【ネタバレあらすじ】映画『ある閉ざされた雪の山荘で』の結末を考察!事件の真相・伏線・原作との違いを解説
人気作家・東野圭吾の小説を原作にした『ある閉ざされた雪の山荘で』は、豪華キャスト陣による実写化ということで原作ファン以外の層からも注目を集めている作品です。 本記事ではそんな『ある閉ざされた雪の山荘で』のストーリーを結末までネタバレ解説していきます。トリックや犯人の解説もしていくので、ぜひ最後まで読んでいってください!
映画『ある閉ざされた雪の山荘で』のあらすじ【ネタバレなし】
公開日 | 2024年1月12日 |
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上映時間 | 109分 |
キャスト | 重岡大樹 , 間宮祥太朗, 中条あやみ , 岡山天音 , 西野七瀬 , 堀田真由 , 戸塚純貴 , 森川葵 |
監督 | 飯塚健 |
原作 | 東野圭吾『ある閉ざされた雪の山荘で』(講談社文庫) |
『ある閉ざされた雪の山荘で』は、老若男女から愛される大人気作家東野圭吾のミステリー小説を原作にしたサスペンスミステリー映画です。 人気劇団の次回公演の主演を決める最終オーディションに集められた男女7人が、貸別荘で3泊4日の合宿をしている間に殺人事件が起こるというストーリー。一度事件が起こり始めたらすべてが終わるまで誰もその場を離れることができないクローズドサークルものとして楽しめる作品です。 >今すぐ真相・トリックを知る
【ネタバレ】『ある閉ざされた雪の山荘で』の結末までのあらすじ
【1日目】「ある閉ざされた雪の山荘」に集う7人
「劇団水滸」の演出家・東郷から届いた最終オーディションへの招待状。劇団のメンバーである本多雄一、中西貴子、田所義雄、元村由梨江、笠原温子、雨宮恭介は合宿の舞台である貸別荘を訪れます。そこには、唯一劇団の人間ではない参加者・久我和幸がすでに到着していました。 久我は役者でありながら「劇団水滸」のオタクでもある人物で、記念受験で受けた「劇団水滸」のオーディションに残れたことを誰よりも喜んでいました。そんな久我を入れた7人でオーディションは始まります。 通信機器はすべて取り上げられ、3泊4日の間に起こるある事件の謎を解くことを求められた参加者たち。4日間の間は、吹雪によって外界との連絡手段が途切れているという設定で過ごさなくてはいけません。 そして、貸別荘のリビングにはアガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』が7冊置いてありました。これは何かのメッセージなのだろうかと疑いながら眠りにつく7人でしたがーー。
【2日目】最初の事件、温子の殺害
翌朝、温子と同じ部屋を使っていた由梨江が温子がいないことに気づきます。ベッドには使われた形跡がなく、どうやら遊戯室にあるピアノを弾いている時に襲われたようです。 残された6人が遊戯室に向かうと、東郷からのメッセージがありました。昨夜殺された温子は、ヘッドホンをしてピアノを弾いている時にヘッドホンのコードを使って絞殺されたという設定で、6人に求められているのは、この殺人事件の謎を解くことです。 誰よりも主演に固執していた温子が最初に脱落したことに疑念を抱く「劇団水滸」のメンバー。結局この日は誰も犯人にたどり着くことができず、再び夜を迎えます。そこで久我は、次の犯行に備えてアリバイを作っておくことにしました。 久我がアリバイ作りに選んだのは本多。お互いの手を縛って動けない状態で眠ることで、夜の間のアリバイを確保しよういう計画です。そして、アリバイの証人に由梨江を選びます。東郷のお気に入りである由梨江は、次の殺人で犠牲者役に選ばれることはないだろうと予想していた久我でしたがーー。
【3日目】これは本当に劇なのか?
