【総勢22人】「007」歴代ボンドガール変遷を解説!時代とともに変わる彼女たちの魅力
歴代ボンドガールたちの魅力を紹介
イアン・フレミングのスパイ小説を原作に、1962年の『007/ドクター・ノオ』から2021年の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』まで、25作品が製作されてきた映画「007」シリーズ。 この記事では、シリーズを通して作品に花を添えてきた「ボンドガール」を紹介。歴代のボンドガールから注目すべき22人を取り上げ、時代とともに変わる彼女たちの魅力に迫ります。
そもそもボンドガールの意味・特徴って?
ジェームズ・ボンドの傍らにはいつも女の影があります。ある時には巨悪と戦う仲間であったり、またある時には突然の裏切りにあったり、一夜を共にするだけではなくジェームズ・ボンドの妻になったことも!彼女たちは「ボンドガール」と呼ばれ、「007」シリーズに花を添える役割を果たしてきました。 中にはボンドガールとしての活躍が評価され、輝かしい経歴を歩むこととなった女優たちもいます。まだ無名な女優やモデルを抜擢することもあるボンドガールは、新人の登竜門や一種のステイタスとしても機能してきました。 また、1960年代から2020年代を経て、時代の変遷とともに彼女たちの役割にも変化が。ボンドガールは時代を映す鏡でもあるのです。
【ショーン・コネリー版】4人のボンドガール
ハニー・ライダー役/ウルスラ・アンドレス
『007/ドクター・ノオ』(1962年)
初代ボンドガールは、スイス出身のウルスラ・アンドレス。初代ジェームズ・ボンドのショーン・コネリーによるシリーズ1作目『007/ドクター・ノオ』で登場したハニー・ライダーを演じました。 ハニー・ライダーはボンドがジャマイカの島で出会った美女で、彼の協力者。ウルスラ・アンドレスのセクシーさはボンドガールの定義を形作ったといえます。1967年の番外編『007/カジノ・ロワイヤル』では、ヴェスパー・リンド役を務めました。
タチアナ・ロマノヴァ役/ダニエラ・ビアンキ
『007/ロシアより愛をこめて』(1963年)
2代目ボンドガールは、イタリア出身のダニエラ・ビアンキが務めました。彼女が演じたのは、シリーズ2作目『007/ロシアより愛をこめて』のタチアナ・ロマノヴァ役。タチアナはKGBの情報員であり、真実を知らされないままボンドを罠にはめるという役柄です。 ミス・ユニバース1960準優勝という経歴を持つダニエラ・ビアンキ。本作がハリウッドデビュー作であり、10年間の女優キャリアの中で唯一の英語作品でした。
プッシー・ガロア役/オナー・ブラックマン
『007/ゴールドフィンガー』(1964年)
シリーズ3作目『007/ゴールドフィンガー』に登場した3代目ボンドガールは、イギリス出身のオナー・ブラックマン。彼女が演じたのは、空中サーカス団長で女性パイロットを務めるプッシー・ガロアです。初めはボンドと敵対する立場でしたが、親密になって協力者に寝返ります。 オナー・ブラックマンはプッシー役で、抜群のプロポーションと端正な顔立ち、そしてクールなセクシーさを見せつけ瞬く間に人気を獲得しました。
キッシー鈴木役/浜美枝
『007は二度死ぬ』(1967年)
シリーズ5作目『007は二度死ぬ』では舞台が日本となり、浜美枝と若林映子の2人がボンドガールに抜擢されました。浜美枝はキッシー鈴木役で出演。劇中では漁師に扮して潜入するボンドに協力し、偽装結婚する場面もあります。 キッシーは島の海女ですが、ボンドガールらしく白い水着姿を披露していることも有名。60年代当時の日本人としては抜群のプロポーションを持っており、この役柄で世界的に知られるようになりました。
【ジョージ・レーゼンビー版】ボンドガール
トレイシー(テレサ)・ディ・ヴィンチェンゾ役/ダイアナ・リグ
『女王陛下の007』(1969年)
