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- 名作映画に多数出演!!銀幕の美人女優・香川京子
- 1.戦争の犠牲となったうら若き乙女たちの悲しい物語『ひめゆりの塔』【1953年】
- 2.海外でも高く評価された溝口健二監督作品『山椒大夫』【1954年】
- 3.家族ってそういうものなのだろうと納得しつつ切なくなる映画『東京物語』【1953年】
- 4.長谷川一夫と共演し、命がけの恋愛を描く『近松物語』【1954年】
- 5.どの時代にも黒幕がいることを思い知らされる映画『悪い奴ほどよく眠る』【1960年】
- 6.俳優陣の熱演に感銘を受ける黒澤明監督の不朽の名作『赤ひげ』【1965年】
- 7.本当に愛してくれているのは誰かを知る映画『式部物語』【1990年】
- 8.黒澤明監督の遺作『まあだだよ』【1993年】
- 9.日本の原風景の中で人生に大切なものを見つけだす映画『阿弥陀堂だより』【2002年】
- 10.惜しまれながら閉館した老舗映画館「銀座シネパトス」を舞台にした映画『インターミッション』【2013年】
名作映画に多数出演!!銀幕の美人女優・香川京子
香川京子は、1931年生まれの茨城県出身。終戦後の1950年代から映画やドラマで活躍してきた大女優です。1950年の映画『窓から飛び出せ』で女優デビューし、爽やかな美しさと飾らない演技で人気を博しました。
昭和の銀幕を代表する美人女優ですが、80歳を過ぎた現在も活躍しています。サントリー「グルコサミン」のほほえましいCMにも出演していました。2017年公開の映画『天使のいる図書館』にも出演予定です。
また、女優業以外にも、映画保存活動に積極的に取り組んでおり、映画撮影時の写真や資料などを寄贈し公開しています。その活動が評価され、2011年には第24回東京国際映画祭において国際フィルム・アーカイブ連盟賞(FIFA賞)を受賞しています。
溝口健二監督や黒澤明監督など名だたる巨匠たちの作品に出演し、今もなお現役で活躍を続ける美人女優香川京子の魅力あふれる出演映画10選を紹介します。
1.戦争の犠牲となったうら若き乙女たちの悲しい物語『ひめゆりの塔』【1953年】
1945年3月、米軍上陸間近の沖縄。米軍が迫ってくるなか、軍部の最後のあがきとして前線へ駆り出されたひめゆり部隊と呼ばれる女子学生たちの悲劇のストーリー。監督は『青い山脈』(1949年)の今井正が手掛け、当時大ヒットを記録しました。
中心になる女学生の一人を演じた香川は本作に出演したことでプロとしての意識が強まり、女優業に熱心に取り組むきっかけになったと言います。
2.海外でも高く評価された溝口健二監督作品『山椒大夫』【1954年】
平安時代の末期、高貴な身分の母・玉木と幼い兄姉・厨子王と安寿が、旅の途中で人買いに騙され、山椒大夫の元へ奴隷として売り飛ばされてしまいます。安寿と厨子王兄妹の悲しく過酷な運命を描いています。
森鴎外の代表作が原作で、香川京子は安寿を演じ、監督は、ワンシーン・ワンカットの撮影技法が国内外の映画作家に影響を与えた溝口健二です。本作は、ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞するなど、海外でも高く評価されています
3.家族ってそういうものなのだろうと納得しつつ切なくなる映画『東京物語』【1953年】
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戦後の核家族化によって孤立を余儀なくさせられた老夫婦、二人だけの物語をあそこまで強調したあとでの死別、その後の物語は一見楽観的に見えてその実どこまでも透徹した絶望によって貫かれている。
場を切り取るロングショット→海へ
死の表象としての無音は圧巻