久我の予想は裏切られ、翌朝には由梨江が姿を消します。由梨江が使っていた部屋の壁には血糊が塗り付けられ、東郷のメッセージによって由梨江が撲殺されたことが明かされます。そして、リビングには何者かの血がついた花瓶が……。 部屋の血糊とは違い、花瓶についている血は本物だということに気付いた田所は、これは芝居ではなく本当に殺人事件が起こっているのではないかと怯えます。そこで、久我は昨夜リビングに隠して録画しっぱなしにしていたビデオカメラを再生してみようと提案しました。 久我が再生した映像に映っていたのは、何者かが由梨江の死体を引きずっている姿でした。しかし、フードを深くかぶっている犯人の顔はわかりません。そして、裏口にある井戸には温子が着ていた赤いセーターの毛糸が残っていたのです。 本物の殺人の気配に貴子と雨宮は貸別荘を出ていこうとしますが、本多が2人を止めます。この状況も含めてオーディションであるという可能性はまだ捨てきれず、ここで帰ってしまうと失格になるというのです。次に殺されるのは自分ではないかと怯える雨宮には犯人に狙われる心当たりがあってーー。
【4日目】最後の殺人と事件の結末
翌朝、姿を消したのは雨宮でした。そして久我は、その時点で犯人が本多であることを確信します。同じ部屋で眠っていた久我、貴子、田所の3人は、お互いがお互いのアリバイを証明する存在だったからです。 そして久我がたどり着いたのは、本多の後ろに隠れている真犯人と、本多がその人物を裏切っているという驚きの真実でした。複雑な三重構造になっている今回の事件には悲しい動機が隠されていてーー。
【ネタバレ】『ある閉ざされた雪の山荘で』の真相・トリックを解説
事件の犯人は?動機は?
まず、すべての事件の実行犯は本多です。なぜ本多が温子、由梨江、雨宮を殺したのかというと、かつて「劇団水滸」に所属していた麻倉雅美に頼まれたからというのが動機でした。 「劇団水滸」の中でも頭一つ抜き出た実力派女優だった雅美ですが、今回の最終オーディションには残れませんでした。それなのに、演技力はないのに親が劇団に多額の寄付をしている由梨江や、体を使って役を取っているという噂がある温子が最終オーディションに残っていることに虚しさを感じ、実家に帰ってしまいます。 そのまま役者を辞める気でいた雅美を追いかけていったのが殺された3人です。しかし、雅美を上手く説得できなかった3人は、帰り道に事故に遭い雨宮が死んだという噓の電話を雅美にかけます。雨宮に好意を持っていた雅美は動揺し、それが原因で交通事故に遭ってしまいました。 下半身不随になり、もう役者として舞台に立つことが出来なくなった雅美は、本多に自分の手足となって3人を殺すよう頼みます。そして、別荘内の隠し部屋に身を隠し、監視カメラで殺害の様子を見ていたのです。
どこまでが演技でどこまでがリアル?
しかし、本多は雅美を犯罪者にしたくはありませんでした。そこで、温子、由梨江、雨宮に事情を話し、殺される芝居をするよう提案します。これはまさに命がけの芝居でした。 ちなみに、2日目の夜の本多は久我の計画に巻き込まれ、身動きが取れなくなっていました。この時に代打として由梨江を殺す役を担ったのが雨宮です。3日目に、雨宮が次は自分が殺されるかもしれないと帰ろうとしたことも、雅美を騙すための演技でした。 つまり、本当に殺されたと思われていた、温子、由梨江、雨宮は死んでおらず、山荘の隣のペンションに隠れていたのでした。
久我が暴いた三重構造のトリック
最後まで雅美を騙しきった本多でしたが、久我の謎解きによってすべての真相が明らかになります。 今回の事件は、東郷の名をかたって開催された偽のオークション、雅美が計画した殺人事件、本多が雅美を騙すために考えたシナリオの三重構造になっていたのです。 実際に殺人は起こらなかったことを知った麻倉雅美は、自殺を図りますが、説得の末、踏みとどまります。そして、この事件を題材に、かつての仲間たちと再び舞台に立ったのでした。
映画『ある閉ざされた雪の山荘で』結末の本当の意味とは?
