2018年5月17日更新

映画『ラプラスの魔女』感想評価とトリックの裏側を徹底解説!【ネタバレあり】

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ラプラスの魔女

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映画『ラプラスの魔女』はつまらない?感想評価が割れた理由を解説!

東野圭吾のミステリー小説を、国民的アイドルグループ嵐の櫻井翔主演で実写映画化した話題作『ラプラスの魔女』。 本作は、櫻井を始めとする豪華キャストが出演することや、人気ミステリー作家東野圭吾作品でもあることから、公開前から注目を集めていました。 そんな『ラプラスの魔女』ですが、公開後SNSと映画レビュー投稿サイトで大きく評価が割れる現象が起きています。SNSでは、高評価が多数占める一方で、映画レビューサイトでは原作ファンを中心に低評価が多数を占める結果に。これは一体なぜ? 様々な要素があると考えられる本作の感想・評価について、解説していきたいと思います。

映画『ラプラスの魔女』あらすじ【ネタバレなし】

赤熊温泉村と苫手温泉で、連続して硫化水素による中毒死体が発見されました。 2つの現地調査を依頼された地球科学研究者の青江教授(櫻井翔)は、それぞれで調査を行いますが、どちらでも致死量に値する硫化水素を確認する事ができません。しかし、この両方の温泉地で、青江はある少女に出会います。 少女は円華(広瀬すず)といい、青江に事故現場に連れて行ってもらうように頼みます。彼女が温泉地を調べている理由が「青年を探している」という理由を聞いた青江は、渋々現場へ連れて行く事にします。そして、そこで彼女の予知に長けた能力を知ることになり……。 一方、被害者の映画プロデューサー・水城義郎と俳優・那須野吾郎が直接的な共通点はないものの、映画監督・甘粕才生(豊川悦司)と共に仕事をした事がありました。それを知った中岡(玉木宏)は、才生のブログを読む事にします。そこには、彼の家族が硫化水素ガスで亡くなっている事、唯一息子の謙人(福士蒼汰)だけが生き残っている事が記されていました。 その事を青江に伝え、殺人事件である可能性を改めて強調する中岡。しかし、青江は中岡から見せてもらった才生の若き日の写真に引っかかり……。 彼は、円華が探しているという青年にそっくりだったのです。

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SNSと映画レビューサイト、感想評価が大きく割れた理由とは?

映画『ラプラスの魔女』の感想評価で特徴的なのは、SNSでは高評価・レビューサイトでは低評価と、反応が大きく割れている点です。その理由は、両者が注目している点に違いがあるからだと考えられます。 高評価が多く見られたSNSでは「俳優」や「VFX」に関する記述が多く、反対に低評価が多数を占めた映画レビューサイトは、映画のトリックやキャラクターの描き方になど「脚本」に関する意見が多く投稿されていました。 実際に、映画では千佐都に関するエピソードや、円華が最後の犯行日時を知った経緯が削られている一方で、青江教授がピンチ時に長語りをするシーンが追加されるなど、テンポの緩急が悪い点がちらほら。レビューサイトには、「このシーンを追加するなら、なぜここを削ったのか?」という原作ファンの意見も。 演技力の高い俳優陣が集まった作品であるだけに、非常に勿体無い結果となってしまいました。

映画『ラプラスの魔女』ネタバレと作品の裏側を徹底解説!

感想評価が分かれた要因の一つでもある登場人物同士の関係性の薄さ、そして曖昧に描かれてしまったトリック。今回はその裏側を解説していきます。 映画では知ることができなかった甘粕謙人と水城千佐都の関係、謙人が才生を殺そうとした日を円華が知ることが出来た理由など、気になる真実の裏側とは……?

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映画『ラプラスの魔女』で描かれた結末【ネタバレ注意】

円華が探している青年が「甘粕謙人」である事がわかった青江は、円華に話しますが「関わらないで」と相手にしてもらえません。青江のしつこさにしびれを切らした円華は、事故当時の状況を再現して見せてあげると公園に青江を呼び出し、交換条件として今後一切関わらない事を約束させます。 円華の実験により、「ありえない」と考えていた状況を目の当たりにした青江は、殺人である可能性を知ることとなりました。 しかし、その実験の後、円華のボディーガードに突然取り囲まれた青江と円華は、彼女の暮らす理数学研究室に連れて行かれることに。そこで、青江は円華の父・羽原全太朗に出会い、彼女と謙とは同じ脳手術を受け、ラプラスの悪魔の力を手に入れたこと、円華は母親を竜巻で亡くしたことを知ります。 彼女のことを知った青江はこの一連の件を口外しないことを約束し研究室を出ようとすると、目の前に逃亡しようとする円華の姿が。 研究室を抜け出そうとする円華に車の運転を頼まれた青江は、彼女の指示するパーキングエリアへ向かうと、水城義郎の妻・千佐都(佐藤江梨子)が現れます。彼女の後をつけると、甘粕才生の暮らす老人ホームにつきました。 才生を乗せた車を続けて追う青江と円華。途中、公安の妨害も入りますが、円華のボディーガードに助けられ目的地の屋敷まで尾行することができました。 才生を送り届けた千佐都が立ち去ろうとすると、突然才生は千佐都を殴りつけ、意識を失った彼女と共に屋敷の中に入っていきます。謙人が硫化水素で自分を殺そうとしていると予想し、それを阻止するために彼女を道連れにしたのです。 そこで謙人と再会し、才生は「いつから俺が、家族を殺したとい知っていた?」と質問。「植物状態の時から知っていた」という謙人に、殺した理由を、持論を展開しながら正当化する才生。 一方、謙人の狙いがダウンバーストであることを知った円華は、自分の力ではどうにもできないとパニックになってしまいます。青江に勇気づけられた彼女は、車を指定の位置に動かすように指示すると、屋敷の中へ走って行きました。 「伏せて!」と叫びながら屋敷に入る円華。彼女の叫び声と共に、暴風に乗せられて車が飛んできます。強風が吹き荒れる屋敷内。建物の一部が破損し、皆が下敷きになりますが、全員命に別条はありませんでした。 円華の姿に驚いた謙人ですが、それでもまだ才生を殺そうとします。しかし、円華に止められてしまい、彼は姿をくらまします。 この一連の事件は、謙人による意図的な犯行でしたが、謙人の手術は世界を揺るがす大手術であるため、国の指示で何事もなかったように扱われました。 そして数日後、才生が自殺したことを青江はTVのニュースで知るのでした。

