日活ロマンポルノは「映画」です。今こそ見るべき究極の15選【成人映画】

2017年8月22日更新

日活ロマンポルノは、単なる成人向けの官能映画ではありません。多くの人材を輩出したばかりか、純然たる映画作品として高く評価されているものもあります。その中から名作・傑作と評価される16作品を紹介します。

映画作品として高く評価されている日活ロマンポルノとは!?

多くのヒット作品を製作し日本映画の黄金時代を支えてきた日活。ところが、1960年代後半から始まった映画観客数減少や経営難から、低予算かつ利益率の高いジャンルである成人映画を作るようになりました。これが「日活ロマンポルノ」の誕生です。1971年から88年の17年間で約1,100本もの作品を量産しました。

2011年には、誕生40周年を記念して「日活ロマンポルノ名作選」ロードショー。2012年には日活創立100周年記念企画「生きつづけるロマンポルノ」開催など、今も人気が衰えることはありません。2015年にはついに名だたる監督を起用し、新作を製作することが発表されています。

多くのスターや映画人を生み出す

成人映画ながら、出演した女優達はその後メジャー映画やテレビの世界に巣立っていきます。白川和子、谷ナオミ、宮下順子、鹿沼えり、東てる美、風祭ゆき、美保純らを輩出しました。

女優だけでなく、若手映画人として参加し、その後飛躍していった監督や男優もいます。監督では、神代辰巳、石井隆、周防正行、相米慎二、滝田洋二郎、森田芳光ら、男優には、石橋蓮司、風間杜夫、内藤剛志などがそうです。

これら才能に支えられた日活ロマンポルノは、単なる成人映画ではなく、れっきとした大人の鑑賞に耐えうる映画作品として高く評価されているものも数多くあります。

1:白川和子主演、日活ロマンポルノ伝説の第一作【1971】

southpumpkin 日活ロマンポルノ記念すべき第一作目。実はその他作品に比べてとても面白い、という映画ではなかったように思います。 コンクリートジャングルの中に押し込められた妻。魔が差して昔の男とホテルに行きますが、実は弱みを握られていて…。おそらくあまりにも本作をイメージしているものが多いのでしょう、普通にポルノを見ているような気分になりました。挑戦的な映像も少ないし。日活ロマンポルノに対しては作家性、芸術性を求めている分、少し物足りない気分に。そういう意味では「そうして私はコールガールの道を…」とのコメントで始まる回想シーンはとても良かったです。 園子温『恋の罪』の神楽坂恵パートは本作から影響を受けているのでしょう。とてもよく似ています。

日活ロマンポルノの第1作目となる記念碑的作品です。主人公を、初期の日活ロマンポルノを代表する女優となった白川和子が演じ、監督は、「マスター・オブ・ロマンポルノ」の称号を持つ西村昭五郎が担当しました。

都内近郊の団地で、鬱屈した生活に不満を覚えていた主婦が、隣人の誘いで、次第にコールガールの世界に足を踏み入れていきます。専業主婦の不満と開眼を描き、フェミニズムの観点から論じられることも多い作品です。

2:原作・中上健次、監督・神代辰巳で描く屈指の名作【1979】

昭和を代表する純文学作家である中上健次の短編『赫髪』を原作に、今や大御所の荒井晴彦が脚本を手掛け、のちに日本映画を代表する監督の一人となる神代辰巳がメガフォンをとった作品です。

ダンプカーの運転手と、道で拾った赫い髪の女がアパートの一室でひたすら性愛にふけるさまを絶妙のカメラワークで鮮烈に描いています。ヒロインには宮下順子が扮し、運転手を石橋蓮司が演じました。日活ロマンポルノを代表する傑作のひとつとして評価されています。

3:海辺の街を舞台に、神代辰巳が描くみずみずしい青春模様【1973】

恋人たちは濡れた

海辺の田舎町を舞台に、5年振りに故郷の土を踏んだ青年と1組の男女のやるせない関係を、神代辰巳監督が独特のタッチで描きました。

小劇場出身の大江徹を主人公に、ロマンポルノの人気女優・中川梨絵をヒロインに迎え、神代独特の世界観が描かれます。浜辺で裸の男女3人が馬跳びをするなど、名シーンも多い、青春映画の傑作になりました。

4:橋本治原作、女子大生二人を描く青春ガールズムービーの傑作【1978】

陽気で奔放なレナと、消極的な処女である裕子。対照的な性格の女子大生二人が、自由にアバンチュールを楽しむ姿を描いた青春官能映画です。

原作は、小説現代新人賞を受賞した橋本治の同名小説。脚本を務めているのが、のちにテレビの名作ドラマを多数手がける金子成人です。

思春期を迎えた女子大生の感性をみずみずしく描き、官能的でありながら、どこか乾いたタッチが高く評価されています。とりわけレナを演じた竹田かほりの魅力全開!

