映画『ひゃくえむ。』財津はなぜ引退した?日本陸上絶対王者の100mに掛ける覚悟や最後に迫る

映画『ひゃくえむ。』に登場する、陸上界の絶対王者・財津。彼が講演会で語るシーンは、主人公・小宮が覚醒するきっかけとなる本作屈指の名場面です。 この記事では、『ひゃくえむ。』に登場する財津の概要や名言&名シーンを解説!さらに引退を決めた理由も考察していきます。 ※この記事は『ひゃくえむ。』のネタバレを含みます。
映画『ひゃくえむ。』財津は日本100m界の絶対王者
『ひゃくえむ。』で、100mの絶対王者として君臨するのが財津です。小宮が通う高校のOBでもあり、講演会にやってきた時点で「日本陸上5連覇」と紹介されていました。 「走り」に対して常人には到達できない独自の哲学を持っています。記録だけを目指すようになる小宮に対しては辛辣な意見を投げながらも、高校時代からその走りの才能は認めていました。物語の終盤では、衰えが噂される中で小宮、そして海棠との勝負に挑みます。
財津が100mに掛ける思いは?小宮を変えた覚悟を解説

財津が小宮に対して走りにかける思いを話したシーンは、第28話と第36話の2回ありました。 1度目は小宮が高校時代、財津が学校で講演を行った時です。イップスになった小宮に対して、不安はマイナスな感情ではなく「自分自身を試す時の感情」だとアドバイス。 そして、大人になり、走りへの不安を乗り越えて偉大な記録だけを目標に走っている、と語った小宮。その言葉に対して、今度は「憐憫」と一蹴します。 財津自身は、絶対王者となったことで競う相手もいなくなり、闘争心がなくなったというのです。しかし、それでも財津は「1位を生み出せるのメダルでも記録でもなく、ただ1つ対戦相手だけだ」と、小宮に伝えました。
財津はなぜ引退した?海棠に敗れた財津の表情の真意に迫る

日本陸上の準決勝で、5位に終わった財津は引退を決意します。準決勝では、財津の背中を追い続けた海棠との勝負が描かれました。海棠に抜かれて勝負が決した後、財津は「フッ」と僅かに笑います。 財津が長く1位だったということは、"万年2位"と呼ばれながらも常に彼を追い続けた海棠がいたということです。最後のレースで追い抜かれ、自分にはずっと「対戦相手」がいたと再認識できたからこそ、彼は満足の笑みを浮かべ、引退を決意できたのではないでしょうか。 記者に囲まれた財津は、最後に「極上の10秒を味わえ」と、カメラに語りかけました。
財津の名言&名シーンを振り返る!
「浅く考えろ 世の中舐めろ 保身に走るな 勝っても攻めろ」
第28話で、財津のほぼ初登場シーンで放った名言です。 講演会を聞く生徒たちもいきなりの哲学的な言葉にざわつきます。陸上界のトップに立つ財津は、己との戦いの中で「陸上に殺される」選手たちを見てきたからこそ、この言葉を最初に伝えたのかもしれません。
「ちっぽけな細胞の寄せ集め1人 人生なんてくれてやれ」

同じく第28話、小宮の「不安への対処法」の質問に対する財津の名言です。 「人生なんてくれてやれ」という、言葉は小宮を走りの世界へとのめり込ませます。ある時は、イップスを乗り越える手助けとなりました。しかし、姑息な手段で勝とうとする経田部長との勝負では、完膚なきまでに走りで叩きのめす"危険な"原動力となったのです。
映画『ひゃくえむ。』財津の声優は内山昂輝が担当

映画『ひゃくえむ。』で財津役を演じたのは、声優の内山昂輝です。スティーブン・スピルバーグ監督作『A.I.』(2001)で声優デビュー。ジャンプ作品では、これまで『怪獣8号』の鳴海弦役や『僕のヒーローアカデミア』の死柄木弔役、『呪術廻戦』の狗巻棘役などを演じてきました。 財津を演じるにあたって「ずっとトップスプリンターの座を維持してきた財津らしさをセリフで表現できればと思いながら演じました」とインタビューで答えています。
映画『ひゃくえむ。』財津は頂点に立ち続けた、孤独な王者

映画『ひゃくえむ。』に登場する財津の概要や名言、名シーンを紹介しました! 劇中では財津の幼少期や練習の様子が描かれることはありません。しかし、財津の語る言葉の重みからは、その裏にある計り知れない努力や苦悩が伝わってきます。 映画『ひゃくえむ。』で財津の魅力に惹かれた方は、より深く物語が描かれた原作漫画もぜひ手に取ってみてください。