2018年12月5日更新

アン・ハサウェイの人生 なぜ彼女はバッシングを乗り越えることができたのか

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強く美しく、映画界の第一線をひた走る女優アン・ハサウェイ

女優アン・ハサウェイと聞くと、多くの人が思い浮かべるのはやはり『プラダを着た悪魔』や『レ・ミゼラブル』ではないでしょうか。あるいは『ダークナイト ライジング』や最新作の『オーシャンズ8』が思い浮かぶ人もいるかもしれません。 今でこそ"強くて美しい女性"といったイメージで世界的な人気を誇る彼女ですが、これまでにどんな女優人生を歩んできたのでしょうか?この記事では、アン・ハサウェイの女優人生を振り返りながら、彼女の強く美しい魅力を紐解いていきます。

アン・ハサウェイのプロフィール

アン・ジャクリーン・ハサウェイは1982年11月12日、ニューヨークのブルックリンで生まれました。父ジェラルド・T・ハサウェイは弁護士、母ケイト・マッコーレー・ハサウェイは舞台女優であり、アンという名前はかの文豪、ウィリアム・シェイクスピアの妻アン・ハサウェイに由来しています。 カトリック教徒として育てられた彼女は修道女になることを目指していましたが、15歳の時に兄がゲイであることを知ったことをきっかけに、家族全員でカトリック教を離れることに。カトリック教では同性愛は認められていないため、彼のセクシャリティを尊重したのです。 アン・ハサウェイの女優デビューは高校生の頃で、1999年から放送された『ゲット・リアル』というテレビドラマの主人公ミーガン・グリーン役でした。そんな大抜擢のわずか3日前には、オールイースタン高校選抜合唱団の一員としてカーネギー・ホール(ニューヨークにある音楽の殿堂)の舞台に立って2つのコンサートをしていたというのだから驚きです。 デビュー作となった『ゲット・リアル』は高い評価を受け、アン・ハサウェイの演技はティーン・チョイス・アワードやヤング・アーティスト・アワードの女優賞(ドラマ部門)にノミネートされるほど評価されました。文字通りの華々しいデビューですね。 高校卒業後はニューヨークの俳優養成学校に入学。しかし女優一本に絞るということはせず、並行してヴァッサー大学にて英文学を学んでから、2005年には名門ニューヨーク大学へ編入しています。学業への努力も怠らない、知性あふれる人物なのです。

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映画デビュー作『プリティ・プリンセス』が大ヒット!一躍人気女優に

『ゲット・リアル』での華々しい女優デビューを飾ったアン・ハサウェイは、2001年に『プリティ・プリンセス』で映画デビューを果たします。冴えない女子高生だった主人公が、ある日突然王位継承者であることを告げられ、美しい王女へと変身を遂げていく……というシンデレラストーリーを描いた本作は、全米で大ヒット! 主演のアン・ハサウェイ自身にもシンデレラストーリーをもたらした作品となりました。

2004年に公開された続編『プリティ・プリンセス2 ロイヤル・ウェディング』も、前作にはギリギリ及ばないながら大ヒットを記録。アン・ハサウェイは一躍人気女優となります。 しかしこの2作が連続でヒットしたことにより、アン・ハサウェイ=プリンセスというイメージがついてしまい、以降はしばらく理想的な役には恵まれませんでした。 契約の都合とスケジュールの関係で出演は叶いませんでしたが、彼女は『オペラ座の怪人』(2004)のヒロイン役の最終候補にもなっています。もしも彼女がクリスティーヌを演じていたとしたら、その後のキャリアは大きく変わっていたことでしょう。

『ブロークバック・マウンテン』でプリンセスイメージを払拭!演技力の幅を見せる

彼女の転機となったのはアン・リー監督による『ブロークバック・マウンテン』(2005)。ヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞をはじめ、ゴールデングローブ賞でも4部門を受賞するなど、高い評価を受けた作品です。 アメリカ中西部のワイオミング州を舞台に、惹かれ合う2人の男性の姿を描いた同作で、アン・ハサウェイはジェイク・ギレンホールの妻の役を感情豊かに好演。見事、これまでのプリンセスイメージを払拭することに成功しています。

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『プラダを着た悪魔』では悩めるキャリアウーマンを熱演

翌2006年には、誰もが知るアン・ハサウェイの代表作『プラダを着た悪魔』が公開。まさしく悪魔としか言えない最悪の上司ミランダ(メリル・ストリープ)のアシスタントとして奮闘する主人公、アンドレア(アン・ハサウェイ)の姿をコミカルに描いた同作は、同世代の女性たちから絶大な支持を得て大ヒットを記録しました。 ここから、彼女は様々なタイプの役に挑戦していき、演技の幅を広げていきます。

演技派女優として開花!

