映画『蜜のあわれ』あらすじ・キャスト・公開日

2017年7月6日更新

大正時代に活躍した作家、室生犀星の超現実主義小説を、二階堂ふみ主演で映画化した『蜜のあわれ』が2016年4月1日全国公開されます。今回は、そのあらすじ、キャスト、公開日などの情報をまとめてお伝えします。

室生犀星による幻想文学の傑作「蜜のあわれ」が映画化!

詩、随筆、小説などの様々なスタイルの作品を生み出したことで知られる、大正時代に活躍した異才の文豪、室生犀星。彼が晩年の1959年に執筆した小説、『蜜のあはれ』を『生きてるものはいないのか』や『水の中の八月』など多くの作品を輩出する日本映画界の奇才、石井岳龍監督が映画化します。

その超現実主義(シュールレアリスム)的世界観から映像化は困難と言われ、どのような作品になるのかと注目された本作が、2016年4月1日に公開されます。

気になる物語の内容は…… 『蜜のあわれ』のあらすじ

蜜のあわれ

(C)2015「蜜のあわれ」製作委員会

自らを「あたい」と呼ぶ少女赤子と、彼女が「おじさま」と慕う老作家。親子ほども歳が離れた間柄でしたが、昼はかなりきわどいエロティックな会話を繰り返し、夜はぴったりと体を寄せ合い眠る、耽美的な生活を2人は送っていました。

不可思議でありながらも二人の世界で仲良く暮らす二人。しかし赤子は普通の人間ではありません。彼女には他人には知られないある秘密を持っていました。あるときは人間、そしてあるときひらひらの尾ひれを持つ金魚というふたつの姿を持ち合わせていたのです。

そこにある日、老作家の前に彼を慕っていた女性が現れて……。これをきっかけに、赤子達の身の回りである事件が起きていきます。

名作に命を吹き込むべく実力派キャストが集結

原作は幻想的でファンタジーの要素を持つ不可思議な世界観。そんな作品の映画化はまさに映像で「本を読む」ような感覚になるでしょう。それを表現するには、まさに圧倒的な演技力が求められます。本作では、そんな原作ファンの不安も安心させるような演技派の俳優人が集結しています!

人と金魚の狭間にある少女、赤子を演じるのは二階堂ふみ

二階堂ふみ

二階堂ふみは1994年生まれの若手ながら、2012年の『ヒミズ』でヴェネツア国際映画祭の新人賞にあたるマルチェロ・マストロヤンニ賞を、2014年には『私の男』で日本アカデミー賞優秀女優賞、ニューヨーク・アジア映画祭ライジング・スターアワードを受賞するなど、国内外から高い評価を得ている女優です。

本作ではどこか子供っぽい無邪気な姿を見せることもあれば、セクシーな色っぽい一面も披露する不思議な魅力を持つ赤子を演じます。劇中、二階堂の見せる豊かな喜怒哀楽は作品の基調をも決めている大きな魅力であり、見どころとなっています。普通の人間には彼女の金魚の姿は見えず、野良猫にはそれがばれてしまうというコミカルな要素もあります。人間と金魚、変幻自在な少女という他に類のない変わった役どころです。

昭和の文豪、室生犀星の理想の女性とされた人物像をどう表現するのか楽しみですね。

以前から原作ファンだった二階堂のおもい

蜜のあわれ

(C)2015「蜜のあわれ」製作委員会

二階堂ふみは原作の室生犀星による『蜜のあはれ』を高校生のときに初めて触れたそうです。その頃から赤子の役を切望して、ついに今回その願いが叶ったかたちになりました。二階堂は原作の良さ、自分が演じた赤子の魅力を以下のように語っています。

私はあの頃の時代の小説のフェチズムがすごく強調されているところがとても好きなんです。ロリータコンプレックス的な要素や女性に対しての憧れであったりとか、色んなものが入り混じっていて。今回の私が演じた赤子はすこし自分自身が子供にかえっているような気がしています。すごく無防備で、愛おしいキャラクターです。高野文子さんの漫画の動きをイメージしたり、知り合いの子供がやっていたことを真似してみたりとか、金魚ってこういう動きするかな・・と手探りでやる作業がとても楽しかったです。

金魚でもある、普通の人間ではない赤子という役。二階堂は以前にも猫と狸の役を演じた経験があるとか。今回は3度目の人間ではない、動物の面を持つ役を演じることになります。

赤子と生活を共にする老作家役に大杉漣

大杉漣

出典: prtimes.jp

1951年生まれの大杉漣は、劇団やVシネマなど様々な舞台を経験を経験してきたベテラン俳優です。1993年公開の北野武監督作品『ソナチネ』に抜擢され、一躍名前が知られるようになりました。その後、映画・ドラマなどで幅広く活動し多様な役柄を演じてきました。

本作においては、原作者室生犀星自身を投影したと言われる老作家を演じます。

大杉漣は自身の演じた作家について、

老いゆく作家の儚さ 切なさ 可笑しみ そして あわれ!そんな人物像に愛おしさを強く感じました。

とコメントしました。

老作家に未練を残す幽霊のゆり子役を演じるのは真木よう子

真木よう子

出典: laughy.jp

真木よう子は様々なジャンルの映画に出演し、2013年には、『さよなら渓谷』と『そして父になる』で、日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞と最優秀助演女優賞をW受賞している実力派女優です。本作では、老作家を慕いこの世に蘇った幽霊、ゆり子役で登場します。

本作では全編フィルムで撮影が行われました。今ではデジタルが当たり前の映画界。そんな中でフィルムにこだわった撮影に、真木よう子は喜びを感じたと打ち明けていました。また、撮り直しが効かない緊張感も感じていたようです。

