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『美女と野獣』の製作者がこっそり隠したメッセージ

2017年7月6日更新

ディズニーアニメを代表する作品『美女と野獣』は公開から20年以上が経った現在でも、世界中の女の子から支持を得る人気映画です。主人公ベルとビーストのラブロマンスを綴った本作ですが、一般的にあまり知られていない数々の秘密が劇中に隠されているんです。今回はその隠された秘密をwhatculture.comよりご紹介します。

1.ベルが読んでいる本

冒頭でベルが街の噴水の前で本を読んでいるシーンを覚えていますでしょうか?

その本は変装した王子様の冒険物語なのですが、実は『美女と野獣』のストーリーそのものを描いているんです。ベルがページをめくると、そこには高い塔のある赤い屋根をした城をバックに、青いドレスを着たダークヘアの少女とハンサムな王子が見つめ合う挿絵が載っています。ベルは青い洋服を着ており髪の色は茶系(ダークヘア)であることから、彼女の将来が写し出されていることが分かります。

また、ベルが「遠い国、決闘、魔法にかかった王子様」と言っていますが、遠い国=森の奥(町から遠く離れた野獣の城)、決闘=ガストンとビーストの決闘、魔法にかかった王子さま=ビーストを表しています。

2.標識に書かれていた文字とは?

モーリスが発明大会へ向かう途中で道に迷ってしまい、偶然目の前に木の板の標識を発見します。その標識は風雨にさらされたせいか、ガタガタで表記内容がまったく理解できない状態です。

4方向に枝分かれした木の板の標識は文字がかすれており、パッと見ただけでは読みとれませんが、ここで映像を停止してじっくりチェックしてみてください。この4方向に別れた標識には、それぞれきちんと地名が割り振られており、このように表記されています。

SAUGAS:米マサチューセッツ州 NEWHALL:米カリフォルニア州 VALEMCIA:スペインの地名で本作の背景部に所属している人の出身地 ANAHEIM:米カリフォルニア州(初代ディズニーランドがある場所)

ディズニーのアニメーションチームに所属するほとんどの人が上記地名の出身とのことです。

3.隠れミッキーを探せ!

遊び心を忘れないディズニーアニメには多くの隠れミッキーが潜んでいます。本作では難易度強レベルの隠れミッキーが描かれています。ビーストがベルに城の書斎にある本をあげるシーンでは、正面にあたる大きな本棚のいちばん上に隠れミッキーを見つけることができます。

また、ガストンと彼の手下がビーストの城を襲撃するために木を切り倒すシーンでは、滴れ落ちる3滴の雨のしずくが逆さになったミッキーの形をしています。さらには時計の執事コグスワースに付いているねじもミッキーの形をしているんです。

4.ビーストのモデルとなった動物

ビーストのキャラクター制作を進めるにあたって、最終形に至るまでに多くの変更を余儀なくされたそうです。当初ビーストはオオカミに近いキャラクターでしたが、見た目があまりに怖すぎるためファンから敬遠される可能性があったのでボツになりました。そこで、ビーストの声を担当したロビー・ベンソンの容姿の一部を採り入れたことで、より人間に近い形で制作され、オオカミの要素を薄めて制作されました。

しかし、最初に作ったビーストのキャラクターデザインは劇中で活かされています。例えば、禁断の塔(west wing)や城の周りにあるモンスターの彫刻やガーゴイルは最初のコンセプトアートが基になっています。

5. ステンドグラスは物語を予兆していた

本作をまだ観たことがない人でも、冒頭で登場するステンドグラスから本編のストーリーを予想することができます。冒頭で、カメラは光り輝くきれいなステンドグラスにズームしていきますが、そのステンドグラスには、巨大な剣を持った11歳のアダム王子を祝福する絵とともに、その下には「自身に打ち勝った彼が征服した」という家紋が表示されています。

それには「本当に世界を変えるためには、まず自分から変わる必要がある」という映画のメッセージが凝縮されており、これは全ディズニー作品のメッセージに該当するものなのです。

