2018年5月26日更新

映画『バグダッド・カフェ』には人の心を癒す作用がある!?【名作を徹底解説】

バグダッド・カフェ

1987年製作の西ドイツ(当時)映画『バグダッド・カフェ』は、日本ではミニシアターブームのきっかけとなったと言われる作品です。世界中で現在も名作として語り継がれる本作の魅力とは?今回は、あらすじや音楽、名作と言われる理由など徹底解説します!

人間の出会いそして交流を描いた名作『バグダッド・カフェ』

映画通の中では名作として名高い1987年製作の西ドイツ(当時)映画『バグダッド・カフェ』。人気俳優が出演しているわけでもなく、人々をハラハラドキドキさせたりするわけでもなく、予想外のストーリーが次々と展開していく映画でもありません。 アメリカの砂漠にぽつんとたたずむ寂れたカフェに集まる人々の出会い、そしてその交流を描いた映画で、主題歌「Calling You」とともに流れるそのカフェでのゆったりとした時間、人々の出会いそして交流が観る人を惹きつけて離しません。 公開から30年以上経った今も人々を魅了し続ける本作のストーリー、キャスト、そして音楽を紹介していきます。

人々を魅了し続けるそのあらすじは?

『バグダッド・カフェ』の主人公はアメリカ旅行中に夫と喧嘩し、砂漠の真ん中で車を降りてしまい、ひとりとなる中年のドイツ人女性ジャスミンです。 そんな彼女がたどり着くのはモーテルとガソリンスタンドも兼ねた、少し変わった人ばかりが集まるバグダッド・カフェと呼ばれるカフェ。 慣れないアメリカで、特に行き先もやることもないジャスミンはカフェを手伝ったり、その寂れた建物を念入りに掃除し始めます。そして次第にカフェの不機嫌な女主人ブレンダを始め、そこに集う人々と交流を始めます。 ジャスミンの出現により荒んでいた人々の心も和んでいくようになり、彼らに笑顔が戻ります。そしてジャスミン自身の人生も新しい扉が開かれることになっていくのです。

ドイツを代表する女優マリアンネ・ゼーゲブレヒトがジャスミン役を見事に演じきる!

『バグダッド・カフェ』で主演ジャスミンを演じるのはドイツ出身のマリアンネ・ゼーゲブレヒト。 1945年生まれのマリアンネは1977年に劇団オペラのキュリオーザを立ち上げ芸能活動を開始します。その後『バグダッド・カフェ』の監督であるパーシー・アドロン監督に見出され、映画界に進出します。 ドイツ映画を中心に活躍する一方、ハリウッドからも声がかかり『ローズ家の戦争』などへの出演を果たしました。 現在すでに70歳を超える年齢となっていますが、今もドイツのテレビや映画を中心に活動を続けています。

オリジナル版と完全版の違いはエンディング?!

『バグダッド・カフェ』は1987年に公開されましたが、公開された作品は上映時間95分のいわゆるオリジナル版と言われるものです。 その後、1994年に完全版と言われる作品がリバイバル公開され、完全版ではオリジナル版でカットされた17分の未公開カットシーンが追加されました。 未公開シーンはいくつかのシーンで見受けられますが、ほとんどの部分はストーリーにあまり多くは影響していません。しかし映画で最も重要とも言えるエンディング部分に大きな違いがあります。 オリジナル版ではジャスミンがプロポーズされ、ジャスミンにハッピーエンドが訪れることが示唆されています。完全版ではジャスミンがプロポーズされることに加え、ブレンダ自身も家でした夫と抱擁し合うという、ブレンダ自身にも幸せが訪れることが示唆されています。 結末は同じものの、そこに行き着く過程に完全版とオリジナル版ではエンディングに大きな違いがあるのです。 なお、2008年に映画全体のカットの色と構図を調整したニュー・ディレクターズ・カット版も製作され、カンヌ映画祭で上映されました。

心に響くメロディーそして歌声「Calling You」

『バグダッド・カフェ』のテーマ曲「Calling You」。ジェヴェッタ・スティールが歌い上げるメロディーはゆったりとした時間が流れるバグダッド・カフェそのものであり、本メロディーを聴くだけで、バグダッド・カフェの情景を思い浮かべることも容易なはずです。 「Calling You」は映画公開と同時に世界的大ヒットし、アカデミー賞にもノミネートされ、またその後多くの歌手によってカバーされました。

バグダッド・カフェは実在する!

映画の舞台となったバグダッド・カフェ。実は架空のカフェではなく、実際にアメリカに存在するカフェなのです。 カフェはアメリカカリフォルニア州のルート66沿いに、映画と同様ポツンと存在しています。そして外観もまさに映画と同じで、今でも映画ファンが訪れる観光地となっています。 カフェ内には訪れた人のメッセージなどが所狭しと貼られており、いかに『バグダッド・カフェ』が人気映画であるかを感じることができるでしょう。

なぜ『バグダッド・カフェ』は名作と呼ばれるのか

公開から30年以上たった現在でも名作と語り継がれる『バグダッド・カフェ』。その理由は何でしょうか? 特に目立った展開があるわけでもないストーリー。登場する人物も何かしら問題を抱えた人ばかり。舞台は寂れた砂漠のカフェ。 しかしそこに突如現れたひとりの女性により、カフェは活気を帯びるようになり、人々の顔に笑顔が戻ります。本作のテーマ曲「Calling You」の音楽とともに人々の人生が色味を帯びていく様は、失ってしまった幸せを取り戻したい、もしくは取り戻そうとする、そんな現代人の理想を映し出しているのではないでしょうか。 人々に心の奥底に響きながら静かに展開するストーリーが人々を惹きつける、それが『バグダッド・カフェ』が名作と言われる理由と言えるでしょう。

『バグダッド・カフェ』は映画評論家からの評価も上々!アカデミー賞にもノミネート

映画館 客席 フリー画像

『バグダッド・カフェ』は公開当初から映画評論家からの評価も高く、公開から30年近く経った2008年にディレクターズ・カット版が製作された際も、カンヌ国際映画祭で上映されたほどです。 また1989年のアカデミー賞では、ジェヴェッタ・スティールが歌う「Calling You」は主題歌賞にノミネートされました。 大きなストーリ展開はないものの、何度も見返したくなる映画、クセになる映画......。それが『バグダッド・カフェ』です。評論家からの評価も高く、今も名作と言われることに誰もが納得できることは間違いないでしょう。