『女王陛下の007』でダイアナ・リグが演じたトレーシー(テレサ)はジェームズ・ボンドの生涯で1番重要な役割を担ったといってもいいほどのボンドガール。 何せ彼女は最終的にトレーシー・“ボンド”、つまりボンドの伴侶となるわけですから。この役以降彼女は長きに渡って映画とテレビ映画の両方で引っ張りだこの女優となりました。現在ではドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』に出演しています。
【ロジャー・ムーア版】4人のボンドガール
ソリテア役/ジェーン・シーモア
『007/死ぬのは奴らだ』(1973年)
シリーズ8作目『007/死ぬのは奴らだ』に登場したボンドガール、ソリテア役を務めたのはイギリス出身のジェーン・シーモア。本作は、3代目ジェームズ・ボンドのロジャー・ムーア最初の作品です。 舞台はカリブ海の島国サン・モニークで、ジェーン・シーモアは大統領にタロットカードで指示を与える謎の女性ソリテアを演じました。ボンドガールの定番の1つである「謎の女性」の役割を見事に果たし、妖艶な美しさを見せています。
メアリー・グッドナイト役/ブリット・エクランド
『007/黄金銃を持つ男』(1974年)
シリーズ9作目『007/黄金銃を持つ男』では、ボンドの助手メアリー・グッドナイトがボンドガールとして登場します。助手という立場ながら、ボンドも魅了するメアリーを演じたのはスウェーデン出身のブリット・エクランド。 イギリスのコメディ俳優ピーター・セラーズやストレイ・キャッツのスリム・ジム・ファントムと結婚したり、歌手のロッド・スチュアートとも浮名を流すなどロマンスに事欠かないのも納得の美貌です。
アニヤ・アマソヴァ役/バーバラ・バック
『007/私を愛したスパイ』(1977年)
シリーズ10作目『007/私を愛したスパイ』のボンドガールはKGBのスパイ、アニヤ・アマソヴァ。演じたのはアメリカ出身のバーバラ・バックです。英ソの潜水艦が同時に消息を絶った事件で、同じ使命を持って出会ったボンドとアニヤは協力することになります。 バーバラ・バックはイタリアで結婚し、数本のイタリア映画に出演した後にボンドガールに抜擢された異色の経歴の持ち主。現在は元ビートルズのリンゴ・スターと結婚しています。
メリナ・ハヴロック役/キャロル・ブーケ
『007/ユア・アイズ・オンリー』(1981年)
フランス出身のキャロル・ブーケは、歴代のボンドガールの中でもひときわ知的な雰囲気を持っています。彼女が演じたのは、シリーズ12作目『007/ユア・アイズ・オンリー』に登場するハヴロック博士の娘メリナ。 メリナは美しく知的なだけでなく、クロスボウで両親の復讐を果たすなど意志の強い一面も。キャロル・ブーケはボンドガールとして世界的に有名になった後も、自国のフランス映画に出演を続けています。
【ティモシー・ダルトン版】2人のボンドガール
カーラ・ミロヴィ役/マリアム・ダボ
『007/リビング・デイライツ』(1987年)
ティモシー・ダルトンが4代目ジェームズ・ボンドとして初登場した、シリーズ15作目『007/リビング・デイライツ』。本作のボンドガールは、KGBに利用され、ボンドを罠にはめるチェロ奏者カーラ・ミロヴィです。 カーラを演じたのは、ロンドンに生まれ、パリやジュネーブで育ったという国際色豊かな経歴を持つマリアム・ダボ。本作の舞台はチェコスロバキアやオーストリアなど東欧が中心で、彼女が持つ多国籍な雰囲気にマッチしています。
ルペ・ラモーラ役/タリサ・ソト
『007/消されたライセンス』(1989年)
シリーズ16作目『007/消されたライセンス』に登場したボンドガールは、麻薬王サンチェスの愛人ルペ・ラモーラ。演じたのは、プエルトリコ出身の両親を持つアメリカ人女優タリサ・ソトです。 本作のメインのボンドガールはキャリー・ローウェル演じるパムですが、二番手のルペはボンドとのベッドシーンも。エキゾチックな外見と上品な美しさで人気を獲得し、タリサ・ソトはルペ役で大きく注目されることになりました。
【ピアース・ブロスナン版】6人のボンドガール
