
『別離 (2011)』の感想・評価・ネタバレ
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2019/02/24 GYAO!
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別離、という邦題なので離婚劇なのかと思ったのですがもうちょっとテーマは深く、いつしか法廷劇に。イランの映画らしく、やれ信条だ、やれコーランだと根底にはエスニックな単語も出てくる雰囲気の中で、微妙で複雑な人間の心が素晴らしく丁寧に描かれていきます。その人間の心は万国共通なのですね、最後の最後まで移ろい続ける登場人物たちの心は最後まで観る人を引き離さないでしょう。 好みなジャンルではなかったですが、かなり優秀な映画です。非常に面白い。ちょっとコアな映画ですが、かなりお勧め。ドハマりする人多いんじゃないでしょうかね。
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ある家族が徐々に崩壊し、文字通り別離に至るさまを描いたドラマ。イランの映画です。 イスラム教の教えからくる習慣・しきたりや文化の違いはあれど、そこに描かれているのはどこの国にでもありがちな情景。驚くようなプロットや目を奪われるような映像美があるわけでもない。会話と口論が大半を占める構成なのに、とても引き込まれるのはなぜだろう? 身近にもありそうな人間関係と家族の姿は宗教や国を超えた親近感を感じるもので、スクリーンの向こうの物語とは思えないリアリティがあった。脚本も巧みで、登場人物のその時々の心理状態がヒシヒシと伝わってくる。 娘の将来・就学環境を鑑み海外移住を望む妻と、アルツハイマーの父の介護のためイランにとどまりたい夫。2人の板挟みになり戸惑う中学生の娘。家族が依頼したヘルパーはヘルパーで失業中の夫と幼い娘を抱え経済的理由による労働を余儀なくされながらも宗教観との離叛に苦悩し葛藤する。 誰もが愛する人のことを考えているのに、愛する人のことを思ってのそれぞれの言動がうまく噛み合わない。家族を思う気持ちや気遣いから発した1人1人の小さな嘘がすれ違いや溝を生み、だんだんと修復不可能な大きな亀裂になっていく。ほんの少しずつ歩み寄れば違う結果になるはずなのに歩み寄れない。 当事者でない者が俯瞰的に見るからそう感じるけれど、相手を思っての言動がその相手や他の誰かを傷つけていることに人は意外と気がつかなかったり、気がついても修正できなかったりするもの。自分も身近な人との間でそんなことをしでかしているんじゃないか・・? そんな思いが本作に引き込まれる理由かもしれない。 大人の事情に振り回され翻弄される子供達が一番かわいそうで、なすすべがない切なそうな瞳が胸に沁みた。 物語の大半は日本人の私が見ても違和感の無いリアルな人間模様だが、唯一、終盤の『コーランに誓って証言してくれ』と言われて『やはりできない』と返すシーンだけは宗教の持つただならない重みを感じた。中東はUAEのドバイとカタールのドーハを訪れたことがあるけど、外国人労働者や海外からの観光客が多く、イスラム教の解釈に比較的柔軟とされるこの2都市でさえ、コーランへの忠誠を感じる場面を垣間見る機会があった。それを思えば、イスラムにより厳格なイランなら当然のことなのかもしれない。
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初めてのイラン映画。意見の相違から別居することになった夫婦。夫は認知症の父と一人娘と暮らし、仕事の間父の介護をしてくれる女性を雇うがその女性との間に問題が発生し裁判へ。題材としてはどこの国の映画にもありそうなものだけれど、イスラム教の国イランで撮られたこの映画では宗教というものが彼らにとっていかに大きなものであるかを教えてくれる。イスラム教に馴染みのない人からみれば理解できない部分もあるかもしれないが、ストーリー展開がすごく良かったので楽しめると思う。
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最後のエンドロールが、衝撃でした。 建前から嘘を重ねて、どうにもならなくなる苦しさ...観ててしんどかった。 宗教的な要素はやっぱりあって、すごく理解するのは難しかった。でも飽きない映画でした。
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他人の家庭の事情なんて知らんわと…正直思いながら見始めたのですが、展開がお上手でわかりやすくついついのめり込んでしまいました。 素直で聡明な娘さんの未来に幸あれ。
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2014/01/04 2014年のDVD一本目でした。イランの女性は美しい…。
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イラン映画、そんなに観ることもないですが、やっぱり宗教の違いが理解しづらいところも。しかし、登場人物達の嘘で立場が二転三転し、正解のない迷路に入り込んじゃう所は面白かったと思います。
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んー複雑で重い話ですね.. 僕には理解できない作品です。汗 エンドロールときたら強烈ですね、、
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最初から最後まで、気になって目が離せない。 すんごい見応えがあって、偏らず登場人物それぞれの気持ちになれた。 見てよかったと思える作品!
