映画『アマデウス』に出演していたキャストたちは今どうなっている?
アカデミー作品賞、監督賞、音響賞をはじめ、アカデミー賞8部門を受賞した本作は、F・マーリー・エイブラハム演じる作曲家アントニオ・サリエリを物語の軸として、モーツァルトを描く設定の斬新さが話題を呼びました。
また、当時宮廷や民衆の間に大きな賞賛と批判との渦を巻き起こしたモーツァルトを生き生きと描き、一般的な「荘重な」モーツァルト像を覆すこととなりました。
舞台は18世紀末のウィーン。宮廷作曲家アントニオ・サリエリは皇帝ヨーゼフ2世の下で活躍していました。その頃、ウォルフガング・アマデウス・モーツァルトも若き天才として王宮で注目を集め始めます。二人の作曲家の出会いは、やがて大きな悲劇を生み出すことに・・・。
作品に登場した俳優陣は現在どうしているのでしょうか?主演より脇役がスターとして活躍しているなど、彼らの意外な「その後」をご紹介します。
アントニオ・サリエリ/F・マーリー・エイブラハム
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『アマデウス』でのアントニオ・サリエリの演技でアカデミー主演男優賞を勝ち取ったF・マーリー・エイブラハムでしたが、その後は苦悩の日々が続き、2000年代に入るまで目立った役を演じることができませんでした。
この間に出演した映画には、『虚栄のかがり火』(1990)、ウディ・アレン監督の『誘惑のアフロディーテ』(1995)『スタートレック 叛乱』(1998)などがあります。
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彼の俳優としての第二のキャリアが始まるのは2009年のTVドラマ『女捜査官グレイス 〜 天使の保護観察中』からです。ドラマ『HOMELAND』の役では、2015年にエミー賞にノミネートされています。
しかし、マーリー・エイブラハムは主に古典舞台劇の俳優として活躍してきました。たくさんのシェイクスピア劇で主役を演じています。
演劇『ヴェニスの商人』では「借りた金を返せなければ肉を1ポンドを与える」という悪名高い契約を結ばせたことで有名な、ユダヤ人高利貸しシャイロック役を務めました。複雑な感情と悲劇に彩られたシャイロックを演じた抑制の効いた演技は高い評価を得たそうです。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト/トム・ハルス
『アマデウス』でモーツァルトを演じ、アカデミー主演男優賞をマーリー・エイブラハムと競い、逃した彼ですが、その後も優れた俳優として活躍を続けていました。
1988年には、『ニッキーとジーノ』でゴールデン・グローブ賞にノミネートされ、90年の『マーダー・イン・ミシシッピ/炎の十字架』ではエミー賞にノミネートとされました。
そしてついに1996年、TV映画『ハイジ・クロニクル/明日を信じて』でエミー賞を受賞。同年、ディズニー映画『ノートルダムの鐘』ではカジモドの声優に抜擢されました。
また、トム・ハルスはプロデューサーとしても優れた仕事をしており、彼がメイン・プロデューサーを務めたブロードウェイ・ミュージカル『春のめざめ』(2006)は、最優秀作品賞を含むトニー賞を8部門受賞しました。
皇帝ヨーゼフ2世/ジェフリー・ジョーンズ
ジェフリー・ジョーンズは、『アマデウス』では、皇帝ヨーゼフ2世を演じました。
その後はマシュー・ブロデリック主演の青春映画『フェリスはある朝突然に』での校長先生役で広く知られています。また、『ビートルジュース』などのティム・バートン作品にも3本出演していたり、TV俳優としても活躍していたことも。
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しかし、2002年、児童ポルノ所持と未成年の少年に金銭を払って自宅に招き入れてヌード写真を撮ったなどの容疑で逮捕され、5年間の保護観察を義務付けられました。
2016年現在、主にテレビなどで少しずつ復帰をしてきてはいますが、事件のこともありそこまでの活躍ではなくなっているようです。
レオポルト・モーツァルト/ロイ・ドトーリス
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの父レオポルトを演じたのは、イギリス人俳優ロイ・ドトーリスでした。
アマデウス以降は映画俳優よりも、舞台俳優、TV俳優として多く活動しているようです。『美女と野獣』(1987-1990)をはじめ、多数のTVドラマに出演。その中でも欧米で大衆的な人気を博したTVドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』(2012)での錬金術師役として再び注目されました。
舞台では、2時間半の一人舞台『Brief Lives(原題)』を数多く演じていることで知られています。歴史上最も成功したとも言われるこの一人舞台を一つの劇場で400回以上も演じたこともあり、なんと一人舞台の出演回数(1782回)でのギネス記録保持者でもあります。
エマヌエル・シカネーダー/サイモン・キャロウ
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『魔笛』の台本作家であり、俳優、劇場支配人でもあるエマヌエル・シカネーダーを演じたのは、イギリス人俳優サイモン・キャロウです。
『アマデウス』に出演していた同時期から作家や監督としても活躍を始めました。その後もTV俳優の仕事をする傍ら、古典作家の伝記の執筆をしたり、芸術祭に出演したり、劇場の出資をしたりと芸術振興に努めています。
また、ゲイとしても知られ、イギリスの有力紙「インディペンデント」紙では、2007年の「最も影響力のあるゲイ男性/女性」の28位にランクインしています。
ロール/シンシア・ニクソン
『アマデウス』では、サリエリのメイド兼スパイのロールを演じたのはアメリカ人女優シンシア・ニクソンです。彼女はその後も多数の映画やTVドラマで華々しい活躍をしています。
TVドラマシリーズ『セックス・アンド・ザ・シティ』(1998~2004)では弁護士のミランダを演じ、ブレークしました。
2004年にミランダ役でエミー賞を、2011年に映画化された際は、はラジー賞「最低主演女優賞」を取ります。2006年には『Rabbit Hole』でトニー賞を、2008年にはテレビシリーズ『LAW & ORDER:性犯罪特捜班』のゲスト出演でエミー賞ゲスト女優賞を受賞しました。
カテリナ・カヴァリエリ/クリスティン・エバーソール
サリエリが思いを寄せるオペラ歌手カテリナ・カヴァリエリを演じたのは、アメリカ人女優クリスティン・エバーソールです。
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19歳でTVドラマデビューを果たした彼女は、TVと平行して舞台に出演するなど着実にキャリアを重ねてきました。舞台女優としても目覚しい活躍をしています。
『42番通り』(2001)と『灰色の庭』(2006)の2回、トニー賞最優秀女優賞を受賞。また、ショーやキャバレーの歌手として活躍しており、2010年には彼女のショーのツアーもしています。