ゼニア・オナトップ役/ファムケ・ヤンセン
『007/ゴールデンアイ』(1995年)
ピアース・ブロスナンのボンド・デビュー作『007/ゴールデンアイ』でボンドガール、ゼニアを演じたオランダ出身のファムケ・ヤンセン。 劇中ではサディスティックな暗殺者として宇宙基地の技術者たちを皆殺しにしてしまうという悪役を演じきりました。その後、映画『X-MEN』シリーズのヒットにより女優としてのキャリアを確固たるものにしています。
ウェイ・リン役/ミシェル・ヨー
『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』(1997年)
今作をきっかけに、故郷マレーシアおよび香港での活躍のみならずハリウッドへとキャリアを広げたミシェル・ヨー。 彼女が演じたウェイ・リンはボンドの片腕として活躍するアクション系美女として、一時は彼女のスピンオフ映画が出るなどといわれたほどのカリスマを持っていました。 その後も様々な役を演じていますが、まだまだ活躍が期待できる(特にアクションシーンで)女優です。
パリス・カーヴァー役/テリー・ハッチャー
『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』(1997年)
アメリカの超人気ドラマシリーズ『デスパレートな妻たち』で主役スーザンを演じたテリー・ハッチャー。この役でヒットする前、彼女は第18作目『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』でボンドガールのパリス役を演じています。 劇中でボンドに重要な情報を流したために殺されるという不運な役どころを演じたハッチャーですが、自身のキャリアでは憂き目知らず。『デスパレートな妻たち』が終わったともTV業界から引っ張りだこの存在です。
エレクトラ・キング役/ソフィー・マルソー
『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』(1999年)
著作や監督など、女優業以外にも精力的に活動するフランス出身のソフィー・マルソー。1995年に『ブレイブハート』でハリウッドデビューした後、ボンドガールを務めていたことは意外と知られていないかもしれません。 彼女が演じたのは、シリーズ19作目『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』の石油王キングの娘エレクトラ。悪役的なボンドガールで、その美しさとは裏腹にボンドを拷問にかけるサディスティックな役柄でした。
ジャシンタ(ジンクス)・ジョンソン役/ハル・ベリー
『007/ダイ・アナザー・デイ』(2002年)
無名の女優が大抜擢されるケースが多いボンドガール。しかしハル・ベリーが『007/ダイ・アナザー・デイ』に出演したとき彼女はすでにアカデミー主演女優賞を授賞しており、初のオスカー女優かつボンドガールとしてダブルのプレッシャーを負っていたのだとか。 見事に彼女はその重圧をはねのけジンクス役を演じきります。その後も様々な役を演じており、彼女の才能はご覧の通りといったところです。
ミランダ・フロスト役/ロザムンド・パイク
『007/ダイ・アナザー・デイ』(2002年)
『007/ダイ・アナザー・デイ』で映画デビューを果たし、見事ボンドを裏切る若き美女ミランダを演じたロザムンド・パイク。 その後ジョニー・デップと共演した『リバティーン』など少しずつ開花していった彼女ですが、名女優の名を手に入れたのは『ゴーン・ガール』でのエイミー役。 夫への復讐に燃える異常なほどの残酷さを持つ妻という役を見事演じきり、各映画祭の主演女優賞を総なめ。オスカーにもノミネートされました。 ボンドガールという域を脱却し自らのキャリアを切り開いていったパイクは、歴代のボンドガールの中でも最も成功した女優といっていいでしょう。
【ダニエル・クレイグ版】5人のボンドガール
