2023年3月1日更新

スプラッター描写強制克服プログラム【グロ映画苦手さん必見】

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ソウ ザファイナル、saw
(C)2010 Lions Gate Films Inc. ALL Rights Reserved.

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皆さんはグロテスクな映画を観ることができますか?

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当然ですが、血のたくさん出る(スプラッター描写)シーンで本当に血が出ているわけではありません。 全てはフィクション、作り物なのです。役者の演技力ももちろんのこと、スプラッターを如何に本物らしく撮るか、という製作側の腕の見せ所。そんなこだわりのシーンに対して、グロ映画苦手さんは突然画面から目を背けることを余儀なくされます。これはあまりに勿体無い。 グロ映画苦手さんの悲運はこれだけではありません。あらかじめ映画のグロテスクな描写の程度を調べてから鑑賞しなければならないのです。本来なら驚いてほしいショッキングシーンを鑑賞前に知ってしまうのはとても悲しいこと。スプラッター描写を問題なく鑑賞できる人と比べると、映画鑑賞の楽しさは劣ってしまいます。 グロ映画好きになる必要はありません。しかしスプラッター描写を直視できた方が、映画鑑賞の楽しみはグッと広がります。この記事では「スプラッター描写強制克服プログラム」と題して、グロ映画苦手さんがスプラッター描写に慣れていけるような順番で映画を紹介していきます。 ぜひグロ映画苦手さんに挑戦して欲しいプログラムですが、キツかったらすぐにリタイアして『トイストーリー3』の鑑賞を開始してください。

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【ステージ1】痛快アクションコメディで血みどろを笑い飛ばせ!

本プログラムの最初に紹介するのは、スプラッター描写が多めのアクションコメディです。これらの映画はホラー映画でのスプラッター描写と違って、観客を怖がらせることを目的としていません。コメディのスパイスとして悪趣味な血しぶきを映しています。

【ステージ1-1】 少女が大人を血祭りに!

『キック・アス』(2010年)

キック・アス  クロエ・グレース・モレッツ
(C)KA Films LP. All Rights Reserved.

日本でも大人気となった『キングスマン』シリーズでおなじみマシュー・ヴォーン監督の人気に火がついた映画が『キック・アス』です。ヒーローに憧れるダメダメな青年ととにかく強い少女ヒットガールが大活躍します。 本作のポイントは、ちゃんと血が出るところです。仮面ライダーや戦隊モノの戦いでは絶対に血は噴き出しません。しかし『キック・アス』では、ヒットガールが打ち込んだ銃弾がきちんと人体に着地し、血を溢れさせます。かわいいクロエ・グレース・モレッツが爽快なテンポの音楽に合わせて、黒スーツの男どもを血祭りにあげていくクライマックスは最アンド高。 「いたいけな少女になんてことを……!」という倫理観が邪魔して鑑賞に耐えない方もいるはずです。大いにわかります。そういった方は残念ながらこの後に紹介する映画はどれも観ることができないでしょう。すぐにでも『ベイブ/都会へ行く』を観始めるべきです。

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【ステージ1-2】抱腹絶倒コメディのスパイスがグロ

『ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-』(2008年)

『キック・アス』なら余裕で鑑賞できる、という皆さんは『ホット・ファズ』などいかがでしょうか。監督のエドガー・ライトは『ベイビー・ドライバー』で知られていますが、元々はサイモン・ペッグ、ニック・フロストを主演にしたコメディ映画で名を馳せた人物です。『ショーン・オブ・ザ・デッド』という傑作はさておき、ここで紹介するのは『ホット・ファズ』。 サイモン・ペッグ演じる優秀な警察官が左遷され、閉鎖的な村へ。その村の秘密を暴いていくアクションコメディ映画です。コメディ映画と侮るなかれ、ちょっとキツめのスプラッターが挿入されています。生首がゴロンとなっていたり、串刺しになったり過激ではありますが、シーンとしては少なめ。何より最高に面白く、途中で諦めたくなくなります。最後まで鑑賞することで、スプラッター描写のある映画を観てやったぞ!という自信を身につけましょう。 グロ映画苦手さんに学んでいただきたいのは「映画に出てくる血は笑ってもいい」ということ。映画鑑賞中くらい背負った倫理観を下ろしてもいいんじゃないでしょうか。 ステージ2に行く前に、この方向性でもう1本観ておきたいという方は『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら』がオススメ。『ホット・ファズ』と比べてやや過激なコメディ映画です。

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【ステージ2】グロいシリーズの第1作目はいい練習に

シリーズを経るごとにスプラッター描写が過激になるのはシリーズもののホラー映画にありがち。 グロいグロいと言われているシリーズものホラーの第1作目は、実はそれほどグロくなかったりします。痛そうな描写も混じっているためステージ1よりも真実味が増しており、グロ映画苦手さんが次に乗り越えるべき壁がここにはあります。

【ステージ2-1】みんな知ってるグロ映画だけど、実はそんなに……?