2008年、アン・ハサウェイは『レイチェルの結婚』に主演し、薬物中毒の治療のために10年間、リハビリ施設への入退院を繰り返していた女性キムを演じました。 同作での彼女の演技は絶賛され、ゴールデングローブ賞の主演女優賞(ドラマ部門)だけでなく、アカデミー賞の主演女優賞にもノミネートされています。 演技派女優として開花した彼女の躍進は止まることはなく、その後も『アリス・イン・ワンダーランド』(2010)や『ラブ & ドラッグ』(2010)といった話題作に出演。『ラブ & ドラッグ』ではゴールデングローブ賞の主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)にノミネートしています。 ドラマチックな作品の演技だけでなく、コミカルな演技も得意としていることがわかりますね。

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2012年、『レ・ミゼラブル』でさらに飛躍!名実ともに実力を記録に残す

2012年には、クリストファー・ノーラン監督による『ダークナイト ライジング』にヒロインのキャットウーマン役として出演。本作における、セクシーでグラマラスな女怪盗の役どころもまたこれまでにないもので、アン・ハサウェイの演技の幅広さを表しています。

『ダークナイト ライジング』が大ヒットを記録したのも束の間、アン・ハサウェイは、映画『レ・ミゼラブル』でさらなる飛躍を遂げることになります。 ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、エディ・レッドメイン、アマンダ・セイフライドといった豪華キャストが集結した本作で、アン・ハサウェイは吹き替えなしのミュージカルに挑戦。アカデミー助演女優賞をはじめとする数多くの賞を受賞し、美人というだけでなく、演技派としても認知されるようになったのです。

演じるうえでのこだわりと、女優としての圧倒的な覚悟

『プリティ・プリンセス』では王女役を演じるためスウェーデンのヴィクトリア女王関連の本を読み漁り、完璧な演技と説得力のあるオーラで見事作品をヒットさせたアン・ハサウェイ。 『ダークナイト ライジング』では、キャットウーマンと呼ばれる猫のようにしなやかな動きを見せる怪盗役を演じるに当たって、肉体改造を徹底的に行ったといいます。 『レ・ミゼラブル』のファンティーヌ役をやるに当たっては、それまで伸ばしていた長い髪をバッサリとカット。“貧しき人”のファンティーヌのために10キロもの減量にもあたったりと、重なる不幸に見舞われるファンティーヌを演じるため、家族とも離れてその役に没頭したそうです。

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しかし『レ・ミゼラブル』の授賞式でのドレス、表情、スピーチが批判の的に……

『レ・ミゼラブル』で不遇な美しき女性ファンティーヌ役で、見事な演技力や歌唱力を見せたアン・ハサウェイ。しかし同作のアカデミー賞授賞式に参加した際にはドレスや表情、スピーチ内容までが全て批判の的となりました。 ファンティーヌ役のために11キロ減量し、髪もバッサリ切ったという役作りは「わざとらしい」と批判され、「評論家からの称賛とオスカー狙いなのがバレバレ」などと言われてしまいます。 主演のヒュー・ジャックマンも役作りのために減量をしているのですが、なぜかこういった批判を受けているのはアン・ハサウェイのみ。 それだけでなく、ドレスについても「色合いが老けて見える」「下品だ」など、作品とは全く関係のないようなところでバッシングを受けてしまっています。受賞スピーチにおける、『レ・ミゼラブル』の舞台でもある19世紀のフランスの売春婦に関する発言に関しても「空気が読めていない」と批判されています。 この背景には、どうにも大衆の嫉妬が透けて見えるようにも思えますが、彼女へのバッシングは止まることはありませんでした。

海外での誹謗中傷は「Anne Hathaway hate」で検索すると1000万ページがヒットしてしまう事態に

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Anne Hathawayさん(@annehathaway)がシェアした投稿 -

