思想家としての一面
意外と知られていませんが、ブルース・リーは大学時代、哲学を専攻していました。武道家・アクション俳優であったと同時に、優秀な思想家でもありました。特に道教・仏教からの影響を色濃く受けたようです。
道教の影響
"Empty your mind, be formless, shapeless - like water.
Now you put water into a cup, it becomes the cup,
you put water into a bottle, it becomes the bottle,
you put it in a teapot, it becomes the teapot.
Now water can flow or it can crash. Be water, my friend."
「心を虚にして、形を無くし型も捨てる ― 水みたいになるんだ。
水をコップに入れればその水はコップの形になり、
水をボトルに入れればその水はボトルの形になって、
水をティーポットに入れたらその水はティーポットの型になる。
水は流れることも衝突することも出来る。水になることだよ。」
我々日本人になじみ深い諺の一つに、「柔よく剛を制す」というものがあります。
この諺の元になったのが、道教の老子の教えです。
端的に表せば、「真の強さとは、剛強ではなく柔弱なものである」という教えです。
ブルース・リーもインタビューの中で、一つのスタイル(型)に固執することに対して否定的な意見を述べています。
仏教の影響
"Don't think! Feel! It is like a finger pointing away to the moon.
Don't concentrate on the finger, or you will miss all that heavenly glory."
「考えるな!感じろ!月を指差すのと似たようなものだ。
指に集中するんじゃない、その先の栄光が得られんぞ。」
有名なセリフ、"Don't think. Feel." 英語のまま覚えている人もいるのではないでしょうか?実はこの言葉、仏教と深い関わりがあったんです。
大乗仏教の一派である禅宗、すなわち禅の世界では、お釈迦さまの教えは経典の文字や言葉によってではなく、各々が座禅に励むことで、お釈迦さまの域に達し、自ら悟りを開いていくものであるとしています。
その例えとして、「指月の譬(しげつのひ)」という考え方があります。
ブルース・リーのセリフにある指とは言葉を文字に書き起こした経典のことであり、その先にある月こそが仏の教えであるという解釈です。後半のセリフにある「その先の栄光」とは悟りの境地を意味しているのです。
つまり指(経典)が指し示す月(教え)を感じることで、その先の栄光(悟りの境地)を得ることが出来る、という考え方です。
ブルースの生きる姿勢
「いつでも自分らしく、自分を表現し、自分を信頼しろ。成功したどこかの誰かを真似するようなことはするな。」
自分に恥じない人生を。シンプルで強い生き方です。
「境遇なんか気にするな。私は自らチャンスを作り出す。」
己を信じれば、自ずと道は開ける。ブルースの成功の秘訣がここにあります。
「自分の目標に向かって、最低1日に1回は具体的な行動を起こせ。」
行動を起こすことが成功への唯一の道であると教えてくれる言葉です。
哲学・考え方
「私は1万種類のキックを1回ずつ練習した人を恐れない。だが、1つのキックを1万回練習した人を恐れる。」
日々の積み重ねを信条とすることから生まれた考え方でしょう。
「知るだけでは不十分だ、実際に応用しなければならない。意志があるだけでは不十分だ、実行しなければならない。」
行動に重きを置いて導き出された考え方を、哲学にまで昇華させています。
「日々何かを増やすより、日々何かを減らすことが重要だ。本質的でないものはそぎ落とせ。」
余計なことをせず、本質だけを見つめよ。断捨離にも通じる考え方です。
アクション俳優としてだけでなく人としての魅力も充分!
心の琴線に触れる言葉はあったでしょうか?
人としての魅力に溢れていたブルース・リー。だからこそ今でも語り継がれる存在なのかも知れません。