2020年2月7日更新

【ネタバレ】映画『犬鳴村』の謎を解説 知れば恐怖倍増の都市伝説やトリビアも紹介

『犬鳴村』
(C)2020 「犬鳴村」製作委員会

「呪怨」シリーズの生みの親、清水崇がメガホンをとったホラー映画『犬鳴村』。日本に実在する心霊スポットを題材にした本作のあらすじやキャスト、ネタバレ解説、そしてもとになった心霊スポットに関する都市伝説も紹介します。

目次

実在する心霊スポットを題材にしたホラー映画『犬鳴村』

「呪怨」シリーズなど、数多くの名作ホラー映画を生み出してきた清水崇監督が贈る新たな恐怖。都市伝説をもとに製作された映画『犬鳴村』に、注目が集まっています。 本作の題材となっているのは、福岡県に実在する「旧犬鳴トンネル」。そこを訪れた人々から、ネット掲示板やSNSにさまざまな恐怖体験談が寄せられ、“最凶”の心霊スポットとして知られています。 今回は、映画『犬鳴村』のあらすじやキャストを紹介しつつ、ネタバレありで解説。実際の心霊スポットに関する都市伝説を紹介しましょう。 ※この記事には映画『犬鳴村』のネタバレが含まれます。未鑑賞の方、結末を知りたくない方はご注意ください!

映画のあらすじを紹介 決して足を踏み入れてはいけない犬鳴村とは?

『犬鳴村』
(C)2020 「犬鳴村」製作委員会

あるとき、臨床心理士の森田奏の周囲で突然不可解な出来事が立てつづけに起きはじめます。 奇妙なわらべうたを口ずさみ、精神に異常をきたしてしまった女性。行方不明になった兄弟。そしてつぎつぎと起こる変死事件……。そんななか、彼女はひとりの女性が突然死する現場に居合わせます。その女性は死の直前に、心霊スポット「犬鳴トンネル」とその先にある村について口にしました。 女性の言葉が、これまでの奇妙な出来事の数々に関連していると考えた奏は、謎を解くため「犬鳴トンネル」へ向かうことに。その先で彼女が見た、決して足を踏み入れてはいけない、驚愕の真実とはーー。

映画『犬鳴村』の謎を徹底解説【ネタバレ注意】

次々と起こる怪事件と不審死

『犬鳴村』
(C)2020 「犬鳴村」製作委員会

とある病院に勤める精神科医の森田奏。彼女の担当患者のひとりに遼太郎という少年がおり、彼は最近悪夢を見る様子。よくよく話を聞いてみると、彼は「言っちゃいけないって。ママが悲しむから」「あっちのママ(に言われた)」と不思議なことを口にします。 そして奏は、遼太郎が誰もいないはずの場所に手を振っているのを観て、幽霊である“あっちのママ”を目撃しました。 それより少し前、奏の兄・悠真は恋人の明菜とともにある場所を訪れていました。そこは、心霊スポットとして有名な"犬鳴村”。最初ははしゃいでいた明菜でしたが、悠真と離れた間に錯乱するほどの恐怖を体験します。 それ以降、彼女は奇妙なわらべ唄を口ずさみながら、不気味な絵を描くようになりました。

明菜はトイレに行く、と言って悠真の部屋を出たきり帰ってきません。きょうだいは全員で明菜を探しますが、彼女は悠真に「もうすぐ行くよ」と電話をかけ、鉄塔から投身自殺。彼女の身体が悠真の目の前に転がります。しかし、のちに明らかになった彼女の死因は“溺死”でした。 その後、明菜の死の謎を解明するため、悠真は再び犬鳴村へ。友人3人も連れて行きますが、トンネルを塞ぐブロック塀を登ってなかに入った悠真を置いて、彼らは帰ってしまいます。そこに現れたのは、車の中に隠れてこっそりついてきた弟の康太。 ブロック塀を登りトンネルの外に出ようとしていた悠真と、彼を助けようと塀に登った康太は、2人ともトンネル内に姿を消してしまいます。 その後、森田家の主治医山野辺が病院に運ばれ、ベッドのうえで溺死。悠真の友人3人は、トンネル近くの電話ボックスで遺体で発見されました。

ついに奏は犬鳴村へ

『犬鳴村』
(C)2020 「犬鳴村」製作委員会

奏の父は母にとても冷たくあたっていました。そのことを不審に思った彼女は母方の祖父の家へ。祖父と亡くなった祖母の思い出話をしていると、意外なことが発覚します。 それは、祖母は祖父が幼いころに彼の家の前に捨てられていた子供だったということ。また、彼女には幼いころから不思議な能力があり、他人の妊娠や死亡を察知したりすることができたといいます。その話を聞いて、奏は幼いころに祖母とある青年を見かけたことを思い出しました。

