
『善き人のためのソナタ』の感想・評価・ネタバレ
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どんなに厳格な統制も人の良心まで統制することはできない。 舞台はベルリンの壁崩壊前の東西対立の続く東ドイツ。国民はシュタージ(国家保安省)の厳しい監視下に置かれ、西側スパイとおぼしき者や反体制分子は当局によって弾圧されていた。当時、数十万人にのぼる一般人がシュタージの協力者・密告者だったというから驚く。思ったことを安易に口にしようものならどうなるかわからない忌むべき暗黒の時代。 シュタージの有能な大尉が、反体制派の要注意人物である1人の劇作家の監視(盗聴)任務を通じて彼らの生き様を知るにつれ良心の苛責に苛まれていく。大尉の心を動かしたのは何だったのか。 終始暗めで抑えたトーンの画面と、無表情な中にも葛藤や迷いが見え隠れする大尉の目。饒舌とは言えないセリフとわずかな表情の動きで心情が語られる寡黙な映画だけど、水がしみ込むようにとても静かに、だけど確かに少しずつ心が揺さぶられる。 この大尉はとても生真面目な人なんだと思う。生真面目な愛国者ゆえに国のやり方をそれが正義だと信じて愚直に従ってきた。無表情なのも、独り身の寂しさを意識しないよう 感情を押し殺して生きてきたせいかもしれない。自分とは違う作家の生き様、彼らの視点で語られる政府、ファンだった女優の苦悩、殺伐とした空気を一変させるピアノの音色など、知り得た全ての積み重ねが理屈では説明し難い感情となり彼を突き動かしたのだと思う。 今年の5月、チェコへの旅の際に立ち寄ったベルリンは壁の跡や史跡, 当時を綴る書や写真はあちこちで見られるものの街自体は一介の旅人の目には至って普通で旧西側と何ら変わらない佇まいだった。ベルリンの壁崩壊から26年。多くの人生と歴史があって平和な今がある。 ラストのセリフ。短いけれど万感の想いを感じた。『私のための本だ。』
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東ドイツのことあまり知らなかったから勉強になった。興味深かったけど、面白いかと聞かれれば面白くはなかったかなと答える。 地味暗い主人公とリア充作家との対比は良かったかも。主人公は自分の殻を破って人間的には成長したうに思うけど、地位を失って、どうなんだろう後悔したことあるのだろうか。
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東ドイツを中心に物語が展開するジョン・ル・カレの寒い国から帰ってきたスパイを読了して以来、観たいなあと思っておりました。ついに鑑賞。社会主義国家の優等生と言われていた東ドイツの暗部シュタージ側の視点にたって進むお話。東西冷戦が緊迫していた時代、西側スパイ及び国内の二重スパイや西側諸国への亡命者、反共思想者を厳しく取り締まっていた秘密警察シュタージ及び高級官僚の高圧的な言論統制、人権蹂躙、徹底的な監視体制等、諸々の腐敗を克明に描いていて興味深い。シュタージのエリートに属しつつもある事を契機に良心の呵責に苛まれ、自分なりに信じる良心に従って組織の規律に背いて生きる事を決断した男の物語。国民の10人に1人がシュタージ及びIMだったという事実はベルリンの壁崩壊後も旧東ドイツの住民、家族間に人間不信や家庭崩壊等様々な傷を遺しています。余談ですが、当時の東ドイツサッカーリーグもシュタージが深く関与しており、審判に不正を働かせる等して、バックアップを受けていたチーム、ベルリナーFCディナモが不正の結果リーグ戦10連覇を成し遂げる等スポーツの領域でも当時のシュタージの影響力の強さが伺えます。
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思想・私生活・才能・立場と何から何まで違う二人の男の話。 他人を知る事は大事ですが、まず他人を知りたいと興味を抱くきっかけが重要なんだなぁと。 日々確実に変わっていく(取り戻していく?) ヴィースラーが愛おしくなります。 ラストシーンで涙。
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落ち着いてる 2015/06/06 シネマブルースタジオ
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染み入るような良い映画。観ていてつらいシーンもあったのですが最後まで観て正解でした。物悲しさも残るけど、それも余韻として味わえるようなラストの救われ方。温もりました。
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切なかった。 心は失くせない。
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ストーリー演技結末最高
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ストーリー 舞台は1984年の東ベルリン。主人公は国家保安省の局員ヴィースラー大尉。 ある日彼は、反体制の疑いのある劇作家ドライマンとその同棲相手の女優クリスタを監視する任務を受ける。 彼らのアパートには盗聴器が仕掛けられ、ヴィースラーによる監視が始まる。 一人監視を続ける彼はそこになにを見るのか。 凄く静かな映画。でもここだ!ってところでキッチリ魅せてくれる。 鉄仮面のヴィースラーが愛おしくなる、傑作
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長い間語られなかった、ベルリンの壁崩壊前の出来事。 せつない。 観てよかった。
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東ドイツの完全監視社会の軋轢でもがく人たち。母国にいながら誰も信用できず監視しあう。それを遂行する監視者は何を守ろうとしているのか。強烈な葛藤。"善き人のためのソナタ"塚口にて。”ハンナアーレント”よりもエンデ”モモ”のイメージ。ドイツで灰色はなにか特別な色なのだろうか?
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2008. 3
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#eiga #movie 社会主義を疑わず、国のために尋問官として働く主人公が、要注意人物を盗聴していくうちに変化していくストーリー。冷徹な表情は終始変わらないのに、少しずつ信念が揺らいでいく様子が良かった。途中ゆったりで寝そうになったけれど、ドキドキするシーンや重苦しい空気のところもあって感情移入してしまう。そしてなんて上品で温かいラスト。思いっきり涙がでてしまった。人の心って良いね。
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2014/9/2 最後の一言がぐっときた。
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心に染みる。
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2010-2011 我が教え子、ヒトラーでウルリッヒ•ミューエさんが気になり観た作品。 淡々としたストーリー運びなので観る人によってはつまらないかもしれません。
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東ドイツ 監視社会 若干陳腐な時代検証(分かり切った)
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いい映画!
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2008.2月に鑑賞
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日本もこういう映画つくればいいのに。