2017年7月6日更新

映画『スティング』にまつわるトリッキーな13の事実【どんでん返しの大名作】

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スティング

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1.賭博師ゴンドルフは当初、太った老いぼれだった。

オリジナル脚本では、ゴンドルフは端役にすぎず、老いたビール腹のぶっきらぼうな男として描かれていました。プロデューサーも主役には別の人物を考えていましたが、脚本を気に入ったニューマンのたっての願いで、ゴンドルフは主役級の人物に書き変えられたのです。

2.ビッグスターの再共演は期待外れ?

1970年代初頭において、世界的なビッグスターのニューマンとレッドフォードが主演した『明日に向かって撃て!』のヒットが、二人の人気に拍車をかけ、人々の心に鮮烈な印象を残しました。 (役名、原題もブッチ・キャシディとサンダンス・キッド。レッドフォードが始めた映画祭のサンダンスはこの名前が由来) 当初は脚本家ウォードが監督をしたかったようですが、レッドフォードがウォードでは、役不足と判断。ジョージ・ロイ・ヒル監督がサインした後、レッドフォードも契約し、上記のいきさつで、ニューマンも加わわったのです。 この二人の再演が魅力的であればあるほど、お互いを裏切り、騙し合うという『スティング』での役柄が観客に受け入れられるかどうか不安だったそうです。サスペンスの緊迫感を失うのではないかとスタジオ側は懸念しましたが、そんな不安をヒル監督がなだめました。

3.脚本を読んだだけでオスカー受賞を確信していた!

プロデューサーのマイケル・フィリップスと妻ジュリア、およびトニー・ビルは後のインタビューでこう語っています。「撮影開始前にすでにオスカーでのスピーチのリハーサルをしていた」と。 事実、『ステイング』はオスカー7部門受賞の栄光に輝いたのです。まさに筋書き通り!

4.あの超有名映画で使い回された、ダイナーのセット!

『スティング』でロネガンと詐欺師フッカー(レッドフォード)が出会うシーンで使われたユニバーサル・スタジオで撮影されたダイナーは、内装を一新し、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマーティ(マイケル・J・フォックス)が若き自分のパパに出会うシーンに登場したダイナーに生まれ変わりました。 思いもよらないこの種の使い回しはよくあることです。

5.ノスタルジックな1930年代を彷彿!

監督は、1930年代当時の映画で使われていた独特の技法を取り入れました。例えば、映画の冒頭に昔のユニバーサルロゴを使用し、のっけからノスタルジックな世界に観客を引き込もうとしました。 円が閉じたり開いたりする007でお馴染みのアイリスショット編集他、あらゆる手法で、観客をその時代へといざなったのです。 また、クレジットと章の切り替えに使われた印象的なイラストも、ノーマン・ロックウェルのイラストが表紙を飾る、1930年代当時、大人気だった週刊誌「サタデー・イブニング・ポスト」にインスパイアーされたものだそうです。

6.誰もが知ってる名曲!

1900年初頭にブームとなったスコット・ジョプリンのラグタイムは古臭く、皆から忘れ去られていたのですが、ピアニストのジョシュア・リフキンにより復活しミリオンセラーになりました。 ジョプリン・マニアのヒル監督が『スティング』のサントラ曲として使用。1974年5月と6月の5週間にわたり、並み居るロックミュージックを蹴落として、米国で最も権威のある音楽チャート・ビルボードの1位を独占したのです。

7.足を引きずるロバート・ショウ、実は演技じゃなかった

大物ギャングのボス、ドイル・ロネガンを演じたロバート・ショウ(←『ジョーズ』の餌食になった人)は、撮影が始まる二日前、ラケットボールのプレイ中に滑って転び、脚を負傷。 脚のギプスは当時流行の幅広のズボンのおかげでうまく隠すことができました。ヒル監督は負傷をあえてロネガン自身の身体的特徴として生かし、撮影に臨んだのです。観客は見事に騙されたことでしょう。

8.映画の中の小道具「銃」!

詐欺の総仕上げの前に、ゴンドルフはFBIの襲撃に備えて、スミス&ウェッソン(S&W)社が開発した回転式拳銃を準備します。これは、1899年に開発された「ミリタリー&ポリス」モデル10の銃身を短くしたものです。モデル10は改良され続け、世界で最も人気のある38口径銃として定着しています。

9.最高額!レッドフォードとニューマンの出演料!

当時の俳優にとって最高の出演料としてそれぞれ50万ドルが支払われました。今の物価に換算すると2700万ドル(27億円)に相当します。現在、大スターの出演料は10万〜2000万ドルが相場。1973年以降、俳優の出演料は上昇し続けています。ちなみに『アイアンマン』のロバート・ダウニーJrは58億円でトップを爆走中です。

10.盗作疑惑、訴訟件数は少なくとも4件!

『スティング』の脚本は、デヴィッド・W. モラーが1940年に書いた「詐欺師入門」の盗作だと訴えられました。ユニバーサルは30万ドルを即支払い、幕引きをしましたが、脚本家のデヴィッド・S・ウォードは資料としていろんな本を参考にはしたが、盗作はしてないと怒りが収まらない様子。 宣伝用パンフにモラーの本の内容をそのまま引用したのは、ユニバーサルの落ち度だからしょうがないですが。 その後も、「詐欺師入門」の著作権を買い取った会社から訴訟を起こされたり、ニューマンもカリフォルニア州を相手取り、所得税の払い過ぎに関して訴訟を起こし、勝訴したりと、虚構と現実、金銭がらみの揉め事が妙にリンクしてしまっています。

10.シカゴでの撮影はたったの3日間!

シカゴの市長リチャード・J・デイリーはシカゴにネガティヴなイメージを植え付けられては困ると2年間撮影を拒否していましたが、『スティング』のプロデューサーに3日間の撮影を許可しました。 ロケ地となったシカゴのユニオン・ステーションに集まった群衆の熱狂ぶりはまるで、1964年にビートルズが来訪した時のようだったそうです。

11.華麗なる手さばき、カードを操る手の代役

技術顧問のジョン・スカルネがニューマンのカードの手さばきの代役を演じました。すべてのカードルーチンを習得するには長時間かかるため、巧妙なカメラワークとカットでスカルネの手をニューマンの手に見せかけたのです。

12.レッドフォードは完成した『スティング』を観てなかった!

2004年6月、孫と一緒に全編通して見たのが最初だと『アクターズ・スタジオ・インタビュー』の中で語っています。さすが大スター!直後に『華麗なるギャッツビー』の長期の撮影が入り、その後も、自らが始めた「サンダンス映画祭」のエントリー作品が山積みだったりと多忙が重なり、観る機会を失ったんだとか。

13.ポール・ニューマンは真のトリック好き!

大の「ポルシェ」ファンで自家用車もポルシェな二人。撮影中、ニューマンはレッドフォードのキーを盗り、車を隠し、誰かがポルシェを盗んだように見せかけました。ニューマンは時に悪ふざけが過ぎることもありましたが、人を笑わせる愉快な性格。お互いふざけ合い、公私ともに非常に仲が良かったとレッドフォードは語っています。