1.プルートの頭が切り落とされる!? 『ミッキーのお化け屋敷』
1933年、ディズニーは『ミッキーのお化け屋敷』という短編を発表、子供向きアニメーションとしては過激なプロットでイギリスやドイツで上映禁止になるほどでした。
ある日、プルートがフードを被った男によって誘拐されてしまいます。城へと連れて行かれたプルート、フードを脱ぐと現れたのは白衣姿のマッドサイエンティスト。
彼の目的はプルートの頭とニワトリの体を繋げて、新たな生命体を生み出すことだったのです。黒板に書かれた実験工程からノコギリでプルートの頭を切り落とすことが分かります。
マッドサイエンティストはプルートを吊るし、切れ味を確かめるようにプルートの影を真っ二つに。
そんな時、ミッキーがプルートを放っておく訳がありません。プルートを助けるため、城へ向かうミッキー。
しかし罠にはまり地下室へ。ベッドに拘束されたミッキー、電動ノコギリがうねりを上げてミッキーに近づいていきます。そして、今にもミッキーが切り刻まれるかという瞬間…
全て夢だったことが明らかになります。いくら夢オチとはいえ、小さな子供が観るアニメ作品としては過激すぎる内容です。
2.ガスで自殺!?『フェリックスの初恋』
1919年、フィリックス・ザ・キャットを主役とした短編『フェリックスの初恋』が公開されました。第一次世界大戦やスペインかぜなど厳しい時代に製作された作品とはいえ、あまりにブラックでダークな展開になっています。
近所の猫に恋に落ちたフィリックス、猛アタックの末にデートできることに。楽しくデートをする2人、しかし、その間にネズミが家に侵入してやりたい放題。帰ってきたフィリックスの主人はフィリックスがやったことだと勘違いして大激怒。
居場所を失ったフィリックスは恋人の家へ向かいます。そこにいたのは愛する恋人と数十匹の子猫たち。つまりフィリックスのデートはいろんな意味で大成功だったわけです。
フィリックスは現実を受け止められずにその場から全速力で逃げ出します。彼にはまだ父親になる覚悟がなかったのでしょう。逃げ出した場所にはなぜかホースとガス栓が。ガスの栓を回し、ホースを咥えるフィリックス。そして地面に横たわり……
3.カオスミュージカル!? ベティ・ブープの白雪姫
1932年、大人気キャラクターベティ・ブープを主人公とした白雪姫のパロディが製作されました。邪悪な女王、小人、魔法の鏡などお馴染みの登場人物が出てきますが内容はハチャメチャ、特にある場面はカオス状態です。
小人たちがベティ白雪が死んでしまったと思う場面で、物語は、突然止まり、不気味なミュージカルが始まります。
小人たちが冷たくなった白雪ベティを画面の外へ、するたくさんの気色悪いキャラクターが登場します。キャブ・キャロウェイの歌を唄っている不気味なピエロ、ズボンを試着している骨だけの恐竜、ポーカーをしている幽霊、ピアノを弾いている頭のでかい牛など。
彼らの説明はなにもありません。
不気味なピエロが唄い続けていると突然邪悪な女王が現れ、ピエロを全身白ずくめのスーパーハイウエスト男?に変えてしまいます。
魔法の鏡が現れると全てが元通り、物語が再び始まります。ベティの友人ビンボが邪悪な女王の舌を引き抜き物語は終わりを迎えます。
4.まさに地獄絵図!?『地獄の悪魔退治』
1929年、ディズニーがシリー・シンフォニーシリーズの一本として『地獄の悪魔退治』という作品を発表、タイトル通り地獄のような内容です。
舞台は地獄、炎の中から手が飛び出しクモのモンスターを燃え盛る穴の中へ、ヘビのような怪物がコウモリを一飲みにすると、羽が生えドラゴンのような姿に。冒頭からまさに地獄のような描写が続きます。
骨の楽器でジャズが演奏される中、小悪魔2人が悪魔牛の乳搾り、搾られたミルクは燃えているように見えます。小悪魔がミルクを持って悪魔のボスの下へ。すると悪魔のボスは小悪魔の1人を地獄の番犬ケルベロスの餌にしてしまいます。
残った小悪魔はもちろん餌になることを拒否、それに怒った悪魔のボスと追いかけっこが始まります。
逃げ込んだ場所は崖、絶対絶命でした。しかし、機転を利かして立場が逆転、悪魔のボスは崖から落ち、燃え盛る炎の餌食となり話は終わります。
5.『クリスマスキャロル』
