2017年7月6日更新
映画『残穢(ざんえ)ー住んではいけない部屋ー』あらすじ・キャスト、Ciatrユーザーの感想評価まで紹介!【ネタバレあり】
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小野不由美作ドキュメンタリー・ホラー小説「残穢」が実写映画化
原作である小野不由美作「残穢」は、2013年に第26回山本周五郎賞を受賞したホラー小説です。2012年7月に単行本が、文庫版は2015年に新潮文庫から刊行されました。
実話とフィクションが混じり合ったドキュメント・ホラーという形式の作品であり、作中に登場する事件の中には実際に起こったものも含まれています。また、小説家である〈私〉が読者からの投稿を元に怪談を執筆しているという本作の設定は、そのまま小野不由美本人とリンクしています。
人気作家小野不由美の作品のなかでも高い人気と評価を誇る本作の映画化作品が、2016年1月30日に全国公開されます。
映画『残穢-住んではいけない部屋-』のあらすじ
ある日、読者からの投稿を元に怪談を執筆している小説家の〈私〉のもとに一通の手紙が届いた。
「今住んでいる部屋で奇妙な”音”がするんです。」それは、読者である女子大生の久保さんからの手紙。好奇心を抑えられなかった〈私〉と久保さんは、その「奇妙な”音”」について調査を開始する。そのマンションの過去の住人達が数々の事件に巻き込まれていたことが明らかになり…。
やがて二人は、数十年にわたる戦慄の真相に辿り着き、さらなる事件に巻き込まれていくことになる。
キャストは実力派俳優陣が飾る
主人公〈私〉には、竹内結子
CM・ドラマ・映画様々な舞台で活躍し、多くの作品でその演技力が認められる実力派女優竹内結子。
『黄泉がえり』や『いま、会いにゆきます』、『ストロベリーナイト』では、その彼女の美貌と陰に潜む切なさに多くの人が心を動かせられました。また、ピクサーアニメーション『インサイド・ヘッド』では主人公のヨロコビの吹き替えを担当しています。
本作で竹内が務める〈私〉は、怪奇現象に対して好奇心を持つものの恐れはなく、ただ真実を求めることを望むように事件を遡って行きます。
女子大生久保さん役には、橋本愛
女性フェッション誌「seventeen」でモデル業もこなす橋本愛。『告白』で注目を集め、『桐島部活やめるってよ』では新人賞を受賞し、現在では女優として主に活動している若手の演技派です。『さよならドビュッシー』『リトル・フォレスト』等では単独主演を務めるなど、若くして高い実力を誇る女優なのです。
その透き通るような美しさからか『貞子3D』など本作を含めホラーでも独特の存在感を放ち、『Another アナザー』では謎多き少女を演じて話題になりました。
本作で彼女の演じる久保さんはマンションの[202号室]に住んでいる女子大生で、畳の上で何かで掃いているようなような奇妙な音に悩まされており、それを〈私〉(竹内結子)に手紙で相談するというキャラクターで、本作の主人公の一人です。
〈私〉と同業の作家仲間・平岡に、佐々木蔵之介
佐々木蔵之介は多くの映画・テレビドラマに出演するベテラン俳優で、『医龍』『ハンチョウ』シリーズで特に有名。コミカルさとシリアスさを兼ね備え、主演する作品以外でも確かな存在感を放ち、脇役としても定評があります。
本作で佐々木が演じるのは、〈私〉と同業者である怪談作家の平岡という男。〈私〉や久保さんと共に怪奇現象の謎を追う事になります。
怪奇現象オタク三澤徹夫を演じる坂口健太郎
ケメンモデル・若手俳優で、映画『シャンティデイズ』に出演以降ひっきりなしに話題作に出演しています。特にその端正な顔立ちから、『ヒロイン失格』『俺物語!!』など少女漫画原作の映画作品に出演することが増えています。
