
『淵に立つ』のスタッフ・キャスト
『淵に立つ』の感想・評価・ネタバレ
-
みんなギリギリで生きてる。正しいとは何か正義とは誠実とは。正面から見ていれば悪いように辻褄が合うが、決定的なシーンは排除して、観る側に不安定さを与える。壊れていく様なのか元々壊れていたのか。あのラスト、映画館で観てたらしばらく立てなかったかも。
-
不幸を見せつけられているのに嫌な気分にさせるだけじゃなくこの先、この人はどう生きて行くのかと巻き込まれた人間も不幸の先に何があるのかを知りたくなる。無表情になる浅野忠信がやたら怖く感じ病む人は通常では理解出来ない部分を持っている。
-
小さな町工場を営む夫と妻、その子。どこにでもありそうな家族の元に一人の男が現れる。夫の古い友人だという男は家に居座ることになる。最初は嫌がっていた妻は徐々に心を開いていき・・・。 この映画がいきなり大胆になるのが夫と男が川辺を歩いているシーン。バスの中で観ていたのですが、思わず声を出してしまいました。そこから映画は急転直下。第二部への進行します。日常に忍び寄る狂気を描いたホラーが第一部だとしたら、物語のテーマは第二部で現れます。悪の遺伝子は引き継ぐか否か、過去の罪は拭えるのか否か、という際どい問いかけを突きつけられ閉口してしまいます。罪を犯した人間の遺伝子を継いでいるだけで差別することはできない。しかし身の回りにそっと存在した場合。随所にその片鱗を見た時。我々は普通に接することができるのか。いやー、きついっす。ラストシーンの悪趣味さはすごい。単に悪趣味なだけではなく、意味があるのもすごい。
(C)2016映画「淵に立つ」製作委員会/COMME DES CINEMA