミズクの刺青の意味は?

喜久雄の父親は2匹の昇り龍と不動明王の刺青を入れていましたが、喜久雄自身はミミズクの刺青を入れています。原作小説と映画どちらにも「ミミズクの恩返し」の逸話が登場していますが、喜久雄はミミズクのように恩を返す人間でありたいと考え、ミミズクを選んでいました。 父親を亡くし、半二郎に引き取られて芸を磨いてもらったことに対する恩返しをしたいと考えていた喜久雄。しかしミミズクがお返してくるのは蛇やネズミといった、人間にとっては不要なものばかり。実際、喜久雄は俊介を差し置いて半二郎を襲名することになり、恩返しとは真逆の結果になってしまいました。

【解説①】春江はなぜ喜久雄ではなく俊介を選んだの?

『国宝』 高畑充希
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会

半二郎の事故によって、『曾根崎心中』お初の代役に俊介を差し置いて抜擢された喜久雄。プレッシャーをはねのけて舞台上でお初を見事に演じる喜久雄を、客席から見ていた俊介は居たたまれなくなり席を立ちます。その様子を見た春江が彼の後を追い、そっと寄り添って「わかるよ……」と手を握り、そのまま2人で姿を消しました。 喜久雄の幼なじみで彼を追って長崎から出てきた春江が、なぜ俊介と駆け落ちを?と驚きますが、春江も喜久雄の才能と芸道への執念を知る者の1人。ある場面では、喜久雄からのプロポーズをやんわりと断る代わりに「特等席できくちゃんの芸を見せて」と言ったり、舞台を作り喜久雄を毎回主演にするなどの発言をしています。そして、春江はこれらの発言をすべて実現させたのです。 一番の特等席で喜久雄を見守り続け、喜久雄が落ちぶれたときも再び舞台に立つきっかけをつくった春江。これらの行動から考えるに、俊介を選んだ理由も喜久雄が「血」で俊介に負けてしまうことを悟っていたからこそ、喜久雄をコントロールしやすい俊介のそばにいることにしたという可能性が高いです。 一見すると不思議な行動をしているようですが、喜久雄を守るために一途に行動し続けていただけなのかもしれません。

AD

【解説②】映画と小説ではラストまでも違う?

『国宝』 見上愛
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会
登場人物の違い 小説では「影の主役」と言われている早川徳次が映画では冒頭のみ登場。喜久雄の娘・綾乃が映画ではカメラマンとなってラスト近くに再登場。小説では徳次同様、喜久雄とはずっと縁が切れることなく、成長して編集者に。
ラストシーンの違い 映画では人間国宝になった喜久雄が「鷺娘」を踊った後、「見たかった景色」を見て幕を閉じる。小説では花魁姿のまま外へ飛び出して交差点で踊り狂い、車に轢かれて亡くなる。
演目の違い 俊介と喜久雄が共演する最後の演目は映画では「曾根崎心中」、小説では「隅田川」。喜久雄が最後に演じる演目は映画では「鷺娘」、小説では「阿古屋」。

映画と原作では、ラストシーンが大きく違います。 映画のラストシーンでは、人間国宝となった三代目花井半二郎こと喜久雄が、『鷺娘』を踊ります。自身にとって特別な演目で喜久雄は喝采を浴び、映画は幕を閉じます。 一方原作では、喜久雄は花魁姿のまま外へ飛び出し、都会の交差点で踊り狂います。「突き刺さるような車のヘッドライトが、阿古屋の顔を白く浮かび上がらせた」という一文から、喜久雄は車に轢かれ亡くなったと考えていいでしょう。 原作のほうが、芸という狂気に取り憑かれた喜久雄の姿をはっきりと描いているのではないでしょうか。一方、映画では芸を極め、それ以外のすべてを捨てた喜久雄の悲しくも美しい姿が表現されています。

【解説③】映画に登場する主な歌舞伎演目について意味を簡単に解説

本作の劇中で演じられる歌舞伎の演目が、登場人物たちの心境とリンクしていることも本作の大きな特徴。ここからは劇中の歌舞伎演目について説明し、物語における意味を解説します。

