絶賛と酷評。賛否両論を巻き起こしたお騒がせ映画6選
名作であり問題作!賛否両論を巻き起こした映画たち
友人と一緒に映画を見て、それぞれの意見が大きく分かれてしまったことはありませんか?同じ映画を観ても、鑑賞者が感じる思いはそれぞれです。 世界的に有名な映画であっても、そのようなことは避けられません。誰もが知っているような有名作でありながら、絶賛と酷評を得た、賛否両論の問題作たちをご紹介します。
1.キューブリック流青春群像劇『時計じかけのオレンジ』【1973年】
鬼才スタンリー・キューブリック監督の代表作『時計じかけのオレンジ』。近未来のロンドンの街で、暴力的な行為に酔いしれる少年たちの無軌道な青春を描いた作品です。 激しい暴力描写とは裏腹にスタイリッシュでポップな映像も魅力の本作。製作費を大幅に上回る2600万ドルの興行収入をたたき出し、キューブリックの代表作となりました。 しかし、主人公アレックスが率いる不良グループ「ドルーグ」に憧れた非行少年たちが起こした事件が後を絶ちませんでした。キューブリック監督の自宅近くには連日のように抗議デモが押しかけ、ついには彼の殺害予告まで出てしまうことに。事態を重く見たキューブリック監督は、自らこの作品の上映を打ち切ったのです。
2.「ハンニバル」シリーズ第一作!『羊たちの沈黙』【1991年】
1991年に公開され、当時のアカデミー賞全ての部門を独占した伝説的名作が、この『羊たちの沈黙』です。 主人公はFBI訓練生のクラリス。彼ににアドバイスする元精神科医でありながら、人肉食の殺人鬼レクター博士は、一度見たら悪夢にうなされてしまいそうなほど強烈なインパクトを与えます。 連続猟奇殺人やカニバリズムなど凄惨でグロテスクなシーンが多い本作が、アカデミー賞を総なめにした事実は賛否両論を巻き起こすこととなります。当時は、このような凄惨な事件を描いた作品に多くの賞を与えることは、いかがなものかという批判的な意見もあったようです。 しかしながら、この『羊たちの沈黙』が公開されてから、レクター博士のキャラクターは注目と人気を集め、その後も続編が公開されることとなりました。レクター博士を演じたアンソニー・ホプキンスの最大の当たり役ともなったのです。
3.北野武監督の記念碑的作品!『ソナチネ』【1993年】
『ソナチネ』は北野武監督が世界的な注目を集めるきっかけとなった作品ですが、国内での評価やヒットなどには全くと言っていいほど結び付きませんでした。 この作品の3年後に公開された北野武監督6作目の『キッズ・リターン』で、ようやく話題や注目と興行収入が比例する形となりました。 裏社会を生きる男の束の間の安息と哀しい最期を描いた『ソナチネ』は、一部では熱狂的なファンを持つ作品です。しかし、ストーリーが少々難解で華やかさにも欠けるため、ヒット作とはなれず、5億円かかった製作費に対して興行収入は8000万円ほどだったそうです。
4.松本人志監督のデビュー作『大日本人』【2007年】
お笑いコンビ、ダウンタウンとして活躍する松本人志が、初めてメガホンを取った長編作品が『大日本人』。松本はこの作品で監督だけではなく、脚本及び主演も務めています。 松本人志がこれまで笑いの世界で表現してきたことと、新たに監督として新しい領域の表現に挑んだ本作。松本らしいシュールさの中に、様々な挑戦や仕掛けが仕組まれています。 しかしながら、難解を極めるストーリー展開にコアなお笑いファン、松本人志ファンも首をかしげる結果となってしまいました。松本人志監督作品は二作目の『しんぼる』以降ガラリと作風を変え、自身が出演することはなくなりました。 2011年の『さや侍』、2013年の『R100』で新たな世界観を構築すると共に、新たなファン層も獲得しています。
5.こんなゴジラ見たことない!?『シン・ゴジラ』【2016年】
「エヴァンゲリオン」シリーズの庵野秀明監督が挑んだ新たなゴジラ像。映画『シン・ゴジラ』には往年のゴジラファンもびっくりの、さまざまな仕掛けや小ネタが仕込まれていました。 その1つに、ゴジラの生態が変化するという展開がありました。最初は不気味で醜悪な形態ながら、どんどん進化を重ね、重々しく凄まじい破壊力を持つ怪物へと変化していくのです。 本作で初めて「ゴジラ」という生物に触れた若い世代のファンなら、純粋にこの演出を楽しめたことでしょうが、往年のゴジラファンには受け入れがたいものもあったようです。また、海外でも多数リメイクされてきた「ゴジラ」シリーズだけに、海外からの評価も辛辣なものが数多くありました。 しかし結果的にその年の日本アカデミー賞最優秀作品賞に輝き、ロングランヒットを記録したのも事実です。
6.全世界待望の「スターウォーズ」シリーズ!『最後のジェダイ』【2017年】
熱狂的なファンを世界中に持つ「スターウォーズ」シリーズは、2015年公開の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』から新たなる展開を見せています。 1977年の『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』から2002年公開の『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』までで監督を務めたジョージ・ルーカスがルーカス・フィルムを売却し、作品から離れることとなったのです。 「最後のジェダイ」でメガホンを取ったのは、ライアン・ジョンソンです。本作は単体で楽しむのには申し分のないエンターテインメント作品として仕上がっています。しかし、長年にわたって今シリーズを追いかけてきた熱狂的ファンに取っては納得のいかないものだったようです。 これまでの「スターウォーズ」シリーズとは大きく異なるストーリー展開や設定に、長年のファンは戸惑う結果となってしまいました。しかし、この歴史的長寿シリーズの中で独自のカラーを打ち出したジョンソン監督に対して、称賛の声もあがっています。
賛否両論映画、あなたはどう観る?
娯楽の一つである映画ですが、作品によってはその範疇を大きく超えているものもあります。メガホンを取る監督の意向に従って、原作や前作とかけ離れてしまったり、マニアックなものになってしまうということもあります。 それでも、その作品にしかない世界と色が展開されるのならば、それは素晴らしいこと。賛否両論を巻き起こす作品にしかない魅力が、そこにはあるのです。