海外でのアン・ハサウェイへの批判は止まることなく、「Anne Hathaway hate(アン・ハサウェイ 嫌い)」で検索すると、なんと1000万ページもヒットするほど。Facebookには「アン・ハサウェイ大嫌い」というページまで存在したといいます。 アン・ハサウェイとヘイトをかけあわせた造語「Hathahaters(ハサウェイを嫌う者たち)」という単語まで生まれ、この単語をハッシュタグにしたツイートも連日投稿されていました。 面白がったゴシップ誌やメディアもこぞって特集を上げ、なぜ嫌われるのかなどという分析合戦まで繰り広げた始末。批判の主な論調は「わざとらしさが嫌」「何につけ演技がかっている」というようなものでした。

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批判が多すぎて仕事に支障も……

こうした批判を受けたアン・ハサウェイは、バッシングに合うのは自分にも悪い点があるのだろうとエゴサーチ(自分の名前で検索し評判を見ること)をしてみたとのことですが、数多くのヘイトサイトを見て更に落ち込んでしまったそうです。 「まるでビンタをされたような」「お腹にボディブローを受けたような」非常に強い衝撃だったと語る彼女のショックは想像に難くありません。アカデミー賞を受賞した映画の女優でありながら、中には評判が悪いからと断られる仕事もあったとのことで、"いじめ"に等しいレベルのバッシングは確実に彼女の足かせになってしまっていたのです。

バッシングを乗り越え、美しいだけじゃない"強い"女優へ

嫉妬が透けて見えるような酷いバッシング、それに乗っかるメディアなどに苦しめられた彼女ですが、ものの見事にそれらを跳ね除けながら立ち上がり、強い女性へと進化を遂げています。 「酷い扱いを受けたけれど、それによって成長することが出来たの。あの出来事の全てが、私をより愛情ある優しい人間に変えてくれたわ。自分を哀れんだりはしない」 自分を哀れんだりしない。かつて兄のセクシャリティを家族全員で優先し、自分らしく生きることを尊重した過去も、少なからずこの強さにつながっているのかもしれません。 彼女はこうして、苦しさをエネルギーに変えてみせたのでした。

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SF超大作『インターステラー』(2014)にも出演

『ダークナイト ライジング』の後、クリストファー・ノーランが監督したSF超大作『インターステラー』。アン・ハサウェイは本作のヒロイン、アメリア・ブランド博士を演じました。キャスティングの際、彼女は主演のマシュー・マコノヒー同様、ノーラン監督の自宅に招かれて脚本を読ませてもらっています。 "本物"にこだわることで有名なノーラン監督による信頼感が伺えますね。

『ブルックリンの恋人たち』(2014)ではプロデューサーとしても活動

『ブルックリンの恋人たち』(2014)では主演だけでなくプロデューサーも兼任。2018年現在、新たなプロデュース作品は発表されていませんが、今後もますます活躍の場を広げていきそうです。

『マイ・インターン』では名優ロバート・デ・ニーロと共演

2015年には名優ロバート・デ・ニーロと共演した『マイ・インターン』が公開。9月25日に全米公開した本作は、日本でもほぼタイムラグなく10月10日に公開しています。 『プラダを着た悪魔』では新入社員役でしたが、本作ではファッションサイトを運営するやり手の女社長を演じています。順風満帆な生活で大きな壁にぶつかってしまう女性、というアン・ハサウェイにぴったりな役柄と、ロバート・デ・ニーロの名演の見事な掛け合わせが楽しめる作品に仕上がっています。 本作はファッションサイト運営会社の物語なだけあって、ファッションもみどころのひとつ。本作のファッションは『セックス・アンド・ザ・シティ2』のスタッフが担当しているので、アン・ハサウェイ演じるジュールスのコーディネートにも注目です。

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共演して学んだことは"謙虚さ"

『マイ・インターン』の制作後、アン・ハサウェイとロバート・デ・ニーロは「共演して学んだことは?」というテーマで対談し、"謙虚さ"を学んだといいます。 「あなたは常に謙虚でした。偉ぶった態度なんてこれっぽっちもなくて。嬉しい発見でした。有名で伝説的な人なのに、うぬぼれたりしていなかったんですよ。仕事に誇りをもって、演技を完璧にしようとするのに、エゴがまったくなかった」 また、ここで彼女は「最近、自分の仕事で学んだことは?」という質問に対してもこのように語っています。 「(2015年の『Grounded』で)一人芝居の舞台に立ったとき、私生活でいろいろあった時期だったから、続けられる自信がなかったんです。つらい日々でした。その時はほんとうに続けられると思えなくて。それで、劇場の支配人に電話をすると、"それでもやらなきゃダメだ。信じるんだ、答えは舞台にある"と言ってくれたんです」 「その舞台でも忘れられないことがありました。セリフが出てこなくなって、なんとかしなきゃ!と思ってとっさに、まずは落ち着くために舞台の上で丸くなったんです。台無しにしたと思ったけれど、観客は演技だと思って感動してくれていて」 「そのときに、自分や自分の考えは関係なく、完璧なセットも必要なく、ただ受け入れること。脚本を信じて役に入り込んでとにかく稽古して、身を委ねることが大切なんだと学びました」

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大成しても勢い止まらず!

『アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅』で”白の女王”を続投

2010年に公開された映画『アリス・イン・ワンダーランド』の続編となる『アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅』ではメインキャラクターである白の女王を前作に引き続き演じています。 ティム・バートンの個性あふれる衣装に身を包んだ豪華なアン・ハサウェイが再び観られる作品です。

ダメウーマンが大怪獣とシンクロ?『シンクロナイズドモンスター』

同年、アン・ハサウェイは『シンクロナイズドモンスター』にも主演。アルコール依存症の主人公・グロリアが突如現れた巨大怪獣とシンクロしていることに気づき、それをきっかけに断酒をしなくてはと考えるのだが……という筋書きの物語で、これまた振れ幅の大きい役を演じています。 資金調達が難航している段階で出演を決めたアン・ハサウェイ。彼女は本作について、トロント国際映画祭におけるインタビューで以下のように語っています。 「この作品は"16歳の自分"のために作った映画です。私は10代の頃、『マルコヴィッチの穴』(2000)が大好きな女の子でした。この映画の型にはまらない奇抜な脚本は、あの頃を思い出させてくれたんです」

『オーシャンズ8』で再び大絶賛を集める

『オーシャンズ11』(2001)をオール女性キャストでリブートした『オーシャンズ8』(2018)で、ターゲットなる目立ちたがり屋のワガママ女優ダフネ・クルーガーを演じたアン・ハサウェイ。このダフネ・クルーガーは劇中で、滑稽にも見えるほどわざとらしく、神経質に、物語の舞台となるメット・ガラの準備を進めていきます。 これはまさに、かつての大バッシングとゴシップメディアに焚きつけられた「世間のイメージ」を具現化したようなキャラクターで、それを見事に演じてみせた彼女に絶賛の声が集まりました。 余談ですが、本作が公開されたのは"MeToo"に続く"TimesUp"運動が活発化し始めたときであり、アン・ハサウェイが自身の過去のセクシャル・ハラスメント被害について初めて語ったときでもありました。

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アン・ハサウェイの今後

『セレニティ (原題)』でマシュー・マコノヒーと共演

日本での公開日は未定ですが、マシュー・マコノヒーとの共演作であるスリラー映画『セレニティ (原題)』が2018年10月にアメリカで公開されています。予告編では、珍しくブロンドヘアーのアン・ハサウェイの姿が確認できますね。 本作は前の夫に協力を依頼して、暴力的な新しい夫の事故死を画策する……というストーリーで、アン・ハサウェイは物語の軸となる女を演じています。

Netflixオリジナル映画『The Last Thing He Wanted (原題)』にも主演

アン・ハサウェイは、ディー・リースが監督を務めるNetflixオリジナル映画『The Last Thing He Wanted (原題)』への主演も決定しています。ディー・リースはNetflixオリジナル映画『マッドバウンド 哀しき友情』で絶賛された女性監督。 『The Last Thing He Wanted (原題)』は同名小説を原作とし、ジャーナリストの女性、エレナ・マクマホンが実際に起きた「イラン・コントラ事件」の転換期にも繋がる武器取引の陰謀に巻き込まれていく……という複雑なストーリー。 詳しい情報はまだ不明な部分も多いですが、アン・ハサウェイの父親の役としてウィレム・デフォーが参加することがわかっています。

今後ますますの活躍が期待されるアン・ハサウェイから目が離せない!

アン・ハサウェイ
WENN.com

女優アン・ハサウェイ。華々しいデビューに輝かしいキャリアを重ねていった彼女の人生は順風満帆に見えますが、浴びた脚光が強すぎたことによるつらい影の日々もあったことがよくわかります。しかしそれさえもエネルギーに変えてみせた彼女は、まさしく「強く美しい女優である」と言えますね。 その強さと美しさで、これまでにない偉業を成し遂げる日も近いのかもしれません。アン・ハサウェイの今後にも注目です!