日常を忘れてどっぷり浸りたいシュールアニメの世界を紹介
嫌なことがあったとき、辛いことが起こったとき。なにも考えずにアニメを観てストレス発散したい日もあるでしょう。そんなときにおすすめなのが、肩肘張らずに観ることができるシュールなギャグアニメです。 頭を使って考える必要なく、大きく感情を揺さぶられることもなく、ただアニメの世界を素直に受け取って笑えるのがシュールアニメのいいところ。ほのぼの癒されるもの、皮肉のパンチが効いていてスカッとするもの、とにかく意味が分からなくて笑えるもの……と、作品によってテイストもさまざま。 今回はシュールな世界観を紡ぎ出すアニメ作品おすすめ10本を、その魅力とともに紹介します。
1.『HAL&BONS』
『HAL&BONS』は、映画・アニメ監督やCMディレクターとして活躍する石井克人が手掛けたCGアニメーション。ビール片手にまったり過ごしている犬のハルとボンス。そこに突然やってきたインタビュアーのもち君が、ハルとボンスの家に居候してしまい、奇妙な3人生活を送ることになります。 終始ほろ酔いのハルとボンス、そしてもち君とのコミカルな掛け合いがクセになる作品です。唐突にテンションが上がり暴走してしまうもち君も見どころ。 石井監督がハルを演じ、同級生で同じくディレクターとして活躍する轟木一騎がボンス役、三木俊一郎がもち君役を演じています。同級生が深夜に居酒屋で繰り広げていそうなゆるさがシュールな面白さにつながっている作品です。
2.『紙兎ロペ』
「めざましテレビ」でおなじみのショートアニメ『紙兎ロペ』。紙の身体をしたウサギのロペと、シマリスのアキラ先輩を中心に、下町で繰り広げられていく日常を描く内容です。 ロペやアキラ先輩、そしてその家族や友人など、登場動物はすべて紙の身体をした動物たち。彼らのほのぼのとしつつも、クスリと笑えるネタが仕込まれた会話劇が特徴的です。各話2分前後と短いので、気がつくとまとめて数十話視聴している、というほど中毒性が高い作品でもあります。 ロペたちの会話が見どころではありますが、昭和を感じさせる下町の背景のリアルさも魅力のひとつ。背景の看板には細かいネタが仕込まれていることが多いので、隅から隅まで楽しめます。
3.『Peeping Life』
『Peeping Life(ピーピング ライフ)』は脱力系を謳うCGアニメーション。CGアニメーション作家の森りょういちが2008年に発表した作品です。 本作では日常のワンシーンと、そこで繰り広げられるシュールな会話が描かれています。脚本なしで設定だけを渡された役者がアドリブ劇を繰り広げ、そこにCGを合成する形で制作されている作品。アドリブ劇の持つなんともいえない間や、アクシデント的に生まれる会話が、シュールな笑いを誘います。 企業やアーティスト、別作品とのコラボも多く、いずれも脱力系らしい会話のやりとりが魅力的です。
4.『The World of GOLDEN EGGS』
『The World of GOLDEN EGGS』はPLUS heads inc.が手掛ける作品で、アメリカの郊外風な町・Turkey's Hillの住人たちを描く内容です。作品にはたくさんのキャラクターが登場しますが、いずれもクセがかなり強い人物ばかり。そんなキャラクターたちの掛け合いからは、絶妙な間が生まれます。 日産NOTEやNECのパソコンにキャラクターが出演するなど、作品を離れキャラクター単体でも人気を集めました。なかでも双子のローズマリー兄弟は有名です。 番組内に番組が流れる独特な構成も手伝って、Turkey's Hillでぼーっとテレビを観ているいち住人のような、新たな脱力感を味わえる作品といえます。
5.『秘密結社鷹の爪』
『秘密結社鷹の爪』はFGOGMANが監督・作画・声優を手掛けるシリーズ。なかなか世界征服ができない秘密結社鷹の爪団と、彼らを阻むデラックスファイターとのやり取りがメインに描かれています。 世界征服を掲げる鷹の爪団ですが、その理由は格差をなくし誰もが幸せに暮らせる世界を作るため。総帥の強面な見た目とのギャップが面白く、腹黒のヒーロー・デラックスファイターの性格といい、絶妙なキャラクター設定が作品の魅力となっています。 劇場版も積極的に製作されていますが、資金難を赤字ゲージにして視覚化するなど、挑戦的でいてシニカルな演出が小気味いい作品です。
