2025年9月5日更新

『8番出口』の小説を結末までネタバレ解説!映画の個人的感想と異変も一覧で振り返る

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映画『8番出口』、二宮和也
©2025 映画「8番出口」製作委員会

「異変を見つけたら、すぐに引き返すこと」でおなじみの脱出ホラーゲーム『8番出口』の映画が2025年8月29日についに公開されました! 人気ホラーゲームを映画化した本作は、公開前から注目度が高まっていましたが、原作ゲームにはないストーリー性を追加したことで、「なんの映画だったのかよくわからなかった……」という声も。 この記事では、そんな映画『8番出口』をネタバレ徹底解説します!

タイトル 『8番出口』
公開日 2025年8月29日
監督・脚本 川村元気
キャスト 二宮和也 , 河内大和,小松菜奈
上映時間 1時間35分

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原作『8番出口』はどんなゲーム?

原作『8番出口』は、駅の地下通路を舞台にした脱出ホラーゲームです。ルールはたった4つ、「通路を観察し、異変を見つける」「異変を見つけたら引き返す」「異変がない場合は進む」「8番出口を目指す」。 正しい選択をすれば、通路の番号が増えていき、8番通路の先に出口が待っています。しかし、間違った選択をすると通路は0番に逆戻り。異変に警戒しながら地下通路の脱出を目指す、新感覚の脱出ゲームです。

映画『8番出口』ストーリーのない怖いゲームをどう実写化するのか?

映画『8番出口』、浅沼成
©2025 映画「8番出口」製作委員会

ゲーム『8番出口』の映画化にあたり、いくつかの変更点が加わりました。 まずは登場人物です。ゲームで登場する主人公と歩くおじさんに加え、男の元カノ、見知らぬ少年が追加。全員の過去の回想シーンも加わり、通路に迷い込んだ理由や脱出する意義が生まれています。震災やコロナなど、現実世界とリンクする過去も登場しました。 また、異変もオリジナルが多数登場。ロッカーや証明写真機といった新ギミックに注目です。ホラー要素が強くなり、新たなメッセージ性も加わっています。

【ネタバレ】原作小説『8番出口』のあらすじを結末まで紹介

【起】8番出口へ

映画『8番出口』、河内大和
©2025 映画「8番出口」製作委員会

地下鉄の車内で、男が赤ん坊に怒鳴っている場面に出くわしたとある"男"。彼はイヤホンを付け、見ないフリで誤魔化します。その直後、元カノから連絡が入りました。彼女は男の子供を妊娠したと伝え「どうする?」と聞いてきますが、覚悟が決まりません。 地下鉄から降りた男は出口に向かうも迷子に。次第に、おじさんが歩いてくる「同じ通路」をループしていると気づき、看板からこの通路のルールを知りました。 男は、笑顔で近づくおじさん、証明写真機に中にもう1人の自分、コインロッカーから赤ちゃんの声、ポスターの凝視する目玉、と異変を次々見つけ出し、5番出口までやってきます。すると、元カノから電話がかかってきてーー。

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【承】抗えない過去

映画『8番出口』、二宮和也
©2025 映画「8番出口」製作委員会

2人は中学時代に、もう1人の"彼"とバンドを組みました。高校卒業と同時に、彼を置いて男と元カノは上京し付き合うことに。ある日、故郷に大地震が発生し、津波で彼は行方不明になります。 震災後、彼を探しに行かなかったことが罪の意識になり「2人だけが幸せになるのは許されない」という思いに。罪悪感に加え、謎のウイルスによる喘息や定職についていない状況が、男から父になる自信を失わせていたのです。 しかし、元カノの電話も異変の1つでした。0番出口に戻された男は、"異変ではない"見知らぬ少年と出会います。

【転】迷い込んだおじさんと少年

映画『8番出口』、二宮和也、浅沼成
©2025 映画「8番出口」製作委員会

少し前、見知らぬ少年は別の男と合流していました。しかし男は、異変である偽の8番出口に向かってしまいます。階段の下から引っ張る少年を振りほどいた男。出口に消えた男は、そのまま「歩くおじさん」として通路に閉じ込められてしまいました。 その後、迷う男と合流した少年は、母の姿をした"異変"に騙されそうになります。しかし男が止めに入り、次の通路へ。少年は「母の関心を引きたくてわざと迷子になった」と告白しました。 4番出口で出会った老人から「異変はこの通路がお前に見せている罪」「お前が赤ん坊を殺した」と伝えられます。さらに紙コップの中から赤ん坊の断片を見せられ、男は取り乱しました。しかし少年が助け出し、なんとか次の通路へと進みます。