二人道成寺

男に恋焦がれた末に蛇と化した女の伝説が残る「道成寺」が舞台となる「二人道成寺」。映画では若き「半半コンビ」の喜久雄と俊介が演じた1回目、喜久雄が歌舞伎界の表舞台に復帰する2回目と2度演じられています。 1回目は歌舞伎界の若きホープとして互いに切磋琢磨している2人、2回目は辛酸をなめてきた2人が成熟して再共演します。この時を経た違いを味わえるのも映画ならではで、何より2回目では2人の関係性が前述したように“芸と血が補完し合っている”完全無欠な状態に変化している様をしっかりと堪能することができます。

AD

連獅子

喜久雄が半二郎のもとへ来て初めて観た歌舞伎の演目が、半二郎と俊介の親子で演じられた「連獅子」。この演目は、獅子が自分の子をたくましく育てようとわざと谷底へ突き落すという「獅子の子落とし」が元になっています。 ここで親子で「連獅子」を演じ、それを喜久雄が目撃しているという時点で、“今から子落としが始まる”という予感を感じさせる演出になっているのです。

曽根崎心中

「二人道成寺」と同じく、劇中2回演じられている演目が「曾根崎心中」と「鷺娘」。「曾根崎心中」は特に重要で、喜久雄が半二郎の代役としてお初を演じる1回目、余命わずかな俊介がお初を演じる2回目、どちらも映画のクライマックスといっていいほど。 1回目で俊介は喜久雄の芸に圧倒され失踪、2回目ではそのリベンジを命を賭けてやり遂げるという構成。しかも2回目は喜久雄が相手役を務め、ともに切磋琢磨してきた濃い関係性を持つ2人だからこそ「芸とともに2人で心中」するかのような迫力を感じます。 この時、俊介の足は糖尿病で壊死していましたが、原作では演目が「隅田川」であったため、映画オリジナルの設定で原作とは壊死する足が左右反対の順番になっています。

AD

鷺娘

「鷺娘」も劇中2回演じられていますが、1回目は万菊、2回目は喜久雄で、どちらも人間国宝の演技となっています。この演目は、人間に恋した鷺の精の愛と哀しみを表現した舞踊作品。 万菊の踊りを見て「美しい化け物」と畏怖した喜久雄でしたが、自身も人間国宝となった後にこの演目を選んでいます。これによって喜久雄が万菊の後継者であることが明らかに。 そして最後に見たのが、喜久雄が「ずっと見たかった景色」であり、探し求めていた芸道の到達点。万菊の「鷺娘」のようであり、父親が死んだ日の景色でもある儚く美しい雪景色だったのです。この刹那のためだけにすべてを犠牲にして邁進してきた喜久雄の眼に、この光景は純粋に「美しい」と映ったようでした。

【キャスト】映画『国宝』の登場人物を解説

立花喜久雄(花井東一郎)役:吉沢亮 ヤクザだった父を抗争の末に亡くし、歌舞伎の名門・丹波屋の花井半二郎に引き取られた青年。芸の世界で類まれない才能を開花させていく。
大垣俊介(花井半也)役:横浜流星 花井半二郎の息子。喜久雄の親友でありライバル。
福田春江役:高畑充希 喜久雄の幼馴染。
大垣幸子役:寺島しのぶ 花井半二郎の妻であり俊介の母。
彰子役:森七菜 大物歌舞伎役者・吾妻千五郎の娘。喜久雄のことを慕っている。
竹野役:三浦貴大 歌舞伎の興行を手掛ける三友の社員。
藤駒役:見上愛 喜久雄が京都で出会った舞妓。
少年・喜久雄役:黒川想矢 少年時代の喜久雄
少年・俊介役:越山敬達 少年時代の俊介
立花権五郎役:永瀬正敏 喜久雄の父親で長崎・立花組の親分。
梅木役:嶋田久作 三友の社長。喜久雄と俊介の舞台の世話をする。
立花マツ役:宮澤エマ 権五郎の後妻。
吾妻千五郎役:中村鴈治郎 彰子の父親で、大物歌舞伎役者。
小野川万菊役:田中泯 当代一の歌舞伎役者で人間国宝。
花井半二郎役:渡辺謙 上方歌舞伎の名門・丹波屋の看板役者。俊介の父親。