6.『ギャグマンガ日和』
『ギャグマンガ日和』は増田こうすけによるギャグアニメを原作としたアニメ作品。2005年から2010年までにシリーズ4作が放送されています。 古今東西、歴史的な出来事から世界的な名作まで、様々なものをネタに採用。パロディ満載の作風が特徴的で、原作では増田が好きなジブリネタも随所に散りばめられています。 毎回主人公は周りから冷たく扱われたり馬鹿にされたりと、主人公らしからぬ末路をたどるのがおきまり。全体的にブラックジョークが多く、勢いと皮肉の効いたシュールアニメです。
7.『サラリーマンマン』
『サラリーマンマン』アニメクリエイターの谷口崇が自主制作し、個人サイトで公開している作品です。制作や演出、声優などすべて谷口ひとりで制作された作品。 谷口なシュールな棒読みと、妙にリアルな描写のイラストがクセになるアニメです。2019年現在『サラリーマンマン』は2012年に公開された1作のみ。ですが、彼の公式チャンネルでは自主制作アニメシリーズとして『茂雄はハンサム』や『むきだしの光子』、『おしり前マン』などが公開されています。 いずれも『サラリーマンマン』が好きな人ならハマる、奇妙なシュールさ。生気のない目をした登場人物たちも、作品を続けてみているうちになぜか愛着がわいてきます。
8.『ポプテピピック』
『ポプテピピック』は大川ぶくぶ原作のギャグ漫画を原作としたアニメ。原作が「クソ漫画」を自称しているのと同様に、公式が「クソアニメ」を自称している異色のギャグアニメです。 2018年・2019年に放送され、平成のギャグアニメ史に大きな痕跡を残した本作。ポプ子とピピ美は毎回違う声優がキャスティングされ、さらに再放送としてほぼ同じ内容を前半と後半で繰り返す斬新な構成が話題となりました。 アニメ内に差し込まれる「ヘルシェイク矢野」や「ボブネミミッミ」といったコーナーも話題となり、SNSを中心に「ポプテピ」発祥の単語が流行る事態に。出版元の竹書房を破壊したり、声優の蒼井翔太がなぜか本人役で登場して活躍したり、よくも悪くもアニメの常識を突き破ったブラックユーモアあふれるギャグアニメです。
9.『カッコカワイイ宣言!』
『カッコカワイイ宣言!』は地獄のミサワにより漫画を原作としたアニメ。2010年・2011年にアニメ化されました。 本作の特徴は、地獄のミサワが描く顔の中心にパーツが寄っている登場人物たち。一度目にすると忘れないクセのあるキャラクターたちが、世界トップクラスの美貌を持っているという設定がシュールな笑いを誘うのです。 ナルシストなキャラクターたちが格言のように放つ言葉は、鬱陶しさとあるあるが絶妙にブレンドされ、独特の空気感を生み出します。ちょっとイラッとしながらも次の名言を待ってしまう、そんな中毒性が本作の魅力です。
10.『学園ハンサム』
『学園ハンサム』は同人ゲームからアプリやアニメにまで広がった作品。男子校の私立薔薇門高校を舞台に繰り広げられる、タイトル通りハンサムたちの学園生活や恋模様を描くストーリーです。 しかし、登場するハンサムたちはなぜか全員顎が異様にとんがっているというインパクトのあるキャラクターデザイン。しかも、この顎を凶器に事件が起こったりイベントが発生したりという、常識では考えられない展開がクセになります。 アニメ版とゲーム版のWキャスト仕様で放送されており、両方を聴き比べるのも楽しみ方のひとつ。尖った顎が次第にハンサムにみえてくるという不思議なシュールさを体験することができる作品です。
嫌なことはアニメを観て笑い飛ばそう!
おすすめのシュールなギャグアニメ10本を紹介しました。どれも1話が短いので、観始めるとあっという間に何本も視聴できると思います。嫌なことがあった日の夜にまとめて観たり、通勤・通学中や休憩中に息抜きがてら1〜2本観たり。シュールな笑いを定期的に摂取して、日々を乗り越えるパワーにしてみてはいかがでしょうか。