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【結】8番出口の先にあるのは…

少年から渡されたお守りの貝殻から、男は未来と過去が入り交じる「懐かしい未来」を感じます。最後の通路までやってきた2人。すると津波が通路の奥から押し寄せます。とっさに男は、少年に手を伸ばしました。 気づくと、そこは太陽に照らされた浜辺。隣には元カノ、海からは「パパ」という声とあの少年が向かってきます。少年はおまもりとして貝殻を渡してきました。再び通路に戻ってきた男は、少年と離れ離れになります。 男は、ついに8番出口に到達。階段を降りると、人でごった返した地下鉄駅があったのです。男が電車に乗り込むと、乗客が泣き出す赤ん坊に怒鳴っている最初の光景が現れます。かつて見て見ぬふりをしていた男は、赤ん坊の前に手を差し出しました。

【ネタバレ考察】地下通路はなんだったのか?結末を考察

『8番出口』

地下通路とは過去の罪や罪悪感と向き合う場所でした。冒頭とラストの対比は、主人公・迷う男が通路で異変として現れた"罪"と向き合った結果です。 通路が存在する理由は判明した一方で、罪悪感のある人物は多数いる中、なぜ主人公が選ばれたのかは謎のままでした。 そして、冒頭とラストで同じ場面に出くわしたということは、男がループから抜け出せていないと推測できます。「車内のループ」といえば…ゲームの続編「8番のりば」に繋がっていく可能性もありそうですね。

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映画『8番出口』の感想

説明の少ないストーリーが賛否両論

原作ゲームの世界観の再現度が非常に高く、その点では良い評価を受けている映画『8番出口』。一方で、映画オリジナルの要素として付け加えられたストーリーは、賛否が別れています。 主人公の喘息設定はなんだったのか、子どもは誰の子どもなのか、女子高生はいったいなんだったのかなど、説明されない部分も多いので、「どういう意味なの?」と思う人も多いようです。 しかしよく見ると、主人公の喘息が終盤ではよくなっているのは彼の成長を表しているようですし、子どもは主人公が元カノから逃げなかった(8番出口から脱出した)場合に生まれてくる彼の息子のようです。女子高生は「歩く男」がループに迷い込んだときに怪異として存在していたのです。 映画オリジナルのストーリーは、主人公の人としての成長を描いており、高く評価している人も少なくありません。

現代の男性の幼稚さがテーマの1つ

映画『8番出口』、二宮和也
©2025 映画「8番出口」製作委員会

映画『8番出口』では、元カノが妊娠したという主人公をはじめ「男性の成長」が1つのテーマになっています。 冒頭とラストで親子を怒鳴るサラリーマンや、息子に会いたい思いから通路で出会った少年を守りきれなかった「歩く男」、そして子どもが生まれることに向き合えない主人公など、いずれも感情のコントロールがうまくできない男たちが描かれています。 一方で女性キャラクターたちは成熟した大人として描かれており、男たちの幼稚さが際立ちます。

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映画『8番出口』の異変一覧

天井の看板裏に「引き返せ」の文字

天井から吊り下げられた出口案内の看板。裏を見ると「引き返せ」の文字が書かれている異変があります。 ゲームでも後ろを振り返らないと見逃しやすい異変ですが、映画でも「迷う男」も「歩く男」も見逃していました。

蛍光灯の並び方が不規則になっている

天井の蛍光灯が斜めに互い違いに配置されている異変。 ちなみにこの異変は、東京メトロ清澄白河駅のデザインがモデルになっているのでは、と話題になりました。

天井から液体が垂れている

原作ゲームでは通気口から黒い液体が垂れていました。映画では通気口の黒い液体だけでなく、出口案内の看板の上から血のような液体が垂れてくる異変もあります。

「防犯カメラ作動中」のポスターの目が動く

「防犯カメラ作動中」のポスターの目が動く異変。 原作ゲームでは防犯カメラのポスターだけでしたが、映画ではすべてのポスターの目が動いています。

おじさんが笑顔になっている

無表情で横を通り過ぎていたおじさん(歩く男)が、笑顔になっているという異変があります。 原作ゲームではすれ違うときに笑顔になっていますが、映画では1度通り過ぎたあと、主人公が振り返ると笑顔ですぐ後ろに立っていました。