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とても完成度が高い映画だった!! 観てて吸い込まれたもん! 面白かった(*^^*) 思ったんだけど、あたし全体的にまとまりがあって完成度が高い映画が観てて面白いなって思うよね ジャンル問わず! この映画は観て正解だったな☆
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誰一人悪いわけではなく、悪意があったわけでもないのに、一度崩れた関係が状況をどんどん悪くしていってしまう。ささいな嘘や隠し事が、取り返しのつかない事になってしまうというのは日常においてありうるけれども、そんな緊迫した状況を取り立てて派手に映すわけでもないのに2時間をあっという間に見せるイラン映画にというか、この監督にただただ脱帽しました。夜中にちょっと眠いなぁと思いつつ見始めたのですが、気がついたら最期まで寝ずに見てて、あ、終わったんだ。そんな映画でした。そういえばこの監督の前作『彼女が消えた浜辺』もそんな感じでぐいぐい引き込まれて気がつけば終わってしまった。っていう感じの映画でした。恐るべし。
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必要悪があばかれていく話。イランの空気感やコーランの教えが絶対的な存在とする考え方もよく描写されてたし面白かった。レンタルでも観れたんだけど、映画館で観れて本当によかった。
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アカデミー賞外国語映画賞受賞作品。全ては愛する人の為に、守るべきものの為に。みんな生きるのに必死なだけ。だけど身を守る為の些細な嘘が色んなものを巻き込み壊していく。音楽はほとんどなく、淡々とした映像ながら2時間ずっと緊張感が続く。主要人物に明らかな悪者はいない。色んな秘密や嘘や真実が絡んで、事態はどんどん複雑に。日常に潜む悲劇。同じようなことは今も世界の何処かで起こっているかもしれないし、次は自分かもしれない。重く、苦しい。
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前作『彼女が消えた浜辺』とよく似た構造で、あの人もこの人も何かしら隠し事や嘘を言わざるを得ないという堂々巡り。嘘が悪いとも思えず、こじれるしかない状況。その先に辿り着けないもどかしさ。ほんと、大人は誰も先に進めないから子供が辛い。人間関係の複雑な距離感というか、加速的に人を巻き込んでゆく因果(イスラム圏でも因果っていうのかな)みたいなものが狭い部屋に充満してる感じ。 登場人物だけでなく、映画自体も隠し事をしていると知った瞬間、ハッとした。カメラが切り取る限られた視界、テーブルサッカーに興じる明るいシーン、そしてラストの幕切れも前作と対応するかのようで、ああ…としか言えない不条理さに満ちている。
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すっごく面白かった!些細な嘘や言わずにいることが積み重なって心から悪い人がいるわけじゃないのに取り返しのつかないことになる…というのはどの国だろうと共通の普遍的な物語なのだと思うけど、どうしてもコーランに誓えない気持ちは今の日本では例え理解できても共感しにくい感情だと思うし、そこがイラン映画ならではという気がして面白かった。とりあえず振りまわされる子どもが可哀想で可哀想で…父と母どちらか片方自分で選ばせるなんて残酷なことそうないよ…親が嘘つく理由を子どものためと言って子どものせいにしちゃいかんよな…。
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やっと観れた。イラン映画初めて観た。 すごい。すごい映画だった。 決して後味のいいものじゃないけれど、 人生ってこういうもんじゃないかな。 壊れやすくて、でもそれは誰のせいでもない。 宗教的背景も、格差社会もみんなうまく関与してくる。 答えは無い。だから良かった。
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I felt the necessity to watch ''彼女が消えた浜辺''
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同監督前作に続き、人間の本質を露わに描き、後味悪いモヤモヤ感を残す秀作。日本人には理解しづらいイラン独特の文化もあるが、自分本意のウソ・葛藤・告白は心が痛い。
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地味な話だと思ったけど、飽きずにたのしめた。見せ方がすごくうまいと思った。 登場人物は悪人ではないけど、かといって善人でもない普通の人。が、それぞれの立場や信条など問題を抱えてる。複雑に絡みあったそれらが非常にいいドラマを創り出してた。 観てて辛くなるシーンは多かったけど、観て良かった。良作です。