マリッジ・ストーリー
マリッジ・ストーリー
Marriage Story
2019年製作 アメリカ 136分 2019年11月29日上映
rating 4.1 4.1
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『マリッジ・ストーリー』のs_p_n_minacoの感想・評価・ネタバレ

s_p_n_minaco
s_p_n_minaco 0 2019年12月8日

実はノア・バームバックとジョー・スワンバーグをよく間違えるので、観終わってからノア・バームバックの方だと確認。『クレイマー、クレイマー』というか、いやどちらかといえばベルイマン『ある結婚の風景』に重ねたくなる。夫婦がお互いを客観した視点で始まり、やがて行き着くのは個の主観のズームアップ。弁護士や息子や家族の視点から捉えられる離婚劇と、当人のそれは違う。妻側の心情も決してなおざりにされてないが、やはり(バームバック自身を反映した)夫側のエモーショナルな比重が大きかったと思う。 裁判は相手を罰したい欲望を掻き立てる。けれど、何を罰するというのだろう?罰したいのは相手じゃなく自分では?2人とも「負けず嫌い」だけど「勝つのは彼女」と夫チャーリーは自覚してる。そして、結果的に妻ニコールは新しい生活で多くの人に囲まれている。母と姉と歌い踊るニコールの前には観客がいて、仲間といながら一人歌うチャーリーにはそれを聴く相手が映らない。ああなんと孤独なことよ。 芝居では嘘泣きを拒否するけど堪えきれず涙する女優、深く傷ついても平気な芝居する監督。「親の所有物じゃない」子供側には一切感傷を避ける一方で、門や扉の向こうで夫婦はナイフで切り裂くように痛々しい血を流す。遠く離れたNYとLAは、距離でなく広さの問題だ。どちらかに居るとどちらかが空洞を抱え、その孤独の広がりを埋めることができない。そして2人は心に穴が空いたまま生きていく。 スカーレット・ヨハンソンはなんだか凄くやつれてて、ヒリヒリとした感情がダイレクトに伝わってきた。大好きなメリット・ウェヴァーほかキャストはみな充実。けど、何たってアダム・ドライヴァーの歌うソンドハイム“Being Alive”が素晴らしすぎてもう…グウの音も出ねえ。あげるならオスカーよりトニー賞って感じ。