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清掃員詰所のドアノブが中央にある

清掃員詰所のドアノブが中央になっている異変。 原作ゲームでも登場した異変ですが、ドアとドアノブの色が同じ銀色なので見つけにくい異変です。

通路の奥に偽物の8番出口がある

実際は通路を曲がったところにあるはずの出口階段が、通路の先に見える異変があります。 映画ではかつて「歩く男」がここから外に出ようとして、自ら異変になってしまった過去が語られています。

8番出口の看板の文字が逆さになっている

「8番出口」の「8」が逆さまになっている異変。 原作ゲームでは文字も上下逆さまになっているので発見しやすいですが、映画では「8」だけが逆さまなので、パッと見はわかりにくいです。

清掃員詰所のドアが開く

ある地点を通過すると、右側の清掃員詰所のドアが突然開く異変が起きます。 原作ゲームではドアが少し開いていて誰かがこちらを覗いている異変や、完全にドアが開き、中に入れる異変などもあります。

停電する

突然電灯が消え、真っ暗になってしまう異変。映画ではこれに加え、冒頭に登場したネズミが現れます。 原作ゲームでは少しずつ電灯が消えていき、完全に真っ暗になると引き返せなくなりゲームオーバーとなります。

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水が押し寄せてくる

原作ゲームでは赤い水が押し寄せてくる異変がありました。これに追いつかれるとゲームオーバー。映画でも大量の水が流れてくる異変があります。 また映画では主人公の友人が津波で亡くなったという背景が語られ、この異変はその罪悪感を描写しているようです。

コインロッカーから赤ちゃんの泣き声【映画オリジナル】

コインロッカーから赤ちゃんの鳴き声がする異変は映画オリジナルです。 これは、主人公の背景として元カノが妊娠したという報告を受けたため。父親になる覚悟がない彼にとっては、恐ろしい「異変」として目の前に現れます。

元カノからの電話がかかってくる【映画オリジナル】

通路に閉じ込められている間に元カノから電話がかかってきますが、これも異変です。彼が閉じ込められている通路は現実の世界とは切り離されていると考えられます。 これは後に異変だったことがわかりますが、映画で主人公の背景が描かれたことで追加されたものです。

8番出口の通路が黄色くなる【映画オリジナル】

照明がおかしくなってしまい、通路全体が黄色くなる異変。これは映画オリジナルのものです。 映画オリジナルの異変は主人公の不安や緊張、恐怖を表しているのではないでしょうか。

「歩く男」に女子高生が話しかけてくる【映画オリジナル】

「歩く男」が通路に囚われてしまったいきさつは、映画でしか描かれていません。彼が通路に閉じ込められたとき、女子高生が話しかけてきたのも異変の1つでした。 この女子高生が話した内容から、彼女もまた通路に囚われてしまった存在だと思われます。

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映画『8番出口』のキャスト・登場人物

迷う男役 二宮和也
歩く男役 河内大和
少年役 浅沼成
ある女 小松菜奈
役柄未公表 花瀬琴音

二宮和也と河内大和はTBS日曜劇場「VIVANT」(2023)以来、2度目の共演になります。

"迷う男"役/二宮和也

映画『8番出口』、二宮和也
©2025 映画「8番出口」製作委員会

二宮和也が"迷う男"役として本作に出演することが決定しました。まるで意思を持ったかのように異変を見せながら無限にループする地下迷路に迷い込んだ主人公を演じます。 SMILE―UP.(スマイルアップ、旧ジャニーズ事務所)から独立後、初の映画主演になります。俳優としては『フリーター、家を買う。』(2010年)や『ブラックペアン』(2018年)などの作品で知られています。

"歩く男"役/河内大和

映画『8番出口』、河内大和
©2025 映画「8番出口」製作委員会

"歩く男"役は河内大和が演じます。 キャスト情報公開前から話題になっていました。予告映像のラストで、おじさんの笑顔がドアップで映って終了します。予告を見た映画ファンからは、再現度への称賛とともに「おじさんの俳優は誰?」と盛り上がっていまいした。 河内大和の*代表作といえば、日曜劇場『VIVANT』(2023)で演じたバルカ共和国・外務大臣のワニズ役。最終回ではヨダレを垂らしながら、激昂するシーンが話題となりました。本作の予告で見せた100%の笑顔もどこか狂気を感じます。「おじさん」の表情にも注目です。

