この実話を題材にした『南極物語』
高倉健主演映画『南極物語』
南極に取り残されてしまったタロとジロの実話を、『キタキツネ物語』の蔵原惟繕監督がドキュメンタリー・タッチで描きました。映画史上で初めて本物のオーロラを映像で見せたのも印象的でした。
1983年に公開された本作の配給収入は61億円で、当時の日本映画歴代興行収入記録を更新し、最終的には興行収入110億円に達しました。
そのほかにも木村拓哉主演のテレビドラマが放送されています。犬たちの生命力の強さは感動を呼ぶようです。
『南極物語』の実話
1956年に総勢53人の南極観測隊が犬ぞりなどのために22頭の樺太犬とともに、南極に出発しました。そのうちの11人が第1次越冬隊に選ばれ南極にある昭和基地で過ごしました。
翌年に第2次越冬隊を南極に送ったものの、悪天候に見舞われ基地に到達することができませんでした。第1次越冬隊は帰国することになりましたが、第2次の越冬隊は天候悪化のために、派遣を断念。越冬するために必要だった犬たちは、野生化したり、共食いをしない様にと鎖につながれたまま置き去りにされました。
奇跡の犬タロとジロ
置き去りにした時から2年たった後、第3次越冬隊が南極の上空から2頭の犬が生きていることを発見。名前を呼ぶと尻尾を振って反応したことや、ジロと同じように前足の先が白かったことから2匹だと確認されました。
どうやって生きのびたの?
基地においてあるエサには手を付けなかったタロとジロ。生き延びることができた理由は大きく分けて2つあります。
1. アザラシやペンギンの糞を食べて生きていた
アザラシの糞などには、消化しきれなかった小エビや魚があり栄養があったために、それを食べて生き延びたという説。帰国したタロとジロが糞を食べていたと目撃されています。
2、ソ連隊がタロとジロに餌を与えていた
タロとジロが置き去りにされた後、ソ連隊が飛行機の給油のために昭和基地に立ち寄った時、犬を発見して餌を与えていたのではないかといわれています。
タロとジロ以外はどうなったの?
南極に置きざれにされた犬は全部で15匹のうち7匹は首輪につながれたまま息絶えていました。首輪につながれた犬の死因は餓死。発見された時、生きているときの半分の体重まで落ちていて、胃の中からは、ビニールの切れ端と糸くず5グラムしかなかったそうです。そのほかの6匹は、首輪を逃れるも消息は分かりませんでした。