2018年5月25日更新

問題起きすぎ?セクハラ事件に関連する海外の映画人たちまとめ【最新版】

ケヴィン・スペイシー
©Hahn Lionel/Sipa USA/Newscom/Zeta Image

2017年から2018年にかかてTwitterを席巻しているハッシュタグ、#MeToo。「私も」という意味ですが、これは「私もセクハラを受けたことがある」と表明するためのものです。このハッシュタグが生まれた事件の経緯を辿ります。

#MeToo運動とは?

事の発端は、2017年10月5日に『ニューヨーク・タイムズ』紙が掲載した記事でした。ハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインが、グウィネス・パルトロー、アンジェリーナ・ジョリーといった大女優やモデル、自身の会社のスタッフに対して、性的嫌がらせや性的暴行を繰り返していたと曝露しました。 10月10日には、『ニューヨーカー』紙がさらに詳細な記事を発表。ワインスタインに非難が殺到したのです。 このような状況の中で生まれたのが「#MeToo」というハッシュタグ。自分もセクハラを受けたことがあると、簡単にTwitter上で表明できるもので、#MeTooムーヴメントは瞬く間に世界中に広がりました。

ハーヴェイ・ワインスタイン

社会現象にもなった一連の騒動の原因となったハーヴェイ・ワインスタインは、1952年生まれのアメリカの映画プロデューサーです。独立プロダクションとしては最大の成功を収めたと言われる、ミラマックス社を設立したことで知られます。 毎年アカデミー賞に多くの作品をノミネートさせ、『恋におちたシェイクスピア』(1998)、『シカゴ』(2002)では、プロデューサーとしてアカデミー作品賞を受賞しました。 また、政界でも顔が広く、民主党支持者で多額の寄付をしており、ヒラリー・クリントンやオバマ元大統領夫妻とも親交があります。

グウィネス・パルトロー

『ニューヨーク・タイムズ』の告発記事で証言している女性の中で、著名な女優の一人はグウィネス・パルトローでしょう。彼女は、ワインスタインがアカデミー賞を受賞した『恋におちたシェイクスピア』(1998)で主演しているのです。 グウィネス・パルトローが22歳のとき『エマ』(1996)の主役に抜擢されました。その時ワインスタインによって、ミーティングの名目で、ホテルのスイートに呼び出され、体に触れられたり、ベッドルームでマッサージを要求されたということです。 パルトローは当時交際したブラッド・ピットに相談。ブラッド・ピットは激怒して、二度と彼女に触らないよう、ワインスタインに注意したそうです。

ローズ・マッゴーワン

ワインスタインに性的暴行を受けたと訴える被害者のうち、最も過激なのはローズ・マッゴーワンかもしれません。ローズ・マッゴーワンは1972年生まれの女優です。 ローズ・マッゴーワンによると、1997年サンダンス映画祭に出席した際、ワインスタインにホテルの部屋に呼び出され暴行されたということです。 後にワインスタイン側から100万ドルの口止め料を提示されていたが、マッゴーワンはこれを拒絶。告発に踏み切りました。 また、一時マッゴーワンと婚約していたロバート・ロドリゲス監督は、ワインスタイに思い知らせるために、マッゴーワンを『プラネットテラー in グラインドハウス』(2007)に抜擢したそうです。

アリッサ・ミラノ

アリッサ・ミラノは子役から活躍した1972年生まれの女優・歌手で、『コマンドー』(1985)ではアーノルド・シュワルツェネッガーの娘を演じました。 アリッサ・ミラノはワインスタインのセクハラ問題を受けて、重要な提案をします。彼女はTwitterで「性的嫌がらせや虐待を受けた全ての女性が、『me too(私も)』と書き込めば、この問題の大きさを知らせることができる」とツイートしました。 セクハラの詳細を告白することは辛いことであるし、難しいが、『me too』だけで十分だというわけです。世界を席巻するハッシュタグ「#MeToo」はこうして誕生しました。

リース・ウィザースプーン

『キューティ・ブロンド』(2001)などのリース・ウィザースプーンも、性的暴力の被害者として名乗りを上げました。「ウィメン・イン・ハリウッド」というイベントに参加した際の、スピーチの中でです。 リース・ウィザースプーンによると、16歳の時、ある映画監督に性的暴力を加えられたといい、それに対して沈黙を守ることが自分の務めだと思い込ませたエージェントやプロデューサーたちに対する怒りがふつふつと湧いています。 お互いに意識を高めることで、映画業界や社会を変えなければならない、という力強いスピーチは大きな喝采で迎えられました。