「雪によって外界から閉ざされた山荘」というミステリの王道ともいえる題材によって、『絶対に何かが起こるだろう』という観客の心理を逆手に取ったとも言える本作。三重構造のすえ、本当は誰も死んでいなかったという、結末には衝撃を受けた人も多いのではないでしょうか。 さらに、小説版とは異なり、映画では、この事件をもとにした舞台を演じる麻倉雅美たちの姿がラストシーンに。これによって、私たち観客が見ていたのは、ある閉ざされた雪の山荘での「連続殺人劇」に見せかけた「本当の殺人」を阻止するための「殺された演技」という三重構造ではなかったのかもしれない、という考えが頭をよぎります。この三重構造の事件を舞台にした演劇を私たちは見せられていたのかもしれませんね。
原作小説『ある閉ざされた雪の山荘で』との違いはある?
映画『ある閉ざされた雪の山荘で』は、原作小説とは結末が少し違っていて最後に雅美も含めた8人で舞台に立っているシーンが追加されています。舞台のタイトルは「ある閉ざされた雪の山荘で」。内容も8人が経験した貸別荘での事件そっくりでした。 原作では、罪の意識を抱き、役者をやめようとした温子、由梨江、雨宮と雅美が和解し、「もう舞台には立てないけどどうにかして生きていかなければ」と心に決めるシーンがラストに。原作と比較すると、映画では、8人が再び舞台に上がるというより、救いのあるラストになっています。
映画『ある閉ざされた雪の山荘で』のキャスト・登場人物
久我和幸役 / 重岡大毅
今作の主役であり、唯一「劇団水滸」のメンバーではない人物です。事件を整理しながら推理を突き詰めていく役割を担い、最後には探偵役として活躍しました。 演じているのは、主題歌を担当したWEST.のメンバーでもある重岡大毅です。
中西貴子役 /中条あやみ
久我と共に謎解き役となった人物です。温子や由梨江を疎ましく思いながらも、誰よりもその死を悼んでいました。最後まで本多に騙されきった読者目線の登場人物でもあります。 演じているのは、「Seventeen」モデルとしてデビューし、現在は女優としても活躍している中条あやみです。
田所義雄役 /岡山天音
初日から久我に敵対心をむき出しにしていた人物です。由梨江のことが好きで、由梨江と雨宮が付き合っているかもしれないという疑惑に狂気的な一面を見せました。 演じているのは、若手実力派俳優として注目されている岡山天音です。
元村由梨江役 /西野七瀬
資産家の娘で、アルバイトもしたことがないというお嬢様。「劇団水滸」トップクラスの美貌で東郷に気に入られています。役柄に演技力が釣り合っていないことから、劇団内では嫉妬の対象になっていました。 演じているのは、元乃木坂46のメンバーで女優に転身した西野七瀬です。
笠原温子役 /堀田真由
気が強く、誰よりも主役に固執するあまり、演出家と寝て役をもらっているという噂を立てられていました。雅美の事故の原因を作った張本人でもあります。 演じているのは、現在ドラマや映画で引っ張りだこの堀田真由です。
雨宮恭介役 /戸塚純貴
「劇団水滸」の人気俳優で、由梨江と恋仲であることが匂わされている人物です。雅美が自分に好意を寄せていることに気付かず、知らず知らずのうちに雅美の傷をえぐってしまう無神経なところがあります。 演じているのは、ジュノン出身の仮面ライダー俳優・戸塚純貴です。
麻倉雅美役 / 森川葵
「劇団水滸」随一の演技力を持つ女優にもかかわらず、不慮の事故によって下半身不随になり夢を諦めることになってしまった人物です。 演じているのは、「Seventeen」出身の演技派女優・森川葵です。
本多雄一役 /間宮祥太朗
雅美の願いを叶えつつ彼女を守るため、複雑な三重構造のトリックを考え出した今回の真犯人です。「劇団水滸」では久我が1番憧れている役者でもあります。 演じているのは、高い演技力で幅広い役柄を演じている間宮祥太朗です。
『ある閉ざされた雪の山荘で』の三重構造をネタバレ解説しました
今回は、若手人気俳優を多数起用したことで話題になっている『ある閉ざされた雪の山荘で』の内容をネタバレ解説しました。トリックや犯人がわかった上で見ると、また違った視点で楽しめる作品だと思います!