また、ガストンの手下であるル・フウという名前はフランス語で”ばか”、”狂った”という意味の言葉の発音とそっくりなんだそうです。

6.ガストンの恐るべき勲章

狩の名人として名をはせ、怪力と暴力の象徴でもあるガストン。彼が狩りで殺した動物を自宅で飾ったとしても不思議ではありません...。ガストンの自宅が写しだされるシーンで、彼が仕留めたであろう猫、2匹のうさぎ、カエルの首が勲章として壁に飾られているのです。

ガストンがいかに恐ろしい人物であるかが伺えますが、それと同時に、壁に掛けられているカエルが『イカボードとトード氏』のトード氏を彷彿とさせ、より怖さが倍増しています。

7.ビーストのゾッとするシーン

『美女と野獣』には、ダークでおぞましい雰囲気を漂わせるシーンが多く、特にガストンがビーストのもとに訪れる場面で見るビーストはただただ恐ろしいだけでなく、人間味をまったく感じさせない存在として描かれています。そして城のところどころに動物の死骸があることから10年も猛獣として監禁され、ビーストは人間としての心を失っている様を垣間見ることができます。

あまりにグロテスクなためこの死骸は影のかかった見えにくい形として映像化されましたが、細かな部分に注目してみると、そのキャラクターの詳細や背景が見えてくるのです。

8.ベルのカメオ出演

ディズニー作品の見どころは隠れミッキーだけではなく、よく見ると別のディズニーキャラクターが友情出演をしているところも作品を鑑賞する上で楽しめるひとつです。

『ノートルダムの鐘』のパリの裏通りの場面では、ベルの歩く姿を発見することができます。また、ベルだけでなく『アラジン』の魔法の絨毯と『ライオンキング』のブンバが通行人役で出演していますが、見つけられました??

9.シェークスピア作品から引用されている

ガストンが手下を連れて城に潜入する際、彼は「The Mob Song」を歌っていますが、この歌の歌詞の一部である「勇気を振りしぼれ」という箇所は、シェークスピアの『マクベス』から引用されているそうです。

この部分を引用したのには2つの理由があるそうで、まず1つは『マクベス』では、悪者が仲間を引き連れて何かを実行するシーンがあるのですが、そのシーンがまさにガストンの行動とそっくりだからで、もう1つは、この部分はマクベスが王を殺害することに疑問を抱いた時に彼の妻であるマクベス夫人が、からかいながら彼の男らしさを奮い立たせるものだからだそうです。

男らしさ=暴力と信じるガストンの浅はかな性格は、マクベスと類似する部分なんですね。

10.ウィルヘルムの叫び

最後の決闘シーンで、チップがベルに襲撃を知らせる時に、ガストンの手下のひとりが城の玄関から飛び降りる場面があります。このときに使われているのが「ウィルヘルムの叫び」です。

ウィルヘルムの叫びとは、映画などの作品で用いられる音響素材のことで、爆発に巻き込まれる、転落するなどして死亡する際に用いられています。名称の由来は、1953年の西部劇映画『フェザー河の襲撃』の登場人物で、矢で射られるウィルヘルム二等兵にちなんでおり、この叫び声の主は歌手兼俳優のシェブ・ウーリーだと言われています。

『スター・ウォーズ』をはじめとする多くのヒット映画やテレビ番組などで使用されており、ディズニー作品では『ヘラクレス』『リトル・マーメイド2』『アラジン』などで使用されています。

11.監督のカメオ出演

本作の監督を務めたゲーリー・トゥルースディルとカーク・ワイズは『美女と野獣』を筆頭に、いくつかのディズニー作品でカメオ出演を果たしています。

本作では、新しい本をもらったベルを見かけて「ほら、ベルがいるぜ。あの風変わりな少女が」と歌いながらベルをからかう役で登場しており、その他では『ノートルダムの鐘』や『アトランティス 失われた帝国』で出演しています。

