2025年5月1日更新

【ネタバレ考察】『ひゃくえむ。』最後は誰が勝った?アニメ映画が2025年9月公開に

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『チ。-地球の運動について-』の作者として知られる魚豊の連載デビュー作『ひゃくえむ。』。走ることに情熱を注いだ男たちの人生を描いた、全5巻のスポーツ漫画です。 本記事では漫画『ひゃくえむ。』のネタバレを含むストーリー紹介や、2025年9月に公開を控えたアニメ映画の基本情報などを解説していきます。

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【ネタバレなし】『ひゃくえむ。』のあらすじ

生まれつき足が速かった少年・トガシは「走ること」で友達や居場所、全てを手に入れてきました。そして才能の原石ともいえる小宮と出会い、人生で初めて敗北の恐怖と勝負のスリルを知ります。 しかし中学入学以降、トガシの才能は陰りを見せ始めます。そしてライバルとの再会の果て、屈辱的な敗北を味わったトガシは陸上への情熱を失ってしまうのでした。 それから10年後、ギリギリの成績ながら企業の契約選手として陸上を続けていたトガシに転機が訪れ……。

豪華キャストでアニメ映画化が決定!

魚豊の連載デビュー作『ひゃくえむ。』が2025年9月19日に、劇場版アニメーションとして全国公開されることがわかりました。 主人公トガシのCVを担当するのは『流浪の月』(2022)『蜂蜜と遠雷』(2019)の松坂桃李。トガシのライバルである小宮のCVを、声優経験も豊富な俳優・染谷将太が務めます。 メガホンを取ったのはアニメーション映画『音楽』(2020)の岩井澤健治。TVアニメ『葬送のフリーレン』で演出・絵コンテを手がけた小嶋慶祐がキャラクターデザイン・作画監督を務め、岩井澤が代表を務めるロックンロール・マウンテンがアニメーション制作を担います。 ここからは重要なネタバレが含まれるので、原作未読の人は注意してください。

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『ひゃくえむ。』の登場人物を紹介

トガシ 少年時代100m走で全国1位に輝いた経歴を持ちながら、己の才能の限界を感じている実業団陸上部員。
小宮 小学校の頃トガシと出会ったことで短距離に目覚め、日本トップクラスまで登り詰めた短距離選手。
海棠 長年一線で活躍する陸上選手。ライバルの財津に勝てず、悔しい思いをし続けています。
財津 15歳の頃から日本陸上界のトップに君臨する陸上選手。インターハイ大会記録保持者。
仁神 武 トガシが高校時代に所属していた陸上部の部長。
浅草 葵 トガシと同じ高校の陸上部員。陸上を辞めようと悩むトガシを陸上部に勧誘した人物。
貞弘 トガシと同じ高校の陸上部員。廃部寸前の陸上部を仁神、浅草と共に支えています。
寺川 トガシの高校のアメフト部員。トガシを熱心にアメフト部に勧誘しています。

トガシ/CV.松坂桃李

ひゃくえむ。 トガシ

本作の主人公。生まれつき走るのが速く、小学校6年生の時に100m走で全国一位に輝きました。その後中学生になると1年で全中を制覇するも、それ以降思ったように成績を延ばせない日々を過ごします。 高校では陸上を辞めようと考えるも、部員たちに説得され陸上部で活躍。しかし決定的な事件が起こり、向上心や勝利への執着を失ってしまいました。 それでも走ることを辞められず、社会人になってからもギリギリの成績で企業の陸上部に所属しています。

小宮/CV.染谷将太

ひゃくえむ。 小宮

小学校6年生の頃に、トガシが通っていた小学校に転校してきた少年。もともと短距離走の才能があり、トガシとの出会いで一気に才能が開花しました。しかしケガが原因でトガシとの勝負に敗れてから、イップスに陥り走れなくなってしまいます。 その後、引っ越しで九州へ。以降陸上競技から遠ざかっていましたが、高校でイップスを克服し、再びトガシの前へ現れます。そして卒業後も陸上で活躍しつづけ、日本短距離界のエースと言われる存在まで登り詰めました。

【ネタバレ】短距離走に挑むトガシの栄光と挫折(1巻~4巻)