『ソウ』(2004年)

グロい映画といえば…?という問いに多くの人が即答するであろう大人気シリーズ「ソウ」。 とにかくグロいという情報が先行し、グロ映画苦手さんが鑑賞するには厳しい映画のように思えます。しかし本格的にグロいのは2以降(おすすめは3)。1はストーリーに重点を置いています。グロさと同じくらい有名な本シリーズのどんでん返しは1が最高潮。徐々に明らかになる真実と、呆気にとられるほど驚きのラストは最高です。 なるべく情報を入れずに鑑賞していただきたいのですが、乗り越えてほしいグロシーンは鎖に繋がれた足を切断するシーン。ステージ1と違って、痛さが画面から滲み出します。

【ステージ2-2】通称ピタゴラスイッ死

『ファイナル・デスティネーション』(2001年)

グロ映画好きが酒を飲み始めると、2次回くらいで話題に上がるのがこの映画。多くのシリーズがありますが、物語のプロットは一貫しています。それは、「大事故を偶然にも予見した本来なら死ぬべき人々が、事故後順番に超自然的な力によって死んでいく」というもの。 第1作目『ファイナル・デスティネーション』からこのプロットは完成されており、あとはどのように人々が死んでいくかを暖かく見守るだけ。この映画シリーズは重ねるごとに死が過激となり(おすすめは3)、それをエンターテイメントとして扱う姿勢から批判される声もあります。 しかし第1作目はそれほど派手でなく、本プログラムにはぴったり。血が飛び散ったり、包丁が突き刺さったりする程度なのでもしかすると『ホット・ファズ』よりも易しいのではないでしょうか。

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【ステージ3】韓国映画の暴力はグロくて痛い

ステージ2まではギリギリ笑えるグロさでしたが、ステージ3からは全く笑えません。このステージでは超過激バイオレンス映画の産出国である韓国より、数本紹介します。 グロさはそこそこに、痛さに慣れるのが本プログラムの最重要課題です。映画での痛みは料理の辛味に似る。辛いもの好きは辛味を楽しんでいるのです。皆さんも映画での痛みを楽しめるようになってください。

【ステージ3-1】韓国ノワールはエグい

『チェイサー』(2009年)

デリヘルの元締めとデリヘルを連続拉致監禁殺害した男との壮絶な戦いを描いた本作。実はこの映画、血がザバザバと吹き出すような映画ではありません。血はしっとりと髪を濡らしむせ返るような生臭さを感じさせます。まさに韓国ノワールの真骨頂。 本作の見どころはスリリングな痛さです。拘束された女の上に跨る男の手にはカナヅチとノミ。男は女の頭を割ろうとしているのでしょうか、しかし女が暴れるせいでなかなか当たらない……。まさに精神的スプラッター。

【ステージ3-2】「血みどろ」と書いて「カタルシス」と読む

『アシュラ』(2016年)

極悪な市長と、彼の検挙を目指す検事との間で1人の刑事が翻弄される……。本作も韓国ノワールと言える映画ですが、『チェイサー』とはまた一味違います。 刑事が翻弄され続けた挙句「うるせえ!みんな○ね!!」とばかりにむちゃくちゃにしてしまうのが本作のクライマックス。観たことないくらいのヤケクソですが、そのヤケクソに花を添えるのがスプラッター描写です。飛び散る血とグチョ音。 本作クライマックスのアクションシーンを観たらもう『キック・アス』じゃ満足できなくなるかもしれません。スーツを着た奴らの血みどろな世界にヒットガールなんていないのです。

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【最終ステージ】いよいよ本気のグロ映画へ…!

グロ映画苦手さん、よくぞここまでたどり着きました。かなり血には慣れてきたのではないでしょうか。これまで観てきた血の量を思い出し、経験を自信に変えていよいよ最終ステージです。

【最終ステージ】スプラッター映画の良さが凝縮

『死霊のはらわた』(1981年)

山奥の小屋に遊びに来た若者たちが死霊と壮絶な戦いを繰り広げる……。全てのスプラッター映画製作者ならびにスプラッター映画好きが敬愛してやまない金字塔とも言えます。『スパイダーマン』三部作でお馴染みサム・ライミ(当時22歳)のデビュー作である本作は、とにかく低予算で撮られた映画です。 ちゃんと肉がこぼれ落ちているように見えますが、どこかチープだったりもします。とにかくグロい映画を撮りたい!という野心むき出しです。全編にわたり工夫を凝らしたスプラッター描写はとにかく見もの。 ちなみにリメイク版もあり、こちらもかなり優秀。インターネットでの配信もリメイク版の方が多く、オリジナル版が手に入らなければリメイク版でも代替可です。

スプラッター描写強制克服プログラムは終了です

いかがでしたか?スプラッター描写には慣れたでしょうか。これで突然のスプラッターシーンにも耐えることができるはずです。 ここまで鑑賞を続けたグロ映画苦手さんの目の前には無数の傑作群が広がっています。H・G・ルイスやルチオ・フルチら巨匠の傑作に触れるもよし、デヴィット・クローネンバーグのインテリグロを観てみるもよし、イーライ・ロスの『グリーン・インフェルノ』から食人映画の系譜を辿るのも面白いでしょう。さあ存分に血に浸ってください。