それぞれが第二の家庭を持つ子供達と違って紀子にとっての第二の家庭が擬似的に老夫婦に投影されていた可能性 #ネタバレ
movhao
小津安二郎監督作品を見るのは、実は初めてです。
家族がどうなってゆくかが、独特の撮影法の中、丁寧に描かれています。
固定ショットやローアングルを主とする等独特のカメラワーク、そして台詞回しが良い情調を作っています。「小津調」と呼ぶそうですね。
この小津調、僕は序開きの時は正直「変な感じだなァ」と思ったのですが、段々と良いなと感じました。
そして母の危篤以降、お爺さんの様子をはじめとして、僕は凄くぐっと来ました。
東京で暮らす子供たちの家を訪ねる老夫婦でしたが、子供たちは忙しくてかまってやれず、戦死した次男の妻の紀子が面倒を見てくれます。子供たちにはあまり歓迎されませんでしたが、それでも満足した老夫婦は、二人が暮らす尾道へと帰っていくのでしたが・・・。東京と尾道を舞台に、家族というもののあり方を静かに描いています。
主人公の紀子を演じたのは、伝説の女優原節子で、香川京子は老夫婦の次女京子役を務めました。監督は独特な作風で世界的に評価が高い小津安二郎です。
4.長谷川一夫と共演し、命がけの恋愛を描く『近松物語』【1954年】
近松門左衛門の人形浄瑠璃の演目をモチーフに、大商人の奥方おさんと奉公人茂兵衛の秘めた恋が描かれます。不倫は不義密通の罪で罰せられる時代の切ない純愛ストーリーです。
監督は溝口健二で、香川京子は主人公のおさんを務め、初めての人妻役を演じました。相手役の茂兵衛は昭和の時代劇スターとして活躍した長谷川一夫が務めました。
5.どの時代にも黒幕がいることを思い知らされる映画『悪い奴ほどよく眠る』【1960年】
Keimiyazato
政治家が自殺したり 病死したりのニュースに接するとこの映画を思い出してゾッとします、映画の出来もハラハラさせられ意外な結末までスピーディーに展開します、L、A コンフィデンシャル的な作品。 政界の闇を描いていますが さすが黒澤明!ダイナミックな起伏に富んだサスペンスの一級品に仕上がっています、政治の裏側の話しなんて聞くと小難しく思えて敬遠する人もいるはずだけど騙された気で観て下さい!黒澤明の手に掛かると退屈知らずのエンターテイメント作品になります。
政治汚職を題材にしたサスペンス映画で、父親を失った一人の男の復讐劇が描かれます。黒澤明監督の、衝撃的なバッドエンドが独特の雰囲気を醸し出す傑作です。主演は三船敏郎が務め、香川京子はヒロインを演じました。
香川京子は、黒澤明監督作品に数多く出演していますが、2010年に『文芸春秋』で仲代達也と会談した際に、本作が一番思い出深いと語っています。
6.俳優陣の熱演に感銘を受ける黒澤明監督の不朽の名作『赤ひげ』【1965年】
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赤貧と不幸にまみれた患者が集まる江戸養生所。渋々詰めることとなった若い医師。若気ゆえの欲、猜疑心、憐憫、怒り、正義、自尊心が人間の死に様に直面することで琢かれてゆく。そこにいたのは仁の人「赤ひげ」西宮5。山本周五郎原作で黒澤明が見せるのは誰ぞが悪いぞみたいな安っぽいもんじゃない。2015年10月9日 ツイートのレビューがよさ気だったので観劇。現代映画や小説が言葉と色と音に溢れんばかりで伝えようとするのに。この真逆さでこの感動。素朴さとかではないなにか。表面張力同士が溢れて静かに引っ付くような気持ち。この映画好きだ。繰り返し観ることが叶う数少ない映画のひとつになりそう。
Keimiyazato
黒澤明最後の傑作 山本周五郎の原作も素晴らしい 、赤ひげがチンピラをやっつける場面のダイナミックさは黒澤明の世界だし 音楽のチョイスもさすがです。 力強い演出を感じる最後の作品、赤ひげ以降は骨太さが影をひそめます、黒澤ヒューマニズムの集大成とされるこの作品は黒澤明の選曲の素晴らしさが光ります、加山雄三の青い演技も作品にハマっています。
