中国の鳥人

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「中国の鳥人」のスタッフ・キャスト

「中国の鳥人」の感想・評価・ネタバレ

  • changpian
    changpian 4 2012年12月2日

     DVDで鑑賞。三池崇史監督の初期監督作。椎名誠の小説(未見)を映画化したもの。初めの方はドタバタしていてセリフが聞き取りにくいという気もしたが、映画全篇を通じて、独特の空間を作り出しているところからは監督の才能は十分に感じ取れる。  さて、映画は、商社マンの本木雅弘、ヤクザの石橋蓮司、中国人ガイドのマコ岩松の三人が珍道中を繰り広げ、雲南省奥地の村で空を飛ぶ鳥人の伝説に出会う、というストーリー。あまり指摘がないようだが、下敷きになっているのは明らかにヒルトンの『失われた地平線』(これに登場する理想郷が「シャングリラ」)だ。映画中、一度は失われていた鳥人伝説を蘇らせたのは、この地に墜落したインドからの飛行機に乗っていたイギリス人だった。鳥人を再現しようとする少女の目が青いのは、この既に死去したイギリス人が彼女の祖父だからだ。つまり、このストーリーは、インドからシャングリラに不時着するイギリス人を描いた『失われた地平線』の後日譚なのである。  大掛かりな雲南ロケが行われたこの映画、ロケ地は雲南省北西部の怒江傈僳族自治州・福貢県の老母登村。シャングリラ県のある迪慶蔵族自治州は、東隣の自治州である。椎名誠の原作の設定がどうなっているのかわからないが、映画の幾つかの要素とこのロケ地は、密接な連環があるように思われる。例えば、鳥人伝説は、ロープに吊るした滑車に摑まり怒江を渡る「溜索」という現地の風習(映画中にも登場)にヒントを得たものであるかもしれない。また、少女が祖父から教わったスコットランド民謡「アニー・ローリー 」を歌うのは、このロケ地・老母登村には1913年に建てられたキリスト教会があり賛美歌も歌われていることからヒントを得たのかもしれない。  マコ岩松は中国語のセリフも少しあるが、あまり違和感はない。ハリウッドで中国人役を演じた経験によるのだろうか。中国の西南部が中国人、西洋人、日本人のそれぞれにとってノスタルジーの対象となっているのは興味深い。

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