映画館のIMAXとは?普通のスクリーンとは何が違う?簡単に解説!

「せっかく映画を観るなら、最高の体験をしたい!」そう思って「IMAX」を選んだのに、種類がいくつかあって戸惑った経験はありませんか。 この記事では、それぞれの「IMAX」のスクリーンサイズ、映像美、音響システムの違いを徹底比較。あなたが観たい作品に、最適なIMAXシアターを見つけましょう。
「IMAX」とは?簡単に解説
IMAX(アイマックス)とは、カナダのIMAX社が開発した「高画質・高音質・大画面」による、没入感のある映画体験を提供する映写システムのこと。 観客はまるで映画の中にいるかのような、これまでにない迫力と感動を味わえます。また、近年ではIMAX専用カメラで撮影された作品や、IMAXフォーマットにリマスタリングされた旧作アニメ作品など、IMAXスクリーンでの鑑賞によってその魅力が最大限に引き出される作品が増加しています。 ここからはIMAXの「どこがスゴイのか」具体的に見ていきましょう!
「IMAX」は一般的なスクリーンと何が違う?
国内にある「IMAX」スクリーンのアスペクト比(幅:高さ)は、大きく3種に分けられます。1つがアスペクト比1.85:1の「デジタルIMAX」、2つ目が1.90:1の「IMAXレーザー」、そして最後が1.43:1の「IMAXレーザー/GTテクノロジー」と呼ばれる種類です。 対して、一般的なスクリーンのアスペクト比は2.35:1。つまり、IMAXレーザー/GTテクノロジーは正方形に近い形であるのに対して、一般的なスクリーンは横長の長方形となります。後者では上下の映像が切れてしまうため、約40%も見える映像に違いが生まれるのです。 ※上記はアスペクト比の比較であり、画面サイズは各映画館で異なります。
今さら聞けない?「IMAX」には3つの種類を徹底解説!
国内の映画館では、主に「IMAXデジタルシアター」「IMAXレーザー」「IMAXレーザー/GTテクノロジー」の3つから選択可能です。 本見出しでは、それぞれで異なる映像の解像度や音響システムについて分かりやすく解説していきます。
IMAXデジタルシアター
通常スクリーンよりも映像も音響もこだわり抜いた「IMAXデジタルシアター」。上映館によっては音響が12.1chにグレードアップされている場合も。近辺に「IMAXレーザー」導入館がない場合には、IMAXデジタルでも十分迫力ある映像・音響を楽しめます。
2K映像でリアルな映像へ
「IMAXデジタルシアター」では、2台の2Kデジタルプロジェクターを同時に使用して映像を映し出しています。これにより、通常の映画館に比べて明るさと鮮明さが格段に向上し、細部までくっきりと際立つ迫力ある映像で映画を楽しめるのです。
どこに座っても変わらないサウンド
一般的なIMAXデジタルシアターでは、5.1chのサウンドシステムを採用。5つの独立したスピーカー(+サブウーファー)から、映画の中にいるような迫力のある音を体感できます。また、どこに座っても変わらない音響を楽しめるのも大きな魅力です。
IMAXレーザー
一言で言えば「IMAXデジタルシアターの進化版」です。映像は2Kから4Kへ、音響は5.1chから12.1chへと進化。国内でも導入館が増えており、通常スクリーンとの違いを体験したい初めての方におすすめです。
4Kへ進化しより高画質に
「IMAXレーザー」は、4Kレーザー投影システムを採用し、高解像度で鮮やか、かつコントラストの高い映像を映し出します。IMAXデジタルシアターに比べて、明るいシーンはより明るく、暗いシーンの黒はより深く表現され、3D作品なども快適に視聴可能です。
サウンドシステムがパワーアップし臨場感のある音に!
12.1チャンネルのサウンドシステムを搭載しています。IMAXデジタルから、さらに7個のスピーカー(サイドスピーカーとオーバーヘッドスピーカー)が増設され、より立体的にリアルな音を楽しめます。
IMAXレーザー/GTテクノロジー