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甘粕謙人と水城千佐都の関係は?那須野を運んだのは千佐都だった?

映画『ラプラスの魔女』ではほとんど姿が描かれず、どのような人物だったのが不明のまま終わってしまった水城義郎のうら若き妻・千佐都。原作小説では、謙人と千佐都は不倫関係にあったことが描かれています。 劇中で中岡刑事が疑っていたように、千佐都は財産目的で義郎と結婚しました。この事に目をつけた謙人は、事故に見せかけて千佐都の運転する車とわざと衝突。怪我をさせてしまったお詫びとして、千佐都にご飯を奢ってもらう約束を取りつけた謙人は、彼女と少しずつ距離を縮めていき、いつしか体の関係を持つようになります。 そして、2人の関係が深くなっていた頃。謙人は千佐都に義郎を事故に見せかけて殺さないかと持ち掛け、犯行に至るのです。 義郎の殺害後も、千佐都は謙人にお願いされ、那須野吾郎や甘粕才生を事故現場まで運びました。

中岡刑事が千佐都の犯行を疑ったのは一通の手紙が原因だった?

映画冒頭で、中岡刑事は青江教授に不思議がられるほど「千佐都が義郎を殺したのではないか」と疑っていました。彼は「刑事の勘」とおどけていましたが、原作小説ではその裏側についても触れられています。 義郎が硫化水素によって殺される前、麻布警察署宛てに義郎の母・ミヨシから手紙が届きます。その手紙には、「息子が若い妻に殺されるかもしれない。保険に入るようそそのかされ、きっと何か企てているにちがいない」という内容のもの。 中岡は事件になっていないものを相手にするわけにもいかないため、「息子さん宅の周辺のパトロールを強化する」ということでミヨシに納得してもらいます。 しかし、その数日後。中岡はTVのニュースで義郎の死を知ります。それから、ミヨシの言っていた言葉を思い出して、千佐都を疑い始めるのです。

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謙人が才生を殺す日を、円華がわかった理由

謙人が才生を殺そうとしてクライマックスを迎える『ラプラスの魔女』。そんな謙人の犯行を止めようと、円華は青江教授とともに理数学研究室を飛び出します。 しかし、なぜ円華は謙人が才生を殺そうとした日を知ることが出来たのでしょうか? 映画では、彼女が犯行日時を知ったきっかけとなりシーンは描かれていません。一方、原作では彼女が犯行日時を知ったトリックが描かれています。

水城義郎の携帯電話がトリックの鍵

赤熊温泉での件を調べた円華は、謙人による犯行で間違いない事と、この事件には共犯者が必要だと確認し、彼の共犯者は水城千佐都だと見当をつけます。 この一連の事件は、謙人による甘粕才生への復讐劇であるため、謙人から呼んだら事情を知っている才生に謙人が返り討ちにあう可能性がある。そのため、「謙人は才生を呼び出す時は、才生の共犯者であった義郎の携帯電話から、才生に電話をするよう千佐都に頼むのではないか」と円華は考えます。 円華は、電源が切れていることを予想して義郎の携帯電話に電話をします(どのように電話番号を取得したかは不明)。 予想通り繋がらなかったものの、電話をかける時は千佐都が電源を入れるはず。そのタイミングを知ることが出来るように、円華は5分おきに義郎の携帯電話に着信をするように携帯電話を改造。 そして、実際に千佐都が甘粕才生に電話をかけるために義郎の電話を起動すると、円華の電話もつながり、彼女は千佐都が動き出す日を知ることが出来たのでした。 予知能力に長けた円華ですが、最後ばかりは少し賭けをしていたようです。 ちなみに、原作では着信が来るまで彼女は千佐都の家に張り付いて動向を観察していました。また、円華が水城家の住所・電話番号を知ったのは、1件目の事件の調査の際に、宿泊先の旅館の帳簿を盗み見たのではないかと考えられます。

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映画『ラプラスの魔女』は原作を読むともっと面白い!

今回は、映画『ラプラスの魔女』の感想評価と映画では描かれなかった裏側について考察しました。 初登場3位を記録した本作が、今後どのような展開を見せるのかが楽しみですね。 記事の中では書ききれないほど、原作には映画で描かれなかった重要なシーンやその裏側が描かれています。『ラプラスの魔女』の全貌を知りたい方は、是非原作小説を読んでみてください。