真木は、

今回演じたのは幽霊役なんですが、監督からは「感情がないわけではないんだけれども、どこか生と死の狭間を演じてほしい」と言われて。 そんなこと言われてもできないですよね(笑)。だからこそ役者としてはやりがいがあって、今まで演じたことのない役どころなので面白いなと思い演じました。

と、今までにないような奇妙な役どころについての感想を述べました。

文豪、芥川龍之介役に挑むのは高良健吾

高良健吾

出典: topicks.jp

高良健吾はドラマ『ごくせん』で2005年に俳優デビューし、主に映画で活躍する若手俳優です。若手ながらもその演技力は高く評価され、主演をつとめた『横道世之介』や『悼む人』では主演男優賞も受賞している実力派です。

今回は、石井監督たっての希望で、言わずとしれた実在の文豪、芥川龍之介の幽霊を演じます。老作家の友人として、赤子、ゆり子との3人の関係を見守っていきます。

高良は以下のようにコメントを寄せています。

10代の頃監督の作品に頭を撃ち抜かれた記憶があります。 監督は現場でも、とてもかっこよかった。紳士だった。ロックだった。 僕は芥川龍之介の幽霊の役です。幽霊役も来るようになったかと不思議な喜びも感じました。 石井岳龍監督の世界に参加できた喜びを感じています。

謎多き金魚売りの辰夫役に永瀬正敏

永瀬正敏

永瀬正敏は日本を代表する映画俳優の1人。ジム・ジャームッシュ監督のハリウッド映画『ミステリートレイン』で主演として出演するなど、日本だけでなく世界で評価される演技派俳優です。

本作では、赤子の秘密を知る金魚売りの辰夫として出演します。

他にも注目の演技派のキャスト陣が出演

韓英恵

韓英恵

(C)2015「蜜のあわれ」製作委員会

韓国人の父親と日本人の母親を持つハーフの韓英恵。是枝裕和監督の『誰も知らない』での演技で知られるようになりました。他にも『悪人』や『マイ・バック・ページ』など、重厚な作品に出演しています。

演じる役どころは詳しくわかっておりません。

渋川清彦

渋川清彦 蜜のあわれ

(C)2015「蜜のあわれ」製作委員会

1998年に『ポルノスター』で映画デビューし、2013年には『そして泥船はゆく』で映画初主演を果たした注目の演技派俳優、渋川清彦が出演します。石井岳龍監督が彼に惚れ込み、無理を言って撮影に参加してもらったそうです。

バーテンダー役として出演します。

岩井堂聖子

岩井堂聖子

(C)2015「蜜のあわれ」製作委員会

三池崇史監督の『妖怪大戦争』で2005年にヒロインに抜擢され、その後『奇妙なサーカス』、『シムソンズ』など多くの作品に出演。石井監督作品には2012年にすでに『生きているものはいないか』で出演しています。

映像化困難と言われた世界を演出する石井監督の手腕に注目

原作『蜜のあはれ』

蜜のあはれ 画像

本作の原作となった室生犀星著『蜜のあはれ』は、前編が対話形式で構成されている作品です。その変わった構成や、人間と金魚と幽霊がおりなす物語展開から映像化は難しいとされてきました。

前衛表現の旗手、石井岳龍

石井岳龍

1980年に、石井聰亙の名前で監督した『狂い咲きサンダーロード』で、一躍脚光を浴びた石井は、その後も前衛的な作風で映画界での地位を確固たるものにしました。2010年、石井岳龍に改名したのちも、その姿勢は変わらず、『生きてるものはいないのか』などの作品を世に送り出しています。

果たして監督が室生犀星の紡ぎ出す世界をどうやって表現するのか、その手腕に期待がかかります。

監督の石井はもともと原作者・室生犀星の詩のファンであったとして、今回の映画化の話によって初めて知ったそうです。金魚や幽霊などが登場する幻想的で不思議な世界観を持つ室生犀星の晩年の小説にとても惹かれたと明かしています。このこともあり映画化には初めから意欲的だったようです。

石井監督は撮影について以下のようなコメントを出しています。

今回は以前からお仕事をしたかったけど叶わなかった初めての方々とたくさんご一緒でき、緊張もしましたが同時に大きな喜びでもありました。脚本家港岳彦君はじめ初対面スタッフとの仕事は大いに刺激になりましたが、20年ぶりになった撮影の笠松君との久しぶりのタッグもとても嬉しく充実しました。製作陣とも多くの再会があり記念碑的な作品になっています。現場は時間との闘いで日々乗り切るのに必死でした。原作の持つ面白さ、不思議さをいろんな側面からより映画的に豊かにしたいと欲張りました。

本作では原作のその不可思議な世界観を紡ぎ出すためにファンタジー、エロス、ミュージカルの要素を加えた独特な描写になっているようです。他に類を見ないような映像美術で多くの観客を魅了することは間違いないでしょう。

鬼才の紡ぎ出す映像世界に期待です。

室生の出生地を舞台に描かれる、不思議な三角関係の物語

蜜のあわれ 画像

出典: natalie.mu

蜜のあわれ がぞう

蜜のあわれ 画像4

出典: www.cinra.net

本作の撮影は、室生犀星の地元である石川県金沢市、加賀市を中心の行われました。日本の原風景と言える風光明媚な情景を背景に、人と金魚と幽霊による恋物語が、時にシリアスにまたある時はコミカルに、様々な展開を見せて描かれていきます。

春休みは奇妙な愛の形を観に劇場へ

蜜のあわれ ガゾウ

出典: www.cinra.net

現代に蘇った、稀代の幻想文学、『蜜のあわれ』は2016年4月1日全国公開予定です。