2017年7月6日更新

大滝秀治、「お前の話はつまらん」でも有名な人気俳優を紹介!

このページにはプロモーションが含まれています
大滝秀治

AD

日本を代表する名優・大滝秀治のプロフィール

大滝秀治は、1925年6月6日に新潟県上越市で生まれ、東京府東京市本郷区(現在の文京区)で育ちました。血液型はO型で、星座はふたご座です。 1943年に旧制私立駒込中学校卒業後は電話局に勤務し、戦時中は通信兵として従軍していました。戦後も引き続き電話局で働いていましたが、1948年、チラシを見て応募し、東京民衆芸術劇場附属俳優養成所に1期生で入所します。翌年には『風の吹く一幕』で初舞台を踏み、役者の道を歩み始めました。 その後は、2012年10月2日に87歳で亡くなるまで、60年あまり、多くの映画やドラマ、舞台で活躍した日本を代表する名優の一人だったことは言うまでもありません。その功績が高く評価され、1988年には紫綬褒章、2011年には文化功労者に選ばれています。 下積み時代含め、まずはそのキャリアを振り返ってみます。

舞台俳優として役者人生スタートさせた大滝秀治

1950年、宇野重吉、滝沢修、北林谷栄らよって、東京民衆芸術劇場を前身とする、劇団民藝が創設され、大滝秀治も参加します。旗揚げ公演の『かもめ』に出演し、正式に役者デビューしました。 1952年には生劇団員に昇格するも、長年裏方として下積み時代が続きます。45歳になった1970年、舞台『審判』で紀伊國屋演劇賞を受賞後、ようやく看板俳優の一人として認められるようになりました。 それ以後、民藝の舞台には、亡くなるまで立ち続けます。2010年には「四谷怪談」をもとにした芝居『どろんどろん』に出演し、鶴屋南北を見事に演じていました。 遺作舞台は2011年の『帰還』です。実は2012年にも主演舞台が予定されていましたが、病気療養を理由に止む無く降板しています。

独特の個性を放ち、多くの名作映画で見せた圧倒的存在感

『金環蝕』など山本薩夫監督作品

社会派監督で知られる山本薩夫の手掛けた作品において、たびたび政治家を演じましたが、1975年の『金環蝕』はそのうちの一作です。実際に起きた事件と実在の人物をもとに、政党や政治家が絡んだダム建設汚職事件を描き、その年のキネマ旬報年間第3位にランキングされました。 大滝秀治は、高橋等をモデルにした法務大臣の神原孝を演じています。その他の山本作品の出演作には、『華麗なる一族』や『不毛地帯』などがあります。

『犬神家の一族』など「金田一耕助」シリーズ

市川崑監督で映画化された、横溝正史原作の「金田一耕助」シリーズの常連でした。なんといっても代表作は1976年公開の『犬神家の一族』です。信州を舞台に、犬神一族の莫大な遺産をめぐる血縁者たちの悲惨な殺人事件を描き、大ヒットを記録しました。 大滝秀治は、裏事情を知る大山神官を演じています。その他、『悪魔の手毬唄』『獄門島』『女王蜂』などあり、一時代を築く作品シリーズとなりました。ちなみに、2006年のリメイクでも同役を演じています。

『マルサの女』など伊丹十三監督作品

市川崑監督同様、大滝秀治を気に入り、重用したのが伊丹十三監督です。『お葬式』『タンポポ』『あげまん』『ミンボーの女』など、この時期のほとんど全作品に、脇ながら強烈な印象を残す役柄で出演しています。 脱税をしぶとく見逃さない国税局の女捜査官を描いた、1987年の『マルサの女』では、宮本信子演じるヒロインの気のいい上司・露口を演じていました。

晩年には『春との旅』などで円熟した演技

晩年には円熟味を極めた名優として、凄みすらある演技を披露しています。祖父と孫のあてどない旅を描いた、小林政広監督による2010年の映画『春との旅』では、仲代達矢演じる主人公の兄・金本重男を演じ、少ない出番ながら味わいある名演を残しています。

テレビドラマでも多大な活躍を見せた大滝秀治!

