映画『作家、本当のJ・T・リロイ』【ローラ・アルバートが生み出した謎の美少年作家】
ローラ・アルバートが謎の美少年作家について語る!映画『作家、本当のJ.T.リロイ』2017年4月8日公開
少年作家J.T.リロイによる自伝『サラ、神に背いた少年』は、男娼としての実体験をもとにしたという衝撃的な内容でセレブや著名人の心を掴み、世界的な話題作となりました。しかし2006年にニューヨーク・タイムスがJ.T.リロイは架空の人物であり、サンフランシスコに住むローラ・アルバートによって創り上げられた存在だと報じ世間を驚かせます。 本作はこの架空の作家を取り巻く事件の真相に迫ったドキュメンタリーです。 監督を務めたジェフ・フォイヤージークのドキュメンタリー映画『悪魔とダニエル・ジョンストン』は、2005年のサンダンス映画祭で監督賞に輝きました。
映画『作家、本当のJ・T・リロイ』のあらすじ
J.T.リロイを生み出した作家ローラ・アルバート本人への取材に加え、当時彼と親交のあった有名人との記録されたやり取りを検証していきます。 この記録には、映画監督のガス・ヴァン・サント、シンガーソングライターのトム・ウェイツ、ミュージシャンで女優としても活動するコートニー・ラブ、ロックバンド スマッシング・パンプキンズのビリー・コーガンといった名前が登場します。内面から湧き上がる抑えきれない創作への衝動や、自己を表現する唯一の手段としてのJ.T.リロイの存在が、ローラ・アルバートによって語られます。
映画『作家、本当のJ・T・リロイ』のキャスト
ローラ・アルバート
『サラ、神に背いた少年』『サラ、いつわりの祈り』をJ.T.リロイとして発表したローラ・アルバート本人が、取材に答えています。自分がリロイであることを認めた彼女は、その後も作家として活動しています。
デニス・クーパー
デニス・クーパーはJ.T.リロイからの投稿を、最初に受け取った作家です。彼が本人なのではないかと噂されたこともありました。代表作には、ゲイの少年たち主人公にしたラブストーリー『クローサー』があります。
ブルース・ベンダーソン
J.T.リロイをデニス・クーパーから紹介され、リロイの才能に惚れ込んだ作家の一人です。
ウィノナ・ライダー
『シザーハンズ』『17歳のカルテ』『ブラック・スワン』などで知られる女優のウィノナ・ライダーは、プライベートでJ.T.リロイと親しい関係にあったと言われています。映画化された『サラ、いつわりの祈り』にも出演しています。
アイラ・シルバーバーグ
アイラ・シルバーバーグはJ.T.リロイの著作権代理人です。ニューヨーク・タイムスによるリロイは存在しないとする暴露記事で、彼を良く知る人物としてシルバーバーグのコメントが掲載されました。
謎の作家J・T・リロイが携わった小説、映画
小説『サラ、神に背いた少年』
アメリカ南部の田舎町で、娼婦である母の真似をして男娼を始めた少年が禁断の世界へ踏み込んでいく姿を綴った、J.T.リロイの自伝小説です。
小説『サラ、いつわりの祈り』
少年ジェレマイアが母サラと共に全米各地を放浪していた時期に書き溜めた小説を、短編集として発表した作品です。
映画『エレファント』
映画監督ガス・ヴァン・サントがJ.T.リロイの才能に魅了され脚本の執筆を依頼し、その脚本の一部をもとに製作されたのが『エレファント』です。アメリカ・コロンバイン高校で起こった銃乱射事件を題材としています。2003年のカンヌ映画祭ではパルムドールと監督賞に輝きました。
映画『サラ、いつわりの祈り』
イタリア映画界の巨匠ダリオ・アルジェントの娘であるアーシア・アルジェントが、J.T.リロイの小説『サラ、いつわりの祈り』を原作に映画化しました。
メディアに登場したJ.T.リロイの正体は?
J.T.リロイは小説が発表された直後は、シャイな性格を理由に公の場に姿を現すことがありませんでした。しかし時がたつにつれ周囲からの要望に抗うことができなくなり、ウィッグに大きなサングラスという出で立ちでメディアに姿を見せるようになります。 その後、彼の存在が偽りであると暴露されると同時に、謎の作家を演じていたのはサバンナ・ヌープという女性であることが明かされます。 彼女はローラ・アルバートの事件当時の恋人ジェフリー・ヌープの妹であり、メディアからの追求を交わしきれなくなったローラが依頼したリロイの代役でした。