2017年7月6日更新

観客に語りかけてくる!第四の壁を壊したおすすめ映画9選

このページにはプロモーションが含まれています
ファニーゲーム

AD

第四(だいし)の壁とは

第四の壁(The Fourth Wall)とは、演劇などにおいて、観客席と舞台の間に概念上、存在する壁のことを指します。つまり、現実とフィクションの間に横たわる見えない壁であり、19世紀ごろ生まれた概念だと言われています。もちろん、演劇のみならず、映画にも当てはまります。 この第四の壁を壊す(Breaking The Fourth Wall)とは、映画の登場人物が、映画を見ている観客に向かって話しかけたり、そうでなくても、観客がいることや自らがフィクションの中に生きていることを認識した行動やセリフを発したりすることです。他にも、カメラのレンズに水しぶきが掛かったりするのも、この一つです。 以下、この手法を取り入れたおすすめ映画、9作品です。

マーベルきっての異形ヒーローが破天荒な活躍!【2016年】

マーベルの大ヒットシリーズ『X-MEN』のスピンオフで、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』』にも登場した「デッドプール」を主人公にしたアクション・エンタテインメント作品です。2016年6月1日に日本公開が予定されています。 特殊部隊から傭兵に転身したウェイド・ウイルソンが、末期ガンで余命宣告。謎の人体実験を受けた結果、醜悪ながら、驚異的な治癒能力と肉体を手に入れます。赤いコスチュームを身にまとい、自らを「デッドプール」と名乗ったウェイドが、人体実験を施した男の行方を追うストーリーです。 無責任で、毒舌で、子どものようなギャグが大好きで、自己中という型破りな異形ヒーローに扮したのはライアン・レイノルズです。 デッドプールは、なぜか自分がマーベル・コミックのキャラクターだと認識しており、漫画版では読者に語り掛けたり、編集部に文句を言ったりもします。本作でも、生死を分ける戦いの最中だというのに、平気でカメラに向かって、映画の観客に話しかけるという、第四の壁を壊したおしゃべりぶりが面白さのひとつになっています。

ニューヨークを舞台にしたウディ・アレンの代表作【1977年】

大都会ニューヨークに暮らす男と女のドライな関係を、コミカルに皮肉たっぷりに描く、ウディ・アレンの代表作です。1977年アカデミー賞で、最優秀作品賞、主演女優賞、監督賞、脚本賞など主要部門を受賞しています。 主人公アルビーをウディ・アレンが演じ、アニーにはダイアン・キートンが扮しました。アニー独特の都会的なファッションとスタイルは社会現象にまでなりました。 過度に神経質で、おしゃべりなアルビーは、頻繁にカメラ目線で観客に向かって話しかけます。大胆に第四の壁を壊したシュールな演出は話題を呼び、その後の映画やドラマに大きな影響を与えた作品だと言われています。

カンヌを震撼させた、ミヒャエル・ハネケ監督による初期の傑作【1997年】

1997年のカンヌ国際映画祭に出品されたとき、そのあまりにも非情な展開から、席を立つ観客や批評家が続出したといういわくつきの作品です。監督は、2001年の『ピアニスト』で見事カンヌの審査員グランプリを獲得したミヒャエル・ハネケ。斬新な演出と、衝撃的なテーマは、早すぎた傑作とも言われました。 バカンスを過ごすため、湖のほとりの別荘へやってきたショーバー家が、来訪した二人の青年パウルとペーターによって、一家皆殺しの宣告を受け、恐怖の「ファニーゲーム」の参加者にされてしまうという物語です。 この映画の特徴は、犯人が映画を見ている観客に向かってウィンクをして見せたり、挙げ句の果てにはなんと自らが登場する映画自体を逆再生して物語をやり直してしまうなどの行動で第四の壁を壊している点にあります。その結果、異様とも言える奇妙な恐怖感を生み出すことに成功しています。

主人公のフェリスが友達のように我々に話しかけてくる青春映画【1986年】

主人公のフェリスを演じたマシュー・ブロデリックを一躍人気スターにした青春映画の傑作が『フェリスはある朝突然に』です。 仮病を使い、学校を休むことにした高校3年生のフェリス。恋人と親友も連れ出し、3人でシカゴの街中に繰り出したのはいいが、校長とフェリスの妹がそれに気づき、両親も帰宅し、思ってもみない展開に……。登場する様々なシカゴの名所も、本作の見どころのひとつです。 フェリスが、いとも簡単に第四の壁を乗り越え、観客に向かって気軽に話しかけるというスタイルが、この映画を実にユニークな作品に仕立て上げています。

