ファントム・スレッド
ファントム・スレッド
Phantom Thread
2017年製作 アメリカ 130分 2018年5月26日上映
rating 3.5 3.5
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『ファントム・スレッド』のsouthpumpkinの感想・評価・ネタバレ

southpumpkin
southpumpkin 4 2018年7月1日

繊細な感性で活躍する天才仕立て屋の男は別荘付近のレストランで完璧なルックスの女性と出会う。彼はすぐさま女のために服を仕立てて同居を始める。 女は自分の服を着るだけでなく創作意欲を掻き立てる大切な存在であり、男にとっての恋愛は仕事という目的に対して手段でしかない。女にとっての恋愛の方が広く一般的であり、恋愛そのものを目的としている。この両者の大きな価値観の違いが会話、目配せなどで繊細に描かれていきます。初めは圧倒的なまでの男性優位で展開した恋愛が徐々に女性優位となっていく。男性にとってはこの映画は地獄。まるで『ミザリー』のよう。しかしこの男、これまで女性に対して相当酷い態度を取ってきたことは序盤の展開でわかります。つまり恋愛難易度最上級クラスの男性を、ある一人のどこにでもいそうなウェイトレスがクリアしてしまうという風にも見える。どちらの視点で見るかによって映画の特性が180度変わってしまう、それこそがむしろこの映画の特性なのかもしれません。この映画がハッピーエンドなのかバッドエンドなのかで自分が男性視点で観ていたのか女性視点で観ていたのかわかります。似た映画に『ゴーン・ガール』などはありますが、その点で言えば本作の方が数段上。性差が薄くなってきた昨今、男と女とが決定的に異なることを描き出した大傑作です。男と女は違う、だから認め合わなければならないのかもしれません。ポール・トーマス・アンダーソンは神。ありがとうダニエル・デイ=ルイス。