【感想】『枯れた花に涙を』に心を抉られる!多くのしがらみを抱える男女の壮絶なストーリー
夫の裏切りやツラい過去に苦しんでいた主人公が、一人の男性との出会いをきっかけに愛と憎悪に溺れていくストーリーの女性漫画『枯れた花に涙を』。 主人公とヒーローのメインカップルの純愛っぷりにドキドキが味わえる作品ですが、モラハラ・借金・不倫や闇組織の登場でシリアスな展開も多めなストーリーです。 枯れた花がいつ咲くのか、それとも咲くことなく枯れたままなのか……。人間の再生と成長を描いた本作の見どころを徹底レビューしていきます!
『枯れた花に涙を』とは
漫画『枯れた花に涙を』は、韓国で連載されていた漫画『시든 꽃에 눈물을』の日本語翻訳版です。英語圏や中国語圏など、多くの国で配信されている人気作品となっています。 ストーリーは主人公・児玉樹里が、学生時代に出会った夫・金子鉄平に不倫される場面からスタート。大好きだった人の裏切りだけではなく、借金に背負わされたり悲しい過去を思い出したりと、シリアスな展開が続きます。 しかしヒーローの一ノ瀬蓮と出会ったことで、徐々に明るい未来が見えてくるのです。全体的に重くて暗いストーリーだからこそ、恋愛要素により一層ドキドキできる作品となっています! ちなみに韓国では、単行本やグッズが発売されるほどの人気作品です!
ひたむき!真面目!めちゃくちゃ良い人の主人公
漫画『枯れた花に涙を』の主人公である樹里は、とにかく真面目で何事にも全力投球するタイプ。美人でお淑やかな気品あふれる完璧な女性ですが、重い過去を抱える悲劇のヒロインでもあります。 それゆえに自己肯定感が非常に低くて自信がなく、他の人に意見を言えないという弱みを持っているのです。 ストーリーが進むごとにその弱みが顕著になり、致命的なミスを繰り返していきます。読んでいる側からしたら「打たれ弱すぎる!」「もっと自信持て!」とツッコミたくなるほど……。 しかし樹里は常に受け身というわけではなく、徐々に人として成長していきます。時には鉄平に対して強く言い返す場面もあり、彼女の成長に驚かされることも! 蓮を支えたい、蓮と一緒にいたいという他人へ向ける善意は変わらないため、物語が進むごとに欠点のない頼もしい主人公へと成長していくのです! 思い返してみれば、不倫したモラハラ夫に立ち向かい、自分で未来を切り開こうとする樹里はとても強いなと感じます。
あなたの正体は?ミステリアスでイケメンなヒーロー
漫画『枯れた花に涙を』は恋愛に主軸を置いているため、主人公の樹里だけではなくヒーローの蓮も非常に魅力的なキャラクターとなっています。 蓮を一言で表すなら、まさに番犬ですね。22歳の年下男子らしく甘えん坊だけど、樹里以外の人物に対しては睨んだり警戒心を剥き出しにしたり……。 しかしまだまだ謎を秘めていて、蓮のせいで樹里が騒動に巻き込まれることも度々あります。 だけど涙を流し、暗い表情ばかり見せていた樹里を笑顔にしてくれたのは間違いなくあなたです!一読者として蓮に感謝を伝えたいくらいですね。 もちろん前述したように、家族関係や笑顔の裏に潜む本性など、明らかになっていない部分はたくさんあります。それがストーリーの不安要素の1つですし、樹里と蓮が本当の意味で打ち解け合えていない原因です。 だからこそ蓮に救われた樹里が、今度は蓮を救う展開に期待したい!そして蓮が本当の笑顔を見せられるようになった姿を、我々に見せてほしい!
枯れた花は咲かないかも……。純愛だけど重すぎるストーリーにハマる!
蓮との出会いをきかっけに前を向き始めた樹里。一緒に食事をしたり出掛けたりと、些細なことで幸せを感じている彼女の姿を見ると、本当に涙が止まりません……。 そして徐々に関係を深めていき、キスをして一線を越えるロマンチックなストーリーにドキドキしまくりでしたね。 しかし本作は、夫がいる女性とミステリアスな男性のドキドキイチャラブストーリーではありません。まさに過去は消えないと言わんばかりに、多くのトラブルが樹里と蓮を追い詰めていきます。 樹里には鉄平という大きなしがらみと子ども時代のツラい家庭環境があり、蓮には複雑すぎる家族関係と誰にも話せない過去が付いて回る……。 そして圧倒的な悪である鉄平にも、樹里を幸せにできない理由があることも明らかになります。ストーリーは常に重く、背景のトーンやキャラクターたちの表情も相まって、仄暗い雰囲気が漂っているのです。 読んでいる途中で「ホントにハッピーエンドになるのか?」と疑いたくなるようなストーリーがクセになります!
漫画『枯れた花に涙を』の感想まとめ
漫画『枯れた花に涙を』は、シリアスなストーリーだからこそ主人公たちを応援したくなる作品です。 タイトルにもあるように、枯れた花が自分あるいは他人の涙をきかっけに前を向こうとする展開には、非常に勇気がもらえます。 また日常の小さな積み重ねで樹里たちが追い込められていく様子は、現代社会に暮らす人たちにも共感できる部分があるように感じました。暗い世界観にどっぷり浸かって、沼のように抜け出せなくなるような作品です。