「IMAXレーザー/GTテクノロジー」は、国内最高峰の「IMAX」施設です。唯一、IMAXフィルムのサイズをそのまま楽しめるのが大きな魅力。 2025年8月現在、東京の「グランドシネマサンシャイン池袋」と大阪の「109シネマズ大阪エキスポシティ」のみで体験可能です。
巨大スクリーンで迫力のある映像を楽しめる!
初めて体験する方は、アスペクト比「1.43:1」のIMAX規格を最大限に楽しめる巨大スクリーンに驚愕するはず。一般的なスクリーンと比較して約40%も広い映像を楽しむことができ、圧倒的な没入感を体験できます。
従来の映写機では不可能な鮮やかな色味や明るさ
4Kツインレーザープロジェクター(2台の4Kレーザープロジェクター)を使用。これにより、IMAXレーザーよりもさらに明暗がくっきり、色の表現も鮮やかになりました。現状、日本の映画館で体験できる映像美の頂点を体感できます。
「IMAX」に欠点・問題点はあるの?
「IMAX」ではスクリーンが大きくなっている分、人によっては視点移動が多くなり、画面酔いしてしまう方もいます。また、前すぎる座席では一般的なスクリーンよりもさらに上を向いた状態で見なければならないこともあるため、座席選びは重要です。 そして、スクリーン数に限りがあるため、各作品の上映回数が限られています。特に国内ではアニメ作品が強いため、大作アニメと公開期間がかぶる洋画などは、早めにIMAX上映を見に行くようにしましょう。
「IMAX」の料金は?通常に比べてかなり高額?
「IMAX」は、通常の映画料金に600円から800円の追加料金がかかります。例えば、一般的な鑑賞料金が2,000円の場合、IMAXで鑑賞するには合計で2,600円から2,800円が必要になります(2025年現在)。 IMAXには複数の規格がありますが、料金に大きな差はありません。「IMAXレーザー/GTテクノロジー」は、2館とも追加料金800円となっています。
IMAXで観るべき映画とは?ノーラン監督のこだわりがスゴイ
クリストファー・ノーラン監督は、IMAXフィルムにこだわって映画を撮影することで知られています。2020年公開の最新作『TENET テネット』はもちろん、これまでの作品も『ダークナイト』(2008年)や『ダンケルク』(2017年)などIMAXカメラで撮影したものばかり。 特に『ダークナイト』は、はじめてIMAXカメラを長編映画に活用した作品です。その魅力はなんといっても、観客を映画の世界に没入させるスケール感と雄大さが表現できること。 2010年の『インセプション』と2014年の『インターステラー』でもIMAXカメラを使用し、度肝を抜く壮大な夢の世界や宇宙空間を表現しています。彼が映し出したい世界観には、IMAXカメラは必要不可欠なようです。
ノーランは世界に4台しかないカメラを壊した?
クリストファー・ノーラン監督が『ダークナイト』の撮影中に、IMAXカメラを破壊してしまったエピソードはあまりにも有名。しかもそのカメラは、当時世界で4台しかないという代物でした。 カメラが破壊されたは、シカゴの公道を使ったカーチェイスシーン。リアリティを追求しようとしたために、激走する車両の真ん中に50万ドルもするカメラを設置して大破させたようです。 クリストファー・ノーラン監督は、実は『ダンケルク』でもIMAXカメラを水没させたこともあります。視点にこだわるあまり、着水する戦闘機の中にカメラを置いたとか。いずれにしても、もはや他を寄せ付けない執念を感じますね!
そのほかにもさまざま!進化を続ける上映形態
ドルビーアトモス
「ドルビーアトモス」とは音響技術の研究・開発を行う「ドルビーラボラトリーズ社」が開発した、立体音響システムのこと。映画館や家庭、モバイルといったさまざまな鑑賞環境に向けた規格が用意されています。 例えば自宅にホームシアターをセットアップする際や、外出先でドルビーアトモスのサウンドをヘッドホンで聴くなど、映画館だけでなく身近なサラウンドシステムとして活用できます。
ドルビーシネマ
ドルビーラボラトリーズが提唱している、よりグレードの高いシネマデザインが「ドルビーシネマ」です。最高の映画館を「ドルビーアトモス」と「ドルビービジョン」によって実現しようというもの。 IMAXやMX4Dなどと同様に、音響・映像・空間に付加価値をつけたプレミアムシアターといえるでしょう。世界最高峰のドルビーシネマは、アカデミー賞授賞式が行われることで有名なハリウッドの「ドルビー・シアター」です。
MX4D
「MX4D」は、全身でいくつもの特殊効果を楽しめるアトラクション型の4Dシアター。風が送られたり香りを感じたりするシート効果や、閃光や霧が発生する劇場効果など、五感で映画を体験することができます。 映画をただ“観る”ものから、まるで遊園地のアトラクションに乗っているかのような“体感する”ものへ変えた画期的なシアターシステム。同種のアトラクション型シアターに「4DX」があります。
SCREEN X
「SCREEN X」は、3面マルチプロジェクションによる上映システムです。正面のスクリーンに加えて両サイドの壁面にも映像が投影され、270度のワイドスクリーンで映画を鑑賞することができます。 SCREEN Xが初めて披露されたのは、2013年の釜山国際映画祭。2015年からは韓国の大手シネコン「CJ CGV」に導入され、それ以降日本を含む世界中の映画館でも採用されています。
さらに興行各社もスクリーンを開発!
ほかにもイオンシネマの「ULTIRA」やTOHOシネマズの「TCX」など、それぞれの特色を出した上映システムが開発されています。 ULTIRA(ウルティラ)は、高画質映像とクリアサウンドが楽しめるイオンシネマ独自の上映システム。上下左右いっぱいに広がる特別仕様の専用シルバー・スクリーンを採用しています。高音・中音・低音の領域をコントロールした立体音響で、鮮明で明るい映像とクリアなサウンドを実現。 TCXは「TOHO CINEMAS EXTRA LARGE SCREEN」の略で、TOHOシネマズ独自の規格であるラージスクリーンのことです。天井や壁などダーク系に統一した劇場で、スクリーン以外の光の反射を軽減しています。
「IMAX」でお気に入りの映画を楽しもう!

「IMAX」の種類とその違いを詳しく解説していきました! 追加料金はかかってしまいますが、迫力ある映像や没入感のある音響を楽しみたい方は、ぜひ1度「 IMAX」を体験してみてください。配信や通常スクリーンでは味わえない、未知の映画体験が待っていますよ。