若い青年医師が江戸幕府より配置された小石川養生所で、赤ひげと呼ばれる型破りの医者に出会い、人として成長していく姿を描いたヒューマンドラマです。監督は黒澤明。完成するまでに2年の歳月をかけた大作で、国内外で高い評価を得ています。赤ひげを演じた主演の三船敏郎はヴェネツィア国際映画祭で最優秀男優賞を受賞しました。
香川京子は養生所内の座敷牢に隔離されている狂女を熱演し、青年医師役は加山雄三が務め、本作は大ヒットとなりました。
7.本当に愛してくれているのは誰かを知る映画『式部物語』【1990年】
事故で精神障害を患い童心に戻ってしまった息子・豊市に悩んでいた母と妻は、和泉協会と名乗る宗教団体に救いを求めます。豊市は尼僧・智修尼に一瞬で夢中になってしまいますが、その恋は叶うわけもなく・・・。ラストで胸に迫る、母親の深い愛情を描いています。
監督は『千利休 本覺坊遺文』(1989年)『深い河』(1995年)などで数多くの映画賞を受賞している熊井啓で、本作はモントリオール世界映画祭で最優秀芸術貢献賞を受賞した名作です。香川京子は、主人公の母親役を演じ、第14回日本アカデミー賞で妻役を演じた原田美枝子とともに最優秀助演女優賞を受賞しています。
8.黒澤明監督の遺作『まあだだよ』【1993年】
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微笑ましく暖かな内容だがその中に黒澤明の迫力がある
私の人生で大事な映画のひとつ
随筆家の内田百閒とその弟子たちの日常をゆっくりとしたトーンで描いた本作は、黒澤明監督の遺作となりました。それまでの黒澤作品のように派手なアクションシーンなどはありませんが、日本の古来からの良き師弟関係を描いた胸を打つ作品です。
主役は『男はつらいよ』シリーズのおいちゃん役で知られる松村達雄が演じ、香川京子は奥さん役で出演しました。また、所ジョージ、井川比佐志、寺尾聡、平田満ら多くの個性派俳優や子役として吉岡秀隆も出演しています。
9.日本の原風景の中で人生に大切なものを見つけだす映画『阿弥陀堂だより』【2002年】
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リタイアして人里離れた田舎に越してきた夫婦とその集落の人びととの合流を描いた作品。
主役の旦那さん役の寺尾聡が連れ合いにかける言葉がどれも優しすぎてうっとり。
特別な抑揚がなく、最後まで淡々と進む話なので、なかなか消化が難しいけど、主人公たちの年齢に近づいた頃にまた観てみたいな。
東京の暮らしに疲れてしまった熟年夫婦が、夫の故郷である長野県に移り住みます。大自然の中で生活し、そこの住民たちと触れ合っていくうちに、徐々に自分というものを取り戻していく様子が描かれます。人生とは何かを考えさせられる映画です。監督は『雨あがる』(2000年)の小泉 堯史で、夫婦役には寺尾聡と樋口可南子の実力派俳優がキャスティングされました。
香川京子は、村で死期を迎えようとしている田村高廣扮する幸田の妻・ヨネを熱演しました。
10.惜しまれながら閉館した老舗映画館「銀座シネパトス」を舞台にした映画『インターミッション』【2013年】
実在する映画館「銀座シネパトス」が、映画ファンに惜しまれながらも老朽化のため閉館しました。この「銀座シネパトス」を舞台に、閉館前の映画館を訪れる個性豊かな客たちが映画の休憩時間(インターミッション)ごとに繰り広げる人間模様を描きます。
映画館の支配人夫婦を秋吉久美子と染谷将太が演じるほか、竹中直人、佐野史郎、小山明子、まだ新人だった門脇麦ら多彩な俳優陣に混じって、香川京子も出演しています。樋口尚文監督の初監督作品です。