『コンクリート・レボルティオ』とは
戦後20年余りが経過したもう一つの日本。今までフィクションで描かれて来た数々のヒーローなどの超人が「もしもすべて同時に存在していたら?」という世界観のもと、正義はどこにあるのか?本当の正義とは何か?を考えさせられる、どこか懐かしく熱いヒューマンドラマを描いた作品です。
神化(しんか)と昭和
『コンクリート・レボルティオ』では、神化○○年というような架空の年号が使われています。アニメ本編は神化40年代が舞台となっており、元ネタとなる作品も昭和40年代の作品がほとんどです。このことから神化と昭和が対応しているのがわかります。
人吉爾朗(ひとよしじろう)の元ネタ
爾朗の元ネタは、『人造人間キカイダー』、『ゴジラ』、『超人ロック』などが上げられます。
『人造人間キカイダー』(昭和47〜48年放送)に登場するキカイダーとの共通点
キカイダーの特徴に
・人の姿のときジローと名乗っている
・ギターを持ち歩いており、弾く事ができる
・良心回路が完全でなく善悪について葛藤している
などがあります。
これらは、爾朗の名前や時折ギターをつま弾いている姿、正義について葛藤している姿と重なります。
『ゴジラ』(昭和29年公開)に登場するゴジラとの共通点
ゴジラの特徴に
・漢字で書くと呉爾羅
・火を噴いて攻撃する
・核実験による放射能汚染の影響で突然変異して生まれてきた
などがあります。
これらは、爾朗の名前の漢字や爾朗が左腕から炎を繰り出す姿と重なります。
そして神化20年、広島に新型爆弾が投下され、爆心地から赤ん坊の爾郎が見つかり人吉博士に保護される、という話と昭和20年、現実の広島に投下された原爆が「リトル・ボーイ」と呼ばれていた事から、爾郎が核兵器と関わっている事が分かります。
この点もゴジラの誕生と重なる部分がありますね。
謎のシルエット
保護された時の爾郎から怪獣のような影が伸びているという描写。ここからもゴジラと関係している事が分かりますね。
『超人ロック』(昭和42年発表)との共通点
こちらは超人課を抜けた後の爾郎のキャラクターデザインとされています。特徴的な髪型や赤いマント、黒い服が爾郎に反映されている事が分かりますね。
星野輝子(ほしのきっこ)の元ネタ
輝子の元ネタは、『魔女っ子メグちゃん』の神崎メグ、『コメットさん』などが上げられます。
『魔女っ子メグちゃん』(昭和49〜50年放送)に登場する神崎メグとの共通点
神崎メグの特徴に
・魔女っ子
・魔界の女王になるために修行している
・チョーさんというお目付役に採点されている
などがあります。
これらは、輝子の魔女である事や魔界の女王になる目的、ウルというお目付役がいる所と重なります。
ちなみに、チョーさんは下心のある悪徳な性格をしています。そんな所も笑美を口説いていたウルの姿と重なりますね。
『コメットさん』(昭和42〜43年放送)に登場するコメットさんとの共通点
コメットさんの特徴に
・別の星から来た魔法使い
・魔法で問題を解決している
などがあります。
これらは、輝子の名前や仕事と重なります。
そして、輝子が魔法を使う時に唱える「メテオテール」という呪文ですが、「流星」と「尾」と訳す事ができます。尾を引く流星=彗星「コメット」となるので、輝子の魔法とも関係している事が分かりますね。
『魔法の天使クリィミーマミ』(昭和58〜59年放送)との関係は?
変身後の姿は『魔法の天使クリィミーマミ』に似ていると言われていますが、放送されたのが昭和58〜59年なので少々時期が合いません。どういう事かというと、デザイナーさん曰く「正直意識してなかったけど、世代的に刷り込まれてるのかもしれない」との事。全く関係ない、とは言えないかもしれませんね。
鬼野笑美(きのえみ)の元ネタ
笑美の元ネタは、『ゲゲゲの鬼太郎』が上げられます。
『ゲゲゲの鬼太郎』との共通点
『ゲゲゲの鬼太郎』の特徴に
・主人公の鬼太郎は人間との共存を望んでいる正義の妖怪
・昭和29年に原点となる紙芝居が作られた
などがあります。
これらは、笑美の正体が半妖である事や自分の種族と人間が幸せにくらせる世界を夢見ている姿と重なります。
神化29年に「少女の姿だった笑美が、落ちていた紙芝居に描いてあった女性の姿に変身し、今の姿となった」というエピソードからも関係している事が分かりますね。
芳村兵馬(よしむらひょうま)の元ネタ
兵馬の元ネタは、『スーパージェッター』、『豹(ジャガー)マン』、『豹(ひょう)マン』が上げられます。
『スーパージェッター』(昭和40〜41年放送)に登場するジェッターとの共通点
ジェッターの特徴に
・タイムパトロールとして未来からやってきた
・30秒間時を止める事ができる
などがあります。
これらは、兵馬のタイムパトロールとして現代にやってきたというエピソードや時計型の装置を使って30秒間時を止められる能力と重なります。
また、『スーパージェッター』には「ジャガー」という悪人が登場します。兵馬も「ジャガー」という愛称で呼ばれており、過去の自分自身と戦った事があるのでこの事からも関係している事が分かります。
『豹(ジャガー)マン』(昭和42年制作)『豹(ひょう)マン』(昭和43年制作)との共通点
豹(ジャガー)マンと豹(ひょう)マンは共に豹の姿に変身して戦うという特徴があります。
これは兵馬が豹に変身できる能力と重なります。