アーシア・アルジェント

イタリアのホラー映画の巨匠、ダリオ・アルジェントの娘で女優・映画監督のアーシア・アルジェントは、『ニューヨーク・タイムズ』の報道を受けてレイプ被害を証言しました。 彼女が21歳だった1997年、主演映画『Bモンキー』(1998)でカンヌ映画祭を訪れていたとき、ワインスタインによってホテルの部屋に呼び出され、マッサージとオーラルセックスを強要されたということです。 大物プロデューサーであるワインスタインに潰されることを恐れて、抗議することもできませんでしたが、2018年5月にカンヌで、「二度とワインスタインがこの地に足を踏み入れることがないように」とスピーチしました。

アシュレイ・ジャッド

ワインスタインのセクハラ被害者として、いち早く名乗りを上げた女優の一人にアシュレイ・ジャッドがいます。アシュレイ・ジャッドは1968年生まれで、代表作は『コレクター』(1977)です。 ワインスタインを名指ししていないものの、セクハラの詳細について、こう告白しています。最初のオーディションでスクリーンテストが行われたとき、プロデューサーからトップレスになれと言われたということです。 アシュレイ・ジャッドによると、それは演技ではなく胸を評価しているだけなので、「絶対に嫌だ」と答えたということ。アシュレイは、多くの被害者が自らの体験を語ることで変化が起こるだろうと語っています。

カトリーヌ・ドヌーヴ

フランスを代表する女優、カトリーヌ・ドヌーヴは、ハリウッドで巻き起こるセクハラ撲滅運動に対して、批判的な立場を取りました。2018年1月9日に、カトリーヌ・ドヌーヴを含む100人の著名人が、『ル・モンド』紙に公開書簡を掲載。 「セクハラを告発する『#MeToo』のムーブメントは、男性が女性を口説く自由を妨害している」という意見を発表しました。これに対して、世界中から批判が寄せられたのです。 しかし、カトリーヌ・ドヌーヴは今度は単独で『リベラシオン』紙に書簡を掲載。セクハラ被害者に謝罪する内容のコメントを表明しました。

ケヴィン・スペイシー

セクハラ加害者として告発されたのは、ハーヴェイ・ワインスタインだけではありません。名優ケヴィン・スペイシーもセクハラ常習者として、俳優やスタッフから曝露されました。 Netflixのドラマ『ハウス・オブ・カード』はシーズン6を、スペイシーなしで撮影すると発表。このドラマのスタッフもセクハラ被害者だったのです。 これに対してケヴィン・スペイシーは、すぐさま謝罪を表明。しかし、続けて「ゲイだ」とカミングアウトしたことに非難が殺到しました。「ゲイだと告白することで性的暴行をごまかそうとしている」というわけです。

ジェームズ・フランコ

#MeTooに続いて、#TimesUp(時間切れ)という新たな運動が、ナタリー・ポートマンら女優・俳優を中心に展開されました。「セクハラ、労働格差という普通でない状況は時間切れだ」というわけです。 俳優、映画監督、小説家、大学教授という多彩な才能を発揮するジェームズ・フランコも、#TimesUpのバッジを着けて、ゴールデン・グローブ授賞式に出席しました。これに反発した、フランコのセクハラの複数の被害者が彼を告発するツイートを行ったのです。 多くはフランコの元生徒で、フランコは自身の映画の撮影中に「誰かトップレスになってくれないか」と言ったときに、誰も手を挙げなかったことに激怒したということ。 また、ジェームズ・フランコのベッドシーンでの嫌がらせなど、様々な事実が曝露されました。

ワインスタイン帝国の崩壊

『ニューヨーク・タイムズ』紙にワインスタインを告発する記事が掲載されたのが2017年10月5日。ワインスタイン社が売却を発表したのが同年10月16日。 ハーヴェイ・ワインスタインが40年かけて築いてきた帝国は、僅か10日ほどで崩壊してしまいました。 このムーブメントのうねりはさらに波及しています。昔からワインスタインと仕事をしていたタランティーノは、当時交際していたミラ・ソルヴィーノをワインスタインが襲ったのを知っていたのに黙認していたことを非難されました。 また、ポランスキー監督は1977年に13歳の少女を撮影中に性的に陵辱したことで知られていますが、米アカデミーはこのほど正式にポランスキーの会員資格を剥奪したのです。 また、日本でも写真家・アラーキーこと荒木経惟が、モデルのKaoRiによってヌードを強要されたことを告発され、女優の水原希子がこれに呼応したことも#MeToo運動の影響でしょう。