“少年”役/浅沼成

映画『8番出口』、浅沼成
©2025 映画「8番出口」製作委員会

主人公が通路で出会う見知らぬ少年。彼は異変ではなく、通路に迷い込んだ人物の1人です。主人公の迷う男と協力して、8番出口の脱出を目指します。 浅沼成は、『外道の歌』(2024年)、『波うららかに、めおと日和』(2025年)に出演。今後の活躍が期待される子役です。

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小松菜奈の役柄を小説から解説

映画『8番出口』、小松菜奈
©2025 映画「8番出口」製作委員会

映画『8番出口』に小松菜奈の出演が決定しました!小説から、迷う男の元カノ役だと予想されます。男の子供を身ごもった彼女は、地下鉄に乗る男に妊娠を伝えました。電話でお腹の子をどうするか伝えようとしますが、途中で電話が途切れてしまいーー。 小松菜奈は、第一子を出産後、女優業に本格復帰。映画『わたくしどもは。』(2024年公開)でも、高い評価を受けました。2014年の映画『渇き。』での映画デビュー以降、数々の話題作に出演。『溺れるナイフ』(2016年)、『閉鎖病棟 -それぞれの朝-』(2019年)、そして『糸』(2020年)など、多彩なジャンルの作品で繊細かつ力強い演技を披露してきました。 そんな小松菜奈と川村元気監督が再びタッグを組むのは、川村監督が企画・プロデュースした映画『バクマン。』(2015年)以来となります。

花瀬琴音の役柄を小説から解説

映画『8番出口』、花瀬琴音
©2025 映画「8番出口」製作委員会

花瀬琴音は、小説における女子高生役と予想されます。女子高生は、歩くおじさんポジションの女性です。AIロボットのようにまっすぐ進み続ける彼女ですがーー。 花瀬琴音は、2023年『遠いところ』で映画で初主演を務めました。役作りの為、1ヶ月前から実際に沖縄県で生活するストイックっぷり。『8番出口』と同じ日に公開される映画『九龍ジェネリックロマンス』にも出演しています!

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監督・脚本は『君の名は。』の川村元気!小説が刊行

『8番出口』の監督・脚本を務める川村元気は、『君の名は。』の大ヒットの立役者として知られています。 2001年東宝に入社後、映画プロデューサーとして『電車男』『告白』『悪人』などのヒット映画を次々に手がけています。また、2012年には自身初となる小説『世界から猫が消えたなら』を発表し、累計発行部数140万部を超える大ベストセラーとなりました。 その後も『君の名は。』をはじめ、様々な作品をプロデューサーとしてヒットさせています。2023年には、企画・プロデュースを務めた『怪物』が第76回カンヌ国際映画祭にて、脚本賞とクィアパルム賞を受賞しました。

ヒカキンが映画『8番出口』のセットで動画撮影!

YouTuberのヒカキンが、映画『8番出口』のセットで撮影した動画を公開しました! 映画に出演している河内大和も登場し、不気味な世界観を楽しめる内容となっています。

カンヌ国際映画祭「ミッドナイト・スクリーニング部門」に選出!

本作が5月13日に開幕する「第78回カンヌ国際映画祭」オフィシャルセレクション、ミッドナイト・スクリーニング部門に正式招待されることが決定! 主演を務める二宮和也や小松菜奈、川村元気監督、脚本家の平瀬謙太朗がレッドカーペットに登場しました。 また、カンヌ国際映画祭の公式上映にて本編を世界初お披露目。上映後は奇しくも8分間、2,300人総立ちのスタンディングオーベーションが巻き起こりました!

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原作ゲームを再現しながらもメッセージ性を加えた『8番出口』をネタバレ解説

大人気インディゲームを原作に、現代的なテーマのストーリーを描いた映画『8番出口』。主人公は恐怖の経験を経て、人として成長していきます。 原作の再現性の高さと映画としてのオリジナリティを両立した本作は、ストーリーは賛否両論ではありますが、概ね高い評価を獲得しています。 原作ゲームには続編もあるので、映画も続編を期待したいですね!