
『パリ、テキサス』とは
放浪していた男が妻子と再会し再び立ち去るまでを描いた哀愁のロード・ムービー。監督はニュー・ジャーマン・シネマの旗手、『ベルリン・天使の詩(1987年)』のヴィム・ヴェンダース。彼は多くのロードムービーを手がけており、本作でその頂点を極め、第37回カンヌ国際映画祭でパルムドールに輝いた。出演は『プライベート・ベンジャミン(1980年)』『ワイルド・アット・ハート(1990年)』のハリー・ディーン・スタントン、『テス(1979年)』『ホテル・ニューハンプシャー(1984年)』のナスターシャ・キンスキー、『パーマネント・バケーション(1980年)』『ストレンジャー・ザン・パラダイス(1984年)』のジョン・ルーリーなど。音楽はスライド・ギターの名手、ライ・クーダーが担当している。
『パリ、テキサス』のあらすじ
テキサスの砂漠で一人の男(ハリー・ディーン・スタントン)が行き倒れて病院に収容される。医師(ベルンハルト・ヴィッキ)は男の所持品である一枚の名刺から、弟ウォルト(ディーン・ストックウェル)に連絡をとることができた。男の名はトラヴィス、4年前から失踪していたらしい。やがてトラヴィスは病院から逃走、ウォルトが追って捕まえる。だがトラヴィスは全く喋らず、飛行機への搭乗も拒否。ウォルトは仕方なくレンタカーを用意し、トラヴィスの息子ハンター(ハンター・カーソン)が待つロサンゼルスへ向かう。ウォルトは車中でトラヴィスの妻ジェーン(ナスターシャ・キンスキー)や息子のことを訊ねるが、やはり何も言わない。ただ一言、「パリ、テキサス」という地名を呟くのだった……。
『パリ、テキサス』のスタッフ・キャスト
『パリ、テキサス』の感想・評価・ネタバレ
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兄弟愛や家族愛が、シュールに屈折しながらも純粋に描かれてます。 最初は難解なストーリーかも…と思わせますが、トラヴィスの不器用ながらも少しずつ心を開いていく様に引き込まれていきます。 妻、ジェーンの美しいこと!お互い背中を向けての告白やラストシーンの素晴らしいこと。
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途切れない、経験論的な自己の保持、時間=記憶が人間の生を保証する。 あのマジックミラーを使った演出はソーナイスですね。 歴史を物語る時人は常に主観的に、しばしば孤独で、時に相手に背を向けながら話す。 孤独ではない歴史もあるはずなんだけど、ヴェンダースはそこには、管見の限り、向かわない。例えば都会のアリスにおける近しい構造を見ても、やはりヴェンダースの主人公は自分史に、ルーツとその内的時間にこだわるらしい。 今後続けてまわり道、さすらいを観る予定なのでまた改めて思うことがあるでしょう。 そしてこれもまたアリスとの共通点だけど子供がホン〜トかわいい。しかもハンターって本名ですか〜ウヒャー。
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淡々とした会話の中に、複雑な感情が絡み合っている。何度も観ることに意味がありそうな映画。また観よう。
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