立花喜久雄役/吉沢亮

『国宝』 吉沢亮
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会

長崎の任侠・立花組に生まれ、15歳で父を亡くし天涯孤独の身に。芸の才能を見込まれ、歌舞伎役者・花井半二郎に引き取られました。すぐに女形としての才能を開花させ、歌舞伎の世界にのめり込んでいきます。 主人公である喜久雄を演じるのは「キングダム」シリーズや、「東京リベンジャーズ」シリーズなど、話題作への出演が後を絶たない吉沢亮です。

AD

大垣俊介役/横浜流星

『国宝』 横浜流星
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会

花井半二郎の息子。生まれながらに父の跡取りとして芸を仕込まれ、歌舞伎役者になるものとして育てられてきました。喜久雄とは兄弟のように育ち、親友でありライバルでもあります。 喜久雄の生涯のライバルである俊介を演じたのは、『正体』(2024)や『ヴィレッジ』の横浜流星。李相日作品への出演は『流浪の月』(2022)に続き、2作品目となります。

少年・喜久雄役/黒川想矢

黒川想矢

花井の家に引き取られたばかりのころの若かりし喜久雄を演じているのは黒川想矢です。 主役に抜擢された映画『怪物』(2023)では、第47回日本アカデミー賞新人俳優賞や第66回ブルーリボン賞新人賞をはじめ多数の新人賞を受賞。今大注目の若手俳優です。

少年・俊介役/越山敬達

『国宝』 黒川想矢 越山敬達
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会

(画像下) 喜久雄と出会った頃の少年時代の俊介を演じたのは、ドラマは『天狗の台所』(2023)で主人公の飯綱オンを演じ一躍注目を集めた俳優・越山敬達です。 同年には斎藤工の監督作品『スイート・マイホーム』にてスクリーンデビューを果たしています。

花井半二郎役/渡辺謙

『国宝』 渡辺謙
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会

上方歌舞伎の名門・丹波屋の当主であり看板歌舞伎役者。喜久雄に歌舞伎の才能を見出し、実の息子である俊介と同じように芸を仕込み育てました。 喜久雄の師であり俊介の実の父親である半二郎を演じたのは国内外を問わず活躍する俳優・渡辺謙です。2025年10月には坂口健太郎主演の映画『盤上の向日葵』への出演も控えています。

AD

【監督】『フラガール』の李相日が手掛ける

李相日

映画『国宝』の監督を務めるのは、コメディからシリアスまで幅広い作品を手がける映画監督の李相日(イ・サンイル)です。 代表作である『フラガール』(2006)では監督だけでなく脚本も務め、第30回日本アカデミー賞で最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞を受賞。また本作の原作者である吉田修一の著書『悪人』の映画化も手がけ、第34回日本アカデミー賞で多数の章を受賞しました。 李は本作の映画化にあたり、「吉田さん渾身の作品を担う重圧に慄えが止まりません。」「数多ある困難を超えた先に拡がる未知の世界に、関係者一同胸昂る思いです。 」とコメントしています。

【感想】映画『国宝』の評価は?

3時間という長尺、度々挿入される歌舞伎の演目、知らない人には理解しがたい梨園のことなどなど、一見するとなかなかにハードルの高そうな本作。しかし公開後の評価や感想には、「歌舞伎界からも絶賛の声」、「長さを感じないほど面白い」、「豪華キャストによる演技合戦がすごい」といった高評価が続々と! その評判を聞きつけて映画館に多くの人が足を運んでいますが、特に美しい映像を大きなスクリーンで観たいという人も多いようです。国宝となる歌舞伎役者の壮大な一代記である原作小説を、3時間とはいえ1本の映画に収めた手腕にも高い評価があります。

映画『国宝』のネタバレ考察を解説しました!

芸に身を捧げた男たちの孤独で泥臭い生き様を描いたヒューマンドラマ作品『国宝』。妖艶かつ鬼気迫る迫力を感じさせる吉沢亮の熱演を、ぜひ劇場で堪能してください。 映画『国宝』は2025年6月6日より絶賛公開中です。