『ひゃくえむ。』

主人公のトガシは小6で100m走全国1位に輝き、足が速いというただそれだけで順風満帆な人生を送っていました。 そんなある日のこと、転校生の小宮に走り方を教えることになったトガシ。元々才能があった小宮はトガシの「速さは全てを変える」という言葉を信じ練習を重ね、飛躍的に走るのが速くなっていきました。 そして小宮から挑まれた100mの真剣勝負で、トガシは初めて敗北の恐怖を味わいます。足のケガが原因で小宮がリタイアしなければ、トガシは負けていたかもしれなかったのです。 そのまま小宮は転校してしまい、トガシのスピードを脅かすものはいなくなりました。しかし中学生になったトガシは、自身の才能が劣化していることに気が付きます。それは陸上しか取り得のないトガシにとって、全てを失うことを意味していました。

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【ネタバレ】小宮との再会と海棠との出会い(4巻~5巻)

『ひゃくえむ。』

高校では陸上から離れていたトガシでしたが、廃部寸前の陸上部を助けるため奮闘する部員の情熱に突き動かされ陸上に復帰。 その後出場したインターハイで決勝まで勝ち進み、そこで小宮と再会します。そしてイップスに苦しみながらも努力を重ね続けてきた小宮に、トガシはあっけなく敗北してしまうのでした。 それから10年の月日が流れ、小宮は日本短距離界のエースに成長。一方のトガシは企業の契約選手として陸上を続けてはいたものの、何のために走っているのか分からなくなっていました。 そんな中、長年チームのトップとして活躍する海棠との会話の中で現状打破のきっかけを掴んだトガシ。都内の大会で好成績を残し復活の兆しを見せますが、ケガが理由で企業から契約を打ち切られてしまいます。

【ネタバレ考察】最終話の決勝戦が示唆する意味とは(5巻)

『ひゃくえむ。』

走ること、そして勝つことへの執着を取り戻し、個人で日本陸上への出場を決意したトガシ。予選、準決勝と見違えるような走りを見せ決勝進出を決めました。小宮も決勝に進み、2人は3度目の直接対決を迎えます。 もはや舞台は2人の独壇場に。スタートから激しいデッドヒートが繰り広げられ、トガシも小宮も全てを出し切って走り続けました。そして勝敗の行方がわからないまま物語は終幕となっています。 作者があえて勝負の結末を描かなかったのは、最終的に2人が「走ることが好きだ」という答えに行きついたからではないでしょうか。作者は一番大切なのは勝敗や結果ではなく、「好き」なものに向ける情熱なのだと伝えたかったのだと思います。

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「チ。」作者の魚豊が『ひゃくえむ。』で描きたかったもの

ひゃくえむ。

作者の魚豊は雑誌のインタビューにて、「命が輝く瞬間」を肯定する漫画が描きたいと語っています。これは『ひゃくえむ。』だけでなく『チ。-地球の運動について-』にも共通するテーマだといえるでしょう。 時間にすれば10秒程の100m走を題材にした『ひゃくえむ。』は、まさに長い人生の中の一瞬の輝きを切り取った作品。そして命を長らえることより、自分の信じた道を突き進むことを選んだ「チ。」の登場人物からも強く「命の輝き」を感じました。 そして1つのことに打ち込み人生を捧げる人々の姿は、我々読者に自分の命をどう輝かせるかという課題を投げかけているようにも思えます。

『ひゃくえむ。』通常版と新装版の違い

漫画『ひゃくえむ。』は全5巻の通常版と、上下巻の新装版、2種類の単行本が発売されています。(2025年4月現在) ストーリーに大きな違いはありませんが、新装版では全ページに加筆修正が行われています。また作者のロングインタビューに加え、ひゃくえむの原案となった読み切り作品『100m』、マガジン新人漫画賞入選受賞作『佳作』の2本が収録されていることが確認できました。 一方通常版では新装版にも収録されている佳作に加え、『執刀』という全8ページのショート作品も読むことができます。

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アニメ映画『ひゃくえむ』の公開日は9月19日(金)!

100mという僅かな距離、時間にして10秒ほどのその瞬間に、人生をかけた男たちの姿を描いた陸上漫画『ひゃくえむ』。孤独で険しい道のりの先で、主人公・トガシが辿り着いた景色を、ぜひその目で確かめてみてください。