祖母の墓参りに行った奏は、そこで幼いころに見かけた謎の青年に出会います。彼は見せたいものがある、と奏をある場所につれていき、むかしの犬鳴村の様子を撮影したフィルムを見せました。 それは、作物もならない痩せた土地に暮らす村人たちが、山犬を狩ってその肉を食べ、その毛皮で日用品を作って暮らしていた記録でした。しかし、ある企業が村にやってきて、その様子は様変わりします。彼らは、犬鳴村について悪評を流し、彼らを周囲のほかの部落との交流を絶たせます。なかには村の女性たちは犬と交わっているという噂まで。 犬鳴村の住人たちがすっかり周囲の嫌われ者になったころ、企業のトップはその場所にダムを建設することを決定。映像を見ていた奏は、その社長が自分の父方の祖父であることに気づきます。 青年に「悲劇を止められるのは君しかいない」と言われた奏は、その夜、彼と一緒に犬鳴村へ行くことにしました。

犬鳴村の村人の正体とは?そしてその血は受け継がれ……

『犬鳴村』三吉彩花
(C)2020 「犬鳴村」製作委員会

そして犬鳴村を訪れた奏は、行方不明の兄・悠真と弟・康太を探します。

途中、犬に襲われながらも、なんとか兄と弟が檻に閉じ込められているのを発見します。檻の鍵は別の犬が眠っている場所の奥の柱にぶら下がっており、彼女はなんとかそれを取ることに成功しました。 すると、奥の部屋から女性のうめき声が聞こえます。一緒に来ていた青年が彼女に駆け寄ると、そこには産まれたばかりの赤ん坊と、ぐったりと横たわる女性がいました。 青年は、奏に赤ん坊を託します。しかし女性は「赤ちゃんを返して!」と必死に手を伸ばしました。青年に促され、奏は兄弟とともに村を脱出しようとしますが、トンネルを抜けようとしていたとき、兄が女性に捕まってしまいます。彼女の後ろには、獣のように変貌した村人が大勢押し寄せていました。 女性の容貌もみるみるうちに人間離れしていき、言葉もまともに発することができなくなっていきます。彼女はその口に生えた牙で兄の腕に噛みつきます。「俺たちの子供を守ってくれ」と言う青年の制止で奏と弟はなんとかトンネルを脱したものの、ある民家の前で気を失ってしまいました。 家から出てきた少年は、赤ん坊に気が付き、家の中へと連れて行きました。彼には、奏たちの姿は見えていないようです。 この少年と赤ん坊は、のちの奏の母方の祖父と祖母だったのです。 その後、兄の遺体も発見されましたが、彼の足元には、すでにほぼ骨だけの状態の2人の遺体がしがみついた状態でした。 こうして事件は収束し、奏の患者、遼太郎も退院します。病院を出る彼の傍らには“あっちのママ”が。そして振り返った奏の口元からは、牙が覗いていました。

【解説】他人事ではいられない『犬鳴村』のテーマとは?

『犬鳴村』
(C)2020 「犬鳴村」製作委員会

『犬鳴村』は、「血筋」をテーマにしたストーリーになっています。

奏の母方の祖母は、彼女自身が犬鳴村から助け出した赤ん坊でした。その後、奏の母が産まれ、3人きょうだいに犬鳴村の血が引き継がれています。「犬鳴村の血」とは、クライマックスで現れた「犬人(いぬびと)」になってしまう運命にあるということです。 「呪われた血筋」というのは、ホラー映画でもたびたびテーマになっていますが、普段そういったものを自分自身に引き寄せて、意識して生活している人は少ないのではないでしょうか。 清水崇監督によると、「心霊スポット」という第三者的な恐怖と自分自身につながりがあったとしたら……という観点で本作のアイディアが生まれたとのことです。

『犬鳴村』知れば怖さ倍増のトリビアを紹介

犬鳴村のわらべ唄「ふたしちゃろ」の意味とは?

本作に登場するわらべ唄「ふたしちゃろ」は、清水崇が作詞したオリジナルのものです。「臭いものに蓋」というように、差別され、ひっそりと暮らしていた犬鳴村の人々が、自らの境遇を自虐的に歌ったものという設定で作られました。 なかでも印象的で、映画内でもよく聞かれるのは「わんこがねぇやに ふたしちゃろ」「赤子は見ずに流しちゃろ」という部分です。 前者は「ねぇや」が“姉や”なのか“寝屋”なのか、もしくはその両方なのかわかりませんが、犬との交わりを示しています。 また後者は、「見ずに」=“水に”ということで、堕胎を意味しています。狭い村のなかで外界からも隔たれ、親戚同士での結婚によって血が濃くなるなか、子供の将来を案じてそうした決断に出ることもあったのでしょう。 自分たちの日常生活の苦しみや悲しみ、自分の出自を恨む気持ちをあえて唄にして慰めあった、と清水監督は説明しています。