クリント・イーストウッド監督でブロードウェイ・ミュージカルを映画化【2014年】

ブロードウェイの大ヒットミュージカルをクリント・イーストウッドが監督し、映画化した『ジャージー・ボーイズ』。 1960年代、一世を風靡したポップ・グループ「ザ・フォー・シーズンズ」のメンバーたちの友情、決別、栄光と挫折を描きます。『君の瞳に恋してる』など、数々の名曲も本作の楽しみのひとつ。ブロードウェイ版にも主演し、トニー賞でミュージカル男優賞を受賞したジョン・ロイド・ヤングが、映画版でも主演のリードボーカル、フランキー・ヴァリに扮しています。 劇中、「ザ・フォー・シーズンズ」のメンバーが、映画を観ている観客に向かって話しかけ、それぞれの視点からストーリーを語ることで、登場人物と観客の間に不思議な共感が生まれています。オリジナルの舞台ミュージカル版でも、この手法がとられており、本作の特徴となっています。

伊丹十三監督の二作目は「ラーメン・ウエスタン」【1985年】

初監督作品『お葬式』を大ヒットさせた伊丹十三監督の2作目は、監督自身が「ラーメンウエスタン」と称した『タンポポ』です。 タンクローリーの運転手が、たまたま入った、さびれたラーメン屋を町一番の店にするまでのプロセスを描きます。様々な食べ物にまつわるエピソードも楽しく、独特の面白さに満ちた本作。出演は山崎努、宮本信子、役所広司、渡辺謙ら、達者な役者陣の演じる個性的なキャラクターも、伊丹作品ならではです。 冒頭、いきなり役所広司が劇場の席に座りながら、観客(映画を観ている視聴者)に向かって話しかけるシーンで始まります。一気に物語に引き込まれる映画の幕開けです。

実話に基づいたマフィアの男たちの物語【1990年】

マフィアに生きる男を描いたニコラス・ピレッジのノンフィクション『Wiseguy』を原作に、マーティン・スコセッシ監督が映画化したのが『グッド・フェローズ』です。 子供の頃からギャングに憧れ、やがてその一員となった実在の男の半生と、「グッドフェローズ」と呼ばれるギャングたちの姿を描くマフィア映画の傑作のひとつです。主人公にはレイ・リオッタが扮し、他にもロバート・デ・ニーロやジョー・ペシら、スコセッシ作品常連の役者が勢ぞろいしています。 物語は、主人公のナレーションによって進みますが、それだけでなく、いきなりカメラ目線で観客に向かって話し出し、第四の壁を壊してしまいます。

鬼才・園子温が描くどぎつい近未来の東京【2014年】

井上三太の漫画作品を、『ヒミズ』『冷たい熱帯魚』で世界的評価の高い園子温監督が実写映画化しました。近未来の東京を舞台に、さまざまなトライブ(族)に属する若者たちが繰り広げる抗争を描きます。 鈴木亮平、清野菜名、佐藤隆太、染谷将太、でんでん、窪塚洋介ら豪華キャストが勢ぞろいし、園子温らしい妥協のない特異な世界観を形作っています。 染谷将太が扮する、一人だけどこか奇妙な存在のMC・SHOWは、ラップを歌い、第四の壁を超えて我々視聴者に迫ってきます。

ホラー映画の金字塔、衝撃のラストシーン【1976年】

6月6日午前6時に誕生し、頭に「666」のアザを持つ悪魔の子ダミアン。アメリカ人外交官一家に紛れ込んだダミアンが巻き起こす壮絶な恐怖を描き、世界的大ヒットとともにオカルトホラーの傑作と評価されています。 4作に渡ってシリーズ化され、2006年にはオリジナル版のリメイクも公開されました。 有名なラストシーン、振り向いたダミアンの顔は、第四の壁を乗り越え、明らかに我々観客を見ています。まだまだこれから恐怖が続くことを予感させる名シーンです。