2017年7月6日更新

『カッコーの巣の上で』にまつわる知られざる事実15選

このページにはプロモーションが含まれています
カッコーの巣の上で [DVD]

AD

1.税関が『カッコーの巣の上で』映画化計画を止めた!?

映画『カッコーの巣の上で』は1962年に出版されたケン・キージーのベストセラー小説を原作にして製作されました。映画製作を務めたカーク・ダグラスは何としてもこの小説を映画化にしたかったと言います。そのため彼はチェコ人の監督ミロス・フォアマンに連絡を取り、映画化したいという強い思いを伝え小説を送る約束をしました。 約束通り小説を送ったカークですが、小説が入った小包がフォアマンの元に届くことはありませんでした。なんと小包はチェコの税関に没収されてしまったのです。 もちろん2人も小包の行方は知りませんでした。そのため約束を破ったと思ったフォアマンは激怒し、カークもまたフォアマンが失礼だと思っていたそうです。 2人の勘違いが発覚するまでに10年の歳月がかかりました。勘違いを解いた人物はカークの息子マイケル・ダグラス。彼が映画製作担当者になり、再びフォアマンに監督の依頼をしたときに発覚したのです。

2.エンディングを変えようとしたスタジオがあった!?

映画プロデューサーが配給会社を探していた時、大手配給会社20世紀フォックスが名乗りを上げました。しかしフォックスはある条件を付けてきたのです。それは主人公のマクマーフィー(ジャック・ニコルソン)を生かしたままエンディングを迎えることでした。 制作を務めたソウル・ゼインツとマイケル・ダグラスはこの取引を飲むことができないという賢明な決断をします。最終的には、ユナイテッド・アーティスツが映画を配給することに決まりました。

3.ジャック・ニコルソンは第一候補ではなかった!?

カーク・ダグラスが1960年代に小説を映画化しようとしたとき、彼は自身でマクマーフィーを演じるつもりでした。 しかし彼の計画は叶うことなく、10年の月日が経ちます。映画製作が現実的なものになったとき、マクマーフィーを演じるには年をとりすぎていました。そこで監督のフォアマンは3人の俳優にオファーすることにしたそうです。 1人目は1971年の映画『フレンチ・コネクション』でジミー・ドイル を演じアカデミー賞主演男優賞を獲得したジーン・ハックマン。2人目は1972年の映画『ゴッドファーザー』でドン・ヴィトー・コルレオーネを演じアカデミー賞主演男優賞を受賞したマーロン・ブランド。 そして3人目はフォアマンのお気に入りの俳優バート・レイノルズ。彼は1997年の映画『ブギーナイツ』でジャック・ホーナーを演じアカデミー助演男優賞にノミネートされました。 しかしこの3人はオファーを断ることに。最終的に落ち着いたのがジャック・ニコルソンだったのです。彼は今作で見事アカデミー賞主演男優賞を受賞しました。

4.ルイーズ・フレッチャーも第一候補ではなかった!?

今作でジャック・ニコルソンとともに名演技を見せ、アカデミー賞主演女優賞を受賞したのが看護婦長ラチェッドを演じたルイーズ・フレッチャー。 実は彼女も第一候補ではなかったのです。ルイーズに決まる前に製作陣がラチェッド役をオファーした女優は主に3人。1人目は1962年公開の映画『奇跡の人』でアン・サリヴァンを演じアカデミー賞主演女優賞を受賞したアン・バンクロフト。 2人目は1985年公開の映画『バウンティフルへの旅』でキャリー・ワッツを演じアカデミー賞主演女優賞を受賞したジェラルディン・ペイジ。そして3人目は1984年から放送が開始されたテレビドラマ『ジェシカおばさんの事件簿』の主人公ジェシカ・フレッチャー役で知られるアンジェラ・ラズベリーでした。

5.ルイーズが演じたラチェッドは監督が当初思い描いたものではなかった!?

フォアマン監督が当初思い描いていたラチェッドは悪魔の化身のような女。しかしルイーズにはその悪魔の化身のような役があまり合っていませんでした。 そこでフォアマンは役をより発展させ、ラチェッドを無意識に悪魔のような振る舞いをしてしまう人物として描くことにします。つまり本作のラチェッドは人々を助けているという思いを持ちながら、結果的に酷いことをしてしまう人物だったのです。

6.俳優じゃない人々が出演!?

映画の撮影はアメリカ合衆国、オレゴン州の病院で行われました。 病院で撮影を行うということで、プロデューサーはあるアイデアを思いつくのです。それは施設の最高責任者デーン・ブルックス医師をマクマーフィーの精神状態をチェックするジョン医師役としてキャスティングすること。 結果的に大きな役となり、彼にとって最初で最後の演技経験は大変貴重な体験となるのでした。

7.撮影中キャストは病棟で生活していた!?

精神病患者役を演じたすべての俳優は撮影中オレゴン州の精神病棟で生活をしていました。 キャストは個別の部屋で睡眠をとり、毎日構内で生活をしていたそう。これは実際に入院させられるとはどういったものかを知るために行われた試みです。 そして実際に病棟で生活するだけではなく、本物の精神病患者とも交流していたそうですよ。

8.役者たちは撮影がいつ行われているのか知らなかった!?

