1:百式の型式番号は、MSN-00100
百式とは、ガンダムシリーズに登場する架空の戦闘用兵器で、中に人が入り操縦する有人操縦方の人型ロボット兵器、通称モビルスーツ(MS)のひとつです。
モビルスーツにはすべて型式番号が割り振られており、一つ前がリックディアスのMSA-099、またはRMS-099だったため、次の100が予定されていました。それに加え開発主任のM,ナガノ博士が「百年使えるMS」という願いを込め、百式という名がつけられました。
MSN-00100となった由来に関しては、MSNのNはナガノ博士の頭文字をとったとされており、そのナガノ博士にとって最初のプロジェクトであるため001にするべきという意見に応じた為に、MSA-100とMSN-001のふたつを合わせたMSN-00100となったのです。
ですが5桁の型式番号は扱いにくかったため、簡略化してMSN-100と呼ばれることが多かった事や、何度も設計変更が行われている事からあまり判別できず、詳しいところは語られていません。
2:外装が金色
百式は他のMSよりも高い運動性能を持ちます。高度なムーバブルフレームと12基の姿勢制御バーニアを装備し、バックパックのウイング・バインダーをも使いこなす事のできる機体です。
さらにそれまでのモビルスーツと異なり、ガンダムタイプでありながら「デュアルアイ」ではありません。IDEシステムと呼ばれるセンサーで精密照準時などに赤く発光する仕様になっています。
そして何より百式の最大の特徴は、金色の特殊塗装が施されている機体全体。その輝きはかなりの存在感を示しています。これはビーム兵器に対抗する為、耐ビームコーティングをされており、資源衛星で発見された特殊材料を調合して生成された皮膜財が用いられています。
しかし、当時発売された百式のプラモデルの解説書には、金色の機体について「プラスチック・カラーコーティング」と記述されており、劇中でも特にビームや熱に強い演出がある訳ではなく、一般のモビルスーツの塗装と大差ないという声もあります。
3:『機動戦士Zガンダム』でシャアが搭乗
この百式は『機動戦士Zガンダム』で、シャア・アズナブル(この時の名はクアトロ・バジーナ)大尉の新しい乗機として第9話から登場しています。シャアの搭乗機の中では、劇中序盤で一度だけ搭乗したMk-Ⅱ以外では唯一のガンダムタイプのMSです。
優れた機体性能と、シャアの高い操縦技術によって『機動戦士Zガンダム』の中でもメインのMSとして活躍します。
反地球連邦組織「エゥーゴ」の試作機として登場した百式は、地球連邦軍特殊部隊ティターンズの新型機である、ギャプランやアッシマーなどに一時押されてしまう場面も。しかし同じエゥーゴのカミーユ・ビダンが操縦するガンダムMk-ⅡやZガンダムらと連携して戦い抜き、見事グリプス戦で勝利を収めました。
最終決戦ではキュベレイに追従していたアクシズのガザC隊をメガ・バズーカ・ランチャーで撃墜したのち、パプテマス・シロッコが操縦するMS、ジ・Oやキュベレイという、ハマーン・カーンのニュータイプ専用機らとの戦いが始まります。
最新鋭のモビルスーツを一度に何機も相手にしながらも粘り強く戦い抜きます。無事コロニーレーザーの防衛に成功した百式は、その激しい戦いの末に大破してしまった機体が、宇宙を漂流するシーンで有終の美をかざるのです。
4:『機動戦士ZZガンダム』での活躍
百式は『機動戦士Zガンダム』の続編、『機動戦士ZZガンダム』にも登場します。宇宙に浮かぶ艦艇アーガマの戦力不足を解消する為に配備された今回のメインパイロットには、ネェル・アーガマの艦長代理ビーチャ・オーレグが務めています。
ガンダムチームの期待を一身に背負い、第一次ネオ・ジオン抗争を戦い抜いた百式ですが、このときはすでに機体は旧式でメガバズーカランチャーも配備されていませんでした。しかし、ジュドー・アーシタがパイロットを務めた際には、オウギュスト・ギダンが率いるドライセン部隊を退け勝利を収めたのです。
旧式の機体で、これまでの最大の武器であるメガバズーカランチャーが搭載されていなかったにも関わらず、ネオ・ジオンの新型MSと互角に戦い、最終決戦時には無傷で終戦を迎えていることから、百式には高い機体性能があったことが伺えます。
5:実際のメカデザインの経緯
当初ガンダムシリーズのメカニックデザイナーを務めていた藤田一己は、既出していたネモというMSをベースに百式のデザインを考えていました。ですがMSのデザインを担当していた永野護の描いたラフを、監督の富野由悠季が気に入りそれを基にし現在のビジュアルになったそうです。
M.ナガノ博士の初プロジェクト、という設定からもこのモビルスーツの制作には永野が関わっていることが示唆されていますが、実際に永野が描いたのは基となったラフのみです。百式という名称も金色に輝く機体も監督である富野のアイデアだといわれています。
当の本人である永野は、「完成した百式のデザインは100パーセント藤田君のもの」とコメントしており、あくまで自分自身が作り上げたとは言っていません。むしろM.ナガノ博士の設定も当時永野が描いていた漫画の売り上げを伸ばそうとした角川書店が創作でつくりあげたもので角川書店の出版物から広がっていったそうです。
百式には肩に「百」という漢字が刻まれていますが、これは元々デザインにはなく、スポンサーとの打ち合わせの際に富野が口頭で説明しながら書き入れたといわれています。
このように様々な想いが込められて創られ、現在でも多くのファンを誇る伝説のモビルスーツとなっています。