『カサブランカ』とは
1942年に公開されたハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマン主演の映画『カサブランカ』。第二次世界大戦下のフランス領モロッコのカサブランカを舞台に再開する男女のラブロマンスを描いたこちらの作品は、アカデミー賞8部門にノミネートし、そのうち作品賞と監督賞、脚色賞の3部門を受賞しています。
アメリカ映画協会選定の「アメリカ映画の名セリフベスト100」には6つものセリフがランクイン。今回はランクインされた名セリフをご紹介します。
5位「君の瞳に乾杯」
5位にランクインされたのは「君の瞳に乾杯(Here's looking at you,kid.)」。映画を見たことのない人でも聞いたことがあるセリフではないでしょうか。この名セリフ「君の瞳に乾杯」は劇中で4回出てきます。
1,リック(ハンフリー・ボガート)とイルザ(イングリッド・バーグマン)が部屋で乾杯するシーン(開始40分)
君は何者で、今まで何をしてたんだ?(リック)
何も聞かない約束よ(イルザ)
君の瞳に乾杯(リック)
2,店でサムの弾く「時の過ぎ行くままに」を聴きながら乾杯するシーン(開始43分)
ドイツ兵に飲まれるくらいならすべての酒を捨てた方がマシだ(リック)
なら、飲み干しましょう(サム)
そうだな(リック、サムにむかって)君の瞳に乾杯(リック、イルザに)
3,イルザがリックの店に来たシーン(開始1時間25分)
自分がわからないの。あなたが決めて。皆のことも(イルザ)
ああ、そうする。君の瞳に乾杯(リック)
4,ラストの飛行場のシーン(開始1時間37分)
離れないと約束したわ(イルザ)
気持ちはひとつさ。俺には仕事がある。君は仕事の邪魔になってしまう。俺は何者でもないが、世界が悪くなるのを見過ごすわけにはいかない。君にもいつかわかる。君の瞳に乾杯(リック)
「Here's looking at you,kid」を「君の瞳に乾杯」と訳すのは誤訳だという声もありますが、カサブランカを知らなくても「君の瞳に乾杯」というセリフは知っているという人もいることを考えると、日本人の心に響く訳だったのではないかと思います。
20位「ルイ、これが美しい友情の始まりだな」
20位にランクインされたのは、映画のラストシーンでのセリフ「ルイ、これが美しい友情の始まりだな(Louis, I think this is the beginning of a beautiful friendship.)」。飛行機に乗ったイルザを見送った後、リックと警察署長ルノー(ルイ)の2人が夜の霧の中へ消えながら、美しい新たな友情の始まりをお互いに確かめ合うシーンです。
28位「あれを弾いてサム。『時の過ぎ行くままに』を」
28位にランクインしたのが「あれを弾いてサム。『時の過ぎ行くままに』を(Play it, Sam. Play 'As Time Goes By.)」。
「時の過ぎ行くままに」(As Time Goes By)とは、かつてパリでイルザとリックが恋に落ちていたときの思い出の曲。イルザがこの曲を弾いてくれていたピアニスト・サムにカサブランカで再会し、この曲をお願いするシーンです。
2015年に日本で公開された映画『はじまりのうた』では、キーラ・ナイトレイ演じるグレタがこの曲に言及するシーンもありました。
32位「犯人を見つけろ」
イルザとその旦那のヴィクターが乗った飛行機を止めようとしたシュトラッサー少佐を撃ったリック。少佐の部下たちが現場に集まってきます。ルノー署長はそんなリックを守るべく「犯人を見つけろ(Round up the usual suspects.)」と言い放ったのです。
43位「君と幸せだったパリの思い出があるさ」
愛しているからこそ、イルザを旦那のもとへ見送るリック。リックと離れたくないイルザとの会話のやり取りの中に出てくる、ラストシーンのセリフ「君と幸せだったパリの思い出があるさ(We'll always have Paris.)」が43位にランクインしています。
67位「世界に星の数ほど店はあるのに彼女はおれの店に」
フランスのパリで出会い別れたイルザが、モロッコのカサブランカにあるリックの経営する店に突然姿をあらわします。しかも一緒にいるのはイルザの旦那。酔いつぶれて、やりきれない思いを吐き出したセリフが「世界に星の数ほど店はあるのに彼女はおれの店に(Of all the gin joints in all the towns in all the world, she walks into mine.)」。67位にランクインしています。
ランク外「そんな昔のことは覚えていない」「そんな先のことは分からない」
リックを訪ねてきた女性に、リックがつれなく返事をするシーン。
昨日なにしてたの?(女性)
そんな昔のことは覚えていない(リック)
今夜会える?(女性)
そんな先のことは分からない(リック)
なんでもないようなシーンにも名セリフが散りばめられている名作『カサブランカ』。一生に一度は観るべき作品といえるでしょう。