映画内にリアリティを取り入れるため、監督は俳優たちに台本がないグループセラピーを行わせました。 その時に監督は俳優たちに演じるキャラクターが精神病患者になりきるように指示をします。その際に監督はカメラを回して俳優たちが演技をしている様子とそうでない様子を撮影しました。もちろん俳優たちにはカメラが回っていることは伝えられません。 映画終盤でラチェッドが明らかにイラついている様子を見せているシーンは監督が彼女に指示を与えている時に見せたルイーズの素のイラだちも含まれているのでした。

9.ジャック・ニコルソンが監督と大喧嘩!?

映画製作中に主演を務めたジャック・ニコルソンがストーリーの内容を巡ってフォアマン監督と大喧嘩していました。 喧嘩はあまりにも激しすぎてジャックは監督と話すのを拒否していたほどだそうです。彼らが喧嘩を行った問題のシーンはマクマーフィーが精神病棟に初めて到着する場面。 監督は精神病患者たちが騒々しくマクマーフィーを出迎えるべきだと主張する一方で、ジャック・ニコルソンはその案に反対だったようです。 結果的に監督はジャックのアドバイスを受けて撮影を行っているように思えます。しかし2人はそれ以来会話を交わすことはなく、コミュニケーションをとる必要があった時にはビルという名のカメラマンを通じて会話を行っていたそうです。

10.ダニー・デヴィートは撮影中空想の友達を作っていた!?

映画でマティーニを演じたダニーは撮影のため当時の恋人であり未来の妻となるリー・パ-ルマンと会えない日々が続きました。そこで彼は夜な夜な会話をする空想の友達を作ったのです。 しかし自身のアイデンティティが失われているのではないかと思ったダニーはデーン・ブルックス医師にアドバイスをもらうことに。医師はダニーがマティーニが空想上のキャラクターであることを理解できている限り、役に乗っ取られることはなく、何も心配する必要はないと診断したそうです。

11.制作クルーが精神状態を本気で心配していたキャストとは!?

ブルックス医師はダニーの精神状態には問題がないと診断を下しましたが、残りのキャストとスタッフはある俳優の精神状態を本当に心配していました。 その俳優とはチャーリー・チェズウィックを演じたシドニー・ラシック 。彼は撮影が進むにつれ予測不能な行動をするようになり、役に入り込んでいるときには精神的にも不安定になっていきました。 ジャック・ニコルソンとチーフ・ブロムデンを演じたウィル・サンプソンの最後のシーンを見守っている時に彼は突如号泣。ラシックはあまりにも不安定だったためセットから連れ出されたそうです。

12.ルイーズはみんなの前で服を脱いだ!?

男性俳優たちの間に築かれた友情が羨ましかったのとラチェッドという独裁的なキャラクターとの関係を切り離したいと思ったルイーズはある晩思い切った行動をとったと言われています。 彼女はなんとたくさん人々が集まっている病棟で突然服を脱いだのです。もちろんその場にいたキャスト・スタッフ陣は驚いたのは言うまでもありません。

13.41年ぶりに主要5部門を受賞した作品!

本作は1934年公開『或る夜の出来事』以来初めてアカデミー賞主要5部門受賞という快挙を見事成し遂げましたが、なんとこれは41年ぶりの出来事。 主要5部門とは作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚色賞。ジャック・ニコルソンが主演男優賞を受賞、そしてルイーズ・フレッチャーが主演女優賞を受賞しました。 次にアカデミー賞主要5部門を制覇する作品が現れるのは16年後。つまり16年間この快挙は破られていなかったのです。 次に快挙を成し遂げた作品は皆さんおなじみ1991年公開の『羊たちの沈黙』。主演にジョディ・フォスターとアンソニー・ホプキンスが迎えられたサイコスリラー映画です。

14.映画館で最も長い期間上映された映画の1つ!?

『カッコーの巣の上で』は世界中の人々に愛され、崇拝されている作品の1つです。 特にスウェーデンの人々には愛されているのでしょう。なんと本作はスウェーデンの映画館で1987年まで定期的に上映されていました。映画上映開始された年から11年間もロングラン上映され続けていたのです。

15.原作者は映画『カッコーの巣の上で』を見るのを拒否した!?

実は映画の原作者ケン・キージーは自身の小説を映画化することに反対していました。 なぜなら映画製作陣がチーフ・ブロムデンを主人公として映画を制作しないことを知ったからです(小説ではチーフが主人公で彼の視点で物語が進められる)。 彼は決して映画を見ようとしませんでしたが、ある日誤って映画が放送されている瞬間を目にします。自分が見ているものが何かわかった時、すぐにチャンネルを変えたそうです。 映画化された『ファイト・クラブ』の原作者であり小説家のチャック・パラニュークは、キージーがこっそりと映画の物語は気にしてはいないと語ったことを明かしています。