脚本執筆のために実際の犬鳴トンネルへ

清水崇監督と脚本を担当した保坂大輔、プロデューサーの紀伊宗之は、本作の脚本執筆のため、福岡県にある実際の犬鳴トンネルに行ったそうです。そのときに不可思議なことが起こったとか。 彼らは、真夏で汗だくになりながらトンネルを目指していたとき、急に寒くなったと話しています。それまで木が揺れる音や鳥の鳴き声などが聞こえていたのが急に無音になったり、トンネルの入り口に積んであるブロックの隙間から風が吹き、肌に水滴がつくほどの冷たさだったとも。 当初は一度昼間に見に行ったあと、夜にもう一度行く予定だったそうですが、昼間でも充分に怖かったので夜に行こうという人は1人もいなかったそうです。 ちなみに、撮影は埼玉県や神奈川県、東京都などで行われています。

清水崇監督渾身の詳細設定

本作のアイディアを思いついた後、清水崇はストーリーよりも家系図やキャラクター設定を考えるのに夢中になったそうです。 劇中ではまったく触れられていませんが、犬鳴村の村人たちには、一人ひとり名前と詳細な人物設定があります。

また、奏の曾祖母である摩耶は、犬鳴村の長を務める一族の娘という設定。巫女として神事を執り行うほか、女性は犬と交わることで犬の言葉と操り、霊的能力を持つと伝えられている、とのことです。

地図に存在しない“犬鳴村”とは! 最凶心霊スポットの都市伝説を知ると恐怖倍増?

『犬鳴村』
(C)2020 「犬鳴村」製作委員会

本作の舞台となる「犬鳴村」は、ネット掲示板やSNSで「最凶の心霊スポット」と話題になっている実在の場所から着想を得ています。 福岡県に実在する旧犬鳴トンネルは、かつて犬鳴村という集落に続いていたのだとか。現在トンネルは封鎖され、中には入れないようになっています。しかし、どうにかしてトンネルの先に行ったという人々の体験談から、さまざまな都市伝説がささやかれるようになりました。

「コノ先 日本国憲法 通用セズ」と書かれた看板がある

旧犬鳴トンネルの入り口は現在ブロックで塞がれていますが、その出口には「コノ先 日本国憲法 通用セズ」という看板があると言われています。 憲法が通用しないということは、無法地帯か村独自のルールで生活している人々がいるような印象を持つのではないでしょうか。いったいなにが禁止され、なにが容認されているのか、想像もつかないところに恐怖を掻き立てられます。

全ての通信会社の携帯電話・スマートフォンが圏外に

犬鳴村では、全ての通信会社の携帯電話やスマートフォンが圏外になるとか。そもそも山奥ではそういうこともあるかもしれませんが、「心霊スポット」ですぐに外部に連絡できる手段がないというのは恐ろしいでしょう。

トンネル付近にある電話ボックス

『犬鳴村』
(C)2020 「犬鳴村」製作委員会

旧犬鳴トンネル付近にある電話ボックスは、必ず幽霊が出ると有名だったようです。中にある公衆電話で電話をかけると不気味な女の声が聞こえる、電話ボックス付近に若い女の幽霊が出るなど、奇妙な噂が数多くあります。 なお、実際の電話ボックスはすでに撤去されたそう。また、最寄りのコンビニ前にある公衆電話からは、警察に電話をかけることができないという都市伝説もあります。

なぜ実際の「犬鳴村」は地図に載っていないのか

実際に存在した犬鳴村の正式名称は、「犬鳴谷村」だといわれています。しかし、この村は過疎化が進み、1994年の犬鳴ダム建設にともなってダムの底に沈みました。 「犬鳴」という地名自体は残っており、犬鳴山をはじめ新犬鳴トンネル、そして犬鳴ダムは現在の地図でも確認できます。

『犬鳴村』のキャストを紹介 主演を務めるのは『ダンス・ウィズ・ミー』の三吉彩花

『犬鳴村』
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『犬鳴村』で主演・森田奏役を務めるのは三吉彩花。元アイドルの彼女は、女優としては『いぬやしき』(2018年)や『ダンス・ウィズ・ミー』(2019年)などへの出演で知られています。 奏の兄・悠真を演じるのは、映画『十二人の死にたい子どもたち』(2019年)などへの出演でしられる坂東龍汰。悠真の恋人・西田明菜役の大谷凜香は、映画『ミスミソウ』(2018年)などに出演しています。 また、ボーカルダンスユニットSUPER★DRAGONの古川毅が謎の青年を演じるほか、奥菜恵、石橋蓮司、高嶋政伸、高島礼子など、ベテラン実力派俳優もキャストに名を連ねています。

ついにタブー解禁!『犬鳴村』で“最凶”の恐怖を体感せよ

『犬鳴村』ポスター
(C)2020 「犬鳴村」製作委員会

怪談好きの間では超有名といえる「犬鳴村伝説」。それが日本のホラーの第一人者、清水崇によって映画化されたのですから、これを見逃す手はありません。 犬鳴村の都市伝説を題材にした本作の恐怖と驚きをぜひ体感してみてください。映画『犬鳴村』は2020年2月7日から全国公開中です!