『うちのホンカン』【1975-81年】

倉本聰脚本、TBS系列の「東芝日曜劇場」で長年にわたり放送された連続ドラマが『うちのホンカン』です。北海道の田舎町を舞台に、小さな駐在所で働く巡査のほのぼのとした活躍を描いています。 大滝秀治は、「ホンカン」こと巡査の河西公吉を演じ、まさにはまり役としてお茶の間の人気を博しました。妻のさちを演じたのは八千草薫です。第23回日本民間放送連盟賞最優秀賞を受賞しています。

『特捜最前線』【1977-87年】

警視庁特命捜査課の刑事たちが、様々な事件を解決していく重厚な人間ドラマ『特捜最前線』は、10年間に渡って放送される人気シリーズになりました。 二谷英明や藤岡弘らに混じり、大滝秀治はベテラン警部補の一人である船村一平を演じました。メンバーから「おやじさん」と呼ばれる愛されキャラで、視聴者からの人気も抜群でした。

『北の国から』【1981年】

『うちのホンカン』の倉本聰が再び手掛け、国民的ヒットドラマとなった『北の国から』。北海道の大自然を舞台に繰り広げられる家族の物語で、大滝秀治は、田中邦衛扮する主人公の従兄・北村清吉を演じていました。 劇中では、岩城滉一演じる息子の草太とともに牧場を経営していました。

NHK大河ドラマ『毛利元就』他

NHK大河ドラマは、1964年の『赤穂浪士』に始まり、なんと合計8作品に出演しています。最後の出演作となったのが、1997年の『毛利元就』です。タイトル通り、戦国時代の武将・毛利元就の生涯を描いたドラマで、主人公を演じたのは中村橋之助です。 大滝秀治は、元就に仏の教えを説く僧侶である榮秀を、さすが独特の存在感で演じています。

関根勤のものまねで若者の間でもブレイク

大滝秀治の独特の風貌と喋り口調を真似た関根勤のものまねは大人気となり、大滝の名が若年層まで広がり、幅広く愛されるきっかけになりました。 このものまねは、大滝秀治本人も公認であり、二人はバラエティ番組で共演したこともあります。

大滝秀治の「お前の話はつまらん」が流行語に!

2002年から放送された金鳥のCMで、共演の岸部一徳に向かって「お前の話はつまらん」というセリフは、大変な流行語になりました。関根勤も見事に真似ています。 頑固でありながら、ユーモラスな親父ぶりを発揮する、大滝秀治独特の存在感あってのセリフでした。2004年の東京コピーライターズクラブ賞において、グランプリを受賞しています。

遺作『あなたへ』を残し、惜しまれつつ逝った名優

降旗康男監督で、2012年8月25日に公開された映画『あなたへ』は、主演した高倉健、そして大滝秀治、期せずして二人の名優の遺作になってしまいました。 刑務所で働く指導教官の倉島英二が、妻の遺骨を故郷に散骨するため旅に出た先々で様々な人々に出会い、妻を知る物語です。大滝秀治は、漁師の大浦吾郎役で登場し、高倉健との掛け合いでは、心に残る名シーンと名台詞を残しました。 映画公開後まもない10月2日、大滝秀治は、肺扁平上皮がんにより他界します。撮影時、大滝の演技に涙を流したという高倉健は、訃報を受け、以下のコメントを残しています。
「大滝さんが今年に入り体調を崩され、入院なさっている間、お手紙の遣り取りを続けておりました。大滝さんの最後のお仕事の相手を務めさせていただき、感謝しております」「今までにご一緒させていただいたいろいろな場面が思い浮かびます。本当に素晴らしい先輩でした。静かなお別れができました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。合掌」
引用:eiga.com/
大滝秀治は、本作で第36回日本アカデミー賞の最優秀助演男優賞を受賞し、死後、見事な形で俳優人生に幕を下ろしました。