本作で坂口が演じるのは、九州出身の怪奇現象オタクである三澤で、佐々木蔵之介演じる平岡の紹介で主人公らと出会うことになるキャラクターです。彼の活躍で、物語が一歩先へと展開されることになります。
〈私〉の夫である直人を演じる滝藤賢一
滝藤賢一は、朝ドラ『梅ちゃん先生』へのレギュラー出演で話題となり、『半沢直樹』での大ブレイクののちあらゆる映像作品にコンスタントに出演している人気俳優です。『最後の命』『予告犯』などのサスペンスから『エイプリルフールズ』などのコメディまで幅広く出演し、2016年公開の『テラフォーマーズ』ではアクションにも挑戦しています。
本作では、主人公である〈私〉の夫・直人を演じています。彼はオカルトや怪談に対して信憑性を疑っている現実的なキャラクターです。
監督を務めるのは『白ゆき姫殺人事件』の中村義洋
今回、監督を務めるのは『白ゆき姫殺人事件』や『予告犯』を手がけた中村義洋。
『アヒルと鴨のコインロッカー』や『ゴールデンスランバー』などの複雑な物語を巧みに描き、『世にも奇妙な物語』の脚本などのホラー作品だけでなく、『映画 怪物くん』といったコメディ作品の経験もある中村監督が、今作品をどのように描くのかが見所でしょう。
『残穢ー住んではいけない部屋』は2016年1月30日(土)公開されます。「奇妙な”音”」は何だったのか。数十年の時をわたる事件の真相と驚愕のラストに注目です!
映画『残穢(ざんえ)ー住んではいけない部屋ー』感想・評価【ネタバレ注意】
yuki12241
元々中田秀夫ホラーの脚本を担当していた中村義洋の描く、ある意味原点回帰的な作品であり、その経験を活かしたかのようなロジカルな一面を持つサスペンス・ミステリー映画です。題材的にはホラーなのですが、過去をどんどん遡っていく物語の構成や、「怪談的に」という台詞を多用したメタ的な演出は観る者を驚かせるような典型的「ホラー」という枠には当てはまらないように感じました。しかし、それが斬新で新たな(?)サンドイッチ型ホラーの形を創り上げていると捉える事も出来ると思います。言い方を変えれば、キャーキャー言いながら友達と観る映画と言うよりは、映画館で一人でフムフム考えるタイプだという事です。
読者からの投稿を元に怪談を執筆している作家である竹内結子と、奇妙な体験談を綴った手紙を竹内に送った橋本愛が、ある一つの部屋[202号室]の謎について、交互にナレーションを繰り返す形で序盤は構成され、2つの視点で精査されながら、徐々に謎を解き明かすのが凄く面白いです。また、怪談について詳しい人間の視点が入ることにより、まるでこの映画全体が怪談のように私たちに語り掛けているような気にさせてくれます。段々と膨れ上がり、大きく大きくなっていく物語のスケール感は嫌いではないけれど、どこに収束させるのか不安に思っていましたが、なるほど、確かにそうだな…と納得の行ってしまうラストでした。どんなに陳腐に見えようがこうでなくちゃダメだよな、という。死が残した穢れを追うという反ホラー的な主体的な展開が凄く良かったです。
ただ、怪談のセオリーを敢えて台詞に起こしてまでメタ演出をするなら、『スクリーム』『ゾンビランド』ばりに滅茶苦茶やって欲しかったというのも本音です。良くも悪くも真面目過ぎる映画で、ホラーの一つの良さであるバカらしさがほとんど無かったのが残念でした。ジャンプカットの度にわざわざ丁寧に時間と場所をテロップで表示してくれたりするからか、どこか一枚ガラスを通してしまっているような体感しにくさを覚え、怖さという点ではゼロと言ってしまっても良いと思います。だから、序盤は面白くてもスリル不足で冗長になり、後半になって失速してしまったように感じる方も多いのでは。個人的にはミステリー的として観ていたので、伏線もしっかりと回収していき、パズルのピースがどんどん埋まっていく感じは楽しめました。ただ、オチに関しては煮詰まっていないように感じたので、もう少し根源となる残穢の根深さを深く描いて欲しかったように思います。