1971年、カナダのアニメーション監督リチャード・ウィリアムズがチャールズ・ディケンズの『クリスマスキャロル』を映像化、元々幽霊が登場する作品ですが、その姿がとてもおぞましいものでした。華やかなクリスマスシーズンに子供たちがこの作品を見てどれほど気持ちが沈んだか想像もつきません。
恐しい瞬間はスクルージの共同経営者だったジェイコブ・マーレイが姿を現すシーンから始まります。マーレイが頭に巻かれた包帯のようなものを取ると地を這うような雄叫びが響きます。マーレイの顎は垂れ下がり、変わり果てた姿に。マーレイはあと3人の幽霊が訪れるとスクルージに警告して去ります。
次に現れたのが3つの顔を持つ第一の幽霊、どこか日本の幽霊の雰囲気を持っています。
第2の幽霊はサンタクローズのようであまり怖い姿をしていませんでした。これはおそらく次に現れる幽霊へのフリでしょう。
そしてスクルージを待ち受けるのが第三の幽霊。その姿はおぞましさをそのまま表現したようトラウマ級の恐ろしさです。
6.赤ちゃんに顔面パンチ!?『Scrappy's Puppet Theater』
1936年、アメリカで製作された白黒の短編アニメーション『Scrappy's Puppet Theater』。幼児虐待が問題になってる現在では、考えられない内容になっています。
スクラッピーは近所の人を集めて人形劇を開くことに、チケットの売れ行きは好調。多くの人が集まります。
弟のオッピーはチケットがないため劇場に入れてもらえません。何としても人形劇が観たいオッピーはいろいろと試行錯誤、しかし、結局は兄に見つかってしまいます。
小さな弟からチケット代を取ろうとするだけでもどうかと思いますが、スクラッピーは弟を捕まえる度に顔面パンチ。
さすがに堪忍袋の緒が切れたオッピーは復習を決意、人形劇をぶち壊すことに。
オッピーは見事人形劇を台無しにすることに成功しますが、逃げ延びることは出来ず人形裁判にかけられてしまいます。
もちろん判決は有罪(完全に茶番?)、オッピーは操り人形にされてしまいます。
さらに人形からもパンチをくらい、なんとも後味の悪いエンディングを迎えます。
7.戦争の厳しさが描かれている!?『Bully Beef』
1930年に製作されたアメリカのアニメーション、テリートゥーンの『Bully Beef』。子供向けアニメとしては珍しく戦争をテーマにした作品です。ネコとネズミの戦争なら、ネズミ取りの地雷やチーズでの大砲でも良い気がしますが、出てくる武器は大砲や鉄砲などリアルなものばかり。
冒頭からショッキングな描写が。農場でネズミがネコに鞭で打たれながら作業、おそらく奴隷として働いているのでしょう。その後、戦争が勃発、それまで奴隷と主人の関係だったネズミとネコのキャラクターは共に戦う仲間に。
戦争ドラマによく出てくる、恋人との別れのシーンもしっかり描かれています。
激しい戦場へ向かう2人、やっと前線へ辿り着いた瞬間ネコのキャラクターの頭が大砲によって吹き飛ばされてしまいます。(すぐに頭を自分で戻していますが)
木の上にいるキャラクターは特に容赦なしです。
ネズミは白旗を上げて投降することを決意します。しかし、ネズミの捕虜は取らないと言っているかのように、容赦なく弾丸が打ち込まれます。
何とか一命を取り留め、なぜか恋人のネズミが戦場に現れて熱いキスで終わります。
8.狂気のスノーマン!?『The Snow Man』(1932)
1932年、アメリカで製作されたアニメーション作品『The Snow Man』。スノーマンが主人公なら安心して見られると思っていたら大間違いです。
エスキモーの少年と友達のアザラシが厳しい冬が明けたことを喜ぶ穏やかなシーンから作品は始まります。
少年は動物の仲間と共に雪だるまを作ることに。雪だるまが完成すると、輪になってダンスが始まります。これが悪夢の始まりでした。
ここからトーンが一気に変わります。ダンスによって雪だるまに命が宿ります。スノーマンとなった雪だるまはどうやら穏やかな性格ではないようです。
顔が溶け、恐ろしいスノーマンが姿を現します。魚を生きたままを丸飲み、アザラシの首を絞めるなど、スノーマンは狂ったっように少年や動物たちに襲い掛かります。
何とか逃げ切ったエスキモーの少年、辿り着いた先は気温を調整することが出来るマシンがある部屋でした。
マシンのパワーをマックスに、スノーマンが溶けてめでたし、めでたし。