12.ベルとビーストのキャラはあの作品から影響を受けていた

ベルとビーストを制作する上で『オズの魔法使い』からインスパイアされた部分が大きかったそうで、ビーストが女性のように髪型をセットアップするシーンは『オズの魔法使い』のライオンにそっくりですし、ベルの青い洋服はドロシーから引用されているそうです。また、ドロシーはディズニー初のダークヘアのプリンセスなので、その点の影響も大きかったのかもしれません。

そして、村で唯一青い服を着ていたのがベルなのですが、これは彼女がどれだけ浮いていた存在だったかを強調するための演出なんだそうです。また、ビーストも青い衣装をまとい、青い目をしていることから、2人は運命で結ばれていることが暗示されており、ヴィラン(悪役)であるガストンが着用している赤と対比しているという意味も含んでいます。

13.ほかにも影響を受けた作品があった

『美女と野獣』が影響を受けたのは『オズの魔法使い』だけでなく、ほかのクラシック映画からも引用されています。そもそも『美女と野獣』は、ディズニーアニメができるずっと前の1946年にジャン・コクトー監督によって一足先に実写版映画が公開されており、ディズニーはこの映画に影響を受けて制作に乗り出したとも言われています。

さらに、ベルのキャラクター設定においては、1868年にルイーザ・メイ・オルコットによって書かれた自伝的小説『若草物語』から影響を受けており、映画全体としては1958年に公開された『恋の手ほどき』からインスパイアされているそうです。

14.感動のエンディングロール

本作で作詞家として参加していたハワード・アッシュマンは、作詞兼製作者として『リトル・マーメイド』に携わり、アカデミー歌曲賞を受賞しました。その2年後、本作でも作詞家として参加しますが、エイズのため本作の完成を見ることなく亡くなってしまいました。

そこで制作スタッフはエンドクレジットにハワードへの追悼メッセージとして、「僕らの友ハワード、マーメイドに声を吹きかけ、ビーストに心を与えたくれた君に永遠の感謝の意をたたえる」と流しています。

ハワードは挿入歌の最後の収録時点で、既にベッドから出られないほど症状が悪化していたそうですが、亡くなるギリギリまで仕事を最優先し、電話でスタッフと仕事の進み具合や曲の出来具合のチェックをするなど、本作に多大なる貢献を果たしています。

15.ビーストを探せ!

カメオ出演をしていたのはベルやポット婦人だけではありませんでした。実は、ビーストも『アラジン』に登場しているんです!それは、ジャスミンの父であり国王であるサルタンのおもちゃのひとつとして、ビーストが隠れています。お茶目なサルタンはこのときオモチャを積み重ねて遊んでいましたね。

16.未公開の曲

通常のサントラには入っていない未公開の楽曲があるのを知っていましたか?それは「Human Again」で、スペシャルエディション版にしか収録されていない曲です。また、これを歌っているコグスワースがショベルを外に片づける時に出来た雪の足跡がネズミの形をしているんです。そう、つまり、これも隠れミッキーになっているんです!

17. ガストンの目に浮かび上がったものとは

ガストンがビーストと争った末に城から落ちそうになるシーンで、ガストンの瞳に骸骨が浮かんでいますが、登場人物が不幸な死に方をすることを滅多に描かないディズニーは、このように「死」を表現しています。ちなみにガストンが城から落ちるシーンは、『ライオンキング』のスカーが崖から落ちるシーンの基になっているだとか。

18.ソビエト連邦のサイレント映画から引用したシーン

城内での決闘シーンの一部は、1925年に公開されたソビエト連邦の映画『戦艦ポチョムキン』から引用されています。

戦艦ポチョムキンの反乱を描いた同作では「オデッサの階段」と呼ばれるオデッサ市民を虐殺するシーンが描かれていますが、これは「映画史上最も有名な6分間」と言われています。そのなかでも、撃たれた母親の手から離れた乳母車が階段を落ちていくシーンは、『美女と野獣』でも使用されており、ブライアン・デ・パルマ監督の『アンタッチャブル』でも引用されています。