5:性の暴力と狂気を描き、シリーズ二作目にして傑作との評価【1979】

southpumpkin 数ある日活ロマンポルノの中でも最も有名な一本とされる映画。成人誌出版社に勤めるカメラマンがとあるビデオ映像で出会った女性に恋をします。運命の下り坂を転げ落ちる女性に惹かれた男が何とか救おうとするものの、見事にすれ違います。退廃的な女性の魅力というのでしょうか、開き直っていた女性が最後の見せる表情には注目です。 本作は女優の可愛さ、もそうですが蟹江敬三の演技に見惚れてしまいます。男がなぜ女に惚れたのか説明はなされていませんが、蟹江敬三のその表情に答えが隠れているような気がします。『赤い淫画』と同じく女性が望みもしないビデオに出演するというのは同じですが、こちらは心情描写に寄っていたような気がします。ポルノ映画なのにこんなにしっとりと表情を見せる映画があるでしょうか。ただ、個人的には映像的テクニックにパワーが込められた『赤い淫画』の方が好きです。
Qua_moon ラスト素晴らしい!堕ちていくヒロインの殺伐とした色気素晴らしい!恋の罪のミツコはこういうところからインスピレーション受けてるのかなと勝手に想像。ポルノを馬鹿にするつもりはないけど、「ポルノなのにこの素敵なストーリー!」と感動してしまった。蟹江敬三さん、素晴らしい演技。

週刊ヤングコミック連載の石井隆による『天使のはらわた』を原作に、石井と監督の曽根中生が共同脚本を手掛けた本作。前作『女高生 天使のはらわた』に続くシリーズ二作目です。

暴行現場を撮影され、ブルーフィルムが市場へ出回ってしまったことから、地獄の生活へと転落していく女の姿を描きます。ヒロインに扮したのは、水原ゆう紀。またポルノ雑誌の編集者・村木役で蟹江敬三が登場します。

6:豪華キャストで描く、大人の男女のやるせない関係【1983】

中年を迎えつつある夫婦、夫の友人、その若い愛人の関係と官能の日々をやるせなく赤裸々に描きます。彼らに扮したのは、日本を代表する役者たち、大谷直子、石田えり、柄本明、岸部一徳です。

原作は、中山千夏の同名小説。監督は『スローなブギにしてくれ』や『ダイアモンドは傷つかない』の藤田敏八、脚本は荒井晴彦、宇崎竜童が音楽を担当と、すべてにおいて一流スタッフによって製作された豪華作品です。

7:京都を舞台にした、独特の映像イメージが印象的秀作【1973】

『昼下がりの情事 古都曼陀羅』

一人の老画家と養女との異常な関係を描いた、初期の名作に数えられる一作です。年頃になった養女をお見合いさせては肉体を弄び、色欲の泥沼にはまり込んでいく老画家の姿を描きます。

脚本を担当したのは中島丈博。山科ゆり、宮下順子の女優陣の他、若き風間杜夫が出演していることでも知られています。前田米造が撮影した、京都の観念的なイメージシーンが印象的です。

8:ストリップの女王・一条さゆりの半生を、神代辰巳監督が描いた傑作【1972】

関西ストリップの女王として一世を風靡した一条さゆりの半生を、神代辰巳監督が虚実ない交ぜに描き、一大センセーションを巻き起こした、日活ロマンポルノを代表する名作のひとつです。単なる成人映画の枠を飛び越え、その年のキネマ旬報日本映画ベストテン第8位に輝くほどの高い評価を得ました。

不動の人気誇るストリップの女王としてだけなく、引退興行では、公然わいせつ罪として警察に逮捕された一条さゆり本人が、主人公を演じます。また、さゆりにライバル心を抱く新人ストリッパーに扮した伊佐山ひろ子の魅力も見逃せません。

9:SMショーで生計をたてる男女のやるせない関係を描くポルノ映画【1983】

京都のストリップ劇場を舞台に、別れようとして離れられない、SMショーに出演する男女・小夜と功の関係を描きます。

小夜に扮したのは松川ナミ、そして功を演じているのは田山涼成です。監督は、谷ナオミ以来、『軽井沢夫人』などSM世界の極致を追求してきた小沼勝が担当しています。

10:性に溺れていく上流階級令嬢の悲劇を描いた衝撃作【1972】

偶然、母と祖父の近親相姦を目撃して以来、淫蕩の血が目覚め、性に溺れていく令嬢。テレフォンセックス、乱交パーティーなど、あらゆる官能を交えながら描き、戦慄のインパクトを残しました。

上映最終日に、猥褻映画として警察に摘発されるといういわくつきの作品です。そうしたことから、ヒロインを演じた田中真理は、「ロマンポルノのジャンヌ・ダルク」とも呼ばれました。

11:日活アクション映画を彷彿とさせる暴力ポルノの傑作【1976】

southpumpkin 初めて鑑賞した日活ロマンポルノなのですが、後々調べてみるとかなり異端な作品だったようです。「あぶない刑事」「相棒」シリーズで名を成した長谷部安春監督の日活時代の作品。ドラマシリーズでは観られないキレってキレの演出が素晴らしい。ポルノ映画として10分に一回お色気シーンが有る、というのが物語上の良い意味で制約となっていることがわかります。 人を轢き殺したことが快感となってしまったカップルが人を殺しまくる、というサイコキラーもの。いちいち演出が画期的でヌーヴェルバーグの香り漂う傑作でした。個人的に最高だなあ、と思ったのが廃ボーリング場での殺害からのお色気シーン。殺された女股下からのあの映像キレッキレです。さらにオープニングのタイトルカットは名作と名高いですね。 これからしばらく日活ロマンポルノを見漁る日々が始まりそうです。 ところでciatrって日活ロマンポルノも登録できるんですよ!みなさんもぜひ!

桂千穂の脚本を長谷部安春が監督した本作。日活アクション映画の雰囲気を引き継ぐ、暴力を柱に据えたロマンポルノの傑作です。殺人でしか快楽を得られなくなった若い男女・ユリとケンの異常な関係を描きます。

桂たまき、山科ゆりの他、岡本麗も出演しています。音楽のスキャットも印象的な異色作にして傑作との誉れ高い作品となりました。