ヴェスパー・リンド役/エヴァ・グリーン
『007/カジノ・ロワイヤル』(2006年)
故郷フランスで女優としてのキャリアを築いていたエヴァ・グリーンは、『007/カジノ・ロワイヤル』のリブート版で世界から注目されることとなりました。 彼女が演じたボンドガール、ヴェスパー・リンドはボンドが唯一生涯の中で本気で愛した女性。ボンドガール以降、ティム・バートン監督の『ダーク・シャドウ』やTVドラマ『ナイトメア〜血塗られた秘密〜』など個性的な役柄を中心に精力的に映画出演を果たしています。
カミーユ役/オルガ・キュリレンコ
『007/慰めの報酬』(2008年)
『007/慰めの報酬』でヒロインのカミーユを演じたオルガ・キュリレンコはウクライナ出身の女優。本作でのもの静かで有能なボンドガール役の評価を受けて、その後ハリウッドへと進出しました。 中でもトム・クルーズ主演の『オブリビオン』では重要な役どころを演じきり、これからも目の離せない女優となっています。
ストロベリー・フィールズ役/ジェマ・アータートン
『007/慰めの報酬』(2008年)
もともと『聖トリニアンズ女学院』のケリー役などで活躍していたジェマ・アータートン。その彼女の名を一気に世に知らしめたのが『007/慰めの報酬』でのストロベリー・フィールズ役です。 この役の経験を活かし、次々とアクション映画のヒロイン役を演じているアータートン。とは言え、まだ彼女のキャリアは始まったばかり。今後どのような方向性を見出していくのかに期待がかかります。
ルチア役/モニカ・ベルッチ
『007/スペクター』(2015年)
シリーズ24作目で、ダニエル・クレイグ版の4作目となる『007/スペクター』に登場したボンドガールは、イタリア出身のモニカ・ベルッチ演じるルチア。ボンドがメキシコで殺した爆弾テロ犯スキアラの未亡人であり、秘密組織「スペクター」の情報を知る人物です。 スペクター潜入の手がかりを得るため、自分が殺した男の妻に近づくボンド。愁いを帯びた表情が息をのむほど美しいルチアですが、ボンドに誘惑されてしまいます。
マドレーヌ・スワン役/レア・セドゥ
『007/スペクター』(2015年)、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021年)
歴代ボンドガールは基本的に1作品のみ登場していますが、レア・セドゥが演じたマドレーヌ・スワンは連続して2作品に出演しています。マドレーヌが登場したのは、「スペクター」とシリーズ25作目『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』。 レア・セドゥはフランス出身の女優で、2013年にカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した『アデル、ブルーは熱い色』で熱演したエマ役はあまりにも有名です。 「スペクター」では、ボンドの宿敵だったミスター・ホワイトの娘マドレーヌとして登場。ホワイトと娘を守る約束を交わしたボンドが、彼女と出会い惹かれ合っていく様子が後半で描かれました。 「ノー・タイム・トゥ・ダイ」に再登場するマドレーヌは、ボンドの“かつての”恋人に。しかもマドレーヌには「秘密」があり、それを知ると死ぬことになると宿敵ブロフェルドから聞かされることになります。 「ノー・タイム・トゥ・ダイ」にはアナ・デ・アルマス演じるパロマという新たなボンドガールも登場しており、マドレーヌも含めどのように絡んでくるのかも注目です。
ボンドガール像は時代とともに変化していた
60年代のボンドガールはやり手でセクシーなイメージが強かったものの、70年代から80年代にかけてはソフトで大人しいボンドガールになっていたことも印象的。しかし90年代からは、ボンドとともに戦うボンドガールがフィーチャーされていきます。 これはまさに時代の変遷を反映しているもの!ボンドガール像は柔軟に時代とともに変わっていく、それこそが大きな魅力なのかもしれません。