また、兵馬という名前や「ジャガーさん」という愛称からも関係している事が分かりますね。
風郎太(ふうろうた)の元ネタ
風郎太の元ネタは、『お化けのQ太郎』に登場するQ太郎とドロンパが上げられます。
『お化けのQ太郎』(昭和40〜42年アニメ第一作目放送)に登場するQ太郎との共通点
Q太郎と風郎太は互いにお化けであることや名前が似ているという共通点があります。
また、風郎太が自分の事を「オバケの風郎太」と紹介した事からも関係している事が分かりますね。
『劇画オバQ』(昭和48年掲載)
『劇画オバQ』とは、『お化けのQ太郎』のエピローグ的作品です。
この作品の「15年ぶりに人間界に帰ってきたオバQが、かつての親友である正太と再会し再び居候するが、正太がすでに結婚している事や妻が妊娠した事が分かり張切る正太を見て、もう正太が子供でない事を悟りどこかへ飛び去っていく」というエピソードが、風郎太が空き地で「誰もいないや。みんなもう大学か就職かな・・・」と寂しげに呟いていた姿と重なります。
この事からもQ太郎と関係している事が分かりますね。
『お化けのQ太郎』(昭和40〜42年アニメ第一作目放送)に登場するドロンパとの共通点
ドロンパは変身が得意なお化けです。風郎太も変身が主な能力なのでドロンパと共通している事が分かります。
また、風郎太は人の姿の時も変身後も体のどこかに星マークが付いています。ドロンパの体にも星マークがあしらわれているので、この事からもドロンパと関係している事が分かりますね。
人吉孫竹(ひとよしまごたけ)の元ネタ
孫竹の元ネタは、折竹孫七、人見十吉が上げられます。
『人外魔境』シリーズ(昭和14年第一作目発表)に登場する折竹孫七との共通点
折竹孫七は秘境探検家です。孫竹の名前や超人と関係がありそうな秘境を探検していた事から、関係している事が分かります。
また、『人外魔境』シリーズ第一作目は昭和14年に発表されました。神化14年に孫竹がインド洋の島を探検していた、というエピソードがあったのでここからも関係している事が分かりますね。
『エル・ドラドオ』(昭和23年発表)などに登場する人見十吉との共通点
人見十吉は秘境探検家です。孫竹の名前や超人が関係ありそうな秘境を探検していた事から、関係している事が分かります。
また、作者の香山滋は『ゴジラ』の原作者です。孫竹は、ゴジラと関係のある爾郎の父代わりなので、ここからも関係している事が分かりますね。
芝来人(しばらいと)の元ネタ
芝刑事の元ネタは、『サイボーグ・ブルース』、『ロボット刑事』、などが上げられます。
『サイボーグ・ブルース』(昭和43〜44年連載)に登場するアーネスト・ライトとの共通点
アーネスト・ライトの特徴に
・一度殉職したがサイボーグとして再生された
・腐敗した警察組織にいる事が嫌になり辞職する
などが上あります。
これらは芝刑事の名前や境遇と重なります。
『ロボット刑事』(昭和48年放送)に登場する K との共通点
K の特徴は
・知能持ったをロボット刑事
・独特な身体の模様
などが上げられます。
これらの特徴は、芝刑事のロボットではないが、サイボーグである事や感情が高ぶったときに浮き出た顔の模様などと重なります。
人間衛生(ヒューマンサテライト)アースちゃんの元ネタ
アースちゃんの元ネタは、『鉄腕アトム』、人工衛星スプートニク1号などが上げられます。
『鉄腕アトム』(昭和38〜41年放送)に登場するアトムとの共通点
アトムの特徴に
・知能をもった子供型ロボット
・特徴的な髪型
・善悪を見分けられる電子頭脳が搭載されている
・悪と戦う正義のロボット
などがあります。
これらの特徴は、アースちゃんの容姿や町を守っている姿、嘘を見破れる力と重なります。
人工衛星スプートニク1号
人工衛星スプートニク1号は昭和32年に旧ソ連から打ち上げられた実在の人工衛星です。球状の本体やそこから伸びる4本のアンテナがアースちゃんの飛行形態と重なります。
ジュダスこと三純光(みすみひかる)の元ネタ
ジュダスの元ネタは『鉄腕アトム』に登場するユダ・ペーターなどが上げられます。
『鉄腕アトム』に登場するユダ・ペーターとの共通点
ユダ・ペーターとジュダスは互いに電撃を操る事ができるという共通点があります。
また、キリスト12使徒のユダの英語表記は「judas」で、ローマ字読みをするとジュダスになります。この事からも関係している事が分かりますね。
天弓ナイト(てんきゅうないと)の元ネタ
天弓ナイトの元ネタは、『月光仮面』、『キャシャーン』が上げられます。
『月光仮面』(昭和33〜34年放送)に登場する月光仮面との共通点
月光仮面の特徴に
・全身を覆う白い衣装
・額に三日月マーク
・危機に陥った人々の前に颯爽と登場する正義の味方
・バイクに乗って登場する
・生身の人間なのか超人なのか曖昧
などがあります。
これらの特徴は、天弓ナイトの容姿やバイクに乗って登場する姿、超人なのか曖昧な事と重なります。
『新造人間キャシャーン』(昭和48〜49年放送)に登場するキャシャーンとの共通点
キャシャーンと天弓ナイトは、そっくりなその容姿から関係している事が分かります。
いかがでしたか?今回は一部のみの紹介でしたが、元ネタを知っているとまた違った楽しみ方ができると思います。これを機に昭和の作品を見返してみてはいかかでしょうか。